ある日、アマさんと同じレースに出走した日。
「見られないって、どういう事だい！？」
コース場に向かうため、控室を出て廊下を歩いていると、曲がり角の向こうから聞き慣れた声がした。
趣味じゃない、私らしくもない。が、興味に負け、角から少しだけ顔を出して様子を見る。
「ごめん！ほんっとぉにごめん！！」
あの男が両手を合わせて、アマさんに頭を下げている姿があった。
「アンタは、アタシのトレーナーだろ……？」
「でもさ、今回の……ちょおっと厳しいみたいでさ。俺が行かないと……大・惨・事。になるかも〜……」
「……」
「おねがいしま〜す、アマさ〜ん。世のため人のために、ね？」
頭を下げたまま駄々をこねる男に、大きく溜息を吐くアマさん。
「はぁ……わかったよ、行ってきな」
アマさんの渋々という言葉を受け、知っていたかのように厭らしい笑顔を浮かべる男。
「ありがとぉ〜！アマさん、愛してるよっ！」
歯の浮くような言葉を告げ、男は何処かへと走り去っていった。

一人、静かに立ち尽くすアマさん。浮かんだ表情は、アマさんらしくなく寂しげだ。
……あの男が居なくなった今、アマさんへと歩み寄る。
「ん？あぁ、ブライアンか」
私を視認すると、いつものように勝ち気な笑顔に変わるが……まだ、力が無い。
「……いやぁさ。あのバカが急用入って、アタシのレース見られないってさ」
……あの男は、自分がトレーナーだという自覚が足りていないらしい。
トレーナーが担当ウマ娘の走る様を見ないなど、聞いた事も無い。
自分の事ではないにせよ、苛立ちから思わず舌打ちが漏れそうになる。
「わ〜す〜れ〜て〜た〜！」
また、あの男の声。振り返ると、私の横を抜けてアマさんへと駆けよっていった。
「急ぎなんだろ？今度はなんだい……」
「行ってきますのキス！ちゅっちゅっ」
「……するわけないだろ！？早く行って来いバカぁ！……まったく、もう……」
アマさんに背中を張られ、再度駆けていくあの男。
困ったような、だがさっきよりも晴れた笑顔のアマさんが見送るのが、どうにも気に食わなかった。

一週間後。アマさんに呼び出された。
レースの誘いかと、少しだけ上機嫌だった私にかかったのは、全く関係無い頼み事。
『ブライアン、頼む！アイツにコレ届けてやってくれ！』
寮長としての仕事が立て込んでいるだかで、あの男に弁当を届けて欲しい。
私の早とちりとはいえ、ほんの少しでも上がった調子がどん底にまで落ちた。
ただでさえ一瞬でも見たくもないあの男に、自ら会いに行くなど。
しかし、断る前に押し付けるように渡されてしまったのだからどうしようもない。
本当に気乗りしない。渋々、あの男が居るであろう場所へ向かう。
そうして着いたトレーナー室。ノックもせずに乱雑にドアノブをねじり扉を押し開けた。
……居た。私が押し入ってきたにも関わらず、背を向け、窓の外を眺めている男。
「おい」
不機嫌を包み隠さず、声を掛ける。
「……なんだ、ヒシアマゾンかと思ったらお前か」
男から返ってきた言葉に、面を食らった。
その声はいつもと……アマさんと居る時とは違う。チャラチャラしたような調子では無い。

振り返った男が、私をハッキリと見据える。
無表情。メッシュの金と黒い髪の間で隠れた片目、目線が私を射貫く。
……この男が私を見るのは、覚えている限りでは初めてだ。
「一仕事終わったばっかで今疲れてんだけど、何しに来たん……あれ、それって……」
指差した先は、私の手。アマさんに預かった弁当箱。
「届けてくれた感じ？悪いね〜、どうも！」
数秒前の無表情から一転。いつものようにニヤニヤと笑いながら、私に近寄ってくる男。
その笑顔から感じる気味の悪さは、これまでとは違う。
……ただ気に食わないだけだったこれまでとは、違う。
男は固まっている私からすんなりと弁当箱を奪い、楽し気に机に置いて蓋を開けた。
「くぅ〜！さっすがアマさん、俺の好みわかってるぅ！」
見えた弁当箱の中身は殆どが肉。私好みだ。野菜など少ししか入っていない。
しかし、それが発するただ一つの違和感が、味とか好みだとかを思考から追い出していく。
……アマさんらしくない。アマさんなら、もっと栄養だとか彩りだとかを考えてるはずだ。

「今日も一日これを楽しみに頑張ってたんだよな〜！いっただっきまーっす！」
呆然と立っている私を意に介さず、男は食事を始めた。
……骨の付いたまま調理された肉を、素手で持ち、口に運ぶ。
なんだ、これは。まるで野生動物じゃないか。
「あうっま、ん〜、うまいうまい」
……こいつは、どこまで雑なんだ。
この男へ普段から感じていた不愉快は、目前のこの姿によって怒りへと変わった。
「なんで、アマさんの手を煩わせる」
思わず……いや、冷静だったとしても言っていただろう。
私の怒りが混じった声にも変わらず肉を頬張り続ける男の横で見下しながら、口を開く。
「飯を食う場所なら、幾らでもあるだろ」
怒気と共に、常々感じていた疑問を叩きつける。
カフェテリア、食堂、購買。
飯を食うという事しか考えてないようなヤツなら、それでもいい筈だ。
「……適当な物でも買って、腹を満たせばいいだろうが！」

