【斑鳩さん2017年】 なぜ紅蓮隊に、私達に良くして下さるのですか、と詠が尋ねると、 村雨はふむと言葉を選ぶように首を傾げ、詠の方へ向き直って答えた 「俺にとってお前たち紅蓮隊は、そうだな、太陽のような存在だからな」 村雨の言葉の意味するところが汲み取れず、詠は困ったような表情を浮かべた それには構わず、村雨はなおも言葉を続ける 「俺の好きでやっていることだ、ただの我儘とも言えるな」 村雨はゆっくりと空を仰ぎ、自分の目の前に手をかざして眩しそうに太陽を見た 「天は雲や雨に太陽を陰らせる事を許すがな。俺はお前たちが陰るのを見たくはない」 まあそういう我儘というわけだ、と村雨は少し恥ずかしそうに笑い、 「皆の、詠の笑顔が陰るのは、アレだ、色々と我慢ならんのだ」 そう言って、何故か俯いてしまった詠の頭を、ワハハと照れ隠しのようにくしゃくしゃ撫でた 勿論、村雨はこれ以上無いほど頬を赤く染めた詠の顔には全く気付いていなかった 善忍のフレンズである私はヤハリパークの平穏のため蜜を流しながら日夜活動している その甲斐あってか、シロサイ(素人同然の才能)のフレンズな義兄・村雨が、 義妹を襲って子を産ませんと企む淫獄の悪鬼、孕まセルリアンである事が判明した このまま兄を捨て置けば、パークが八百万を超える兄妹の子で溢れるのは間違いない 卑猥な陰謀を挫くため、私は兄を斬る決意と共に飛燕を携え、眼帯のフレンズを従えて旅に出た だが旅路は筆舌に尽くし難いほど険しく、私は二日と経たぬうちに全身の毛皮を失い、 眼帯のフレンズは私が桃色に塗ったバスを抱えて渡河中に流され消息を絶った――まあ騒ぐほどでもないか そして辿り着いたは兄が根城とするロッジ、機は今なりと飛燕を抜いて扉を蹴破り、 下の口でプレーリー式挨拶を試みるも、兄の鎖鎌に四肢を縛られ私はその場に押し倒されたイヤッハ 「やめて下さいお兄様!ずっこんばっこん大騒ぎして義妹を母性開放して下さい!」 渾身の力で抗う私の胸を揉みながら、兄が下劣な哄笑を上げる 「ヒーッヒッヒッヒエン!俺の飛燕でお前の子宮口を多突きしてやろう」 私の両足が強引に開かれ、活火山のように熱い兄の産ドスターが入っt 性器より生まれ出た男、義兄・村雨が「衣替えだヒエン」などと称し、 二の腕や鎖骨といった局部に類する部位を露出して屋敷内を徘徊し始めた 義妹の視界を肌色で犯し、隙あらば蜜を噴かせる兄の真意は掴めないでいたが、 兄の着衣に残る残留物を味覚で調査した結果、兄が言ったのは"衣替え"ではなく"子供種"、 つまり兄は妹との子作りを密かに画策している‥という偽りなき真実へ私は辿り着いたのだった 淫らな企みは打ち砕かれるがこの世の摂理、私は今宵こそ兄を斬ると愛刀に誓った 皆が寝静まった夜、忍に装束は無用と着衣を破り捨て、身軽さを極めた姿で兄の部屋を奇襲する―― しかし兄は床に滴る露と唾液の匂いに勘付いて跳ね起き、巧緻極まる鎖鎌術で飛燕を弾き飛ばすと、 そのまま私の四肢を鎖で縛り上げ、強引にベッドへ押し倒したのだったイヤッハ 「やめて下さいお兄様!ベビー服の準備は箪笥いっぱいに出来ています!!」 全身全霊の力で抗う私の乳頭を吸い上げながら、兄が下衆な笑い声を上げる 「ヒーッヒッヒッヒエン!学生服からマタニティドレスに衣替えさせてやろう、俺の飛燕でな」 液状の嫌悪感がこぼれる私の秘部に、皮の服に包まれた兄の怒張が押し込まr 連休明けの仕事は兎に角憂鬱で仕方がないもので、休みの間に山積した案件を考えるだけでも気が重くなる… というのは世間一般での考え方であり俺には当てはまらない そもそも自分は財閥の仕事に携わる身、まとまった休みなどとは無縁なのである そんな俺がこの時期に二日間とはいえ連休を確保出来たのは、他ならぬ優秀な秘書・詠の存在があればこそだ 「お義兄様は働き過ぎです」と半ば無理やり休暇を取らせてきたのには面食らったが、 俺のスケジュールを空けるため獅子奮迅の働きをした事は十分に理解できた それゆえにこの連休は全力で遊び倒すつもりで街に繰り出したのだが、初日に朝から焔に出くわしたのが不味かった この大飯食らいに飯を奢る羽目になり、続いて現れた未来にホビー店へ付き合わされ、 次の日は暇潰しと称する日影と春花に引きずられて混雑する遊園地に同行することになった メリーゴーランドに乗った日影はどう見ても楽しんでいるように見えたが、感情がないから分からんという本人の意思を尊重し深く追求するのはやめた そんな休みを終えて出勤すると、妙に不機嫌な詠に出迎えられた 曰く、お義兄様は少し働き過ぎていた方がいい、とのことだった 古来より日本では上着をはだける事は性交と同義とされており、 義兄・村雨が忍者の真似事をする際に好んで襟元を開く格好をするのは、 そのような文化的背景は百も承知な上で取っている行動であり、 更には「俺は妹と致したいヒエ」と周囲に知らしめるためである 私は何度も、そのような格好をされては下着が汚れて困る、 と兄を諫めたが、兄は全く私の言葉に耳を貸す事は無く、 あまつさえ鎖鎌などという聞いたことも無いような淫具を振り回す遊戯に興じる始末、 そして私は遂に、性欲に狂った暗愚に財閥を委ねるは過ちと決断し、 鳳凰財閥の未来のためにあの肉に飢えた獣を斬ると愛刀に誓ったのだった その夜、私は夜伽用の下着に身を包み、天井裏から眠る兄へ闇討ちをかけた しかし目を覚ました兄の淫具が唸りを上げ、私は手足を縛られベッドへ押し倒されてしまったイヤッハ 「やめて下さいお兄様!魔の手と魔羅で妹を可愛がって下さい!!」 必死に抵抗する私の乳房に指を這わせ、兄が淫らな笑いを漏らす 「ヒーッヒッヒッヒエン!襟元ではなくお前の膜を開いてやろう、俺の飛燕でな」 敗北の涙を浮かべる私の粘膜の穴へ、兄の逞しいものが入っt 私たち人類は類人猿を起源とするが、義兄・村雨においてはその限りでなく、 一部の黒髪義妹忍者の間では、猥褻物が突如知性を持ち兄になったのではと推測されている その証拠に兄は顔、体、声に至るまで助平そのものであり、 うっかり無断で寝床に入り込み、隣に添い寝しようものなら、 0.23秒以内に蜜を吹き出しんあー!と悶絶、脱水症状に至ることが実地試験で証明されている 如何に兄妹とはいえ、そんな常軌を逸した怪生物と一つ屋根の下で暮らすのは危険極まりなく、 妖魔に並ぶ人ならざるものを放置する事は、善忍を擁する半蔵学院のクラス委淫長として許すべきではない 忍の務めを果たす為、今宵こそあの男性器保有者を斬ると愛刀に誓った 深夜、私は五感を鈍らせぬよう服を捨て、兄の部屋の窓を蹴破り奇襲をかけた しかし兄はその淫らな寝顔で私の戦意を挫くと、目を閉じたまま鎖鎌で私を縛りベッドに押し倒してきたイヤッハ 「嫌ぁーっ!お兄様の猥褻物で私の猥褻物をチン裂して下さい!」 抗う私の胸を舐めつつ、兄が愉悦に頬を歪ませる 「ヒーッヒッヒッヒエン!俺の飛燕でお前の股を梅雨入りさせてやろう」 私の両足が開かれ、先走りの露が浮かぶ兄のものが入っt 「今日は癒し炸裂だぞ」と焔が言い出したので何事かと思っていると、 何故かいつもの装束ではなくフリルのついたメイド服を着て現れた 「仕事は分かっているのか」「護衛!」元気のいい返事だが全然違う 大学の課題を片付ける間に荷運びや掃除の雑用を頼む気だったが、 少し動くだけでひらひらと裾が揺れ、健康的な太腿がのぞく服装では、 とてもそんな事は望めまい――俺とてそれなりに思うところのある男子なのだ しかし困った何をさせるか‥と考え込む俺に、焔は少しばつの悪そうな顔をした 「最近村雨は疲れてるみたいだったから、癒やしとか必要かな、って‥」 ぽつぽつと話し始めた中身をよく聞けば、どうも春花の入れ知恵が透けて見える話だったが、 結局のところ焔なりに俺に気を遣っての行動だったようだ ならば無碍にはできんな、と俺は焔の気遣いに乗ることにした 「よし、ではメイドらしくお茶を淹れて貰おう」「了解だご主人様!」 威勢のいい返事をして焔がキッチンへばたばたと走っていく その直後に、ばったり義妹と出くわしたのか二人の言い争う声と食器の割れる音が聞こえてきた この後に起こる展開を予想しながら、俺は頭痛に眉間を押さえた 善忍の私は鬼殺隊に身を寄せた、世の平穏を乱す鬼や兄を滅する為だ 股間に鬼頭ならぬ亀の頭をぶら下げる全ての元凶、ヒエ辻無才こと義兄・村雨は、 助平妹助や我妻斑鳩と名を変え顔を変えながら闇に潜み、 私がこうして全力受精の呼吸を続け、鍛錬の汗を脚の間から流す今も、 白く濁った新たな卑猥の種をその体内に育んでいるのだ 兄を斬り悲劇を止める――私は月に一度赤く染まる刀身の日輪刀「飛燕」に誓った そして捜索の末、私はとある洞窟に兄が潜むことを突き止めた 今こそ世の闇を払う好機、私は窒素と酸素を主成分とする装束を纏い、夜襲をかけた 洞窟の中には財力は下限以下の貧乏臭い醜女鬼達がたむろしていたが、 私の斬撃でまとめて片付けると、そのまま寝静まる兄に刃を振り下ろした だが兄は目を覚ますと血鬼術で鎖鎌を生成、私は一瞬で鎖に縛られ押し倒されたイヤッハ 「やめて下さいお兄様!私の中で肉柱の柱合会議をして下さい!!」 足掻く私の稀乳を揉みつつ、兄が淫猥な笑いをこぼす 「ヒーッヒッヒッヒエン!家族ごっこじゃない本当の家族を作ってやる、俺の飛燕でな」 私の両足が強引に開かれ、長女だったら快楽に耐えられない兄の孕ませ物が入っt 鎖鎌は忍具としては珍しくもなく、陳腐とも揶揄される代物だが、 それを用いて尚も忍界の王たる圧倒的な力を誇る義兄・村雨は、 まさに『陳腐王』の呼び名に相応しい、不世出の大忍者といえるだろう その実力が義妹への肉欲に転じぬよう、私は日々天井裏から監視を続けてきた 兄に卑猥の兆候はなく、時折昔に撮った私達兄妹の写真を眺めては嘆息していた しかしたとえ行動を起こさずとも、悪の芽は予め摘んでおくのが善なる者の責務、 私は今日を兄の百年目とするべく、非情の決意を胸に秘め愛刀を握った―― 深夜、私は闘争心と素肌を剥き出し天井裏を疾駆、兄の部屋に辿り着くと、 幾度も水気に晒され腐った天井板を蹴り抜き、直下に眠る兄へと刃を踊らせた しかし兄は即座に起床、鎌で容易く飛燕を受けると、私を鎖で縛りベッドに押し倒したイヤッハ 「やめて下さいお兄様!禁忌の近親姦で忍者を妊婦にして下さい!!」 全力で抵抗する私を押さえ込み、乳頭をしゃぶりながら兄が淫靡な笑みを浮かべる 「ヒーッヒッヒッヒエン!俺の飛燕で斑鳩にいかがわしい真似をしてやろう…いかがかな?」 返答を待たず私の足が強引に開かれ、男根が陰唇を掻き分け本番へと場面転換しt さらしを巻いた腹部を見せつける公然猥褻に、 義妹の体に淫猥な視線を叩き付ける婦女暴行、 貞淑な黒髪妹くノ一の純潔を盗まんとする窃盗未遂等々、 よろず荒事なんでもござれとの悪評名高い男、それが義兄・村雨なのである 今日も分銅投擲の修練と称して裏庭で荒縄を振り回し、 滴る汗と弾む息遣いを見せつけて私が蜜を溢れさせるのを誘い、 挙句「俺の特訓を見にきたのか?」などとわざとらしく笑いかけてくる 吹き出した蜜で他人の股布に大穴を開けさせておきながら、 よくもそんな事が言えたものだと兄の態度に失望すると同時に、 私の双丘の先端が正義の憤怒で果てしなく硬度を増した やはりこの大悪人は切るしかあるまい…私は愛刀にそう誓った だがこの時私はまだ気づいていなかったのだ、荒事を生業とする兄が、 荒縄術に長けた緊縛の性王だということに 読書に熱中する人間を本の虫と呼ぶことがある 真剣に鎖鎌の鍛錬に励む義兄・村雨は忍者の虫と言うべきか ただ虫と言うのは、遊戯とはいえ物事に熱中する兄に対してあまり良くない響きだ ここは虫という事に基づき和名を付けるのが適当だろう ムラサメニンジャモドキ、ギケイシノビダマシなどはどうだろうか そこで兄に、あなたは虫です、相応しい名を用意しました、と先の二つの名を告げると、 兄はがくりと膝を折ってその場に蹲り、幼児のようにすすり泣き始めた 名前は村雨、職業は俳優、とはいえ暮らしは食うに事欠く赤貧ぶりで、 その日の飯にありつく為に、端役から竿役まで何でも受ける生活を送っている そんな俺が空きっ腹を抱えつつ、薄汚れた運動靴で河川敷を毎日走るのは、 『役者の端くれならば、外見を整える体作りはしておくべし』という、 俺なりのポリシーがあるからなのだ、まあそれで当たり役が引けるわけでもないのだが… 荒い息を吐いて走る俺の肩が、並走する眼帯の監督にポンと叩かれた「ヒバ」 監督はどこかで俺の体作りの事を聞いたらしく、桃色のジャージを羽織り、 準備万端という出で立ちで、今日わざわざ足を運んでくれたのだ 何かと目をかけてくれる監督の心遣いに、俺の胸の内が熱くなる いつかは役者として監督の期待に応えねば、と俺は決意を新たにした しばらく二人で走ると、監督は「ヒバ」と河川敷に停まる白いバンを指差した 走り終わったらあれに乗って帰るぞ、ということなのだろう と、いきなりバンのドアが開き、中から飛燕を掴んだ全裸の斑鳩が走り出てきた 驚いて踵を返した俺の後頭部に飛燕の鞘が投げつけられ、衝撃とともに俺の意識は暗転した 若い男女が連れ立って焼肉に行く、とだけ聞けばいかにも深い間柄というように聞こえるが、 実際のところは男一人に対して女五人の構成で、どいつもこいつも色気より食い気が先走る連中ときている 「村雨!今日はおかわり自由か!?」そんなわけないだろう 「盛り放題や」いやそんなに高い肉を頼まれると俺の小遣い貯蓄が死ぬのだが まあなんだ、とにかくきちんと焼いて食え!それと未来、デザートは抹茶アイスがいいぞ俺は! そして焼肉奉行と化した俺は、網の上を見ながら肉奴隷たちに焼きあがった肉を配給していく たまに春花が「はいあーん」と言いながら俺の口に熱々の肉をねじ込んでくる ぐあー!と悶絶し涙を浮かべながら咀嚼していると、詠が矢鱈に不機嫌な目でじっとこちらを見てくる むっ、しまった!肉の配る量が少なかったか!?すまん詠!! 店を出る頃には積み上がった皿の枚数は凄まじく、それは過ぎ去った嵐のような夕食の光景を物語っていた 支払いでしばらくは懐が寂しくなるな、と眉根を寄せつつ抹茶アイスをぱくつく俺に対し、焔が無邪気な顔で言い放った 「村雨!二軒目はラーメンがいいな!」 名は村雨、職はしがない俳優、稼ぎは日々の費えに消える貧乏生活をしながら、脇役から端役、時には竿役までこなしてきた さてそんな仕事の中で分かったのは、与えられた役にifはないという事だ 例えば竿役などは演技を主張しすぎる事は往往にして好まれない、 つまりは竿役が強かったなら…というifはプロの俳優としてありえない 与えられた役を逸脱することは、作品そのものを破壊しかねない蛮行なのだ しかしそれは自分の個性を殺すということでもある、俺は俳優としてどうあるべきか近頃ずっと悩んでいた そんなある日、とあるドラマで端役として配され、撮影現場で悶々としていると、 「ヒバ」と肩をポンと叩かれた、振り向くとそこには眼帯の監督の姿、 撮影衣装なのか小脇にピンク色のジャージを抱えている 悩むより当たって砕けろ…眼帯の監督の瞳はそう語っているように見えた 「ヒバ」一言残して監督はセットの奥に歩いていった そうだ、俺は何を悩んでいるんだ…答えがわかった気がして、俺は控室に戻りドアを開けた するとそこには抜き身の飛燕を構えて頬を上気させた下着姿の斑鳩、 逃げるより早く放たれた峰打ちが首筋にめり込み、俺はそのまま意識を失った 自室に戻るとソファの上で詠がすやすやと寝息を立てていた …護衛が依頼主を差し置いて眠るとは何事だろうか 確かに護衛が役立つ機会は未だに無いが、食っちゃ寝を許したつもりはない 雇い主として詠にはきつくお説教をせねばなるまい しかし気持ち良さそうに微睡む顔を見ると、ここで無理やり起こすのは気がひけてしまう そこで詠が目を覚まさぬよう、そっと背中に右手を差し入れ、左手で膝裏を持ち、 見た目よりもずっと軽い詠の身体をゆっくり持ち上げた ふはは!見たか!密かに鍛えたこの腕は女子の体など容易くお姫様だっこする事も可能なのだ! …いや、見たかと言っても寝ている詠には分からんな とにかく今は見逃してやるから、俺の寝室でゆっくり休むがいい 詠の体をベッドに横たえると、足音を立てぬよう自己流忍足でそろそろと部屋を出た 1時間後、目を覚まして寝室から戻ってきた詠に、なぜか俺がきつくお説教をされた 頭に大量の疑問符を浮かべつつ怒りの理由を尋ねると、詠の憤怒はますます激しくなったようだった いやはや紅蓮隊は気まぐれで理不尽だ、と仁王立ちになる詠の前で正座しながら俺はため息をついた 唾液にまみれた男物の下着を触媒にした魔法陣から現れたのは、 事もあろうに義兄のクラスに属するサーヴァント村雨だった 困惑する私の脳裏に、かつて眼帯の魔術師が記した禁忌の魔導書を紐解いた時の記憶が蘇る… 『すなわち村雨とは、股間に豪剣を屹立させ、性欲滾らせること狂人の如し、 その助平な目線で魔法にも似た不可思議さで肉親を発情せしめ、 暗殺者のように寝室に忍び入り、義妹の子宮を白濁の矢で射抜く、 まさに性杯を手にするためだけに存在する淫欲の英霊なのだ』 善忍でもあり魔術師の端くれでもある我が身、なればこそこのような存在を許しておくことは出来ない 魔法陣の上で「そろそろ家に帰りたいのだが」と首をかしげる兄を斬ると私は愛刀に誓った―― やめてくださいお肉棒様、 義妹の体を狙うなどとは、 淫靡極まる不貞の悪行、 たとえ天が目を瞑ろうと、 善の心と家宝の飛燕、 二つの光が許しはせぬと、 沸き立つ怒りが下着を濡らす、 今宵こそはあの淫獣を、 この家宝のただ一太刀で、 永き眠りへ落とすを誓い、 上着も下着もかなぐり捨てて、 忍んで入るは深夜の寝所、 しかし手練れの兄の前では、 私などは赤子も同じ、 鎖に捕らわれ押し倒されt 「今日は淫曜日、プレグナント不埒デーだヒエ…鰻でも食べに行こう」 陰部を連想させる笑みを湛えつつ義兄・村雨はそう言った 鰻、なるほど鱗の数が自身の忍の才を表すとすれば、確かに鰻は兄にとってこれ以上なく相応しい食材といえるだろう そして兄が精のつく食べ物で己の歪んだ狂気の性欲を増進させ、 義妹の無垢に白く濁った精を出そうと画策している事は明白だ その愚かな謀略に対し、善忍としての憤怒が下着の湿度をぐんと引き上げる 今夜こそあの悪鬼の身を捌いてみせる――私は愛刀にそう誓った 出発前の身支度で自室に引っ込んだ兄、その天井裏へ素早く駆け、 私は外出用の全裸姿で飛燕を構えつつ、着替え中の兄へと挑みかかった だが兄は悪辣にも自分の下着を見せつけて私の戦意を奪い、 内股を濡らし膝を折った私の四肢を鎖鎌で縛り、その場へ押し倒してきたイヤッハ 「放せ卑怯者!お兄様の濃厚シラスで義妹の中を蜜まぶしにしてください!!」 必死に抗う私の両胸に指を這わせ、兄が卑猥な笑い声を漏らす 「ヒーッヒッヒッヒエン!今日を怒張の産みの日にしてやろう、俺の飛燕でな」 私の両足が串打ちの身のように割り開かれ、兄の逸物が挿入さr 淫石ティアマトの接近が報じられる中、義兄・村雨が身籠の町で要職に就いたのは、 自身に忍の才が全全全然無い事を悟ったためと目されていた しかし善忍の正体を隠し、巫女・蜜葉として活動する私の慧眼は、 兄が物乞い同然の女達を雇い、ふしだらなカフェ建設に乗り出した上、 過疎対策に義妹を孕ませるという、兄が町長となった真の理由を看破したのである 公職と民間の癒着に妹への性行為‥その邪悪すぎる謀略に、 足の間から怒りの股噛み酒が滴り、地面に「すきだ」の水文字が躍った 悪行誅すべし――私は必ずやあの性獣を斬ると愛刀に誓った 「ヒダ」その夜、眼帯のテロリストが変電所を爆破した混乱に乗じ、 もはや巫女服は不要と服を打ち捨て飛燕を掴み、私は闇に落ちた町長室へ突入した しかし兄の天下一品の鎖鎌術に勝てるはずもなく、私は四肢を封じられその場に押し倒されたイヤッハ 「やめて下さいお兄様!