……モルモット。モルモット。実験動物。ああ、全くお笑いだ。
そもそも人間がなぜ光る？　ルシフェラーゼ生成貯蔵体組織を有するかライトを埋め込まれるかでもしない限り、人間に光る事など不可能だ──この学園に来る前から、そう改造されている俺でもなければ。
それに、耐BC兵器措置として肝機能含め全身の解毒機能を生物学的にも機械的にも高められているこの俺に、薬など碌な効果はない。スピリタスを喇叭飲みしても全く酔えないカラダなのだから。それでいて筋骨量の操作も自由自在だ。
だが俺は七色に光るし、どんな薬を飲んでもその通りの効果を再現できる。何故ならば俺は、某国軍部の人体実験により、そう改造されたヒトなのだから。軍の施設を脱走した俺は、何の因果かURAの長距離走スカウトの元に転がり込み、学園に匿われ現在に至る。無論、当時のデータから容姿、身長、体重、血液型は自己改造で変えてある。
…ビゴーペガサスの嬢ちゃん辺りには絶対に聞かせられない理由だ、と皮肉な笑いが浮かぶ。

「モルモットくーん、今日のお弁当、味が薄かったぞー」
「本当か？　それは申し訳ない。味の好みがあったら教えてくれ」
「そうだねえ、ご飯は炊き込みご飯がいいなー。あと紅葉切りのにんじんを入れておくれよー」

リクエストにはちゃんと調味料の量を調整して対応する。何しろ、人体操作能の為に脳を弄られたお陰で、俺の舌は痛覚以外の味を感じられない。尤も、自分でわかるような「味」にしようものなら、アグネスタキオンは悲鳴を上げてギブアップするだろう。
だからアグネスタキオンの紅茶とマンハッタンカフェのコーヒーについての論争も、俺には知った事ではない。味もカフェインの覚醒効果も認識できないこの俺に、どちらの飲料も栄養価と水分以外の違いはない。…いや、香りだけならば紅茶の方が好みではあるが。

出汁の匂いがしてきた

ウマ娘より謎な存在になるなよ！

桐生院！オレは人間を辞めるぞーッ！

だから、彼女の「プラン」についても、彼女自身の走る熱情とは別に、内心否定的な評価を下している。確かに彼女は頑健な肉体を持つ者に比べればガラスの脚だが、それよりも彼女の全力疾走を阻んでいるものは彼女自身の恐怖だ。だから、それをトレーナーとして全力で支える事で、脚部の筋力と体幹を鍛えさせ、脚部への負担を軽減するよう計らい、走ることへの不安と恐怖を少しずつ取り除いてやればいい。俺のように人間に戻る事すら出来ない怪物に比べれば、アグネスタキオンはずっと正常で、健康で、優秀なウマ娘なのだから。

「さすがだねアグネスタキオン、おめでとう。」皐月賞を取る事など、彼女の地力だけで十分に可能なのだから。「信じていたよ」

>そこで俺は、敢えて忠実なモルモットを演じる事にした。
この時点でアウトすぎる…

>…ビゴーペガサスの嬢ちゃん辺りには絶対に聞かせられない理由だ、と皮肉な笑いが浮かぶ。
（ナレーション）タキオントレーナーは改造人間である！

さあ葱を背負い始めたぞ

卒業後のタキオンの研究がモルモット君を人間に戻す方法に変わってしまう

むしろこっからどう調理されるんだ過ぎる……

タキオン流石に味覚破壊するのは酷くない？

もしかしてこのトレーナーラーメン作りが得意だったA級ジャンパーだったりしない？

>タキオン流石に味覚破壊するのは酷くない？
>何しろ、人体操作能の為に脳を弄られたお陰で、俺の舌は痛覚以外の味を感じられない。
なのでモルモットになる前職の時点で破壊済みだったのでは？

味覚って痛覚そのものだったような…

>もしかしてこのトレーナーラーメン作りが得意だったA級ジャンパーだったりしない？
やだよ感情が高ぶると顔がゲーミング発光する黒衣の元コックとか…

倒れてしまった。タキオンの前で。

「ははは、君の薬が効きすぎてしまったね…昨日の薬は、ええと…」
「待ちたまえよ。モルモット君が倒れるような副作用のある薬なんか、この三週間出していないぞ。それより…その体は…」
「持病の癪が…」
「いいから！保健室に！！」

理事長立合の元、俺の経歴はタキオンに明かされる事になってしまった。そして、医師の見立てでは翌年、URAファイナルズを終えて４月を超えられるかどうかがヤマだという。

