そっとドアを開けると、彼がいた。いくつかのタブレットを机に広げながら、その空空漠漠と広がる電子の世界で無数の私のデータを紐づけ、精密な計算と漠然とした感覚を両立させて最適なトレーニングと栄養管理を生み出しているようだ。頂点のその先、唯一抜きん出て並ぶ者なしという言葉を体現させるため、未だゴールではない長き道のりの中で何回も見た姿。
しかし彼も働すぎである。「にんじんにんじーん、にんじんをたべるーと」と幼少期兄弟で作ったらしいユニークな歌を虚ろに歌っている、これは不味い。というわけで、そっと彼の小さな背中の後ろから手を回して肩に首を乗せた。

「トレーナー君、すこし働きすぎだぞ」

私が耳にそっと小声で語りかけると、驚いた彼は私と気づくとぼっと耳まで赤くした。それが何だか可愛らしくて、少しだけ息を吹きかけると「ひゃあ」と素っ頓狂な声を上げた。

「まだ君は若いんだ、無理は禁物だぞ。この前も生徒会の行事のために汗バ之労とあちこちを駆け回ったばかりじゃないか」

そういうと、「ルドルフの方が年下です」と返ってきた。その通りだが、私が若いと言ったのはトレーナーの年齢の平均としてである。桐生院トレーナーよりも若くこの学園にトレーナーとして入ったということはそれほどの才があるということだが、その分彼は経験を積もうとして無理をするきらいがある。といっても私もこうやって疲労困憊の末ここに来たのだから人のことは言えないのだが。

「今日共に食事でもどうかな？ 」

そう呟くと、彼の口からは「今日は兄たちと先約が」と返ってきた。しまった、彼の方の都合を忘れていた、私しからぬミスである。が、固まっているとタブレットの画面を消しながら「あったんですが、なくなりました」と「何が食べたいですか」と言って彼は微笑んだ。

片手の方でスマートフォンを器用に操作しているのが見える。きっと先約を断っているのだろう、それに気づけながら止められない私は彼に甘えて、独占欲を出してしまっているのだと毎度のことながら自覚してしまう。

「ではハンバーグが食べたいな…人参がはんぶんぐーの」

ぶはっと彼が噴き出す。トレーナー君は笑い上戸だ。ひとしきり二人で笑ってふと静かになった部屋の中、お互いの目を見つめ合う。その目でさえも愛おしい、愛及屋烏というのはまさにこのことだろうか。そのままそっと近づけ合う。

「会長、ちょっといいか。こっちにいると聞いて…」

ともう少しという所でドアが音を立てて開かれた。ひょこっとナリタブライアンが顔を出して、そして固まった。今日は運よくと運悪く彼女の勤労意欲を刺激した日らしい、脳内で彼女が走るであろうルートを計算し力を籠める。

「…すまんっ！」

「まぁ少しゆっくりしていかないか」

最短で15秒。誰にも見られることはない。

下賤の身ながら皇帝が人参ハンバーグをウマそうに食べている姿を見たい人生でしたウマ娘だけに

末っ子皇帝トレーナーきたな…

いい...

仕事が早すぎる…

アンタの皇帝を待ってたんだよ！
でも深夜だから無理しないでね！

姉貴も義兄貴もこれぐらいお互いグイグイいってればなあ

三帝トレーナーが完成した…

流石皇帝は余裕ある

>「ではハンバーグが食べたいな…人参がはんぶんぐーの」
>ぶはっと彼が噴き出す。トレーナー君は笑い上戸だ。
あの会長のサムいギャグも笑えるって時点で同僚トレーナーやウマ娘からも一目置かれていそう
それか会長同等の変人にみられてるか

仕事が早すぎる…

皆相手と根っこが同じなんだ…

>下賤の身ながら皇帝が人参ハンバーグをウマそうに食べている姿を見たい人生でしたウマ娘だけに
エアグルーヴの調子が下がった⤵

>>「ではハンバーグが食べたいな…人参がはんぶんぐーの」
>>ぶはっと彼が噴き出す。トレーナー君は笑い上戸だ。
>あの会長のサムいギャグも笑えるって時点で同僚トレーナーやウマ娘からも一目置かれていそう
>それか会長同等の変人にみられてるか
まるでネイチャが変人みたいじゃん！

そういえばネイチャは笑ってくれてたな…

早く末っ子くんにルナ呼びさせてえ

女帝と違ってちゃんと追いついてて強いなこの会長

女帝このトレーナーにめっちゃ敵愾心と敗北感感じてそう

長男女帝次男帝王末っ子皇帝で全員結婚したらえらいことになっちまうー！

とうとう3人の帝に宰相が揃ってしまったか…

スパダリ長男兄貴分次男天才肌三男…

三兄弟の中で1番才能あるのが末っ子なの良い…

トウカイテイオーにお義姉ちゃん呼びされて満更でもない女帝
シンボリルドルフに義姉さん呼びされて爆笑するトウカイテイオー

僕のためにルn…ルドルフが考えてくれたんです、嬉しいし面白いに決まってるじゃないですか
くらいここの家系なら言う

努力でひたすら理詰めを重ねてるんだろうなこの末っ子…

>努力でひたすら理詰めを重ねてるんだろうなこの末っ子…
長男みたいに自然にかっこよくなれないし次男みたいに体力もないから泥臭くデータと睨み合う
それができるのはお前だけだ弟よ…！って顔で兄二人は見てる

弟もトレーナーやってて〜とは伝えてるけどどこで誰のまでは伝えてない兄二人

データの積み重ねで皇帝が出来る時点でとんでもないよな…

かっこよさは育成に必要なのか

>かっこよさは育成に必要なのか
走るのが女の子な以上メンタル的にかっこいい男性がトレーナーはアドバンテージと思われる

ごめん兄さんたち！今日はちょっと別件で夕食済ませます！！
みたいなメールが来てふたりともそっくりな笑顔でいいよいいよって返事するんだ…

>みたいなメールが来てふたりともそっくりな笑顔でいいよいいよって返事するんだ…
兄弟の会食が無くなったからその店に愛バ連れてって三組バッタリ会ったりとかしそうだ

ここの世界線の理事長トレーナーガチャSSR3枚抜きしやがった…

見られてからの判断の速さに皇帝たる所以を感じる

長兄が経験で次兄が徹底的な練習なら末っ子は膨大なデータによって組み立てる理論か…

>長兄が経験で次兄が徹底的な練習なら末っ子は膨大なデータによって組み立てる理論か…
時折3人で情報交換することでより効率が良くなる

優しくて甘やかしてくれてダジャレにも笑ってくれるとかカイチョーもうこの人逃したら未来永劫無理ですよ

長男は攻めだけど三男はうまぴょいのときは大体受け

小さな背中って言ってるから皇帝よりも背が小さい説

>長男は攻めだけど三男はうまぴょいのときは大体受け
でも人畜無害そうな末弟が誰よりもベッドヤクザなのはかなりグッと来ると思う

担当はトレーナーが兄弟ってこと知らずにライバル意識持ってるんだ…

ショタトレーナー…

この展開だとナリブは長女ですかね・・・