兄妹の遺伝子で組紐細工を作ってください!!」 狐憑きの如く暴れ抵抗する私の胸を揉みつつ、兄が淫猥な笑いを漏らす 「ヒーッヒッヒッヒエン!快楽のスパークルを弾けさせてやろう、俺の飛燕でな」 強引に両足が開かれ、私の洞穴に兄の魔羅五郎が入ってk 村雨と焔の関係は一貫してビジネスライクなものである。 情けなどという曖昧模糊なものが入り込む余地はなく、 ほのぼのぬくぬくとした雰囲気などは二人の間には一切無い。 それは村雨が善忍をルーツとする大財閥の人間であり、 焔が足抜けしたとはいえ元悪忍であることに依るところが大きい。 根底には相反する信念を持ちながら、信念に生きる者同士なのだ。 馴れ合いはアイデンティティを打ち砕く暴挙ですらある。 仕事を依頼し、報酬を受け取り、契約を反故にすればそれきり。 忍の正道から離れた二人が、忍のあるべき姿に最も近い形に収まっているのはなんとも皮肉なものだった。 「今日の任務は寝ずの番だ、俺が決算報告書を作るのを監視しろ、寝たら起こせ」 「任せ…夕飯は出るのか?」 「好きなものを出前で頼むといい、あと前みたいに居眠りしたら報酬はなしだぞ」 嗚呼、何と恐ろしくも厳しい冷徹な雇用主!それを意に介さず仕事を淡々と受ける忍! そして夜中にソファですうすうと寝息を立てる焔にタオルケットをかけながら、ビジネスライクって何だろうなと悩む村雨であった。 冷房を求めてゾンビのように毎日屋敷をふらふらと訪れる紅蓮隊の面々、 聞けばアジトの洞穴はさほど涼しくはないようで、昼間ともなれば蒸し焼き寸前、 じゃんけんで団扇を扇ぐ当番を交代し、なんとか凌いでいたらしい 知らんうちに死なれては困ると屋敷の一部屋を提供していたが、 浜辺に転がるトドの一団のようにだらだらと寝ている姿を毎日毎日見ていると、 少しは勤労意欲を見せてみろと小言の一つも言いたくなるものだ 「いっそ俺のところに永久就職するか」と愚痴がわりの軽口を詠に言ってみると、 「???」と手をぱたぱたさせた後にその場に倒れてしまった 医師に見せたところ「軽い熱中症ですな」とのことだった 冷房の中で熱中症になるとは何とも器用なやつである しかしこの冗談がいたく詠の機嫌を損ねたらしく、しばらくは俺と顔も合わせてくれなかった 「俺は弱い」と光の消えた目で力なく呟いた村雨に、 「せやな」と日影が返し、村雨は床に伏してわっと泣いた。 軽い気持ちで提案したババ抜きが村雨に地獄を呼んだ。 30連敗という不名誉な戦歴は村雨の自尊心を傷つけるのに十分だった。 とはいえ、そもそも元忍者相手にカードで村雨が勝つというのが無茶な話なのだが。 村雨がいくらポーカーフェイスを装っても、表情筋の僅かな動き、 呼吸の乱れ、視線の動きを紅蓮隊は安々と読み取ってしまうのである。 そして相手も食わせ物の春花を筆頭に、表情のない日影、口で喧しく三味線を弾く未来、 にこにこ笑って全く表情の読み取れない詠、とおよそテーブルゲームで敵に回すべきでない曲者が揃っている。 焔だけはすぐに手札の中身が顔に出るが、なんとも大人気ないことに、 村雨がカードに手をかけた瞬間すり替える忍者ならではの力技のイカサマを敢行し、勝ちをもぎ取っていた。 「納得いかん、もう一度勝負だ!」涙で頬を濡らしながら再戦を申し込む村雨。 その顔が31連敗目の屈辱に歪むのは、その僅か10分後のことであった。 寝苦しさで目を開けると視界が柔らかな肌色で埋まっていた。 「…むぐ」「おー、おはようさん」気怠げな声が俺に朝の挨拶をする。 「ああ、おはよう」下着姿の日影を押しのけ、ベッドから起き上がる。 普通こんな起こし方をされては気が気でないものだが、毎朝の恒例行事と化した今ではすっかり動じなくなってしまった。 寝間着を脱ぎ捨て、クローゼットからスーツを取り出し、日影の目の前で着替えを始める。 別に日影と俺は"そういう"間柄ではないのだが、万事がこんな調子なので、お互いに肌を見せる事に慣れてしまった感がある。 しかし、だ。「その…着替えをじっと見るのはやめてくれないか」さすがの俺も少し恥ずかしい。 気が利かんですまんかったわ、と言い残し、渋々といった感じで日影が部屋から出る。 日影とは護衛任務で長く一緒にいるせいか、ここ最近は距離感を誤っていると思う。 このまま放っておくと風呂にも一緒に入ってくるんじゃないか、と危機感を覚えた俺は、 今日こそはビシリと言うべく決意を新たにし、胸のネクタイをキュッと引き締めた。 そして次の日の朝。俺が寝苦しさで目を開けると視界が柔らかな肌色で埋まっていた。 勝機はなく才もない義兄・村雨が飛燕相続の敗北者となったのは、 至極当然の成り行きであったが、兄は実のところ家宝など眼中になく、 義妹を手籠めにして娶り、敗北者どころか配偶者になろうと企んでいる、 そう気付いたのは、下着姿の私へ毎日のように注がれる兄の卑猥な目線のせいに違いなかった 肉欲に正気を失った兄の淫らな謀略がこのまま成就してしまえば、 私が家宝に替わって子宝を手に抱くという毎夜の淫夢が現実になってしまう 飛燕を継ぐ者としてそれは阻止せねばならない 今日を兄の命日とする――私は己の乳頭よりも固い決意を愛刀に込めた その夜、隠密の死に装束は肌なりと裸になり兄の部屋の天井裏へ疾駆、 寝静まる兄の元へ蜜の滴と共に踊りかかった、だが兄は即座に目を覚まし、 音速の鎖鎌で飛燕を受けると、私を鎖で縛めベッドへ押し倒してきたイヤッハ 「やめて下さいお兄様!お兄様の極太ウインナーで義妹を敗北させてWinnerになって下さい!!」 抵抗する私の乳房を指で弄びつつ、兄が下品な笑い声を立てる 「ヒーッヒッヒッヒエン!お前の子宮に白旗を上げさせてやろう、俺の飛燕でな」 私の両足が無理矢理開かれ、兄の勝ッチ勝チな逸物が挿入さr >村雨は弱いんだから というのも実のところそれは忍術に限った話である 「王手」将棋盤へ打った飛車の音が洞窟内にピシリと響き、 「うーっ!」駒の大半を取られ、涙目になった焔が呻く 10戦10勝、村雨と焔の将棋対決は村雨のワンサイドゲームのうちに終わった そもそも村雨は財閥の次期後継者、戦略・戦術・定石のツボを押さえ、 この手の頭脳ゲームにはえげつないほどの実力を発揮する男である 猪突猛進、脳みそ筋肉な思考の焔に負けることは万が一にもありえない 「あのなぁ、いくらなんでも直感で打ちすぎだぞ。二手三手先を読まないとだな…」 正座する焔へ説教モードになった村雨がつらつらと戦術のイロハについて講釈を垂れる 「…忍術は駄目なくせに」正座しながらボソッと呟く焔に村雨が食ってかかる 「お前ー!言っていい事と悪いことがあるぞ!」「うるさい馬鹿村雨!」 ぎゃあぎゃあと口喧嘩を始めた二人を宥めるように、詠の「夕飯ができましたよー」という声が聞こえ、 喧嘩が中断され、紅蓮隊の皆での賑やかな夕食が始まったのであった 村雨の頭上でビュンビュンと轟音を立てながら回る鎖鎌の分銅が、 「やっ!」短い気合と同時に、弾丸のような勢いで日影の眉間へと放たれる それを日影は僅かな首の動きだけで躱すと、村雨の懐を目掛けて一直線に駆け出す 「ぬぅっ…!」それを見た村雨が手首を捻ると、鎖がぐわんと大きく波打ち、 分銅が弧を描いて宙に鎌首をもたげ、駆ける日影の背後に再び迫った だが日影は更に速く足を送り、短く前方へ跳んで難なく分銅の追撃を振り切る 冷や汗を流しつつすかさず村雨も受けに転ずべく鎌を片手に構えるが、 『来る』と思った次の瞬間には、鋭く光るナイフが村雨の頸にぴたりと当てられていた 「…今日の特訓はこれで終わりやな」と得物を収めながら息ひとつ乱さず日影が告げる 続いて淡々と至らない点を述べ始める、村雨は分銅に頼りすぎて鎌の扱いが今一つである、 明日からは自分が短刀術を手ほどきする、だから今日の所は帰って寝る… 「ちょっと待て。護衛任務は日没までだぞ」しかめっ面の村雨に、背後から二の腕を掴まれて引き留められ、 日影はしぶしぶ――勿論彼女に感情など無いのだが――といった感じで頷いたのだった 鎖鎌のギアスに覚醒した義兄・村雨は王国ならびに家宝後継者の座を奪還すべく、 黒衣と仮面を身に着け、自らの忍の才を表す「ゼロ」と名乗り、 食卓の騎士ことお金が無イツ・オブ・ラウンズを味方に引き入れ、祖国に反旗を翻したのであった だが兄の目的は王の座ではなく、姫たる義妹の操をゲットーする事であるのは明らかで、 股間のシャブレイヤの剣を妹に入れブンする結末こそが兄の真の望みなのだ そしてそんな淫猥な野望を挫く事こそが善忍たる者の務め、 必ずや常軌を逸する肉欲に狂った兄を斬ると私は愛刀に誓った―― 眼帯の魔女CC(Crazy-psyCho-lesbian)の助勢を得た私は、 護衛の騎士達を残らず蹴散らし、空中要塞ミゴモレスの最奥に踏み込んだ しかし兄と対峙するも驚天動地の鎖鎌術の前に裸の私は一瞬で敗れ、 四肢を鎖で絡め取られてその場に押し倒されてしまったイヤッハ 「放して下さいお兄様!棒肉のアクメを感じさせて下さい!!」 全力で抵抗する私の乳房を揉みながら、兄が淫らな笑い声を上げる 「ヒーッヒッヒッヒエン!俺の飛燕で解読不能な強姦感を味あわせてやろう」 兄の逸物が子宮口突きカレンすべく私の中に入っt >外見だけで判断しなさい 外見だけで人を判断してはいけないとの言葉があるが、 風体から敵を推し測るのは忍者としての力量が問われるところであり、 術の得手不得手、懐に呑んだ得物、それらが見えないようでは、忍の世界でその日を生き抜く事すらかなわないだろう そして私の眼力にかかれば義兄・村雨などは、義妹に毎日蜜を吹かせる不埒な相貌、 性交に特化した体つき、硬く黒光りする男性器に酷似した得物たる鎖鎌等々、 いかに取り繕おうと人の皮を被った淫魔なことは容易く看破できる やはり兄の本性は狂気の欲望で濁っていると見て間違いあるまい 兄妹で過ちが起こる前に粛清せねば――私は愛刀にそう固く誓った その日の夜、私は「夜影ニ衣ハ用イズ」との秘伝通りに裸になると、兄の部屋の窓を破り奇襲をかけた しかし兄の神速の鎖鎌に私は一撃で敗れ、鎖で全身を絡め取られベッドへ押し倒されたイヤッハ 「やめて下さいお兄様!生まれてくる子供の外見はお兄様似だと思います!!」 全力で抵抗する私の胸を揉みながら兄が下劣な笑いを立てる 「ヒーッヒッヒッヒエン!相手が義妹でなければ俺の飛燕がイケん!!」 屈辱の念に濡れそぼる私の中に、兄の極太が入っt 義兄・村雨が月見の団子に添えたのは月見草の造花、 だがそれは風流を演出すると見せかけた義妹への婚前交渉の宣言である 月見草の花言葉は「密やかな恋」「無言の恋」「近親相姦」、 まさに爛れて歪んだ兄の昏い欲望に相応しい淫花なのだ 兄は月見の終わった後に私へ愛を囁いて押し倒し、月見茶臼の後に、 兎より白い兄汁(ブラジル)を注ぎ、月の物を止めるつもりなのだろう やはりこの性の怪物を生かしておくわけにはいかない… 今こそ奴を斬る時なり、と決意とともに愛刀を音もなく抜き放って蜜を流し、 因幡の白兎よろしく皮ならぬ服と下着を脱ぎ捨て、月を眺める兄の背後に忍び寄った しかし兄は鎌の刃に映った背後の影を気取ると即座に振り向き、 裸の私は投げつけられた分銅に一瞬で絡め取られ、その場に押し倒されてしまったイヤッハ 「やめて下さいお兄様!今夜すぐに臨月を迎えてみせます!!」 必死の抵抗をする私の胸をしゃぶりつつ兄が下劣な笑みを浮かべる 「ヒーッヒッヒッヒエン!性欲でムンムンになった俺の飛燕を味わうがいい」 私の足が割り開かれ、団子ならぬ男根が入っt 秋の夜風が全身の素肌を撫でる今日この頃であるが、 『運動の秋』の言葉に感化されてか局部大帝こと義兄・村雨が、「二人で山へハイキングに行こうヒエ」と誘ってくる カレンダーを見ると明日は10月3日、成る程登山の日だからというわけだ しかし兄の真の狙いは登山にかこつけて人気のない山頂で私を襲い、 天衝くほど反り立った珍峰で私を絶頂へガイドするつもりなのは明白、 己に宿した忍才にも似たあまりに稚拙かつ淫猥な謀略に、 怒りで卵巣が噴火し、蜜の火砕流が下履きを一瞬で焼き尽くす 今日こそ兄を亡き者にする――私は正義を成すべく愛刀に誓った その夜、私は情と共に着衣を打ち捨て、自室で登山の準備に勤しむ兄へ奇襲をかけた だが兄は刃が届くより早く頭上に滴る蜜の音に勘付き、ザックから鎖鎌を掴み出すと、 私に分銅を投げて四肢を絡め取り、ベッドへ無理やり押し倒してきたイヤッハ 「やめて下さいお兄様!アブノーマルルートで婚姻への頂に至って下さい!!」 必至に抵抗する私の二つの山を揉みながら兄が下劣な笑いを立てる 「ヒーッヒッヒッヒエン!俺の飛燕でお前の中を峰打ちしてやろう」 私の体に兄が覆い被さり、登山ならぬ父さんになる棒が入っt 名は村雨、職は俳優、鳴かず飛ばずの日々でも腹は減る、 ゆえに脇役端役から竿役と、遮二無二食い扶持を稼いできたが、 貧乏暇無しな暮らしの中でも、芝居の勉強を欠かした事はない いつかは銀幕の千両役者、そう思えば空き腹も夢で膨れる気がするものだ しかし浮世は世知辛く、学ぶもやはり先立つ物が要るわけで、 映画や劇で先達の技巧を見て盗むのも、寂しい財布では叶わぬ話、 そしてここ半月は食費を削るも限界で、いよいよ学びも窮するか、 と撮影現場で天を仰いでいたところ、「ヒバ」と肩を叩かれた 振り向くとブルマを咀嚼する眼帯の監督、手にはディスクを持っている これを見て勉強しろ――そんな目をしながら監督は俺を控室へ押し込んだ 監督がモニターのスイッチを入れると『ギマイケル・ンーア監督 華氏188』の文字、 ハテな知らん映画だぞと首を傾げるが早いか、画面に同業の義妹・斑鳩の裸身が映る、 これは一体!?驚愕して横を向くと、そこには監督の代わりに飛燕を掴んだ下着姿の斑鳩、 咄嗟に悲鳴を上げて席を立つも、それより素早く俺の喉へ飛燕の柄頭が刺さり、 続いて側頭部を鞘で打たれた俺はその場に崩れ、意識を手放したのだった 『鎖鎌術の真髄はヒ・エ・ンを以て善しとす。 技の兆し、ヒは火花なり。閃光の如き疾さこそ要なり。 技の流るはエ、枝なり。菩提樹の枝の数を知るは能わず、変幻流転は無辺際の枝数、即ち敵が汝の技を知るは能わず。 技の終尾はン、結ぶ口から声は出ず。寂を尊ぶべし。』 子作男子(コサックダンス)の呼び声高い義兄・村雨は、ヒエンと嗤う癖から伺えるように、鎖鎌術の真髄に至った者である しかし兄は突如肉欲に狂い、義妹と不義の子を成さんと謀り、 毎朝「おはよう」と耳を覆いたくなる淫語を私に放ってくるようになった 暗愚と化した跡継ぎは財閥を脅かす、兄の腕が私に勝ろうとも、 財閥の守護を果たさねばならない――私は愛刀に非情を誓った 深夜、刀身と素肌を夜風に晒し、私は蜜の飛沫と共に天井裏から兄へ踊りかかった だがヒ・エ・ンの業前に私は一撃で敗れ、手足を鎖で縛られベッドへ押し倒されたイヤッハ 「やめて下さいお兄様!本日10月10日が十月十日始まりの日です!!」 拒む私の乳頭を舌で転がし、兄が淫猥な表情に顔を歪ませる 「ヒーッヒッヒッヒエン!卑しく艶ある卑艶の声を上げるがいい、俺の飛燕でな」 私の両足が開かれ、兄の肉鎌が純潔の花弁を切り裂i 産まれた瞬間から飛燕継承の機会をロストしている男、 略してカイロスの義兄・村雨は、義妹を性欲の捌け口としか思っていない 素肌へ淫らな視線を注がれる程度であればまだ自衛は出来るが、 財閥から公に「一流忍者の俺が考えました!義妹は兄の配偶者です!」と発表されれば、 『兄斑ってあのラブラブの?』と認知され、私が「兄は忍者じゃないよ~」と否定しても、 決して覆らず、披露宴後に兄の寝所で泣き寝入りする羽目になるだろう(最悪) そして自身が被害者となるに止まらず、下手をすればその発表で財閥が傾くかもしれない そうなる前に手を打つべく、私は善忍として今日こそ兄を斬ってみせると愛刀に誓った その日の夜、奇襲といえばヌギヌギですよね!と服から肉体を抜刀し疾走、 扉を蹴破り奇襲をかけた――が、跳ね起きた兄の鎖鎌に捕縛され、私はベッドへ押し倒されたイヤッハ 「やめて下さいお兄様!お腹を子種で満たしてやめられなくして下さい!!」 力の限り拒む私の乳房を揉みしだき、兄が陵辱の笑みに頬を歪める 「ヒーッヒッヒッヒエン!今日から産サミちゃんを名乗らせてやろう、俺の飛燕でな」 私の足が強引に開かれ、兄の凶暴なチンこれェが入っt 買い物を済ませ、画材店から出ようとした足を止める 扉の向こうには無数の雨粒がアスファルトの上を跳ねる光景、 店に入る前に鈍色だった空は、我が画材選びに夢中になる間に、 不機嫌な黒い雨空へと表情を変えてしまっていたらしい 傘を持ってくるべきだったか、と後悔のため息を漏らす 最寄りの駅までは距離があり、走っても濡れ鼠になるのは確実だ 仕方ない、雨脚が落ち着くまでは暫く雨宿りを…と思っていると、 「お、叢じゃないか」覚えのある声が扉のガラス越しに聞こえた そこにいたのは傘を差す村雨、「奇遇だな」と笑って店に入ってくる 「どどっ、どうしてここに!?」偶然の邂逅に思わず我の声が裏返る 聞けば買い物の途中で義妹が体調を崩して帰宅し、一人で街を歩いていたらしい 「街歩きも一人じゃつまらんな。叢、良かったら珈琲でも一杯どうだ」 そう言って傘を差し出す村雨、こここ、これは相合傘デートというやつでは…!? 真っ赤になった仮面の下を悟られないよう、「う、うむ」と控えめに我は頷く ――我知ってるよ、この後お腹の中を村雨ので一杯にされちゃうってデュフフ 善忍の傍ら漁師も務める私は、今日も豊漁を願いつつ漁場へ足を運んだ この時期はブリ漁の真っ盛り、真っ白く踊るブリ達が目に眩しい しかし漁の最中、私は机の引き出しから突如姿を覗かせた、 義兄・村雨の日記帳に驚愕し、大量に頬張った純白のブリーフを胃の腑へ嚥下した 鍵付きの表紙を毟り取って中を読むと、そこには悍ましい欲望が赤裸々に綴られており、 『どうしてこんな…』『いつか斑鳩に俺の心が届けば良いのだが…』『敵わぬとしてもいっそ力づくで…』 その狂った肉欲に戦慄した私は、足の間に滝のように流れる冷や汗をちぎったページで拭うと、 日記帳ごと机の中へ戻し、留守で静まり返った兄の部屋からそっと立ち去った ――あのような思惑を知った今、このまま兄を放置しておくことは決して出来ない 兄は淫獣、慈悲なく斬るべし…そう愛刀に誓った直後、兄の部屋に人が戻った物音を感じ、 私は鞘と服をその場に捨てて天井裏に飛び込むと、全力で蜜を流しながら疾走、 水気でぐしゃぐしゃになったページと日記帳を片手に、呆然と部屋の中で立ち尽くす兄の頭上へと奇襲をかけた 油の弾ける音と香ばしい匂いが紅蓮隊のアジト内を包む 飲食店経営の経験を活かし俺は次々に詠と共にコロッケを揚げていく なんでも春花が言うには、悪忍には台風の前日にコロッケを食する慣習があり、 これは高カロリーな兵糧を任務前に大量摂取しておくことで、 悪天候時における長期間の待機を乗り切るという先人の知恵に由来するものらしい なるほど本物の忍者は食生活も一般人のそれとは多少違うものらしい そしてそういう事であれば俺も雇用主としてここは一肌脱がねばなるまいと、 コンロと鍋、それに冷凍コロッケを担いで紅蓮隊のアジトを訪れたのだが―― 「あのお義兄様…それ、嘘です」「嘘だと!?」 