二次元裏@ふたば

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163138 B21/05/02(日)23:04:14No.798705075そうだねx1 00:04頃消えます
『女帝』の朝は早い。
「もう習慣だし、好きでやってることだから辛くもなんともない」
まだ寝ている同室のファインモーション氏を残し、白み始めたばかりの空を見つつトレーナー寮に向かう。自然な所作で合鍵を用いて部屋に上がると、やや空気が澱んでいる。部屋の主はまだ布団の中にいるようだ。
まずはキッチンに向かい、コーヒーを淹れ、トースターに食パンを放り込み、フライパンに卵を割り入れる。ミックスサラダと共に皿に盛り付けるまで、わずか数分。まったく無駄のない流れるような動作には職人魂を感じる。
「食材や器具の配置は私が使いやすいように最適化したんだ」
そう語る女帝の口ぶりは自慢げとも誇らしげとも聞こえる。
平日は速さと効率を重んじるそんな彼女も、休日はトレーナー氏と共にゆっくり時間をかけて新しいレシピに挑戦したりすると言う。
「少しでも一緒の時間をとりたいし、何より喜んでくれるからな」
先程までの冷たくも聞こえる口ぶりとはうってかわり、何かを思い出すように薄く微笑む。女帝にも年頃の少女のような一面が垣間見え少し微笑ましい。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/05/02(日)23:04:51No.798705312そうだねx1
カーテンを開けると、薄暗かった部屋が朝日で照らされる。「うーん」トレーナー氏がモゾモゾと動き出すが、起き上がらない。
「起きろ」「あと5分……」「ダメだ」
厳しい口調の女帝に、トレーナー氏は半分寝ぼけたような声色で懇願する。毎朝定番のやり取りだそうだ。
「おい、いい加減に……」
女帝が布団を引き剥がそうと近づいた途端、布団の下から伸びた腕に彼女は身体ごと布団の中に引っ張り込まれてしまった。
「こら!ふざけるな!時間が……」
それっきり声は聞こえなくなり、モゾモゾと布団がうごめく光景がしばらく続く。
「んっ、──あっ………………」
──時折、少し艶めいたような声が聞こえるのは、気のせいだろうか。
「──だから、平日はわきまえろといつも言っているだろ貴様ーーっ!」
結局、女帝の雷が炸裂するまでインタビュアーは数分待つことになった。
221/05/02(日)23:05:10No.798705410そうだねx1
朝食を手早く済ませると、二人は学園の花壇へ向かう。花の世話は女帝の数少ない趣味だと言う。
「この時期は雑草が生えやすいから毎日こまめに世話する必要があるんだ」
そう語る女帝の口ぶりは忌々しげで、同時に楽しそうに聞こえる。事実、土をいじる彼女の手付きは洗練されていて、まるで楽器を奏でているかのようだ。
その間も、トレーナー氏は何も言わずに女帝に寄り添い雑草取りの手伝いをしていた。
「最近ようやく花の扱いを叱られなくなってきたんだ」と嬉しそうに語るトレーナー氏。
「覚えが悪すぎる」ため息と悪態をつきつつも、女帝もどこか嬉しそうだ。
321/05/02(日)23:05:30No.798705532そうだねx1
花壇をあとにすると、運動場で朝練が始まる。猛烈な勢いでターフを駆けて行く女帝。トレーナー氏の檄が飛ぶ。この日最初の練習とは思えないほど気迫のこもった走りに驚かされる。
話を伺うと、トレーナー氏はチームを率いている関係上、通常の練習は常に複数人同時に行われている。そのため二人きりで練習できるのは自主練習のこの時間だけだそうで、つい力が入ってしまうのだという。
「やりすぎは怪我やオーバーワークに繋がりかねない。不徳の致すところだ」
と彼女は語るが、その実トレーナー氏がその様子を見て加減してくれているそうで、二人の信頼関係が窺える。
421/05/02(日)23:06:24No.798705842そうだねx1
午前の通常授業のあとは、午後の練習だ。前述したとおりトレーナー氏はチームを率いており、女帝もそのチームのメンバーの一員である。
チーム練習でもいつもの調子でトレーナー氏を叱りつけているのかと思いきや、意外なほどにトレーナー氏の指示どおり黙々と練習に打ち込んでいる。朝練のときのような、喧々諤々、細かくトレーナー氏と意見をぶつけていた姿とは大違いだ。
そんな彼女につられてか、他のメンバーも緊張感を持って集中しているように見える。

──練習が終わり、練習中に気になったところについて話を伺う。
「私が一番古株で年長者だからな」
実質的にチーム内のトップ(実際にそういった序列のようなものがあるわけではない、と女帝は語る)の立場にある彼女がトレーナー氏に粛々と従っている姿を見せることで、チーム内の規律を保っているのだという。
「和気あいあいとした関係がダメとは言わないが、ナメられるとロクなことにならん」
ギロリとトレーナー氏を睨む。
「いつも言っているが、貴様は甘いぞ」
いやあ……そんなことはないと思うんだけどね、とトレーナー氏はバツが悪そうだ。
521/05/02(日)23:06:57No.798706019そうだねx1
「うちのチームの子は、みんな素直で良い子達じゃないか」
「そういうことを言っているわけじゃなくてだな……」
「うん、わかってるよ。──いつもありがとう、エアグルーヴ」
女帝はそれ以上は何も言わず口をつぐんだ。
指導者が優しいのは指導を受ける側に取っては嬉しいことでもあるが、同時に気の緩みの原因ともなりえる。気の緩みは成績の不振や怪我に繋がりかねないので、適度な緊張感は大事だ、と二人は語る。
トゥインクルシリーズを二人三脚で駆け抜け、名実ともに女帝として君臨したエアグルーヴ氏とそれを率いたトレーナー氏の名声は学園の内外に広く響き渡っている。後輩たちから彼女は羨望の眼差しを受けるところにあり、同時にトレーナー氏の指導を受けたがるウマ娘はあとを立たない状況だ。
そんな背景があるからか、チームのモチベーションは非常に高いように見え、二人の心配は杞憂に思える。状況に関わらず妥協せずベストを尽くそうとしている姿に、二人がこれまで歩んできた道のりの重みを感じさせる。
621/05/02(日)23:07:17No.798706127そうだねx1
練習後のチームミーティングの様子を見学させて頂いた。先程伺ったとおり、適度に互いを尊重する緊張感がありつつも活発な意見交換が行われており、理想的なチーム運営が行われているように思える。これも女帝とトレーナー氏の手腕の成せるものか、と素直に感心する。