勢いに任せて全てぶつけてやると、食事にのみ動いていた男の、手が止まった。
私の怒声が消えた静かな部屋に、咀嚼音だけが響く。
肉を、命を食らう生々しい行為で生じる音。口の中の物が嚥下されると同時にそれが消える。
……そして男は、私を見上げた。
「俺は」
その目つきは、さっきまでと同じ。
だが、視線に込められたモノ。目の奥に見えるソレは、獰猛。獣性。
「俺は自分で殺した物しか食わない」
男の言葉が、静かに、重く、響く。
言葉を失った私に満足したのか、再開される食事。
……今になって、ようやく気づいた。
何故私はこれまで気づいていなかったのか。或いは、無意識の内に気づいていて嫌っていたのか。
この男から香る、匂い。
微かだったはずの匂いは、一度認識すると、まるで噎せ返りそうなほどに濃く感じる。

そうだ、これは。
どうしようもないほどに濃い、血の匂いだ。
……命の、匂いだ。

ヒシアマ姉さんヒモ適性高いと思いました

アマゾンじゃなくてアマゾンズの方じゃねえか！

ヒシアマゾンってそういう…

ヒモアマゾンじゃねえか！

こいつが忙しい世界とか怖くない？

それだとヒシアマ姐さん最期悲惨じゃねえか！

こいつトレーナーとかやってる場合だったっけ…？

野生のトレーナーと養殖のトレーナーか

アマさんがクラゲになっちまうー!!

彩度低そう

でも悪い男に引っかかってヒモ状態のアマさんは割と想像つくな…

避妊はしろよ

千翼はどうなるのかな…

ヒシアマ姐さんが前後不覚のトレーナーにレイプされてしまう！

チャラ男系トレーナーかと思ってたらアマゾンだった

このトレーナー会見に遅刻して偉い人に怒鳴られそうだな…

そりゃ行かないと大・惨・事だろうさ！
行っても大・惨・事だろうがよぉ！！

このトレーナー1000年ぐらい封印されてそうだな…

雨の中狩りしてそうなトレーナーだな…

一瞬でもウマ娘ならアマゾンと戦えるかもと思ってしまった

最後でようやくわかる...ひどいい怪文書だ

よくトレーナーしながら戦えるな…

一気に下がる彩度でダメだった

仁さんが戦ってるって時点でアマゾンの存在は確定してるから詰みかけの世界じゃん…

お前からはアマさんの匂いがする…でブライアンがセーフだったんだな…

ウマ娘素体のシグマとか絶対強いじゃん

>ウマ娘素体のシグマとか絶対強いじゃん
イユがウマアマゾンになるな…

>そうだ、これは。
>どうしようもないほどに濃い、血の匂いだ。
>……命の、匂いだ。
このあとにウォーウォーウォーって脳内であの曲が流れ始めたよ

最後の台詞あたりでArmour zoneのイントロ聞こえて来るから困る

お前は誰だ！

一着とったらこれがぁ…ヒシアマさんだぁ！するトレーナー

>お前は誰だ！
俺の中の俺！

アマ息子グロテスクダービー！

トラロックって名前の馬いそうだよね

ウマ娘ブラッディーダーティー

ハンバーグ作ってあげようね

ヒシア゛マ゛ソ゛ン゛ッ゛ッ゛ッ゛

>ハンバーグ作ってあげようね
福引一等の人○ハンバーグ

fu99358.mp4

>ハンバーグ作ってあげようね
伯邑考……

読んでるうちに脳内シーンの彩度が下がっていった
不思議

「来てます来てます！今日も勝ちますよ〜！」
私を乗せ車を運転しているのは、シラオキ様に導かれたトレーナーさん。
クールで無口で、読書を嗜む頼れるお方！そして何より！これだけ頼もしいうえに！
「トレーナーさんの“フク”があれば、必勝間違いありません！！」
びっくり仰天！トレーナーさんのお名前には、なんと！私と同じフクが入っていたのです！！
もう運命！もはや必然！？出会いは文字通りマチカネフクキタルです！！
「今日も勝ってファンの方々へ、フクを届けてみせましょうとも！！」
笑顔で告げると、トレーナーさんの口角が少し上がってくれました！
けれど、レースにかける想いはこれだけではありません！
トレーナーさんは、ご病気のご家族のために頑張っておられるのです。
具体的には、たまに急用でどこかへ行ってしまうほど。だから。
「……それに！これだけの大きなレース！勝てばトレーナーさんの周りにも、絶対にフクが訪れますよ！！」
トレーナーさんは運転しながらフッと小さく笑って。
いつも本を優しく捲る手が、私の頭を撫でてくれるのです。
お願いします、シラオキ様。どうか、トレーナーさんにも、フクキタリますように。

フクさんもいるのかよこの世界

駆除班がトレーナーならウマ娘にも勝てそうなのが…

オオオ
イイイ

大丈夫？遥とか千翼もこっち来てない？

地獄の追加コンテンツやめろ

>大丈夫？遥とか千翼もこっち来てない？
遥はまだいい
千翼お前は駄目だ

>どうか、トレーナーさんにも、フクキタリますように。
お母さん元気にするね！

わたしがシラオキ様です

>>どうか、トレーナーさんにも、フクキタリますように。
>お母さん元気にするね！
圧烈弾を出せ…

>>>どうか、トレーナーさんにも、フクキタリますように。
>>お母さん元気にするね！
>圧烈弾を出せ…
ラッキーセブン出てて笑っちゃう

>>圧烈弾を出せ…
>ラッキーセブン出てて笑っちゃう
やっぱりフクさん…

>>>どうか、トレーナーさんにも、フクキタリますように。
>>お母さん元気にするね！
>圧烈弾を出せ…
あれは上からの許可が…

>このトレーナー会見に遅刻して偉い人に怒鳴られそうだな…
(舞台裏から薄っすら響くお偉いさんの怒声)