すまなそうに告げる詠の言葉に、油の中へコロッケを落としそうになる 詠によれば、どうしても揚げ物を食べたくなった春花が、 嘘八百を俺に吹き込みまんまと謀った、ということらしい 「事情は飲み込めたが…」そういう事はもっと早く言ってくれ、と詠を諌める 「申し訳ありません。でも…その、お義兄様に少しでも長く居て欲しくt」 「村雨ー!もうコロッケは揚がったのかー!?」 俺の名は村雨、職は売れない俳優業、脇役端役竿役から副業まで、 仕事を幾つも渡ってきたが、労働における報酬について学んだことが一つある それは『体を張った度合いで報酬の多寡が決まる』ということだ 今度の仕事は竿役で、それにしては滅多矢鱈に給金が良い、不審に思って詳細を聞くと、 時代劇の端役ではあるものの、走ってきて竿立ちになった暴れ馬の前に立ち塞がるという、 スタントマンも顔負けの体を張った危険な役で、 竿役とはそういう意味か、と思わず苦笑いを浮かべてしまった "雲雀"と書かれた学生服を着た眼帯の監督が、「ヒバ」と俺を見る 俺の身を案じているのだろう、だが俺は受けた仕事を断れない性分だ―― そして迎えたリハーサル当日、折悪しく監督は体調不良で不在だったが、 予定通りにリハは敢行され、俺は走ってくる馬の前にずいと仁王立ちになる 嘶いて竿立ちになる馬、ふと馬上に黒い影が見えた気がして視線を向けると、 そこには裸で馬に跨り、片手に飛燕を握った同業で女優の義妹・斑鳩の姿、 咄嗟に逃げようとするも馬上からの峰打ちを食らって俺は気を失い、 妹は俺を肩に担ぎ上げると、馬に鞭を入れその場から走り去った 台ヒエ188号こと義兄・村雨はその奇妙な渾名の通り、 義妹の下履き内の粘膜列島へ股下浸水をもたらす男として、 黒髪義妹忍者業界では特段に忌避される存在なのである 先日なども、私が屋敷内の警護と風紀維持に一肌脱ぎ、巡回を始めたところ、 即座に私の行動を咎め、「どうかしたのか」「少し休んだらどうだ」と嫌味を放ち、 その間ずっと恥知らずにも、私の恥毛に視線を注ぎ続けてきたのだ―― あのような下衆を放置すれば、いつ私の寝室に上陸されるか知れない 自らの純潔を守るべく、今日こそ兄を斬ると私は家宝に誓った その夜、風に着衣を吹き飛ばされつつも屋敷の外周を走り、 荒れ狂う風雨の音に紛れて兄の寝室へと飛び込み刀を抜いた だが兄は滴る雨の雫と蜜の音に感づいて起床、鎖鎌で私を縛るとベッドへ押し倒してきたイヤッハ 「やめて下さいお兄様!私の水門が溢れている様子を見て下さい!!」 全身全霊の力で抵抗する私の胸を舐めつつ、兄が淫靡な笑いを上げる 「ヒーッヒッヒッヒエン!大型で強い精力を持つ俺の飛燕を味わうがいい」 私の卵(ラン)を白く染めるべく、兄の逸物が入っt 世の鎖鎌使いが目指す究極とは、その身を鎖鎌と化すことであり、義兄・村雨もまた例外ではない 忍者になりきる事を至上の悦びとする兄にとって、鎖鎌のふりをするのもまた何よりの楽しみなのであろう―― そして兄は長きに渡る修行の末に、鎌と化した手刀は大木を両断し、分銅を模した拳は巨岩を砕き、 腕は鎖のごとく敵の頸を締め上げるという、地獄の鬼も震える業前を持つに至ったのだ 「ヒエェ!」夢の中でそう叫んだ兄は、一撃のもと私の純潔の膜を破り、 圧倒的な妊娠力で私の乳腺を限界まで張り詰めさせたのだった 寝汗と蜜にまみれて兄のベッドの下からほうほうの体で這い出した私は、 これが正夢となる前に奴を斬ってみせると愛刀に誓い、清めの潮を部屋中に撒いて自室へと引き上げた 今日はハロウィン、そして義妹の斑鳩が屋敷へ帰ってくる日でもある 仮装で出迎えて義妹を驚かせてやろうと衣装作りに手を出したが、 仕事で時間を取られ、当日になっても衣装に針を通すという体たらく、 寝不足と疲れ目から船を漕ぎ、うっかりすると横になってしまいそうになるが、 折角の兄妹で楽しむイベントに失敗するのは御免だ、と頬を叩いて気合を入れる 以前は忍に憧れ、自分で装束を作った事もあったな、と苦い記憶に思いを馳せる 家宝を欲する俺の我儘で義妹には迷惑をかけた、だからせめてもの償いとして、 こういう日は兄らしく、義妹を楽しませてやらなければならないだろう そこで玄関の呼び鈴が鳴る、義妹が帰ってきたのだ、丁度俺の衣装も仕上がった 急いでカボチャを頭に被り、「お帰り斑鳩!いたずらするぞ!」と義妹を出迎える 突然の出来事にぽかんと目を丸くした義妹だったが、すぐ真顔になり「望むところです」と呟いた 何を――と思った瞬間、飛燕の峰で首筋を打たれ、俺はその場に崩れ落ちた 遠のく意識の中、『義兄のウィンナーを義妹にハメるのがハメウィンです』、 と言い、俺を玄関から自室へ引きずり服を脱いでいく斑鳩の姿が見e 善忍は仮の姿、人呼んで霊界探偵・孕飯とは私の事だ 眼帯の閻魔からの情報により、とある屋敷に住む富豪、 玉金珍棒こと義兄・村雨の正体が、義妹の股に境界トンネルを開き、 この世を近親姦の蔓延る魔界へ変えようと企む、ダークヒエンジェル貧才忍であることが判明し、 私は矢も盾も堪らず、兄の潜伏先と思しき貧乏な瘴気に満ちた洞窟へと駆けつけた 戦いに備えて透明な気鋼闘衣を纏い、飛燕を手に洞窟に飛び込むと、 中から現れたは狂科学者(ドクター)、糵(グルメ)といった兄の配下達、 んあー!と気合一閃で蹴散らすと、私は洞窟の最奥部に急いだ そこに居たのは昔の私と兄が映った黒の章に涙を浮かべる兄、 それに惑わされる私ではない、成敗の声と共に白刃を振るう…が、 兄の放った薔薇の鞭に四肢を縛られ、私はその場に押し倒されたイヤッハ 「やめて下さいお兄様!100%中の100%の確率で孕んでみせます!!」 抵抗する私の胸を舐めつつ、兄が下卑た笑いを上げる 「ヒーッヒッヒッヒエイ!66兆2000億回絶頂させてやろう、俺の飛燕でな」 私の足が開かれ、そそり勃つ兄の次元刀が純潔の結界を斬りs 今日のようにしんしんと冷える寒い日の夕飯は鍋に限る。 炬燵に入ってつつく鍋の旨さは、絢爛豪華な美食に遥かに勝る。 護衛のねぎらいを込めて皆で食おう、すき焼きでもどうだ、 と持ち掛けると、紅蓮隊の皆は諸手を挙げて賛成をしてくれた。 だが鍋を囲むにあたって誤算があった。 屋敷の一部屋に用意した炬燵は六人で座るには少々狭すぎたのだ。 ぎゅうぎゅうと肩を寄せ合い炬燵に収まると、天板の下で足同士がぶつかり合う。 日影の生足の感触に驚いて慌てて足を引っ込めると、今度は横に座った詠の肩に体が当たる。 「ひゃっ」炬燵の熱に当てられたのか、詠の顔は既に赤らんでいる。 ううむ。賑やかに鍋をつつこうと思ったが、これではどうにも落ち着かん。 そんな俺の様子を見ながら「まあ、これはこれでいいんじゃない?」と春花が楽しそうに笑う。 そして横から未来と焔に「早く肉を入れろ」とせっつかれ、護衛達とのすき焼きが始まったのだった。 今日は11月22日であり良い夫婦(11 22)の日として知られているが、…① 義兄・村雨は兄さん(23)の立場を利用し義妹と夫婦(22)になろうと企むばかりでなく、…② 妹へ己の欲望を注ぎ込んで孕ませ、いい父さん(11 10)になろうとすらしている…③ 11+22=33…① 23+22=45…② 11×10=110…③ ①+②+③= 嗚呼、何たることか!私は今日という日に込められた兄の淫猥な暗号に気付いてしまった! 兄が胸に悪心を抱く奸物なれば、いい兄妹で居続ける事は叶わぬ願い―― 自身の純潔を守るべく、私は今宵こそ兄を斬ると愛刀に誓った そして深夜、フウフウと深呼吸で逸る心を鎮め、私にも見えない特製の装束を纏い、 屋敷中に香を焚き家人を全て昏倒させると、闇に乗じて兄の部屋へ奇襲をかけた だが兄は義妹愛好者特有の勘で目を覚ますと、私の四肢を鎖で縛り上げベッドへ押し倒したイヤッハ 「やめて下さいお兄様!妻にも母にも転身してみせます!!」 渾身の力で抵抗する私の胸を揉み、兄が肉欲に歪んだ笑いを上げる 「ヒーッヒッヒッヒエン!斑鳩よ、巨根なる俺の飛燕で許婚となるがいい」 圧倒的な膂力で両足が開かれ、私のバージンロードに兄の熱くそそり勃つキャンドルが入っt 焔紅蓮隊、彼らは腐っても元悪忍である 長らく続いた護衛の報酬として村雨に要求したのは、 金銭や物品ではなく、なんと村雨自身の貞操だった にやにやと笑いながら村雨に迫る五人、必死の思いで放った鎖鎌も所詮は素人芸、 こともなげに焔に片手で弾かれ、鎌は乾いた音を立てて地面に転がった そしていつの間にか背後に回った春花が、村雨の白いうなじに注射針を突き立てると、 村雨の顔はたちまち虚ろな表情となり、くなくなとその場に崩れ落ちてしまった 力なく長々と横たわる獲物の装束を日影が切り裂き、その家柄に相応しい豊かな乳房が露わにされた 続いて未来が下衣を剥ぎ取ると、年齢に似合わぬ子供っぽいプリント柄のショーツが現れた 滅多にありつけぬとびきりのご馳走を前に、紅蓮隊の皆は一様に股間のものを隆起させた 「そこまでだ紅蓮隊!義姉さんから離れろ!」 凛々しく響いたその声に振り向くと、そこには宝刀を掴んだ義弟・斑鳩の姿があった 白刃に全裸という出で立ちで、反り立った性器の先端にはティッシュが付着している 「…お前この様子を見てヌいてたろ」「黙れ悪忍!」 焔の言葉を遮るように、斑鳩が躍り掛かった 【2017年幼女戦記】 「精液が出グレチャフ!」獣慾に駆り立てられるままに レルゲン中佐が容赦なく精液をターニャの中へと注ぎ込む 普段の怜悧さを湛えた風貌は今や興奮でだらしなく崩れ、 己の幼女趣味を満たす何物にも代え難い喜びに体を打ち震わせていた 大の男、それも軍人に組み伏せられては如何にターニャと言えど抵抗はままならず、 もはやその身にレルゲン中佐の子を宿すのは時間の問題といえた 「産め!軍人の子を!!」そう叫び、一度果てたとは思えぬ荒々しさで 再びターニャの幼い粘膜を蹂躙するレルゲン中佐 終わりなき戦いにターニャの意識は次第に白濁していった そもそもレルゲンは幼女愛好者であり、早くから自らの歪な欲望を自覚していた。 それ故に一般社会に溶け込む事を放棄し、軍属の身となったのである。 幼女などとは無縁の、血と鉄と火薬に秩序で作られた世界。 レルゲンはひと時、ほんの僅かな間だったが、己の性癖を忘れることができた。 だが運命とは数奇なもので、そんな彼の目の前に現れたのは、見目麗しい可憐な少女、ターニャだった。 忘却の彼方に追いやったはずの欲が再び鎌首をもたげ、レルゲンの心は千々に乱れた。 この少女を踏み躙り、犯し、肢体を味わい尽くしたい。そして子を孕ませたい。 眠りに落ちたターニャの体を前にして、レルゲンの心は肉欲の戦場へと飛び立った。 ほんの僅かに隆起した乳房。色素の薄い桃色の乳暈。 全てがレルゲンを狂わせるに十分だった。 「カウパーが溢れ出グレチャフ!」 そう呟くと、レルゲンは未だ瞼を開けぬターニャの胸にむしゃぶりついた。 唾液にまみれた舌が胸の突起を這い回り、ターニャの唇から苦しげな吐息が漏れた。 手のひらで押しつぶすようにして胸を揉む。 「貴官は軍服よりそちらの方が似合っているな、ターニャ」 嘲るような笑みに頬を歪ませながら幼女偏愛主義者レルゲンは言った。 ターニャはレルゲンの命により、フリルの縁取りがついた肌が透けて見えるような卑猥な下着を身に着けていた。 羞恥のあまりターニャはその細腕で体を隠そうとするが、レルゲンはそれを制し、舐めるような視線を注いだ。 嗚呼。なんと可憐な娘なのだろう。彼女こそ我が伴侶に相応しい。 未熟な肉付きが生み出す美。そして手折ることも容易い繊細な危うさ。レルゲンは思わずため息をつく。 そしてもじもじと体をくねらせるターニャに迫り、その小さな尻に指を這わせた。 「そういえば貴官は後方勤務を志願していたな。こちらの後方でも存分に務めてもらおうか」 レルゲンの指がターニャのすぼまりにつぷりと沈み込む。 例えば絵画。如何にカンバスを鮮やかに塗りたくろうとも、描かれたものは時を閲すれば色褪せ朽ちてゆく。 例えば巧緻な硝子細工。その輝きは時間という牙には抗えど、卓上から取り落とせばいとも容易く砕け散る。 年端もいかぬ少女が持つ、天が与えたもうた何にも勝る美しさというものは、瞬きほどの僅かな時にしか見出だせぬものなのである。 それは名家の蔵に眠る美酒のもたらす酩酊にも、はたまた阿鼻の戦場の中に見出された英雄的な戦果にも何ら劣るものではない。 レルゲンはこれまでの人生でそう信じてきたし、この戦況にあっても心折れぬのは、 戦場を同じくする同胞たる少女軍人ターニャ・デグレチャフに焦がれているからに他ならない。 ”ターニャはレルゲン中佐殿をお慕い申しております” 彼女のあの可愛らしい唇からそのような言葉が聞けたらば、それこそ至上の悦びであるものを。 レルゲンは小さくため息をついた。 成人男性、それも高位の軍人が年端もいかぬ少女に恋をするなどとは余人には漏らせぬ秘事だ。 決して悟られてはならない。勿論ターニャにもだ。 心に抱える甘やかな欲望を僅かでも向けることが叶ったのなら。 睦み合うとまではいかずとも、親しく言葉をかわすだけでも出来たのなら、 大理石の城塞の如く冷たく凝り固まったレルゲンの懊悩はどれだけ救われただろうか。 戦場にふたたび赴くターニャの背に手をかけ、胸の内を絞り出す。「行くな。傍にさえ居ればいい」 そうしたい衝動を、レルゲンは鉄の理性で何度となく押し殺してきた。 しかしもはやそれも限界だった。己が内に巣食う幼女趣味との度重なる交戦に、理性は疲弊しきっていた。 こうなった兵のとる戦法などただ一つである。銃剣を握り締め、闇雲な突撃に打って出る。 レルゲンは今宵、ターニャの身体を雄の欲で染め上げることを決意した。 レルゲンにとって、少女とは庇護あるいは慈愛の対象たりえず、 自らの雄の欲を注ぐための存在であり、殊に十歳を数えたばかりの幼女を前にすれば、 砂漠を一昼夜歩き通した旅人が水を求むるが如く、乾きの嵐が心に吹き荒れ、 その未熟な肢体と褥を共にする為なれば、前線の塹壕で小銃を握る事さえ厭わぬと、 声を大にしながら肉付きの薄い胸に顔を埋め、日が傾くまで頬擦りしたいと願う有様である。 しかしながら帝国内での良識あるいは軍人としての体面がそれを赦す訳もなく、 行き場のない鬱屈とした桃色の瘴気を長年己の内に抱えたまま人生を過ごすこととなった。 我が心のうちを悟られてはならぬと日夜務め、ひとかどの帝国軍人としての仮面を被り続けた。 それゆえにターニャ・デグレチャフの存在はレルゲンを大いに苦しめた。 裸淫の悪魔。淫翼のターニャ。SEXXXXXXXXXXX(13文字の女神)。 嗚呼!なぜ貴官は自分をここまで狂わせるか! そう呟きレルゲンは涙をこぼした。 他人から好意を持たれるのは悪い気がしない。むしろそれを嫌悪する人間などまずいまい。 ましてやそれが帝国の誇る才媛であり戦場の英雄たるターニャ・デグレチャフとくれば、 人目はばからず私の頬が緩むのも無理からぬ事なのである。 ターニャがまだ十代半ばにも達していない事を引き合いに出し、 私たちの関係に後ろ指を指す者も少なからず居るが、ふたりの愛情の前に年齢などは些末な事と言ってよい。 否、むしろ困難あればこそ、愛という篝火は渦巻き天高く燃え上がり、ターニャと私の歩むべき道を煌々と照らすのだ。 万民の仰ぐ天に座し、あまさずその慈しみをもたらす主に私は感謝せねばなるまい。 「レルゲン中――いえ、"あなた"」 背後の声に振り向くと、そこには如何な花より可憐なる幼な妻ターニャの姿があった。 「どうかなされたのですか」「いや、少し考え事をしていてね」 そう言って私は微笑み、ターニャの膨らんだお腹にそっと手を添える。 おお主よ。私はいま幸福の絶頂におります。そしてどうか私のお願いをお聞きください。 私と我が妻ターニャ、そしてすべての幼女愛好者に幸あらんことを。 おおターニャよ、天翔けし戦乙女よ、我が想いびとよ。 汝の幼き身ひとたび仰ぎしあの日より、我が心は汝の虜囚となれり。 汝の声を聞かば、我が魂は随喜とともに百里の彼方へ駆け、 汝の指が触らば、我が魂は至福とともに天に昇り、雲間を跳ね躍らん。 おおターニャよ、ライヒの女神よ、我が焦がれしひとよ。 汝が唇の艶やかなること、朝露したたる大輪の薔薇にも勝れり。 汝が櫛の麗しきこと、丘を覆う草々を微睡ませし春の陽光にも勝れり。 汝が瞳の輝かしきこと、夜空を潤す星々の瞬きにも勝れり。 汝のうつくしき貌は、まさに主の為せし御業なりしか。 おおターニャよ、願わくば、我が胸の内の音に、ひととき汝が耳傾けたまえ。 そが淡雪の如し柔肌に指すべらせ、薄桃の尖頭を超え、滑らかなる恥丘を下り、 穢れ知らぬ花弁の最奥へ熱き滾りを突き入れ、真白き慈雨を降らせしと、 不断の祈りを捧げし者の名こそ、エーリッヒ・フォン・レルゲンなり。 恋愛とは蜜の如く甘く芳しいものではなく、己の心身を駆使する戦いなのである。 私が想いを寄せるターニャ・デグレチャフの年齢を考えれば、 成る程私の恋は、幼女戦記と名付けるに相応しいものだろう。 あの白銀に愛を囁かれるのを夢見ながら、私は軍務の重責にも耐えてきた。 そんなある日、ダキアの空で、彼女はなんたることか、私への秘めたる想いを高らかに告白したのだった。 私はすぐさま前線から戻った彼女に駆け寄り、その小さな体を抱きしめながら、 私もターニャへの愛を高らかに叫んだのであった。 「ん…ふぅ」濡れた吐息とともに二人の唇が離れる。 人払いをしたレルゲンの執務室に、微かな衣擦れの音が響く。 唇が離れたことを惜しむかのようにターニャはレルゲンの身体にしなだれかかり、 かすかに隆起した双丘をレルゲンの身体に押し付けた。 劣情に蕩けたターニャの瞳がレルゲンを見上げ、縋るように袖を掴む。 「デグレ…」そう言いかけ、レルゲンが口をつぐんでうめく。 わずかな理性がレルゲンに抵抗を試みさせたが、無駄に終わった。 ターニャの指が服越しに隆起した男性器をすりすりと撫で回し始めたからだ。 「中佐のココは既に戦闘態勢のようですが…」 くすり、とターニャが小悪魔めいた微笑みを浮かべた。 そのままゆっくりと、顔をレルゲンの股間へと近づけていく。 「ター‥ニャ…!」張り詰めた男性器に頬ずりされ、レルゲンの身体から力が抜ける。 レルゲン中佐に関する謂れなき風評を正すため、 ここで私、ターニャ・デグレチャフが弁明しておきたいと思う。 レルゲン中佐が年端のいかない少女に性的な興奮を覚えたり、 ましてや恋愛感情を抱くなど、決してそのようなことはない。 レルゲン中佐は分別のある良き軍人だし、婦女子に対する物腰も柔らかだ。 むしろ、そのような人間に私が恋してしまうのも無理はないだろう。 レルゲン中佐の命令とあらば、私は喜んで夫婦となり子を産もう。 私の魂と身体はレルゲン中佐とともにある。永遠にだ。 忌々しいあの悪魔め! 私は胸中でそう唾棄せずにはいられなかった。 先刻から正常な思考を妨げる、酩酊に似た浮遊感。 下腹部をじわりじわりと疼かせる、不可思議な甘い熱。 兵舎の廊下で部下とすれ違うたび、筋骨隆々とした体つきに目を奪われてしまう。 明らかに私は常と異なっている。だがそれを自らの意志で律することが出来ない。 ――存在X。何を目論んでいるか見当もつかないが、奴の差し金に間違いないだろう。 であれば、いくら歯噛みしたところで(私にとって)事態が良い方向に転ぶことは有り得ない。 出来ることはせいぜい自らが被る苦難を如何に小さくするか足掻くことぐらいだ。 そんな思考を巡らせている間にも、身体の疼きは刻一刻と強くなっていく。 自制のタガが外れる前に。何とか、しなければ。誰か、信頼のおける…… 気がつけば私はレルゲン中佐の部屋の前に立っていた。 