──しかし、ひとつ気づいてしまったことがある。トレーナー氏を見つめる女帝の視線は他人に向けるよりも熱を帯びているようにも見え──同じ熱が何名かのチームメンバーからもトレーナー氏へ向けられているように見受けられた。
表面上は理想的でも、水面下には何か燻っているものがあるのてはないか──そんな疑念を一瞬抱いた。
721/05/02(日)23:07:43No.798706255そうだねx1
女帝は生徒会の業務も兼任している。トレーナー氏も通常業務など日々こなさなければならない業務に忙殺されている。そんな中でも、朝食同様、夕食も可能な限り一緒にとるようにしていると言う。
「この阿呆は放っておくと食わなかったりインスタント麺や菓子で済ませたりするからな」
「そんなことないよ……」
一応の反論をするトレーナー氏だが、自信に溢れているとは言い難い声色だ。
女帝の栄養バランスの取れた手作り料理に舌鼓を打つトレーナー氏。それを見つめる彼女の視線は優しい。
トレセン学園には食堂もあるし、近所に商店街もあるのだから、そちらを利用すれば良いのではないか、と気になったことを伺う。
「あまりに忙しくどうしようもないときはそうしてもらっている」
が、それでも出来れば一緒に食べたいのだ、と言う。理由は察するが、あえてなぜか、と踏み込んで聞いてみると、ゴニョゴニョとよく聞き取れない言葉が返ってくるだけだった。
821/05/02(日)23:08:12No.798706451そうだねx1
夕食後は通常は自由時間で、いつもであれば自室で勉強したり友人との会話に花を咲かすという。しかし、
「今日は、明日以降の練習計画と地方遠征についてのミーティングをするから」
と、女帝をトレーナー氏の部屋に残し、本日の取材はお開きとなった。

退室後、なんとなく気になってトレーナー氏の部屋の窓を遠くから暫く伺っていると、女帝が退室した様子はないのに、電灯が何故か消え暗くなったのを確認した。
デジたんはこの文章を残すために死ぬのを今日一日ずっとずっと我慢してましたが、もう限界です。50回分くらい死にま(以降ミミズのような字で解読不能)
921/05/02(日)23:08:27No.798706517そうだねx14
デジたんに敬礼
1021/05/02(日)23:09:43No.798706931+
オチ要員として優秀ぬなってきたなあ
1121/05/02(日)23:12:08No.798707716+
よくそこまで耐えたな…
1221/05/02(日)23:13:37No.798708231+
大丈夫?チーム内で爆弾が燻ってない?
1321/05/02(日)23:13:39No.798708247+
惜しいデジタンを亡くしたな
1421/05/02(日)23:16:24No.798709322+
書き込みをした人によって削除されました
1521/05/02(日)23:17:42No.798709792+
引用するレスを間違ってしまって自分で削除して大変申し訳ない
1621/05/02(日)23:17:54No.798709858+
有能だなデジタル…
1721/05/02(日)23:25:22No.798712553+
>「こら!ふざけるな!時間が……」
>それっきり声は聞こえなくなり、モゾモゾと布団がうごめく光景がしばらく続く。
>「んっ、──あっ………………」
>──時折、少し艶めいたような声が聞こえるのは、気のせいだろうか。
よくここで死ぬの我慢できたなデジたん
1821/05/02(日)23:27:18No.798713281+
デジタルはウマ娘が人間の男とくっついても平気なタイプなの?
1921/05/02(日)23:28:07No.798713595そうだねx1
>デジタルはウマ娘が人間の男とくっついても平気なタイプなの?
別にウマ娘百合の信奉者ってわけじゃない
ウマ娘の尊い姿で死ぬ
2021/05/02(日)23:28:31No.798713765+
ウマ娘が幸せなら何でもいいタイプ
2121/05/02(日)23:29:40No.798714145+
解脱者かよ
2221/05/02(日)23:32:06No.798715086+
人前で盛ったらダメだよ!
2321/05/02(日)23:33:51No.798715737+
>よくここで死ぬの我慢できたなデジたん
通常であれば死んでいたが朝イチのしょっぱなからコレだったので一日我慢したらもっと凄いのが見れると思い絶対に死なないですべて見送る覚悟を固めた
2421/05/02(日)23:34:21No.798715926+
女帝が何を考えて取材を受けたのかは一切不明です
2521/05/02(日)23:35:17No.798716253+
デジたんは次は休日に伺うべき
2621/05/02(日)23:49:27No.798721468+
あの女帝に手綱かけたオトコだもの
ポニーちゃん達がちょっと色眼鏡で見てしまうのは仕方ない
なんか間違い起こらないかなって考えても仕方ない
2721/05/02(日)23:58:49No.798724651+
>女帝が何を考えて取材を受けたのかは一切不明です
差し牽制


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