彼の親指で肩の筋肉を程よくまさぐられて血行が良くなっていることを感じながら脱力していくと、耳が彼の心臓のとくんとくんという音を拾ってなんだか安心する。子は母に抱かれるときその心音を聞いてリラックスすると聞くが、同じようなものなのだろうか。もちろん私は子ではなく女帝であり、彼も母ではなく私を支える椅子である。つまりは彼の胸に抱かれて安心とかそういうのは一切合切、あり得ないのだ、分かったか。

「全く、奴らと来たら学び舎を何だと思っているのだ、この前など」

ぶつぶつと問題児の行動を報告すると、彼から「エアグルーヴはさすがだ」とか「よく頑張っている」とか至極当たり前の言葉がかけられる。私はそこら頭に蜂の巣箱でも入れて蜂蜜たっぷりな女子のように当然の事を言われて喜ぶような、おめでたい頭をしていないので彼の言葉を聞きながらただ尻尾を揺らして答えるのみである。ふん、口ほどにもないとはこのことだろう。

「ちなみに私は明日休みだが貴様は？」

そう聞くと彼は待ってましたと言うように、良い雰囲気のカフェを見つけたからランチに行こうと誘ってくる。トレーナーと個人的な外出などもし生徒から見られたら、風紀に関わるのでそんなものは断る、と思ったが後輩たちとの話の種になりそうなので一秒ほど考え抜いて、仕方なく承諾した。もちろんこの痴れ者の事なのでディナーの予約も済んでいるのだろうから、明日は少しオシャレをしなければならない。
じゃあ決まりだと彼は肩をポンっと叩いたので、私は膝の上で回転してそのネクタイを掴んだ。

「エスコートを期待しているぞ」

「お任せください」と彼が微笑む顔を見てそっと顔を近づける。いやそういうのではないぞ、ふと彼の唇が渇いていることに気づいたのでリップでも縫ってやろうと思っただけである卑猥が入る隙間はハナ差もない。本当である。ただリップのおすそわけである。

「ねーねーエアグルーヴー、明日トレーナーとご飯食べに行くんだけどーどこが…」

とその時、ノックもせずにトウカイテイオーが部屋の中に入り込んできた。右手にはカフェの雑誌、まさか明日も被るのではないかと少しの恐怖が体を支配した。なんなのだ、三女神が悪さでもしているのか！？

「……やっぱ自分で探す！」

「待てっ！ あっコラ！ 雑誌を投げつけるな！」

次の日調子は絶好調になった。

卑しい身分の下郎ですがGWでトレーナーとの遠出にうきうきしている女帝が見たい人生でした

ナイス疲労

>しかし、疲れが残るというのは不味い。これが蓄積していくと、練習は失敗し、テンションは不調となり、ご飯は進まず、美容にも問題が出て、レースにも支障をきたし、結果トレーナーが担当を外され彼は路頭に、私は人生の迷路に迷うことになる。
これは大分疲れていますね

アンタの女帝を待ってたんだよ！お疲れさまです！！！

毎度毎度言い訳はだけは達者だな！

また即断即決してる

>毎度毎度言い訳はだけは達者だな！
>もちろん私は子ではなく女帝であり、彼も母ではなく私を支える椅子である。つまりは彼の胸に抱かれて安心とかそういうのは一切合切、あり得ないのだ、分かったか。

>一秒ほど考え抜いて
すいませんこれは考え抜いていると言えるんでしょうか

一秒考えるってだいぶ疲れてない？

>次の日調子は絶好調になった。
やちゃのか！？

エアグルーヴの方に聞きにくる辺りテイオー的には女帝風デートに憧れるのかね

経験豊富だろうから聞こうとしたとか？

カイチョーに聞くのはお母さんにデートのことを伝えるような恥ずかしさがあるだろうし…

こりゃ同じカフェで三帝鉢合わせパターンあるな…

>>次の日調子は絶好調になった。
>やちゃのか！？
頭の中で養蜂して蜂蜜たっぷりな女帝だぞ？普通に過ごすだけでも絶好調だ

疲れた女帝待ってた

しれっとテイオーも当然の様に女帝がトレーナーの部屋に居ると分かってる…

女帝は省エネ

>「ちなみに私は明日休みだが貴様は？」
貴様！？と思ったが女帝だもんな…

少し疲れ気味かもしれません

トレーナーを貴様呼びするのは女帝だけだからな
これが独占力…

>しれっとテイオーも当然の様に女帝がトレーナーの部屋に居ると分かってる…
もう何回鉢合わせとかいい雰囲気にお邪魔したことか…

>もう何回鉢合わせとかいい雰囲気にお邪魔したことか…
ざっと数えてもう30回ほどは…