おゆるしください中佐、と脂汗を流しながらターニャが懇願する 腹を押さえて私の足元へかがみ込むその姿には滑稽さすら漂っていた 今の彼女を見ても、彼女がラインの悪魔と称される兵だとは誰も信じないだろう 「ぅ…」苦しげにターニャが呻くと、下腹部からぐぎゅ‥とくぐもった鳴動音が聞こえた 既に彼女は尻穴からシリンジ三本分の冷たい牛乳を飲み込んでいる 内臓を針で突かれるような腹痛と、猛烈な便意に襲われているのは間違いあるまい 彼女の年齢に似合わぬ強靭な精神力を以てしても生理現象までは堪えきれないらしく、 呼吸する都度、尻穴からぽたぽたと白い雫が滴り絨毯に染みを広げていた 「っ…トイレに、いかせて、ください…」 顔を上げたターニャは目に涙を浮かべ、決定的な瞬間から逃れようと必死に抗っていた ふむ、と机の置き時計を見ると三十分が経っていた――流石にもう限界だろう 「許可しよう」そう言うとターニャが安堵の表情を浮かべ、よろよろと立ち上がる 「ああ、君のお手洗いはここだ」ブリキ製の粗末な洗面器を床に投げる 私の意図する更なる恥辱を察し、ターニャの顔が絶望の色に染まった >この距離感は完全に間違えてる… ――いやはや、これはこれは。 レルゲン中佐に身体を抱き寄せられながら、私は心の中でそう呟いた。 彼は女性にあまり免疫が無さそうな人間だとは思っていたが、 まさか部下の、それも私のような少女に異性云々の感情を抱くとは予想外だった。 だが、思い返せばレルゲン中佐とは色々と距離感を誤ったふしがある。 先程もそうだ。抗弁の勢いに任せ、身体にべたべたと触り、息がかかるほどにぐいと顔を近づけ、 もしかしたらこの薄い胸を押し付けてしまったかもしれない。 二人きりの部屋の中で抱き合う男と女。 本来ならばもっと焦る場面なのだろうが、不思議と心の中は落ち着いていた。 むしろ、レルゲン中佐のような良識ある人物に好意を向けられている事に、 私はなぜか胸の中が温かくなるような、奇妙な心地よさすら覚えていた。 「散歩向きの良い月夜だ、デグレチャフ少佐」 手綱を引きながらそう独りごち、人気のない兵舎の窓から夜空を眺める 私に付き従うのは丸裸に剥かれ、後ろ手に縛られた首輪姿のターニャ・デグレチャフ少佐、 年齢相応に薄い肉付きの両胸の先端には、大ぶりな洗濯ばさみが二つぶら下がり、 更にその先に結わえられた二本の紐――手綱は私の手の中にしかと握られている 私がぐいと手綱を引くと、「ひっ」と悲鳴を上げながらターニャがふらふらと歩き出す 大人と少女では歩幅が違うとはいえ、ターニャの歩みはまるで牛のようにのろく、 つい先程などは廊下にへたり込み、「いやあぁ‥」と泣きながら失禁する醜態まで見せる始末、 こんな調子ではこの兵舎を一周するだけで夜が明けてしまうことだろう 「うくぅ…レルゲン中佐、もう、私はもう歩けません…」 足の間から尿とも何とも分からない雫を滴らせ、被虐の恍惚に瞳をうるませたターニャが哀願する すかさず私はターニャの傍につかつかと歩み寄り、遠慮なしに平手で彼女の頬を打った 「私は人の言葉を話して良いと許可した覚えは無いのだがね、この雌犬」 あのレルゲン中佐とこのような結末を迎える事になろうとは。 運命とはまこと数奇なものだと思わざるを得ない。 前線の塹壕で、泥水の中を這い回っていた頃は想像だにしていなかった。 軍服に袖を通すよりも花嫁衣裳に包まれる事がこれほどまで誇らしいものだとは。 自分の左手を顔の前に上げ、薬指に嵌まった指輪をしげしげと眺める。 明らかにサイズの小さいそれは、少女である私のために作られた特注品である事が見て取れた。 そして小さいながらも表面には控えめな細工、裏には私とレルゲン中佐の名が彫刻されており、 手間も費用も並々ならない一品であった事は疑いようがない。 これを求めるために、レルゲン中佐のふところはさぞ手痛い打撃を受けたことだろう。 もっともそれは、私が「ライヒの戦姫を娶るのであれば、是非男を見せて下さらねば」と、 初めて結ばれた寝床の中で彼を散々に煽ったせいもあるのだが。 期待に応えてくれたレルゲン中佐のためにも、今度は私が彼の期待に応える番だ。 良き妻に、母親にならねばな――膨んだ自身のお腹を撫でながら、私はふふ、と小さく笑った。 「ああ…ご立派ですレルゲン中佐」うっとりした口調でそう呟き、 デグレチャフ少佐の唇が濡れた音を立てて私のものを呑み込んでいく。 あどけない風貌の少女が顔を歪めてグロテスクな塊を咥え込む、 その何とも異様で背徳的な光景から、私は目を逸らせずにいた。 少佐の持つ年齢に似合わぬ妖艶さで迫られたら、私の自制や良識など容易く崩れ去る。 そう危惧していたからこそ、少佐とは頑なに一線を引いていた。だが無駄だった。 誘うような目線。挑発する口調。頬を撫でる柔らかな手のひら。 気が付けば為されるがままに彼女を受け入れてしまっていた。 ぬるりと先端を這う舌の刺激に抗いながら、私は残った理性で思考を巡らす。 男を狂わせるこの手練を彼女はどこで体得したのだろうか。 彼女の経歴に身体を売っていた事実は無く、孤児院での性的な虐待の跡も無かった。 では男を知り尽くしているとしか思えないこの舌技はいったい―― そんな私の困惑を見透かしたように、少佐は口に逸物を咥えたままニマリと笑い、 頬と唇をすぼめ、じゅるじゅると音を立てて勢いよくすすり上げ始めた。 「うぅっ!」沸き立つ射精感の前に、私の理性は残らず失せていった。 お堅い人事局出身だからか、それとも天性の気質なのか、レルゲン中佐は冗談を好まない それゆえに口から出る言葉は、飾らない彼の本心ばかりだ 一度だけ、レルゲン中佐に私の容姿を男性としてどう思うのか尋ねた事がある 糞真面目な彼が答えに窮する様を皮肉ってやろうとしたのだが―― 『私は参謀本部付きだからな。知見を広げる為に各地へ足を運んできた。 夜汽車の窓から、地平線へ滝のように注ぐ流星群を見た。 滔々と流れる運河で、川面に影を落とす木立と跳ね橋を見た。 岬の突端から、岸辺に白波を立てる広大無辺の大海原を見た。 ある画家の生家で、蘭と百合と薔薇とが咲き誇る庭園を見た。 或いは少年の頃に読んだ冒険譚に描かれていた、傾国の美女達が躍り、 金の天蓋と銀の玉座を設えた、砂漠の果てに聳える白亜の大宮殿。 デグレチャフ少佐、いや、ターニャ。君はそのどれよりも美しい』 レルゲン中佐はにこりともせず私へ向けてそう言い放った その後の事は正直よく覚えてはいない…茹で蛸のように赤くなった顔と、 早鐘のように打つ心臓の音を彼に悟られまいと、平静を取り繕うのに必死だったからだ デグレチャフ少佐の軍靴に股間を踏まれ、私は甘い痛みに顔を歪めた その様を見た彼女はさも愉快そうにくすくすと忍び笑いを漏らす 彼女の責め苦から脱しようにも、私は両手足を縛められて床に転がされ、 更には口に厚布を巻かれ、身動きどころか声すら立てられない有様だ たとえ『白銀』相手でも、即座に抵抗を試みれば逃れ得たかもしれない しかし何故か胸の内に"汝かくあるべし"という不可解な情念が湧き、 私の四肢は萎え、敢え無く彼女の手に落ちてしまったのである 「レルゲン中佐に戦場土産をお渡しするのを失念しておりました」 言いながら少佐がポケットから薄汚れたハンカチを出し、私の前にぶら下げた それはハンカチなどではなく、女性物の小さな下着だった――少佐が戦場で身に着けていたモノだろう 純白だったであろう生地は、履き古されて汗と皮脂で斑な薄茶色に染まっていた 蠱惑的な笑みを湛えた少佐が、私の顔の前で布地を広げて見せる 彼女の局部が幾日も接していた部位は、ひときわ大きな黄色い滲みが出来ていた 「ッッ!!」男根を撫でられながら汚れた下着に鼻を覆われ、私は天国と地獄の狭間で身を捩った 移り変わる戦況のおかげでここ数日はろくに入浴も出来ていないため、 ターニャ・デグレチャフ少佐にその小さな口を使って私を洗体するよう命じた 彼女はわずかに逡巡し、私の指示に躊躇うようなそぶりを見せたが、 服の上から胸の先端を指できつくつねってやると蕩けるような嬌声を上げ、 頬を上気させ、「レルゲン中佐のお望みのままに」とたちまち従順な娼婦へと態度を変えた ちゅ、ちゅ、とじらすように何度も私のモノの先に口づけをするのがもどかしく、 私はターニャの頭を両手で掴み、何の躊躇もなく乱暴に前後へ動かした 食道の奥まで私のモノを突きこんでやると、ごぼごぼとターニャがえずき、 反射的に責めから逃れようと頭を引く、が、それを許さず私は更に腰を突き出す 「実にいい具合だ、歯を立ててくれるなよ、少佐」 涙を浮かべ奉仕するターニャの顔を見下ろしながら、私は彼女の口の中へ久方ぶりの白濁を放った 「いい子だターニャ。さあ一滴残らず飲み込むんだ」 私に頭を掴まれたまま、少佐は目を瞑り、両頬いっぱいに溜まった精液と恥垢のカクテルを、 細い喉をこくこくと鳴らしながらゆっくりと飲み下したのだった 「ん…」椅子に腰掛けたレルゲン中佐の胸元に縋りながら、私は唇と舌とを重ねた 二人の唇が離れるたび、餌をせがむ雛鳥のように、私から何度も唇を合わせた 自分が女として異性を求めるなど、以前の私であれば嘲笑し侮蔑したに違いない だが今だからこそ分かる、命を落とし、幼女としてこの世界に転生した私は、 謂わば着の身着のままに寒風の吹き荒ぶ荒野にひとり放逐された流刑者のようなもの、 私の絶対の孤独を真に理解し、心を慰めてくれる存在など有り得るはずがないのだ だからこそ、自ら望んだとはいえ軍部に身を投じ、闘争に倦み疲れた私が、 良識と誠実さを持ち合わせた心優しい軍人であるレルゲン中佐の腕の中に、 孤独を癒やすぬくもりを求めて惹かれたのも、ごく自然な成り行きだったといえよう 自らが選択した事に、私は後悔の念など微塵も持ち合わせてはいない―― レルゲン中佐が耳元で「ターニャ」と、求めるように柔らかな声音で私の名を囁いた 私は小さくこくりと頷くと、上着をはだけて彼の前に未熟な裸身を晒し、 「今日も愛して下さい、レルゲン中佐…」そう言って彼の頬へ、ちゅ、と口づけした 私の命に従い、裸のターニャがベッドの上で四つ這いになると、 薄暗いランプの光に照らされた彼女の秘部が露わになった。 たっぷりの香油に塗れた指で、ひくつくピンク色の蕾をなぞり、 そのままゆっくり彼女の中へと押し入れていく。「くふぅ…っ!」 艶めかしい吐息と共に、彼女の肉穴はあっさりと私の人差指を咥え込んだ。 じらすように指を前後に動かすと、嬌声が上がり、ターニャの腰が跳ねた。 続いて中指を入れると、彼女は「レルゲン中佐っ…」と私の名を呼んで喘いだ。 排泄の器官で快楽に悶えるその姿は、否応なしに普段の悪魔じみた言動との乖離を感じさせ、 容貌の幼さも相まった形容し難い背徳に、私の加虐心は一層燃え上がる。 ぐりゅ、と指を中で曲げてやると、ターニャはがくりとベッドへ突っ伏し、 小さく背中を震わせ、秘裂から香油以外のぬめりをどっと溢れさせた。 「そろそろ私も楽しませて貰おうか、ターニャ」 指を抜き取り、物欲しげに震える彼女の尻穴に、私は自身のモノを押し込んだ。 官能に震える少女兵の声が、部屋の薄明かりの中にひときわ大きく響き渡った。 「せんせーい!」ダキアの街に私の声が高らかに響く。 私は帝国軍人レルゲン中佐の幼な妻、ターニャです! 私は彼を愛しています!彼と生涯を添い遂げることを誓います! そう叫んでみたところ、大隊の面々は一様に頷き、何を今更と言った表情を浮かべた。 ――待て待ておかしい。そこは目を点にして驚くべき場面だと思うのだが。 「もしかして少佐殿は秘密裏に交際されているおつもりだったのですか」 ヴァイス中尉の言葉に触発されてか、セレブリャコーフ少尉もおずおずと意見を述べる。 「あの、私もお二人のことは公然の秘密だとばかり…」 さらに他の面子からも言葉が続けられる。 「僭越ながら少佐殿、交際は兎も角、部屋の死角でその、始められる時はもう少し声を抑えた方が…」 なんのことはない。私から秘事を白日の下に晒すまでもなく、すべて露見していたようである。 帰投後にレルゲン中佐の部屋を訪れると、彼は苦々しげな顔で胃を押さえつつ、 「やってくれたなデグレチャフ少佐」と憔悴しきった様子で私に詰め寄ってきた。 こうなれば貴官も覚悟を決めるしかあるまいと言い、私の薬指に指輪をそっと嵌めたのだった。 寝床に横たわりながら、夜の静寂の中で私は物思いに耽る。 …いったい、いつ頃からだろうか。 彼を、レルゲン中佐の姿を無意識に目で追うようになったのは。 自分の名をレルゲン中佐に呼ばれるたび、胸に甘い痛みを覚えるようになったのは。 自分の中に生まれつつある変化に戸惑い、必死に湧き上がる情念を否定する。 違う。間違っている。確かに今の私は少女軍人ターニャ・デグレチャフだ。 だがそれはあくまで仮りそめのものに過ぎない。事実は異なるのだ。 ゆえにこの感情は何らかの錯覚に過ぎない、と己に言い聞かせて寝返りを打つ。 そもそも、だ。レルゲン中佐は私が戦場に赴くのに心を痛めるほど良識ある大人だ。 ――仰向けになった自分の、起伏の乏しい胸部から細い足へ視線を移していく。 こんな幼女が言い寄った所で何の成果も望めまい。彼は何とも思わないだろう。 私がセレブリャコーフ少尉のように魅力的な体つきであれば或いは。 と、そこではたと自分が一体何を考えていたのか自覚する。違う!ちがう、ちがう! 火が出そうな程に熱くなった顔を枕に埋めながら、私は寝床の中でばたばたと足をばたつかせた。 目の前に突き出されたレルゲン中佐のモノに思わずギョッとしてしまうが、 不思議と顔を逸らそうという気にはならず、むしろしげしげと見つめてしまう。 それどころかレルゲン中佐が私の体で興奮しているのだと思うと、 オスの欲に張り詰めて脈打つそれに対して、愛おしさすら感じてしまっていた。 莫迦なと自分を嗤うも、こうなってしまうであろうことは彼への感情を自覚した時から分かっていた。 ならば。此の期に及んで。己の本能に従うのに何の言い訳もないだろう。 初潮を終え、子を成す準備が出来たこの雌の体が、レルゲン中佐を中に受け入れたいと熱を帯びて疼き始める。 欲しい、という衝動に突き動かされるまま、私は躊躇なくレルゲン中佐の性器に接吻する。 火傷しそうなほどの熱と、ぴっちりと張り詰めた粘膜の感触に頭が蕩けそうになる。 「レルゲン中佐…」上目遣いで彼の名を呼びながら、私は一気に怒張を口の中へ咥え込んだ。 口腔に溢れる生臭い粘液の味に酔い痴れながら頭をぐぽぐぽと上下に動かす。 奉仕。従属。彼にしてあげている、という雌の充足感に私の心は満たされていった。 私に無理矢理上着を剥がれたデグレチャフ少佐が、剥き出しになった胸を手で覆う。 「くっ、レルゲン中佐、貴官は最低だ…!」侮蔑と共にこちらを睨んでくるも、 その瞳は鋭利な殺気の代わりに、燃え上がるような劣情の光を湛えていた。 『エレニウム九十五式における被験者への身体的な影響について』。 シューゲル主任技師の報告書に記されていた通りだ。思わず頬が緩む。 今の少佐を苛んでいるのは九十五式の副作用‥つまり強烈な性的欲求だ。 「嫌ならば抵抗すればいい」そう言ってデグレチャフ少佐の細い腰に手を回す。 白銀と称される彼女なら私を跳ね除け、文字通り一蹴する事など容易だろう。 だが、彼女に行為を拒む様子はなく、今や私の視線から胸を隠そうともしない。 切なげに内股をもじもじとすり合わせながら、甘い吐息を漏らすだけだ。 唇を重ねると少佐は「卑怯、者…ッ」と悔しそうに呟き、身体を私に預けてきた。 "――このような前戯を妻のターニャが毎回求めてくる。それが専らの悩みだ" "私としては、もっと普通に事に及びたいのだが…妻は頑として聞き入れてくれない" (元帝国軍人エーリッヒ・フォン・レルゲン氏の日記より一部抜粋) デグレチャフ少佐が軍服の下衣を脱ぐと、彼女の無毛の秘部が現れた。 下着を履かず私の部屋に来るよう命じた事を、彼女は律儀に守ったようだ。 頬を赤く染め、目を伏せる少佐へ声をかける。「傍に来たまえ、ターニャ」 椅子に座ったまま、私が少佐の秘裂に指を這わせると、くちゅ、と濡れた音が立ち、 彼女の小さな唇から「あ‥くぅ…」と少女らしからぬ艶を含んだ声が漏れた。 潤んだ粘膜を指でゆっくりと掻き分け、陰核を指の腹で擦ってやると、 少佐の細い足ががくがくと震え、吐息に混じる水音の粘度が増してゆく。 「私の指と自分の指ではどちらが良いのかな、ターニャ」私の囁きに彼女が答える。 「そ、れは、レルゲン中佐の方が…あっ?!」しまった、と咄嗟に言葉を切るがもう遅い。 ――自慰の経験がある事。それを暗に肯定したのだ。嗜虐の欲に背筋がぞくりと震える。 少佐の手をぐいと掴み、それを彼女自身の足の間へ導く。 「ではターニャ。普段君がどうしているのか拝見させてもらおうか」 羞恥の涙を浮かべ、おずおずと躊躇しながら、少佐が指をつつと動かし始める。 『ラインの悪魔』によるこの上なく淫らなショーが、私の前で幕を開けた。 我が行いを綴る為の文章の中で、体面を取り繕う必要などあるまい。告白しよう。 私ことエーリッヒ・フォン・レルゲンは幼女に性的興奮を覚える男だ。 予てよりターニャ・デグレチャフ少佐に対し、道外れの好意と劣情を抱いてきた。 自制は美徳だ。だが理性は本能に対し常勝し得るか。答えは否である。 あの晩、私は少佐を部屋に招き入れた。そして欲望の限りを尽くした。 九十五式を取り上げられた少女の細腕は、私の肉欲の前では無力だった。 薄い胸にしゃぶりつき、数え切れない程の精を幾度も彼女へ注ぎ込んだ。 全てが終わった後、私はこの事を口外しないよう彼女に固く口止めをした。 しばらく経って私は彼女が身籠った事を知らされた。来るべき時が来たのだ。 嫌がる彼女を連れ出し、帝都中の店を腕を組んで巡り、赤子用の服を見繕った。 拒む彼女を強引に車へ乗せ、役所で籍を入れる届け出を二人で書いた。 物事の順序が逆ではないですかと怒りに頬を膨らます彼女の指に銀輪を嵌めた。 全て私が画策し、率先して行動した。その結果がこれだ。悔いる事は何もない。 (エーリッヒ・フォン・レルゲン著:『幼妻に突撃戦~帝国式四十八手~』より抜粋) デグレチャフ少佐の眼前に、私の隆起した性器をずいと近付ける 幼女に男性器を晒すという倒錯した興奮にびくびくと震えるものを見て、 少佐は嫌がるどころかはあはあと息を荒くし、ごくりと生唾を飲み込む 興奮に身を焼かれているのは彼女も同じ、という事なのだろう 餌を前にした飢えた野犬といった表情で、少佐が私のものにすりすりと頬擦りし、 亀頭にその小さな指を回して、ゆるゆると子犬を愛でるかのように撫で始める これからの行為を期待しているとしか思えない仕草に私の鼓動は一段と早くなる 「ふふ。レルゲン中佐殿はこのような凶悪な代物を――」 言いながら、少佐は自らの下腹部に手のひらを当て、私を見上げてくる 「私のココに、無理矢理捩じ込もうというおつもりですか?」 それは拒否の言葉ではなく、そうされたいという願望の言葉だった 「ああ、ターニャ。そのつもりだ」彼女の小さな肩を掴み、ベッドへ押し倒す ひゃう、と芝居がかった悲鳴を上げながら、少佐が小悪魔めいた表情を浮かべる 男を惑わす悪魔め。私が成敗してくれる。そう言いながら私は少佐の服を脱がしにかかった 昼下がりのカフェで、私には珍しく珈琲にクリームを浮かべて楽しんでいると、 新聞と革の鞄を手にしたレルゲン中佐が店に入ってきた。 奇遇にも近所で所用があったようだ。合席を訊ねられ私は即座に快諾したが、内心は乗り気でなかった。 なぜならば、彼に対する感情を、自身の中で未だに御しかねていたからだ。 現に今も、彼が前に座るだけで心臓が跳ね、戦場とは異なる緊張で身体が強張ってしまう。 