「私には君の担当として成し遂げなければならない事が二つ出来たよ。URAファイナルズ優勝と、モルモット君の延命研究だ」
「…延命の為に、君の時間を使って欲しくない」
「モルモット君がいなくなったら、誰が私のご飯を作るんだい？　…もう、君なしじゃ生きられないのさ」
「…俺に、最初から味覚が無かったとしても？」
「ならば取り戻してもっと美味しいお弁当にしてもらうだけさ」

なんだか雲行き怪しくない？

そこからの記憶は、正直に言って定かではない。幾つか、彼女のトレーニングを確認した事と、彼女の勝利を見届けたことと、エアシャカールがハッカー仲間を指揮して某国施設から研究データをクラッキングしたような話を枕元で聞いた事…そして、タキオンが「自分の重要な研究成果と引き換えに」研究中の延命法を某国とURAの仲介の元に手に入れたらしい事…。

「やっぱりトレーナー君の料理はおいしいねえ」
「自分でも、作る料理がこんなに美味しいものだとは……思わなかった」

そしてドリームシリーズで走り続けながら論文を執筆する彼女のために、俺は今日も料理を作る。
いつまで保つ命かはわからないが、残りの人生を彼女のために捧げる事に、一切の後悔はない。

おしまい

寿命と女性観破壊されてるじゃねーか！
よかったね♥末永く生きて♥

ロジカルじゃねェとかなんとか言いつつ友人のためにヤバい仕事も受けてくれるシャカール君本当に良い人だと思う

よかった生き延びた
よかった？

…きぶ理事長のときもこうだったらなあ

…モルモット演じる必要は無くない？

>…モルモット演じる必要は無くない？
モルモットを演じたモルモットが人間に戻る話だった

これもしかして逆に永劫死ねなくなったりしてない？

>これもしかして逆に永劫死ねなくなったりしてない？
それならそれで同じく不死になったタキオンと末永くうまぴょいするだけだし…

おかしい…俺は鴨葱を見に来たはずなのにロボットが人間に戻る話を見せられている…
教授！これは一体！？

>教授！これは一体！？
愛の力だよ

これは何がネギ背負ってやってきたんだ

モルモットがモルモットのまま来やがった

むかしむかし、一人の才女を愛した怪物がおりました。怪物は人間に化けて、才女の手助けをしておりました。ところがある日、怪物の正体が才女にばれてしまいました。怪物が去ろうとすると、才女はこう問いかけました。「君がいなくなったら、誰が私のお弁当を作るんだい？」怪物は、才女の元で、ずっと手助けを続ける事にしたのでした。めでたしめでたし。

大丈夫？エアシャカール狙われない？

>大丈夫？エアシャカール狙われない？
学園に居るうちは簡単に手は出せないはず…

どうしてタキオントレは死にかけるんですか？

>むかしむかし、一人の才女を愛した怪物がおりました。怪物は人間に化けて、才女の手助けをしておりました。ところがある日、怪物の正体が才女にばれてしまいました。怪物が去ろうとすると、才女はこう問いかけました。「君がいなくなったら、誰が私のお弁当を作るんだい？」怪物は、才女の元で、ずっと手助けを続ける事にしたのでした。めでたしめでたし。
読）エイシンフラッシュ

>>むかしむかし、一人の才女を愛した怪物がおりました。怪物は人間に化けて、才女の手助けをしておりました。ところがある日、怪物の正体が才女にばれてしまいました。怪物が去ろうとすると、才女はこう問いかけました。「君がいなくなったら、誰が私のお弁当を作るんだい？」怪物は、才女の元で、ずっと手助けを続ける事にしたのでした。めでたしめでたし。
>読）エイシンフラッシュ
著：ライスシャワー

鴨葱話を作るつもりが…鴨の命を延命して…鴨の培養肉で鴨鍋するような話だったね…

1ヶ月半前の呪縛にまだ囚われてる「」多くない？

モルモットくんは自然の摂理に反した肉体のまま余命を晒し続けることとなった野獣だけど美女とのハッピーエンドがあってもいいんだ

>1ヶ月半前の呪縛にまだ囚われてる「」多くない？
呪いだからな

>鴨葱話を作るつもりが…鴨の命を延命して…鴨の培養肉で鴨鍋するような話だったね…
これはフォアグラでは？

>>読）エイシンフラッシュ
>著：ライスシャワー
ここは絵本の読み聞かせ会場だったのか…