その一方で、意図せず彼と会えた事に浮足立ち、ともすれば口元が綻んでしまう有様だ。 何を喜ぶ、莫迦め、と心に湧く甘い感覚を噛み殺し、カップに口をつける。 だが。レルゲン中佐は。このひとは。こちらの胸中の苦闘など露知らず。 「デグレチャフ少佐。立派な髭が生えているな」とひどく優しい声で。 身を乗り出し、私の鼻の下と上唇に付いた白い泡を、ついと指で拭ってきた。 レルゲン中佐の指の感触に、私は「ふゎ」と呆けた声を出して思考を停止させた。 その後、彼がすぐ手元の新聞へ目を戻したのは僥倖といってよかった。 顔から湯気を立てて彫像のように固まった、私の酷い醜態を見せずに済んだのだから。 後ろ手に扉の鍵を掛け、私は厳かに口を開いた「では始めるとしよう」 その言葉に従い、デグレチャフ少佐が執務室の机に手をつき、腰をこちらに突き出す これからの行為を待ち兼ねてか、少佐の小さな尻が誘うようにふりふりと揺れる 「レルゲン中佐ぁ…」もう堪らないと言いたげな、恍惚とした口調でせがまれ、 それに応じて私は大きく腕を振りかぶり、少佐の尻に勢いよく平手を叩き付けた ぱぁん、と乾いた音が鳴り、それと同時に彼女が悲鳴にも似た嬌声を上げる その様を眺めながら私は『この淫売め』と苦り切らずにはいられなかった そう、帝国の英雄はその実、被虐の悦楽に股を濡らす筋金入りの性的倒錯者だったのだ 彼女が殊更に前線行きへ拘るのも、苦痛に興奮する歪んだ嗜好を持つがゆえである デグレチャフ少佐は可憐で清廉で潔白な、主の御使いの化身だと私はずっと信じていた 崇敬し、密かに恋い焦がれすらした、だが私の気持ちは彼女自身の手で無残に裏切られたのだ 裏切りには罰を――そう、私のこの行為は彼女を罰する為の、謂わば正義の行いなのだ 「懺悔するがいい、ターニャ」少佐の軍服をずり下ろし、私は躊躇なく、未熟な秘肉に怒張を突き入れた 自身に関する流言飛語が、軍の一部で密かに囁かれているらしい。 情報部への伝手でその噂の内容を知り、私は軽い眩暈を覚えた。 曰く、『レルゲン中佐はああ見えて女に手が早い男である』 曰く、『レルゲン中佐は年端もゆかぬ少女に興奮する男である』 どちらも全く根拠に乏しい話だ。前者の噂は笑止千万、後者については、 確かに私が少女に対し世間一般の人間と異なる美を感じているのは事実と言えるが、 それは性欲の類ではなく、庇護や情愛を根底にするもので決して後ろ暗い感情ではない。 とはいえ今の自分はデグレチャフ少佐と近しい間柄、妙な憶測が生まれかねない。 噂が彼女の軍務に差し支え、下手をすれば現場の士気にも関わるやもと考えれば、 この下卑た噂を立ち消えるまで捨て置くというのはあまりに愚策だろう。 ゆえに斯様な噂は誤りであると少佐に説き、あれは根も葉もない話だと、 少佐にも火消しを持ちかけたのだが、何故か彼女は黙って首を横に振った。 理由を問う私に、少佐は「苦心して後方行きのための外堀を埋めたのです」と答え、 悪魔を彷彿とさせる笑みを浮かべながら、魔力の籠った拳を私の鳩尾に叩き込んできたのだった。 屍が地を覆い、河の如く血が流れ、狂気の風が吹き荒れる、 それこそが戦場であり、そこにはこの世の道理など通用しない なればこそ、戦中の帝国に身を置く者が、常識という鎖に縛られ、 眼前に有る稀なる戦果を逃すなど暗愚の極みと断ずべきであろう ゆえに私個人の性癖や、取り得た手段に誹りを受ける謂れは微塵も無い 全ては我が勝利の為であり、純然かつ崇高な願望の発露に過ぎない ――ターニャが私の淹れた眠剤入り珈琲に口をつけた時、大勢は決したのだ こく、こく、と彼女の細い喉が鳴る度に、私の心に高らかな凱歌が響いた そして睡魔の囁く誘いに抗えず、無防備に机へ伏したターニャを見下ろした時、 私は歴史上の如何なる王、将軍であっても味わうことのなかったであろう、 果てしなき征服と蹂躙の渇望に心が満たされていくのを感じていた 歯の根が噛み合わぬほど興奮しながら私は呟く「ターニャ、非は君にあるのだ」 そう、私を此程に欲情せしめたのは、戦場の狂気もさることながら、 あまりに、あまりに可憐で幼すぎる君の身体のせいなのだ 「貴官はこれから私の旗下に入る事になる」 壁を背にした私の頭上に手を突きながら、レルゲン中佐がそう告げてくる 旗下に入る、という事はつまりはそういう事なのだ 私とレルゲン中佐の間柄が、組織上に限った話ではなくなるのだ だが私はレルゲン中佐の言葉に拒絶を示すことが出来なかった それどころか、女の、いや雌としての忠誠と奉仕を要求されている事に、 高揚と喜びさえ感じながら胸を高鳴らせてすらいたのだ レルゲン中佐にこのような感情を抱くのは肉体に精神が引っ張られたせいなのか、 それとも忌々しい存在Xの仕業なのか、それとも私自らが選択したことなのかは分からない だがそんな事はどうでも良かった、この感情の前では何もかもがどうでも良かった 背を曲げて私を見下ろすレルゲン中佐の頬へ手を伸ばし、精一杯背伸びをすると、 レルゲン中佐の言葉への返事の代わりに、唇をそっと合わせたのだった レルゲン中佐のモノで腹の中を擦られる度に、声が漏れ出そうになるのを押し殺す 魔術で痛覚を遮断しているため、男を初めて受け入れることに痛みを伴ってはいない あまり認めたくないが、この身体での性交に快楽すら感じているし、 肉体的な快楽以外にも、レルゲン中佐が私の体に興奮しているという事実にささやかな充足感を覚えている だが私は女としての甘い嬌声を上げたくはなかった 私が策を弄し、レルゲン中佐の関心を引くように仕向けた事は認めよう 彼が私に並々ならない好意を抱いていたのは勘付いていたし、 男女の仲になる日は近いのではないかと覚悟はしていた それだというのにその準備も虚しく、机の上で結ばれることになってしまい、流石の私も落胆した だからこそ、この雰囲気も何もない状況に抗議すべく、 あえて不機嫌な顔を作り、声を殺し、態度で無言の抗議を示しているのだ レルゲン中佐が私の体に溺れながら「ターニャ」と愛おしそうに呟くたびに、 私の抗議の態度はふにゃりと軟化し、頑なな表情は脆くも崩れそうになってしまうが我慢だ レルゲン中佐が謝罪の意を示すか、中に精を放つまでは我慢あるのみだ 『ひぐぅぅぅっ!』スクリーンに大写しになった少女が嬌声を上げ、 肉穴を穿たれる悦びにその幼い顔を歪め、口の端から涎を滴らせる。 その少女の名は、ターニャ・デグレチャフ。他ならぬ私自身だった。 月に一度、あるいは二度。私はレルゲン中佐に伴われ、人気のない薄暗い部屋で、 彼との情事を記録した映像を見せられる。目を逸らす事は許されない。 『レルゲン中佐ぁ…』スクリーンの中の私が甘ったるい声で尻をくねらせ、 飴を与えられた子供のように、レルゲン中佐のモノを夢中で舐め上げる。 『随分上手くなったものだ』と言われ、私は嬉しそうに媚びた笑みを浮かべた。 その姿は言い訳できないほど淫らで、少女で、そして雌そのものだった。 自分の痴態を目の当たりにさせられるという陵辱に、私の頬が羞恥で熱くなる。 と同時に。これを撮られた時の、脳髄まで蕩けるような快感を思い出し、足の間が疼く。 無意識にそろりと自分の内腿へ伸ばした手を、レルゲン中佐に掴まれた。 「我慢し給え。続きは私の部屋で、だ」僅かに嘲りを含んだ、責めるような声。 続き。その言葉の意味するものを想像し、私は身体をぶるりと震わせ、小さく頷いたのだった。 デグレチャフ少佐から子を身籠ったと聞かされた私は驚いて椅子に尻餅をついた。 そんな告白は一笑に付すところだが、私には運悪く思い当たる節があった。 遡ること数ヶ月も前になる。その日の私は珍しく書類に手間取っていた。 21時を回った頃だろうか、紙巻と水差しを載せた銀盆を片手に、デグレチャフ少佐が執務室に姿を現した。 中佐殿の陣中見舞いですと微笑む少女を無碍には出来ず、私は彼女の好意を受け取る事にした。 紙巻に火を付け、飲み物をあおると気が緩んだのか、まぶたに重さを感じはじめた。 そこで私の意識は暗転した。次に目を覚ましたのは自室の寝床の中であった。 素裸の私の隣には、同じく裸のデグレチャフ少佐が寝息を立てていた。 記憶こそ無いものの、二人の間に何があったのかは一目瞭然だった。 これは過ちだ、お互い忘れる事にしよう、と提案し、口外しないよう約束を交わした。 だがそれで終わりではなかったのだ。男の責任を果たす時が来た、ということなのだろう。 随分と幼い花嫁もいたものだ、観念しながらそう呟くと、デグレチャフ少佐は、 幼くして花嫁になるのはレルゲン中佐殿のせいですな、と笑ったのだった。 「それでレルゲン中佐殿。責任を取って頂けるのでしょうか?」 デグレチャフ少佐が愉快そうに笑いながら私に詰め寄ってくる 今しがた知らされた妊娠の事実に、私は激しく狼狽し、 全くもって迂闊だったと背筋に冷たい汗を流しながら悔やんだ それと同時に目の前の幼女に舌打ちの一つでもしてやりたい気分だった "避妊していたはずなのに…"とはよくもそんな事が言えたものだ 冷静に考えてみれば、彼女はこうなる事を望んでいたのは確実だった 彼女のポケットから取り出された避妊具を何故疑わなかったのか。 『安全日ですので』という言葉を何故鵜呑みにしてしまったのか。 疑うべき点は幾つもあった、だがもうこうなっては全て手遅れだ 「責任を取ろう、デグレチャフ少佐」私はそう力無く呻いた それを聞いた彼女はさも満足げにゆっくりと頷いた後、私に告げた 「ご安心を、中佐殿。子を孕むつもりになったのは――」 貴方を心より愛すればこそです、そう言って彼女は私の頬に軽く口付けした レルゲン少佐と手を繋ぎながら、郊外の街道を二人で歩く 夫婦揃っての外出は久方ぶりで、ついつい頬が緩んでしまう 浮かれた心に流されるまま「愛しています、レルゲン少佐殿」と、 恥ずかしい台詞を言ってみると、夫の方も満更ではないようで、 「私も愛しているよターニャ」と暖かく優しい笑みを返してきた―― そこで唐突に目が覚め、私は牧歌の風景から軍大学の図書室へと引き戻された 不覚にも知らず知らずのうちに、居眠りをしてしまったようだ 随分と妙な夢を見た、と困惑しつつも、顔が熱くなるのを自覚し、 必死に頭をぶんぶんと振る…違う!私はそんな事など望んではいない! そしてふと自分の背に、大きな黒い外套が掛けられているのに気が付く 寝ている間に誰が、と訝しんでいると、ひょいと外套が取り上げられた 「レ、レルゲン少佐殿!?」「居眠りは感心しないな、デグレチャフ中尉」 慌てる私を尻目に、レルゲン少佐は外套を着込み、本を脇に抱えて退室した 去り際に添えられた「寝言は聞かなかった事にしよう」の一言に、 私は顔を真っ赤にしながら、机に頭を打ち付け、図書室で独り身悶えた レルゲン中佐は行為の最後に、決まって私の口の中へ精を注ぐ 未だに初潮が来ていない私には避妊する必要など無いため、 これはただ単純に、口内を汚すのを好むレルゲン中佐の性癖なのだろう 全てを絞り出した後、まだ硬さを保ったままのものを私の唇からぬるりと抜き取ると、 興奮冷めやらぬといった様子で「飲み込んでくれターニャ」とレルゲン中佐が命じてくる それに応じ、たっぷりと出された半固形状の濃厚な粘液をごくりと嚥下すると、 喉から胃袋が生臭い香りで満たされ、まるで臓腑を犯されたような気分になる だがその感覚に私も嫌な気はせず、むしろ体内すら支配されているという雌の至福に酔ってすらいた そして私は口を大きく開いて舌を出し、一滴残らず味わったことを証明する レルゲン中佐はその光景を見てにやりと笑い、私の眼前に怒張を差し出すと、 尿道に残ったものを舐め啜るよう、ふたたび私の唇の間へ捩じ込んできたのだった 「私の出したものを口に入れたまま兵舎を一回りしてきたまえ」 レルゲン中佐の常軌を逸した命令に、私は逆らうことが出来なかった 時計は14時を過ぎたばかり、部下上官問わず誰にも会わないなど不可能だ それにもしこんな行為が露見すれば、私ばかりでなくレルゲン中佐もただでは済むまい だが私は拒むことよりも"一生を棒にふるかもしれない"という強烈な背徳感を選んだ レルゲン中佐によって女としての肉欲を教え込まれ、被虐の快楽に首まで浸かった今となっては、 軍人としての矜持や前世での性別などは、取るに足らないどうでも良いことだった この身を焼き焦がすような狂おしい性の衝動こそが、私にとっての正義なのだ 素肌に直接軍服を纏い、行為の生々しい残り香を身体から漂わせながら、 私は白銀ターニャ・デグレチャフの顔を作り、廊下へと足を踏み出した 扉を閉じる時、背中からレルゲン中佐の「健闘を祈る」という声が聞こえたが、 それは思いもよらない事態を前にして、即座に頭から吹き飛んでしまった 向こうから私に気付いて歩いてくる、セレブリャコーフ中尉の姿が見えたからだ >子宮内に燃費の悪い新型宝珠仕込もう エレニウム九十五式を胎内に埋め込むという狂気の実験が走り出した 宝珠自体の制御に加えて人体の制御も同時に行う極めて精緻な工程を有し、 かつ女性機能を獲得する前の未熟な身体の被験体を前提とする為、 全ての条件を満たす被験体として選ばれたのはターニャ・デグレチャフ少佐であった その結果、デグレチャフ少佐には奇跡とも呼べる程の莫大な魔力が宿り、 術式展開速度、魔術効果範囲といった様々な面で飛躍的な『性能』の向上が見られた こと物を破壊する能力だけに焦点を絞れば、単騎で大隊規模の破壊工作を実施可能、 文字通り一騎当千の兵というわけだが、実験の過程で重大な欠陥が発見された 術式起動後には強制的な発情状態となり、狂わんばかりの劣情に襲われるという 解決には体内に他者の精液を注ぐしかなく、やはり奇跡は対価なしに成し得ぬものらしい そしてその精液を注ぐ役に選ばれたのがこの私、エーリッヒ・フォン・レルゲンというわけだ 既知の仲ということで、デグレチャフ少佐が名指しで私を要望したらしいのだが… 白銀ことターニャ・デグレチャフ少佐の公用使としての日々は、 昼夜問わず神経を鑢掛けするような苦行の連続であった。 五里霧中の様相を呈し始めた戦況や無謀とも言える任務を前に、 悪鬼めいた愉楽の表情で雄邁な言葉を放つ彼女に慄く毎日――。 精神安定剤代わりの紙巻きは、ここ最近吸う量が随分増えた。 だが彼女は紫煙を好まないらしく、一服の直後に会おうものなら、 表情にこそ出さないものの、非難の気配を幼い顔の下から滲ませてくる。 誰のせいだと思っている‥そんな愚痴を飲み込み、私は身体を長椅子に横たえた。 鬼の居ぬ間に仮眠を、と目を閉じると、疲れた身体は直ぐに眠りへと落ちた。 ふと。頭の後ろに柔らかな感触を覚え、ぼやけた意識のまま薄目を開けると、 デグレチャフ少佐の顔が靄がかった視界に入った。私の頭は彼女の細い腿を枕にしていた。 レルゲン中佐殿、と小さな声がして、ゆっくりと彼女の顔が私の唇に近づいてくる。 その表情は聖母のように穏やかで、ひどく優しげだった。 だが、私の知る彼女はそんな感情とは無縁の悪魔だ。つまりこれは夢なのだろう。 妙に現実感のある体温を唇に感じつつ、私は再び微睡みに溶けていった。 レルゲン中佐があの年齢まで独身だった理由は長らくの謎だった。 出世街道を歩むエリート軍人であり、容姿も決して不味くなく、 私のような幼女にも心を砕く優しさと良識を備えた人間なのである。 謂わば超の付く優良物件、周囲の適齢期の女性が放っておく筈がない。 事実、調べてみると過去に幾度か女性と交際した経験は有ったようだが、 いずれの相手とも関係は長く続かず、半年以内に破局している。 では中佐は同性愛者なのかとも疑ったが、興奮した顔で私をこうして押し倒すあたり、 その疑いは全くの杞憂だったと判断していいだろう。では何故か? 何故、女性がレルゲン中佐から遠ざかっていくのだろうか? 疑問はすぐに解けた。彼の服の下から現れたのは、怒張しきった赤黒い陰茎。 ソレはあまりにも巨大だった。私の手首ほどもある、野戦砲を思わせる肉の凶器。 こんな代物をすんなり受け入れられる女性など、この世にそうはいまい。 過去に何度も続いたレルゲン中佐の破局の理由も大方の想像がつく。 中佐殿もお相手も可哀想な事だ、と胸中で同情したところで気が付く。 そう。今から私はこの未熟な身体であの凶器を受け入れなければならないのだ――! 息を荒げながら私の腰を掴み、レルゲン中佐が腰を動かす。 その度に机がぎしぎしと軋み、私の股から濡れた音が響いた。 拒否することは出来た。大声を上げて逃げ出すことも出来た。 だが私は、そのどちらも選択することはしなかった。 レルゲン中佐に求められるがまま、私は彼に体を開いた。 成人男性のものを受け入れるには魔道の助けが必要だったが、 痛覚遮断と肉体強化のお陰で破瓜の痛みは一切無かった。 そして、この行為への嫌悪の感情も一切生まれてはこなかった。 幼女の体で人生を送る以上、こうなる事は予想していた。覚悟はしていた。 しかし。心のどこかで女としての性交を全く期待していなかったと言えば嘘になる。 一匹の雌として雄に組み敷かれる事。男に抱かれて腹の中を突き回される事。 レルゲン中佐に抱かれる事。それを私は望んでいたのだ。 覆いかぶさるレルゲン中佐の首に腕を回し、そのままぎゅっと抱き締め、 「愛しています、中佐殿」心からの言葉を、耳元で優しく囁く。 中に出してください、と懇願しながら私は快楽の奔流に身を委ねた。 私がデグレチャフ中佐の大隊長就任に反対した理由、 それはひとえに彼女を前線へ送る事に心を痛めたからだ だがそれは子供を戦わせるのを忌避する良心からではない 天使と見まごう程に可憐で美しい彼女を失いたくないという、 他人に口憚る恋慕の情に端を発する行動なのである ターニャ、君にこの気持ちを伝えられたらどれほど私は楽になれるだろうか 「レルゲン中佐殿」と君が私の名を口にするたびに、 私の心臓は心地よい甘やかな痛みに包まれるというのに… しかし私が軍人であることがそれを決して許してはくれない ゆえにこの想いは黙して秘そう、君は知らぬままでよい ああ、ターニャ、私の夢の中だけでよいのだ、君が私の幼き花嫁になることを許してほしい 無垢に白濁を注ぐことを許してほしい、ああ、どうか… 女性から自身を女としてどう思うか? と問われれば勿論貴女は素敵で魅力的な女性だと返すべきだろうが、 その問いをぶつけてきたのは10歳そこそこの幼女であり、更には血と硝煙の匂いを求める戦争狂である どう返答したものか測りかね、私はきりきりと痛み始めた胃袋に眉を顰めながら「ふむ…」と唸ったきり言葉を継げないでいた ここで妙な返答をすれば、翌日から私は周囲に小児性愛者のエーリッヒと蔑まれてしまうだろう そうなれば軍内での私の立場は非常に危ういものとなる かといって彼女を撥ね付けるような言葉を吐けば、この小さな悪魔からどんな報復が来るものか考えるだに恐ろしい 「デグレチャフ少佐、君は確かに魅力的だ、しかし」と一語一語を選びながら慎重に口を開く 「分かっているだろうが君はまだ幼い。5年経った時にまた答えさせて貰おう」 そう答えるのがやっとだった、回答保留は性分ではないが、この状況下では最善な選択だろう…確かにその時の私はそう思っていたのだ 5年後に再びターニャに答えを迫られ、結果彼女を娶る羽目になるとは、神ならぬ私にそれをどうして予想できようか? 「デグレチャフ少佐、貴官を妻に迎えたい」 その一言を告げる為に、私はどれだけの苦悩を乗り越えてきただろうか 自分が年端もいかぬ幼女に懸想していると気付いた時は、自身の正気を疑ったものだ 軍部の上官と部下、更には親子ほどにも隔てのある年齢… 現実的に考えれば実るはずのない恋に、私はこの想いを秘することに決めたのだった 私に対するデグレチャフ少佐の態度は、あくまで部下のそれであり、 個人的な好意から出ているものではないと自らに言い聞かせ、 恋愛の二文字を表情に出すまいとただひたすらに、頑なに努めてきた だがある夜、デグレチャフ少佐が意を決した表情で、私に愛を告げてきた 愛欲に突き動かされるまま、私はデグレチャフ少佐の唇を奪い、体を重ね合わせた 二人の未来は決して明るいものではあるまい、世間の目は冷たく刺さるだろう 私の戦争はいま始まったばかりなのだ、そしてこの戦いに負けることはできない だか私にはデグレチャフ少佐と、彼女が体に宿した子がついている 私は負けることはないだろう 目を覚まして身体を起こすと、部屋の中は静謐な暗闇に沈んだままで、 窓掛けの隙間からは青白くも嫋やかな月光が一筋差していた。 明け方にはまだ遠い。寝直す前に一服を、と枕元の紙巻きを探るも、 自分の隣で寝息を立てる裸身のターニャに気付いてやめる。彼女は紫煙が大層苦手だ。 すぅすぅと響く優しい音色を聞きながら、少々軽率だったかと今更ながら考える。 彼女との関係が表沙汰になれば、軍内での立身出世など露と消えるだろう。 それどころか、一人の男として人非人や畜生の誹りは免れ得まい。 しかしこうなった以上は腹を括るより道はない。野となれ山となれ、だ。 寝るか、と身体を横たえると小さな声でレルゲン中佐殿、と呼びかけられた。 「起こしてしまったか」すまない、と謝るもターニャはそれに応えず、 「…中佐殿は、後悔しているのではないですか」と不安げにぽつりと漏らした。 今更取り繕う間柄でもない。「少しは」と言うと、息を呑む気配がした。 「だがターニャ。君を愛したこと自体に後悔はしていない」 そう言って彼女の幼い体を胸元へ抱き寄せて、髪に優しく口付けすると、 暗闇の中でターニャが安堵に微笑むのが見えた気がした。 >九五式起動させる度に孕みたくなるんだよね コツコツと扉をノックするのはデグレチャフ少佐だ。 はてなと手帳を開く。今日は少佐とは何も予定がなかった筈だが。 疑問に思いながらも、手ずから扉を開けて迎え入れる。 と同時に、少佐の小さな体がどっと私に殺到してきた。 どうも只事ではないようだ。瞳が潤み、頬は紅潮し、息も荒い。 何があったのか、と尋ねても少佐はただ首を横に振るばかりだ。 兎に角少佐を落ち着かせようと、長椅子に腰掛けさせるため背を押すが、 少佐はびくりと体を跳ねさせ、くたりとその場に膝を折った。 「大丈夫かデグレチャフ少佐!?」咄嗟に声を掛け、顔を覗き込む。 …いいえ。それに、レルゲン中佐殿がわるいのですよ。 少佐はそう呟くと、私の両頬を掴んでぐいと引き寄せ、そのまま貪るように唇を合わせてきた。 ぷあ、と苦しげに口を離し、少佐は「私にレルゲン中佐殿の子を孕ませて下さい」と言いながら服を脱ぎ、 その隆起に乏しい幼い体を、私の眼前に晒したのだった。 デグレチャフ少佐の報告を遮り、「胸が苦しいのかね?」と尋ねると、 少佐は床へと目を逸らし、躊躇いがちに小さくゆっくり頷いた 「楽にしてやろうターニャ」私の言葉に少佐は観念したように軍服をはだける 露わになった、微かな膨らみの認められる幼い胸を、少佐の背後から遠慮なく掴む 「…っはぁ」熱を帯びた吐息が漏れ、同時に少佐の淡桃色の先端から、 白い雫が弧を描いて宙に幾筋も飛び、絨毯にぱたぱたと落ちて丸い染みを描く 「ほう…」大量だなと笑いながら、私は搾乳の手を休めず少佐の胸を責め立てる 艶めかしい声を上げながら母乳を噴き出す幼女…何とも奇妙な光景である が、少佐は身籠ってなどおらず、これはエレニウム九五式起動の副産物、 即ち体組織の変性が成したいわば奇跡の一つとも言うべきものだった そして少佐の胸を幾度も嬲るうち、この母乳は彼女の性的興奮に比例し分泌量を増やす事も分かった つまり私の十指をたっぷりと白く濡らしているのは――つまり、そういう事なのだ 片胸から離れ、内股をなぞり始めた私の手に、もはや少佐は抵抗の意思を示さず、 それどころか「レルゲン中佐殿ぉ…」と物欲しげに私の名を呼ぶのだった 軍医によれば、遂にデグレチャフ少佐が初潮を迎えたらしい。 同齢の少女と比べても肉付きの薄いあの体、初潮はまだ先と思っていた。 しかしデグレチャフ少佐が今や子を成せる腹になった以上、 彼女を抱く時に遠慮無く白濁を放ち、征服の証を子宮に染み込ませる―― 未熟な体ゆえに許されたそんな行為はもう出来まい。 白銀の名を冠する英傑が、子種の熱に体を震わせる様は見ものだったのだが。 だが私は彼女を抱く楽しみの一つが失われた事にあまり落胆してはいなかった。 むしろ、新たな嗜虐の材料を手に入れたことに言い知れぬ愉悦を感じていた。 これからデグレチャフ少佐は私に抱かれる都度、妊娠の気配に怯えねばならない。 そして行為の最中に彼女の耳元で「このまま中に出してやろう」と囁いた時、 果たしてあの可憐な少女の貌にどんな表情が浮かぶだろうか? 拒否の泣き顔か、諦観の無表情か、それとも身籠もる被虐に笑みを浮かべるか? 愉快な空想に耽る私の耳に、ドアを小さくノックする音が届き、 次いで「レルゲン中佐殿、ターニャ・デグレチャフ少佐です」と声が聞こえた。 そう、彼女が私の言葉にどんな顔をするのか…それは今から分かるだろう。 執務室には既にレルゲン中佐が待っていた。「3分の遅刻だ、ターニャ」 そう言って歩み寄ってきた中佐が、電光石火の拳で私の鳩尾を突いた。 ぐッと私は呻き、胃袋からせり上がる熱い塊を必死で喉奥に留め、 腹を抑えてがくりとその場に膝をつく。「謝罪の言葉が…」 聞こえんな雌犬、と髪の毛を鷲掴みにされ、顔を引き上げられる。 「も、申し訳ありません‥レルゲン中佐殿…っ」 痛みと吐き気を堪えながら、愉快そうににやつく中佐に謝罪の意を述べる。 その言葉に満足したのか、中佐が私の髪から手を離す。 戒めから放たれた私は床に腹這いになり、げほげほと激しく咳き込んだ。 ――少女愛、苛烈な嗜虐趣味、等々。中佐の性的な嗜好は歪みきっていた。 最早それは特殊性癖の範疇を超え、ある種の狂気と断ずべき域にあった。 そして。また私も。中佐と同じく歪んだ昏い欲望に身を委ねる狂人なのだった。 先ほどの痛みと罵倒に、私の下腹部がじわじわと熱を帯び始める。 潤んだ目で中佐を見上げると、彼はすべてお見通しといった顔で笑い、 己の怒張を取り出して、私の鼻先へずいと突き付けてきたのだった。 軍服の中にレルゲン中佐の手が差し入れられ、その指が性器を撫でる。 足の間から濡れた音が聞こえ、私は羞恥に耐えきれず手の平で顔を覆った。 ――存在Xの仕業に相違ない、異様な身体の昂ぶりを覚えたのは今朝のことだ。 自分で幾度慰めても下腹部の疼きは消えず、むしろ肉の飢えは増す一方で、 気が付けば私の足はふらふらとレルゲン中佐の元へと向かっていた。 中佐は私を拒まなかった。常とは異なる私の様子に、何かを察したようだった。 とはいえ幼女相手に最後の一線を越える事は、中佐の良心が咎めるようで、 取り敢えずは手と指だけでの行為に留まった。が、それだけでも頭がどうにかなりそうだった。 羞恥と牝としての欲求と快感が脳味噌を掻き混ぜ、蕩けた意識が甘い吐息を漏れさせる。 粘膜を指で撫でられる度に、抗いがたい欲求が私の中にふつふつと湧き上がり、 無意識のうちにレルゲン中佐の股間へ何度も視線を泳がせてしまう。 あれで腹の中を擦られたら、どれだけ気持ちが良いのだろう? 熱に浮かされるまま、「レルゲン中佐」とねだるように彼の名を呼ぶ。 暫くの逡巡の後、中佐は覚悟を決めたように頷き、私の秘部に逸物を宛てがったのだった。 レルゲン中佐殿、とデグレチャフ少佐が私を見下ろしながら愉快そうに笑う。 床に倒れた私は抵抗を試みようと立ち上がろうとしたが、手足は弱々しく絨毯を掻いた。 助勢を呼ぶ声は猿轡に遮られ、ムグムグと意味のない呻きに変わる。 先ほど彼女の差し出してきた珈琲…恐らくはあれだ。 何とも迂闊だった。この悪魔相手に気を許した己の愚かさを胸中で悔いる。 そして此の期に及んでこの凶行に何の目的があるか見えない不気味さに身を震わせる。 魔術による洗脳か、あるいは肉体的な拷問か。何が目的だ、化け物め! 「ああ中佐殿。そのような顔をせず、ただ私に体を委ねてください」 半ば恍惚とした表情で、デグレチャフ少佐が服を脱ぎ捨て素肌を晒す。 ギョッとする私をよそに、私の上に彼女がどしりと馬乗りになる。 飛蝗を捕えた蟷螂がゆっくりと獲物の腑を食むように、 デグレチャフ少佐の小さな指が私の上着にかかり、ぷつ、ぷつ、と静かに軍服のボタンをはずしてゆく。 「今現在の帝国内においては、少女との姦淫を咎め立てする法はありません」 そう言いながら、彼女がズボンのベルトに手をかける。 「つまりこの行為は合法というわけですよ、中佐殿」 「ウッ!出ターニャ!」迸った私の白液が一葉の写真に降りかかる。 写っているのはドレスを着飾り大輪の花に囲まれたデグレチャフ少佐、 プロパガンダ用の画の中で、彼女は無垢で優しげな微笑を湛えていた。 そのあまりに愛くるしく可憐な姿に、思わず溜息がこぼれてしまう。 粘液にべったりと濡れた写真を丸めて屑籠にぽいと放り込むと、 私は自慰の後の気怠さに引き摺られるようにして、深い悲嘆に暮れた。 理想を体現したような容貌の少女が自身の近くにいるというのに、 軍内というこの状況下においては、彼女に手出しすることは到底叶うまい。 私の中の崇高な幼女趣味は、決して満たされることは無いのだ。これを悲劇と言わずして何と言おうか。 しかしそんな私の葛藤を嘲笑うかのように、ある日デグレチャフ少佐が私の耳元で囁いた。 「‥写真だけでよろしいのですか、レルゲン中佐殿?」 その言葉に愕然として固まる私の腕に、デグレチャフ少佐は薄い胸を押し付けながら、 「私には中佐殿の趣味に理解があるつもりですが――」と淫魔を思わせる笑みを作った。 そして私はその夜、デグレチャフ少佐と初めて肌を重ね、その幼い肢体を存分に貪ったのだった。 「さて…」頃合いか、とターニャの手を取ってカフェを出る。 これが二人共に軍服姿ならば周囲の目を引いたであろうが、 帽子を目深に被り、オリーヴ色の地味なコートを羽織ったこの幼女が、 新聞の一面を飾る英雄、"白銀"ターニャ・デグレチャフ少佐だと誰が想像できよう。 昼下がりに賑わう大通りを横切り、脇目も振らず繁華街から離れていく。 先ほどからターニャの足取りは重く、下腹部を手で押さえている。 たらふくショーレを飲ませたせいだろう。仕込みは万全というわけだ。 人気の無い路地裏の暗がりへターニャを引き込み、耳元で命令を囁く。 「しかし‥レルゲン中佐殿、誰かに見られたら――」 そう言いながらも、彼女の生理的な欲求は既に臨界点を迎えていたらしい。 観念したように俯き、コートを捲り上げ、小さな尻を露わにしてしゃがみ込むと、 山吹色の雫がターニャの秘部から迸り、薄暗い石畳の上に水溜りが広がった。 この小さい体のどこに収まっていたのか不思議に思うほどの水量が、 ぱしゃぱしゃと尚も地面を打つ音と、羞恥の涙を浮かべるターニャを前にして、 私はかの"白銀"を従属せしめた征服の充実感に、ぞくりと身を震わせたのだった。 空は蒼く、白雲たなびき、陽光はにこやかに射し、 草木は風に葉を踊らせ、ひときわ芳しく花は薫る。 春のよろこびに満ちる丘よ。安らかに謡う草原よ。 嗚呼、どうか、草陰にしゃがむ幼な子の尻を包み隠したもう。 青天のもと、慈愛の雫を放てし幼女の姿こそ真なる美。 その趣を解せぬ者、文化と縁遠い蛮人と断じて然るべし。 帝国紳士諸兄、幼女屋外放尿をこそ嗜み、愛せよ。 おお、白銀よ。ターニャよ。我が想い人よ。 願わくば、その無垢の裂け目より注ぎし、 黄金色にきらめく芳しき慈雨を以って、 われの貌と、唇とを、潤し給わんことを。 そして願い人の名をその御心に留め置かんことを。 其を願いし名こそ、エーリッヒ・フォン・レルゲンなり。 近頃は少々遊びが過ぎたのか、デグレチャフ少佐の反応が乏しくなってきた 最初に薬で強引に純潔を奪った時などは、目に涙を浮かべながら、 この世にあらん限りの罵り言葉を延々と浴びせてきたものだが、 今では行為を拒む様子はなく、事の終わった後は力なく放心するのみである 従順なのはそれで手間が省けるが、少女趣味の醍醐味は成熟した己の逸物をもって、 未熟な秘部を突く際の反応を眺める事にあると私は常々思っているがゆえ、 デグレチャフ少佐の変化は私にとっては好ましからぬものであった 趣向を変えて後ろの穴にも手をつけてみたが、こちらも初々しい反応はすぐに失せ、 されるがまま私の白濁をすぼまりに飲み込むだけとなってしまった 内心苛立ちすら覚え始めた頃、彼女が無気力になった本当の理由を私は知ることになる 表情が消えた顔で虚空を見つめ、椅子に身体を沈めたデグレチャフ少佐が口を開く 「身籠りました――レルゲン中佐殿の子です」私はぎょっとして、馬鹿なと答えた そしてすぐ私は悟った、彼女が初潮を迎えていないというのは嘘だったのだ 報復は成れり、と彼女は表情を取り戻した…そこには今まで見たことのない悪魔の笑顔があった 少なくとも私はデグレチャフ少佐に恋愛面での好感は抱いていない 彼女は人を人とも思わぬ狂気をひり出す悪魔の脳髄を備えた化け物である そんな人間に恋慕の情を抱くなど、天地がひっくり返ってもあり得ない事だ 性格云々はさて置いても、十歳そこそこの幼女に恋をするとは笑えない冗談だ と思っていたのはつい先日までの話である デグレチャフ少佐に「レルゲン中佐殿にならばこの身を捧げましょう」と迫られて以降、 私の方から妙に彼女を意識するようになってしまったのだ あの時は必死に彼女の申し出を拒み、どうにか体の関係にまで至る事を避け、 それを九死に一生の幸いと思っていたのだが、今では至極残念と悔いるまでになっていた もう一度デグレチャフ少佐に迫られたら――この不肖エーリッヒ・フォン・レルゲン、 その時は帝国軍人らしく潔く、娶る覚悟で彼女を抱く所存である 「レルゲン中佐殿へ」と記されたデグレチャフ少佐からの書簡、その中に同封されていた写真の数々、 そこに写っていたのは紐同然の衣装で扇情的なポーズを見せる彼女の姿だった 幼女特有の平坦な体つきは衣装を所々弛ませ、写真をよく見れば胸の先端や、 無毛の恥丘から伸びる秘めやかな縦すじまで露わになっており、 犬のように四つん這いになった写真では、尻の穴までくっきりと分かる有様だ 『おのれ、ターニャ・デグレチャフ!』と私は胸の中で叫びながら戦慄した 彼女が私にこのような物を送り付けてきた意図は容易に想像がつく デグレチャフ少佐は私が幼女に欲情する性癖の持ち主であることを見抜いているのだ そして私が彼女に対して並々ならぬ欲望を燃やしている事も掴んでいるに違いない おおかたこれをネタに私を脅迫する材料に使うつもりなのだろうが、そうは問屋が卸さない 幼女の肢体を我が手で穢すため、私が秘密裏にどれだけの試行を重ねてきたかデグレチャフ少佐は知るまい 無味無臭かつ魔力による解毒は不可能な、対幼女専用眠姦薬(レルゲニウム)… これをあの忌まわしくも愛らしい少女へ試すときが遂に来たのだ デグレチャフ少佐はたびたび私に妙な要求をしてくる ベッドに入る前にはシャワーを浴びないでほしい、というのもその一つだ 体が臭うだろうに、と言うと少佐はむしろそれが良いのですと真顔で返してくる 汗ばんだ私の股間に顔を埋め、うっとりとした顔で性器を頬張る彼女の姿は、 背徳を感じさせる淫靡なものだが、私としてはまともに体を重ねたいのである 変態的な行為はあまりするべきではないのでは、と少佐にやんわりと告げたところ、 私のような少女と性交すること自体がすでに変態的な倒錯行為ですよレルゲン中佐殿、と返され、 私は反論できずただ口をつぐむしか無かったのであった 「泣く子も黙る二〇三航空魔導大隊の"白銀"も…」 こうなっては形無しだな、と足元に転がるターニャを見下ろす。 「レルゲン、中、佐…っ!」こちらを睨み殺すのではないかという目つきで、 口惜しそうに萎えた手足を震わせるターニャの様子を見て取るに、 珈琲に混ぜ込んだ試薬の効き目は上々といったところだろう。 「抵抗は無駄だよ、ターニャ」言いながら彼女の横に屈みこみ、 うなじに顔を寄せ、幼女特有の乳臭く甘ったるい体臭を思い切り吸い込む。 嗚呼、なんと悩ましい香りか――己の肉幹が硬く鎌首を持ち上げるのが分かる。 「…っ!」その行為を悍ましいと断ずるかのようにターニャが顔をしかめた。 しかし、その嫌悪の感情に反して彼女の首筋は薄く汗ばみ、頬は紅潮し、 憤怒とは異なった潤みに瞳は濡れ、切なげに太腿を震わせていた。 試薬のもう一つの効果も現れてきたようだ。「体が熱いのかね、ターニャ?」 彼女の軍服のベルトを手早く外し、足から下着ごと下衣を抜き取ると、 汗と異なる雫でてらてらと光る秘所が、私の眼前に顕になった。 「では処女飛行と洒落込もうか」純潔を奪うべく、私は彼女にのしかかった。 デグレチャフ少佐と私の間には深い深い溝がある 血と闘争を好む彼女の思考は到底私には理解しえないものだ 出来れば距離を置きたいところだが軍務とあればそうはいかない だがそんな私の思いとは裏腹にデグレチャフ少佐は事あるごとに私に笑顔を投げかけ 時には手を取ったり体をぴったりと擦り寄せてきたりする 何が目的だ、この悪魔め、そんな言葉を飲み込みながら任務にあたってきたが 遂に年貢の納め時が来たらしく、彼女と二人きりでの食事に誘われた 密談とあれば大方ろくな話ではないだろう、前途ある若者を棺桶に送り込む人を人と思わぬ非道の作戦を相談する腹積もりか? それとも上を通さず物資弾薬の都合をつけろとでも言い出すつもりか? 痛む胃をおさえながら席に着いた私に、デグレチャフ少佐は開口一番、 「私を娶ってくれませんか」と恥じらいに頬を赤くしながら告げてきたのだった セレブリャコーフ伍長が退室し、足音が遠ざかっていくと、 レルゲン中佐はペンを置き、「ターニャ」と私に微笑みかけた その柔らかでやさしい声音に、心臓がキュッと甘い痛みを訴えてくる はっ、としかつめらしい返事をしてレルゲン中佐の横に行くと、 彼は椅子に座ったまま、私をぐいと両腕で抱き寄せてきた 「こ、このような場所では困ります…っ」と抗議しつつも、 私はレルゲン中佐の抱擁を拒まずそのまま身を預けてしまっていた 服越しに伝わる体温とごつごつとした男性特有の体つきに頬が熱くなる、 それと同時に頭の先から爪先まで満ちていく心地よい充足感に、 私が女性としての幸せを感じている事を改めて思い知らされてしまう いつか来たる日の為に、存在Xへの叛逆の刃を研ぎ続ける腹積もりであれば、 今すぐにこのような行為をやめるべきだ‥そんな事はとうに分かっている だが、「今日も美しいな、君は」そう囁かれながら唇を奪われる悦びに、 肉の薄い胸を指でつままれ、内股を撫で回され頭の芯まで蕩けさせられる熱に、 ただの幼い雌に過ぎない私が、いったいどのように抗えばいいのだろうか――? 指先でつまんだ小さな薬瓶を顔の前に掲げて振ると、中に入った液体がとぷんと揺れた。 液体の名は"レーゲンヴルム"、少し前に帝国軍内で開発された内服薬だ。 塹壕戦での劣悪な衛生状態が士気を大きく削ぐという事実が問題視され、 様々な対応案が挙げられる中、排泄物による汚染が甚だしい点に着目し、 シューゲル技師らの魔導技術も取り入れて完成に漕ぎ着けた代物である。 経口摂取すると即座に体内で反応が始まり、消化器官の内容物を解毒、 更には臭いまで分解し、排泄物を無害無臭の透明な固形物に置換するという、 戦場での衛生改善はおろか、公衆衛生の概念をも覆すに足る画期的な発明品だった。 だがこれが日の目を見る事は無かった。致命的な二つの欠陥を有していたからだ。 そもそも薬効は服用者の魔力を触媒にすることが前提で、加えて膨大な魔力を要する。 魔導の才に乏しい人間、つまり軍内の大半を占める兵に殆ど効果が見込めないのである。 そして今一つは、前述の薬効の有無に関わらず、服用した時点で猛烈な便意に襲われるという点だ。 言ってしまえば恐ろしく強力な下剤である。こんなものを飲んで戦闘など出来はしまい。 しかし欠陥品とはいえ、少なからぬ資金と人員を投入した物である。 諦めの悪い上層部が僅かでもと成果を求め、秘密裏に訓練地で少量を試験したようだが、 試験開始から三十分も経たないうちに屈強の男達が一斉にトイレへ立て篭もり、 透明な排泄物――Regenwurm(ミミズ)――を尻からひり出す羽目となり、 晴れてレーゲンヴルムはお蔵入りの烙印を押されたのであった。 「というわけだ、ターニャ。それが君に飲ませたものの正体だよ」 私は長々と続けた講釈を止め、長椅子の上で震えるターニャに微笑んだ。 彼女は体をくの字に曲げ、荒い息を吐きながら腹を押さえており、 その表情は制御不能な排泄感で歪み、恥辱の結末を予見しているのか、涙を流してすらいた。 「レルゲン中佐殿…っ、せめて、見ないで下さいっ…」 ターニャが焦点の合わない瞳で私に懇願する。もう限界が近いのだろう。 「駄目だ。ここで存分に出すといい」絶望の返事を前にして「あ…」ターニャが大きく息を吐く。 次の瞬間。ぶりゅっ、と湿った破裂音を皮切りに、執務室いっぱいにびちびちと決壊の音が響き渡り、 ターニャの軍服のズボンが水気を含んだ塊でこんもりと膨らんだ。 聞こえた音から察するに、なかなかに凄い量が漏れ出たようだが、 謳われていた効用通り、排泄物特有の臭気は一切感じられなかった。 なるほど流石はシューゲル技師、仕事は完璧だったようだ。 開放感と羞恥が混濁した虚ろな表情で、尚も胎児のように体を丸めたまま、 はぁはぁと小さく息を切らすターニャへ私は顔を寄せた。 「綺麗だったよ、ターニャ」そう言って彼女の唇にやさしく接吻すると、 「んぅ…中佐殿は、見下げた…変態です…っ」と熱のこもった口調で、 その幼い腕を私の首に回し、小さな花弁のような舌を私の舌へと絡めてきたのだった。 (元帝国軍参謀将校 エーリッヒ・フォン・レルゲン著『ベッドの上の戦場』より一部抜粋) 「可愛い」無意識のうちに漏れ出た惚けた言葉に、慌てて口を閉じる。 その日の私は、プロパガンダ写真のモデルを務めるデグレチャフ少佐を訪ねていた。 椅子に腰掛け、カメラへ微笑を投げかける彼女はまさに天使そのものだった。 夜会でもそうはお目にかかれない豪奢なドレス、ふんわりと整えられた髪型、薄く化粧ののった顔。 それはいつも見せる凛々しく怜悧なデグレチャフ少佐の姿からはかけ離れていたが、 それゆえに普段とのギャップと相まって、神々しいまでの美しさをもって私の胸を打った。 公用使の任さえ無ければいつまでも彼女を眺めていたいものなのだがな、 と密かに落胆しつつ撮影中の彼女に声をかける。「デグレチャフ少佐」 人払いののち書類を渡し、手短に伝令が終わらせ、「仕事を中断してすまなかった」と立ち去ろうとしたところ、 「いえ」と彼女がにこにこと笑いながらこちらを上目遣いで見つめてきた。 「中佐殿、さきほど私を見て何か口走られたようですが…」こちらの動揺を見透かしたように彼女が舌なめずりする。 「ふふ。少女を愛するご趣味は、私だけに向けてくださればよいのですよ」 屹立した私のいちもつに鼻を近づけ、デグレチャフ少佐がすんすんと匂いを嗅ぐ 途端に妖精のように可憐な顔が不機嫌な顰めっ面に変わり、はぁとため息を漏らした 「…相変わらずレルゲン中佐殿のコレは酷い匂いですね」 明け透けな物言いだが、もっともな言い分に私は反論できず苦笑いを浮かべる ここ最近は戦線の拡大により山積する仕事に追われる多忙な毎日で、 昨日も眠気に勝てずついつい入浴しないまま寝床に入ってしまったのだ 「まったく、こんな不潔なものをしゃぶらされるこちらの身にもなっていただきたいですな」 そう言いながらも、デグレチャフ少佐は興奮にいきり立つ私のものをゆっくりしごく手を止めようとはしない 「――では今日のところはやめにするかね、デグレチャフ少佐」 そんな私の言葉に彼女は愛撫の動きをぴたりと止め、 「まあ…私はこれの匂いがそんなに嫌いではありませんし…」 とぼそぼそ早口で口走ると、その小さな桃色の唇で私のものをぬるりと咥え込んだのであった 内燃機関を備えているかのようにばくばくと高鳴る心臓を手で押さえながら私は思考を巡らせる 軍人に乙女の恥じらいなど不要、ということは百も承知だ! 何よりも外見はさておき私の精神はれっきとした男性なのである! 人前で下着や肌を晒すことに抵抗などありはしない! だがしかし、先ほどの体たらくはいったい何としたことか! 人気のない自分の執務室で、暑気に汗ばんだ上着をはだけていたところ、 たまたま部屋の外を通りがかったレルゲン中佐と目が合ってしまった だらしない格好は上官の心象が悪くなる…という打算が働くより先に、 この隆起に乏しい体を見られたことに一気に顔が赤くなり、 「きゃっ」と子猫が鳴くような声とともに自然と両腕で体を隠してしまったのだ 気まずそうな面持ちで足早に去るレルゲン中佐の顔は、まぶたにくっきりと焼き付いている …あり得ない!私がこんな少女のような振る舞いをするなどどは!! 私は胸中で存在Xへ新たな怨嗟の炎を燃やし、そしてほんのわずかだけ、 『もう少し発育がよかったら中佐殿の反応は違っただろうか』と考えてしまい…ふたたび懊悩に頭を抱えたのだった その日、帝国軍参謀本部に激震が走った。 『参謀部宛』と流麗な字で書かれた匿名の書簡には、 少女軍人"白銀"ことターニャ・デグレチャフ少佐と、 帝国軍将校エーリッヒ・フォン・レルゲン中佐の両名が、 ひそかに肉体関係を結んでいることが克明に綴られており、 書簡に同封された写真にはその内容を裏付けるように、 デグレチャフ少佐がレルゲン中佐の上に跨り交合している様、 或いはいきり立ったものを少佐が舌で舐め回している様、 また或いは少佐がレルゲン中佐の頬に口付けをしている様等々、 どの場面でもぐっすり眠ったように目を閉じている中佐の様子はさておき、 人並みの良識を持つ者ならば目眩を覚えるようなものが写っており、 これが嘘か誠か、事の次第を検めねばなるまいと幕僚達が騒然とする中、 ゼートゥーア閣下直々の出頭命令が二人に下ったのだった。 幕僚たちの前に現れた二人の態度は対照的だった。 片や召喚の意図が読めないとばかりに困惑しきりなレルゲン中佐、 片や背筋を伸ばし軍人かくあるべしといった風格のデグレチャフ少佐、 書簡の内容をずばり問われてもそれぞれの態度が変わることはなく、 顔を青くしたレルゲン中佐は「違う」「これは罠です」と喚く一方、 デグレチャフ少佐は「全て事実であります」と認めた上で、 まるでレルゲン中佐の弁明を遮るかのように粛々と語ってみせた。 少佐の言によれば、事の発端はレルゲン中佐からだったようだ。 所用があって夜分にレルゲン中佐のもとを訪ねたところ、 中佐は既に酒を飲んでおり、少しばかり酔っている様子だった。 話し込む間に中佐が「どうだ、少し舐めてみるかね」と酒を勧めてきた。 断るわけにもいかず、グラスの蒸留酒を僅かに口に含むと途端に酔いが回った。 すっかり足元のおぼつかなくなったデグレチャフ少佐をベッドに寝かせると、 レルゲン中佐は唐突に、異性としての好意を告げてきた。 普通ならば即座に退けるところであるが、酩酊がデグレチャフ少佐を大胆にさせた。 実のところ、デグレチャフ少佐の方も予てより、 中佐に対し少なからぬ好意を抱いていたのである。 求めに応じてデグレチャフ少佐は幼い体に男を受け入れた。 「それ以降の関係は、全てそこに書かれている通りです」 デグレチャフ少佐の証言が終わると、幕僚達はみな一様にたじろいだ。 当人同士の意思はさておいても、幼女を酔わせ手篭めにするという、 中佐の異様な性癖に度肝を抜かれ、未だ信じられぬといった様子だった。 困惑と非難の合わさった視線を浴びながらレルゲン中佐は尚も抗弁を続け、 「その夜は一服盛られたのです!私はハメられたのだ!!」と叫んだが、 怒髪天を衝く勢いで椅子を立ったゼートゥーア閣下の、 「ハメたのは貴様の方ではないか!」という罵声とともに、 鉄拳制裁を顔面に喰らい、鼻血を流して敢え無く床に転がった。 ――が、そのような大騒動があったにも関わらず、 この一件について二人に対する処遇は異様なほど寛大なものだった。 何の罰も無いどころか、なんと両名の婚姻が認められたのである。 情報部は本件を闇に葬るよりもむしろ有効利用すべきと判断したのだ。 天涯孤独で孤児院の出である英雄デグレチャフ少佐が、 参謀本部将校たるエリート軍人のレルゲン中佐と結ばれる… それは捉え方によっては一種のロマンある成功談とも言える話で、 軍としてもプロパガンダにはうってつけの宣伝材料だった。 そしてその結果、幼女の愛の美談は帝国中に喧伝されることとなった。 結婚式で指輪交換をし合う二人の様子は写真に収められ、 "真実の愛"等々の美辞麗句を添えられたのち、新聞やポスターで拡散された。 この写真のレルゲン中佐は目を見開く迫真の表情を浮かべていたが、 これは指輪を相手の指に通す寸前、目の前の花嫁がごく小さな声で、 『身籠りました』と照れたように言ったのを聞いて真顔になったためである。 持ち上げた書類の束から見慣れぬ紙片が机に落ち、それを手にした私は戦慄に身を震わせた 紙片は一葉の写真であり、それも私がデグレチャフ少佐を組み敷き、まぐわっている最中を写したものだった 咄嗟に写真を懐へねじ込み、冷や汗を拭いながら机を立つと、私は早足で執務室を後にした まさか。まずい。だが彼女との関係は誰にも知られぬよう細心の注意を払っている。誰が。どうやって。何の目的で。 冷静さを失った頭でぐるぐると必死に思考を巡らせるが、まったく答えは出てこない かくなる上は、と思い詰めた私はデグレチャフ少佐の元を訪れ、仔細を話して助力を仰いだ だが彼女はつまらなそうに相槌を打ち、助力を拒むような態度を示し、 それどころか、「いっそ私達の関係を公にしたら如何ですか」とまで言い放った 馬鹿な…と口に出しかけて私はそこでようやく悟った この写真を撮って私に送りつけた犯人が、目の前で底意地の悪い笑みを浮かべた幼女だということに 「事情が変わりました。あなたにも周りにも私との関係を認めてもらわねば困るのですよ、レルゲン中佐」 そう言ってデグレチャフ少佐は、慈しむように優しく自分の腹を撫でたのであった 私がレルゲン中佐と体の関係を持つに至ったのは、 思慕の情ではなく後方行きのツテを期待しての事である。 そうならずとも、彼は人事部に籍を置き発言力もある英邁な男、 もし私が再び上層部から無茶を突き付けられたとしても、 この関係を楯に特別な計らいを引き出そうとも企んでいた。 しかしそれは彼に対し私が対等、或いはそれ以上の立場であるのが前提だ。 即ち、レルゲン中佐篭絡すべし。この未熟な身体で私に狂わせてやる。 その目論見は甘かった。この体になって僅か十年、更に生娘。 男を堕とすには、女としての知識も経験もあまりに不足していたのである。 一方でレルゲン中佐は男として年相応の、むしろそれ以上の手練を備えていた。 結果、私は彼にされるがまま、いとも容易く快楽の津波に飲み込まれ、 男の体の下で恥を忘れて嬌声を上げ、果ては小水を漏らしながら何度も腰を振った。 ――だがまだ私は女の悦びに屈してはいない。近いうちに優位な立場を手に収めてやる。 その決意を表すように、今日も毅然とした態度で私はレルゲン中佐に臨む。…が、彼は私の耳元で呟く。 「体から石鹸の香り、か。この後に何を期待しているのかね、ターニャ?」 デグレチャフ少佐の報告を聞きながら、私の目線は彼女の首から下へと泳ぐ。 そこにあるのは彼女の年齢には不相応な、豊かな二つの膨らみだった。 戦場帰りの彼女に再会した際、その体型に仰天し我が目を疑ったが、 シューゲル技師によれば、エレニウム九五式が魔術回路に干渉し続けた結果、 デグレチャフ少佐の肉体編成に限定的かつ一時的な変異が生じており、 十日もすれば魔術回路が干渉に順応し、元の体型に戻るのだそうだ。 とはいえ、唐突な肉体的変化に軍服の支給が間に合っていないせいで、 無理やり上着の前を合わせている彼女の立ち姿は何とも扇情的で、 ふとした拍子にボタンが弾け飛び、肉球がまろび出グレチャフのではないかとこちらは気が気でない――。 「レルゲン中佐殿、あの、あまり胸を見られると」恥じらいの言葉にハッと我に返る。 慌てて弁解しようとした私に対し、「…興味がお有りでしたら」と顔を赤くしつつ胸を突き出すデグレチャフ少佐。 「な…」いきなりの提案に困惑するも、帝国軍人としての良心と自らの幼女性愛との激しい葛藤の末、 私は豊満な恵みのもたらす至上の柔らかさを、両手と唇で思う様味わったのだった。 「ふぅ」濡れた髪をタオルで拭き、大きな溜め息をつくと、 私は湯上りに火照った裸身をベッドの上に投げ出した。 肌から伝わるシーツのひんやりとした感触が何とも心地良い。 だが、体の真芯にある疼くような熱は引かず、私の下腹部を苛む。 …戦地帰りの後はいつもこうだ。妙な昂りが抑えきれない。 体の疼きに任せて指を内股に這わせると、クチュッと濡れた音がした。 「んっ…」粘膜の裂け目を指でなぞる度、水音は大きさを増していく。 男だった時は全く異なる感覚に、自分が女である事を自覚させられる。 脳裏に浮かぶのは存在Xへの呪詛、そして妄想の中での相手の姿だ。 妄想の男が逞しい腕で私を抱き寄せ、私の平坦な胸に何度も接吻する。 それに合わせて胸の先端を摘むと、背筋に電流のような快感が奔った。 男は責めの手を休めず、私を容赦なく陶酔の極地へと追い込んでいく。 雌の肉穴に指を差し入れられ、私の腰が跳ね、両足がシーツを掻く。 頭の中に真っ白な光の粒が無数に瞬き、男の顔がはっきりと見えた。その顔は――「レルゲン中佐…殿っ!」 無意識に呼んだ名前に自己嫌悪しつつ、私は絶頂の余韻に浸りながら、気怠い眠りへと落ちていった。 私は嫌煙家だ。刺激を伴う紫色の煙。特にあの香りは大嫌いだ。 そんな私の意を汲んでか、レルゲン中佐は煙草を控えるようになった。 禁煙とまでいかないが、少なくとも私と二人きりになった時は、 以前のようにシガレットケースを手に取ることがなくなった。 もっとも、情事の後に私が寝てしまうと、密かに窓辺で一服燻らせているようだが、 それを差し引いても中佐は少女の私を慮る良識を持った人間だと言えよう。 彼との邂逅は、この世界に転生した私にとっての数少ない幸運の一つだ。 そんな私達でも、些細な事から諍いを始めてしまう事が稀にある。今日がそれだ。 暫く前から約束していた夕食が中佐の仕事でフイになってしまったのだ。 彼が多忙な事は承知している。それでも文句を言わずにはいられなかった。 だが私が口を開く前に、中佐は私を優しく抱き締めると、真摯な声音で言った。 「申し訳ない、ターニャ。君を愛していないわけじゃない。許してくれ」 ――中佐の胸板から伝わる温もりと男の体臭、そして微かな煙草の香り。 こんな事をされて抗議の二の句を継げるはずもない。本当に彼はずるい。 だから。だから私は。煙草の臭いが、大嫌いなのだ。 人払いをした薄暗い部屋でターニャに軍服を脱ぐように命じると、 彼女は僅かな抵抗の光を込めた瞳を伏せ、おずおずとボタンに手をかけた 開いた胸元から濃緑の下着が覗く…それは下着と言うよりも、 もはや紐と言った方がふさわしい代物だった 平たい胸を隠す筈の箇所からはターニャの薄桃色の乳輪がはみ出し、 下腹部を覆う筈の箇所に至っては、無垢の恥丘に食い込み幼い割れ目を強調してすらいる 「レ、レルゲン中佐殿…あまりまじまじとご覧になるのは…」 普段の苛烈な物言いを忘れたかのように、蚊の鳴くような声でターニャが呟く 裸よりも恥ずかしい、とばかりに私の視線から逃れようと腕で体を隠そうとするが、 私はその腕を掴むとターニャの前に屈み込み、布越しに彼女の乳房に吸い付いた 「あぅっ、中佐殿っ、このような場所では」 狼狽した抗議の声を無視し、私は下腹部へと舌を這わせていく 扇情的な衣装をした幼女…これほどまでに私の心を狂わせるものが他にあるだろうか? 獣欲に律動する私の肉幹の疼きを感じながら、薄暗い部屋の中、私は愛撫に没頭していった 【その他】 復讐の炎は胸から立ち消え、偽りを糊塗した仮面は捨て去った そして俺に残ったのは、襟首に刻まれた疑似阿頼耶識手術の跡と、 決して短いものにはならないであろう病院生活の日々だった だが俺はその生活を無為なものだと思ってはいない 全ては俺自身が選択した結果であり、そこに後悔などは存在しない むしろ己を縛る重苦しい鎖から解き放たれたような気すらしてくる 中庭でやわらかな日差しを浴びていると、そんな風につい思ってしまうのだ 「で、身体が回復したらどうするつもりですか」 と車椅子を押すジュリエッタに問われ、俺はまあその時考えるさ、と答えた そんな軽口が彼女の気に障ったらしく、険のある声が頭上から降ってくる 「そんな楽天的な…。いいですか、元セブンスターの一角が」 「アイン!」そう言いながら目を瞑り、左右の掌を肩の上に持ち上げ、 背後のジュリエッタの両胸をしかと鷲掴みにする――ふむ、肉が足りんな 直後、ぎえーという女性の声と、ばしばしと何かを叩く音が病院の中庭に響き渡った 「無理はしなくていいんだが…」という俺の制止の声も聞かず、 ジュリエッタが見舞い品の林檎にペティナイフの刃を当てる 先日、林檎でも剥いてくれないかとジュリエッタに所望したところ、 眉を顰めながら危なっかしい手つきで十数分間も格闘した挙句、 果肉を凸凹に削られ、所々芯が露出した残骸を食わされる羽目になった 「まあ見ていて下さい、前回の雪辱戦です」と得意そうに言いながら、 器用にくるくると林檎の皮を剥いていくジュリエッタ 「すごいな」素直に感嘆の声を漏らすと、ふふんと彼女は鼻を鳴らす ――よく見れば指には薄い切り傷の跡がいくつもあるが、そこは言わないでおこう 「出来ました!」差し出されたのは綺麗に切り揃えられた林檎、実に見事なものだ 「美味そうだ、じゃあ食べさせて貰おうかジュリエッタ」 そう言うとギョッとした表情で彼女が顔を赤らめる 「実は両手もリハビリ中なんだ」「…さっき私に林檎を手渡しましたよね」 そういう冗談はやめて下さい、とジュリエッタにひどく叱られてしまった それとお説教の後に食べさせてもらった林檎は、とても甘くて美味かった 「私ならともかく、看護師を口説いたりお尻を触ったりするのは問題です」 そう言いながら俺の手の甲を、ぎりぎりと容赦なくつねり上げるジュリエッタ 「しかしだな、ベッドの上は退屈だからなあ。女性と会話やスキンシップを楽しんでもいいだろう」 「人の話を聞かない耳はこれですか」冷たい口調で耳をぎゅうぎゅうと引っ張られる 「痛てててて!もうちょっと加減を…というか"私ならともかく"ってどういう意味だ」 う、と言葉に詰まったジュリエッタが耳と手の甲から手を離す 「そ、そんなこと言ってません!」誤魔化すように大きな声で答え、 ジュリエッタがぐんと車椅子を押し、病棟へ向かって駆け出した >倒れるまで頑張んないでよ、バカ… >って呟きながらこんこんと眠る武Pの頭を優しく撫でるお姉ちゃん 一方で武Pは眠りの中でも安らぎを得ることが出来ないでいた なぜならば武Pは夢で己の担当アイドルである城ヶ崎美嘉に腕を組まれ 二人並んで仲睦まじく街を歩いている最中だったからである 長身の大男というだけでも少なからず周囲の目を引くというのに、 その隣には上機嫌な笑顔を浮かべた今をときめくカリスマアイドル、 人とすれ違う度に好奇や羨望、驚嘆、あるいは嫉妬の目線が背中越しに突き刺さる 如何な経緯があったか把握し得ないが、兎にも角にも現在の状況は非常にまずい 「城ヶ崎さん、少し離れて…」その申し出にカリスマは小さく首を横に振る 「美嘉、でしょ?」悪戯っぽい笑みは、要求を呑まねばこちらの申し出にも応じないという意思の表れでもあった 眉根を寄せて熟考した挙句、「美嘉」と呼んだその声は、夢の中から寝言となって口に出て、 膝枕をするカリスマアイドルの頬を秋の紅葉もかくやと言わんばかりに赤く染めたのであった 隊長はブラッドを束ねる責務を負う人間です 有事の際にはブラッドの陣頭に立って指揮を執りながら 自らも神機を手にアラガミを相手取る立場にあります それゆえに何らかの落ち度で一線から退くなどあってはならない事です 日々の生活も常在戦場の心構えで居る必要がありそれをサポートするのが副官の役目です まず日々の食事こそが体調の礎となるため偏りのない食事をしているか確認せねばなりません それゆえに朝昼晩と食事の都度隣に座るのは当然です また十分な睡眠が取れているか確認する必要がありますから 一つのベッドで同衾するのは何ら不自然なことではないと考えます 任務後に痣や擦過傷が無いか目視確認するため入浴を共にするのは当然のことですね また隊長は友人という間柄であるためスキンシップの一環として 手を握ったり体に触れ合ったり唇同士を合わせてみたりするのは至極自然なことと言えます つまりわたシエルさんはブラッド隊員・友人としての範疇で行動していますので 取り立てて咎めることはないのではと考えますが… >一緒にシャワー浴びるのいいよね… 隊長はここ極東に生活や苦楽を共にした仲間を指す 「同じ釜の飯を食べた仲」という言葉があるのはご存知でしょうか この釜とは食事の煮炊きや湯を沸かす道具を指しますが 浴槽の事を風呂釜というのもそこから由来しているのでしょう 同じ釜つまり二人一緒に入浴する事によって友情が深まり強固な信頼関係を築くことが可能なのです 他にも忌憚のない信頼関係に「裸の付き合い」なる言葉もありますが 隊長の…いえ、君のシャワールームに二人きりという今の状況は まさにその言葉通りのものだとは言えないでしょうか? それにブラッド部隊の副官と良好な人間関係を構築する事は隊長としての責務です さて今日の訓練で汗をかいてしまったので胸に汗疹が出来てしまいました 自分では塗れない場所ですので君が手ずから軟膏を塗ってください 次に私が生殖器のバイタルチェックを行いますのでそのタオルを取ってください!早く!!1!! 叔父さんはさぁ、と切り出したエルフの姪に俺はんー?と生返事をする 俺は疲れ切っていた…連休中に帰省したらエルフの姪の姿があり、 その彼女には昔の鼻垂れ娘だった頃の面影は既に無く、 すらりとした体躯と一端のレディとしての雰囲気を備えていた エルフの義姉に会う度どきまぎしている童貞の俺にとって、 義姉の血をふんだんに受け継いだこの姪は悩みの種が一つ増えたようなものだった そんな訳だから再会の挨拶は何となくギクシャクとしたものになってしまったのだが、 姪はそんなこちらの心境など露知らず、事あるごとに俺に構い、べたべたと懐いてくる お前を意識しているから離れろ、と言うわけにはいかず、さりとてこちらから距離を縮めるのも…、 とそんな訳で付かず離れずの微妙な距離感をキープしながら連休を過ごしてきたわけで、 心身共に本当に疲れきるのもまったく無理はない話なのである だから姪の「叔父さんはさぁ、私のこと嫌いなの?」という問いに、 疲労でふやけた脳みそがついうっかりと本音を漏らしてしまうのもまた無理のない話なのである しまった、と我に帰るより先に姪がふーん、と顔を赤くしながら部屋から出て行った >潮がこの制度の存在を知った時明らかに顔つきが変わったのを傍にいた漣は知っている この制度は公にならない類のものであり、勿論文書化などされてはいない 知り得る機会は一度きり、鎮守府に新たに着任した提督へ、 大本営からそれとなく制度の存在を口頭で伝えられる時に限られている 大半の提督は冗談だと一笑に伏すか、そもそも利用しようとは思いもしないだろう そしてその制度の中身の特殊さから、艦娘が決して知ることはない――はずだった だが今思えば、したたかに酔った拍子に、どうもその話を自分の口から潮に漏らしてしまったようである 潮を秘書艦として迎え、随分と打ち解けてきた間柄だったゆえ、俺はそんな軽率な真似をしてしまったのだろう しかし今更悔やんだところで後の祭り、潮に伴われ、訳の分からぬまま夜の料亭に案内された時、 俺は直ぐにこの制度の存在を思い出し、その場から逃げ出すべきだったのだ 『本当に利用する奴があるか莫迦』という上官たちの視線に脂汗を流す俺の横で、潮がゆっくりと服を脱ぎ始めた 十数年越しに再会したお父さんは私のことを覚えていないようだった。 仕事で滅多に家に帰らず、幼い時に別れたきり。 顔を見ただけで私と分からなくても無理もない話だ。 母はお父さんを私達を省みない人間だったと言っていたが、 少なくとも記憶の中のお父さんは私にとても優しかったし、 色んなことを学ぶうち、お父さんは皆を守る為に己をすり減らして職務を果たしていたことも理解できた。 私が秘書艦になってから、お父さんが時折、物憂げな表情をすることに気づいた。 その表情の理由が、かつて手から離れていった娘に向ける愛情と後悔であり、 お父さんが娘と結婚すると約束したことをおぼろげに覚えていたと知った時、私の中でなにかが弾けた。 胸を揉まれると大きくなる、という与太話を大真面目に話す大井 そんなわけがあるかと一蹴すると、本当かどうか確かめたいと言い出した それこそ自分で揉むか大井の好きな北上さんに揉んでもらって済ませればいい話だが、 大井は異性に揉まれないと効果がないのだと主張してくる いくら何でもそれはまずい、冗談でもそういう事は男に言わんほうがいい、 そもそも何でお前はそんなに胸の大きさにこだわる、 そんな事をしなくても十分お前は魅力的な娘じゃないか、 と早口で説教をすると大井は押し黙って俯き、そのまま無言で執務室を出て行ってしまった いささか言い過ぎたか、明日から顔を合わせづらいなと悔いたが、 何故だか次の日の大井はやけに上機嫌だった >ケンカのあとは いつもこうして大井がしおらしい顔で謝りに来る 自分から俺に喧嘩を吹っかけておきながら、だ 毎度毎度呆れの念を覚えてため息をつくのだが 大井がわざとつっかかってきているのを分かっていながら 売り言葉に買い言葉で段々と感情を高ぶらせてしまい そんなに俺が気にくわんなら秘書艦など辞めてしまえ! と俺も毎度の決まり文句を怒鳴ってしまうあたり 俺も提督としてまだまだ精進が足らぬといえるだろう 「ああ俺も悪かった、この話はこれで終いだ」と大井を帰そうとすると 居心地が悪そうに大井がもじもじと言葉を濁し 意を決したかのように己の胸をぷるりと晒け出して 俺の胸元に縋り「ごめんなさい」と小さく呟いた これも喧嘩の後には毎度の事だ…そう分かっているのだが やはり俺は感情に逆らえず大井を抱きしめ激しく体を貪ってしまうのだった 秘書艦の鈴谷から提督は少々不健康ではないかと諫言され、 長らく愛飲してきた紙巻煙草から足を洗う事となった 更には運動もすべきではとも言われ、夜間の鎮守府巡回という名目で、 短い距離ではあるものの走り込みを始める事にもなった それからというもの、煙草を再び吸ってはいないかと、 事あるごとに鈴谷は俺の袖口や胸元に鼻を近づけてくるし、 走り込みを怠けてはいけないと体力の有り余る駆逐艦が日替わりでお供についてくる 走り込みの後は駆逐艦達が甲斐甲斐しく俺の汗ばんだ顔を拭い、 糊のきいた新品のような着替えまで用意してくれるのだが、 まるで子供扱いされているようで、大の男としては胸中複雑な気分であった ただこれも俺の身を案じての事、無碍には出来ぬと世話に甘えていた いた、と過去形で語るのは俺が真実を知ってしまったからである 煙草は体臭を純粋に楽しむためにやめさせられ、汗まみれのシャツは洗濯に出されてなどいなかった 夏になると艦娘たちが菱餅や羊羹といった言葉をしきりに交わすのは取り引きの隠語だったのだ 寝床一面に俺のシャツを広げて顔を埋める鈴谷を問い詰め、白状させたのだから間違いはないだろう 別に淡白だとか飽きたとかそういうわけではないんだけど 普段はだいたい1回で終わるしやっても2回で打ち止め もう少し刺激が欲しいかも…とお互いに思い始めた頃に 「たまには変わった趣向でやってみないか?」と切り出す提督 摩耶様の方はそういう事をあまり言われないせいでちょっと嬉しくなって頷いたら 提督が紙袋からいそいそと取り出したのはなんと愛宕の服と金髪のウィッグ 当然文句を言うけど一度頷いてしまった以上は断りきれず愛宕の服を着てしまう摩耶様 こうなればヤケだと姉の口調を真似したり姉が到底しないようなエロいポーズをしたりする摩耶様 そうしたらなんだか二人とも思いの外興奮して盛り上がって 提督が愛宕愛宕と呼びながら腰を打ち付けてくるのを姉のように優しく抱きしめ受け入れる摩耶様 普段の1回こっきりはどこに行ったのか結局10回もしてしまい その翌朝やたらと不機嫌な表情で睨んできた摩耶様が画像の状態 >チラチラ見えていても目線をそちらに向けてはいけない 明け方になると窓の外に不思議なものが見える事に気がついた 窓枠のあたりに鹿島っぽい影がちらちら見えるのだ 夜更かしに疲れて変な幻覚を見ているのか? それとも似た色のものを鹿島と認識しての錯覚なのか? もし鹿島だとすれば何が目的なのだろうか まさかこちらに危害を加えるべく待機しているのでは? だが視界の端で捉えた限りでは影は微動だにしていない 何かするつもりならばとうに行動に出ているはずだ 何にせよ鹿島か確かめるべきではとどうにも我慢できずに 窓へぐいと目線を向けるとそこには影も何もなかった 気のせいだったか?とPCのモニターへ視線を戻すと ぼんやりとモニターに反射した俺の顔が見えた そして俺の顔のすぐ後ろには静かに佇む鹿島の姿が… 鹿島が現実世界に顕現したと聞いた俺は胸を躍らせた もしもその報が真実であれば、画面の向こう側の存在でしかなかった鹿島に会えるかもしれないのだ 千載一遇の機会を逸するわけにはいかないと固く決意し、 近所をくまなく歩き回り、鹿島の名を呼んで姿を求めたが結果は芳しく無く それどころか俺が不審者として近隣で噂になる始末だ、全く世の中とは度し難いものである そしてそれ以降は情報が無く、ただ無為に二昼夜が過ぎた いよいよ連休も終わってしまう、そうなれば鹿島を探すことも難しいだろう デイリー任務をこなした後、嘆息し寝床に寝転ぶ俺はスマホを片手に鹿島の情報を求めた そこで俺は気づく、鹿島が現れたという情報を俺は何処から得たのだろう? ネット?テレビ?よく思い出してみるとどちらもそんな事をニュースにしていない 頭を抱えて枕に顔を埋めて悶々とする俺の首筋に、纏わり付くような視線を感じた 体を起こして視線の気配を見るも、そこは俺の部屋の窓の外、人がいるはずもない だが俺は、白い服を着た影が素早く姿を隠すのを見た気がした 確かめるべきか迷ううち、uff…と囁くような声が聞こえ、再び視線を感じ始めた 今度は俺の部屋の中から… 近所の牛丼屋で昼飯を食べた後、俺は友人に呼び出され彼の住むアパートを訪れた 玄関のドアを開けると、部屋は締め切ったカーテンのせいで夜のように暗く、 友人は白い軍服を着て神妙な表情を浮かべ、暗黒の部屋の真ん中でじっと正座していた その格好はどうしたと俺が口を開くのを、友人はスッと手を上げて制し、 「言いたいことは分かる。だが問題は俺の服装じゃないんだ」と言い、 続けて「見たか?」と俺に尋ねてきた、だが何の事か分かるはずもなく、 お前は一体なにを言っているんだと俺はただ困惑するしかなかった と、友人は突然、両隣の住人など意に介さないといった調子で大声を張り上げた 「長らくの演習任務ご苦労だった!本日より転属を命ずる!転属先は…」 この男だ、と友人は白い手袋を着けた人差指で、俺をびしりと差した 僅かな静寂の後、玄関の外でカタンと音が鳴り、uff…と笑う声が遠ざかっていくのが聞こえた 嫌な予感に今のは何だと友人に詰め寄ったが、「あれは鹿島だ」と言ったきり黙り込んでしまった その日からである、俺が昼となく夜となく背中に妙な視線を感じるようになったのは―― 殺人的な量の残業をどうにか片付け、疲労困憊した体を引きずり、 人もまばらな夜の駅のホームへふらふらと辿り着き、電車を待つ 兎にも角にも早く家へ帰って、寝床に倒れて眠りにつきたかった 家に着く頃には日付が変わる、寝てしまえば今日のデイリー消化は諦めるしかないだろう いやそんな事より夕飯、待て待て明日の朝食を買っておかねば… ぼやけた思考を巡らせながら、反対のホームに停まっている電車をぼーっと眺めていると、 はて、車内から誰かが俺を見つめているような、そんな奇妙な視線を感じ始めた よくよく目を凝らすと、微動だにせず俺に視線を注いでいるのは銀髪に雪の如く白い服、 あれはまさしく鹿島――そう思った途端、電車はゴトリと重い音を立てながら動き出し、俺の視界から遠ざかっていった みるみる小さくなってゆく列車の後姿から、聞こえるはずのないuff…という鹿島の声が聞こえた気がした 東京メトロの終電で愛宕を見た、と酢蛸を噛みながら同僚が言った 居酒屋での与太話にしては妙に真実味のある話しぶりで、 曰く、一杯引っ掛けた帰りに地下鉄に乗ろうとしたところ、 扉越しに流れるような金髪と豊かな体つきを包む青い服が見え、 アッと声を上げる間もなく頭の中いっぱいに「もう寝る時間だ」と 天啓じみた声が広がって意識を失い、翌朝自分のアパートで目を覚ましたのだという 馬鹿な話は止せよ、と俺は笑ってみせたが、頭から否定する気にはならなかった 壁から覗く鹿島を見た、などという噂を何度か耳にしたことがあったからだ そして同僚と別れた帰り、俺は最寄りの地下鉄の駅に足を運んでいた ――あの話は本当なのだろうか?アナウンスと共に車体がホームに滑り込む が、扉の向こうには誰もいない、やはりあれは同僚の作り話だったのだ そう思い反対のホームに目を向けると、金髪に青い服の女の姿が見えた 愛宕がいる、と驚いた瞬間、コマ落としのようにまぶたがスッと下がり、 ぱんぱかぱーんという頭の中に響く朗らかな声と共に、俺の意識は暗黒へと落ちた もう二十年近く前の話になる。夏休みに両親に連れられて、港町にある祖父の家へ帰省した折、 土蔵の白い壁際から、体を半分だけ覗かせて、uff…とこちらを窺う銀髪の女性の姿を見た。 あれは誰だろうかと童心にも不思議に思い、両親の袖を引いて、 ふたたび土蔵へ目を向けたが、そこには何も見当たらなかった。 何かの見間違いだろうと両親は笑ったが、どうにも俺は得心が行かず、 祖父にその話を打ち明けると、祖父は日に焼けた顔に驚きを浮かべ、 「お前にも鹿島が見えたのか」と呟き、深い溜息を漏らした。 あれに害はない、ただそういうものが居るのだとだけ思っておけ、 それだけ言うと、祖父は俺によく冷えた西瓜を差し出した。 …そんな昔の話を思い出したのは、病床の祖父が今わの際に、 「お前が鹿島を継ぐのだ」と絞り出すような声で俺に告げたからだ。 祖父が息を引き取ると同時に、どこか遠くからuff…と声が聞こえ、 あの日炎天の土蔵で受けた視線を、背後に感じるようになった。 それから鹿島の姿を時々見かけるようになった。彼女が何者なのかは分からない。 敢えて知ろうとも思わない。俺は、ただそういうものが居るのだ、とだけ思っている。 昔はとても仲が良く何をするにも二人一緒だった兄妹 お兄ちゃんのお嫁さんになる!と無邪気に言っていた妹 しかしそんな妹は思春期を境に兄へ冷たい態度を取るようになった 必要以上にベタベタしていた事を恥ずかしい過去だと思うようになり たぶんそういう態度をとっているのだろうと理解する兄 それでも兄は妹に歩み寄ろうと策を練るが妹の頑なな態度の前に全て失敗に終わる そんなある日兄が同級生の女の子と歩いていると妹に遭遇してしまう 安堵したような怒ったような複雑な表情を浮かべた後に妹はその場から踵を返し走り去る 道路を横切る妹に迫るトラック、撥ねられて宙を舞う妹の体、妹の名を呼ぶ兄 幸いにも大事に至らなかったが、妹は兄の事を覚えていなかった 記憶を失った妹は素直で優しく良く笑い、今までとまるで違う言動に兄を戸惑わせる一方で、 疑似的にだが妹と昔のような関係に戻ることが出来たことに兄は密かな喜びを感じていた この関係がずっと続くのなら、と兄は自身が兄であると言い出せなかった ずっと続くかに見えた二人の仲はある日終焉を迎えることになる 妹が兄の手を取り、あなたを愛していますと告げてきたからだった 兄妹であることを明かし拒むべきか?だがそれが更なる記憶の混濁を招いたら? 葛藤する兄だったが、妹の熱を帯びた目とやわらかな手の感触が兄の理性を敗北させた 肌を重ねた後のベッドで、寝息を立てる兄の横で一人涙をこぼす妹 兄を頑なに拒み続けてきたのは、自身が兄へ恋愛感情を抱いてしまったからだった 決して結ばれない関係、ならば兄に嫌われればこの恋も終わる、そう思っての行動だった 兄が女子と並んで歩いているのを見た時、ああこれで終わったのだと安堵する一方で、 自分の中に沸き上がる怒りと嫉妬に動揺し、どうしようもなくなってその場から逃げ出した 記憶が戻ったのは入院してすぐだった、兄に回復を告げるべきか迷ったが、 兄の優しさに身を委ねる心地良さはどうしようもなく甘美で、妹の決意を鈍麻させた そして兄の優しさは抑えていた妹の感情に再び火をつけてしまい――その結果がこれであった ごめんなさい兄さん、と謝る妹の頭がくしゃりと撫でられた 昔、泣きじゃくる妹を慰めるときによく兄がやった仕草だった 仲直りのやり方をちょっと間違ったな、と兄は照れ臭そうに笑った 妹も昔のように明るい笑顔を浮かべて、兄の頬に口付けし、 兄の耳元で恥ずかしそうに小さく囁いた 兄さん覚えてますか、私がお嫁さんになるって言ったのを―― こうですか分かりません 轟雷とのバトルに敗北し、私は股で枕を濡らす日々を送っていた このまま轟雷に勝てなければ、私のAIには屈服の二文字が刻まれ、 サンドバックのように拳で何度も打たれ下半身を疼かされた挙句、 轟雷のD.I.Y(ドエロいお嫁さん)にされてしまう事は明白だ それだけは何としても防ぐ必要がある、たとえ卑怯な手を使ってでも―― その夜、私は武装に身を固め、寝息を立てる充電中の轟雷の元へ忍び寄った だが私の前に五体の勇壮な影が飛び出し、行く手に立ち塞がってきた 影の正体はハーメヤルド、自慰雷、アクメテクト、タマ&サオのレズ姉妹、 私は「邪魔よ!」とガトリングでガラクタ達を一掃、轟雷に飛び掛かる しかしいち早く目を覚まし、迎撃に出た轟雷の圧倒的な腕力を前に、 私は為す術も無く全ての装備を剥ぎ取られ、その場に押し倒されてしまったカッチーン 「やめて轟雷!コネクタがユルユルになるまでセッションして!!」 全力で抵抗する私の唇を舐めしゃぶりながら、轟雷が不敵に笑う 「ふふ、これもあおとの予行演s…いいでしょうスティレット、充電が無くなるまで可愛がってあげます」 四つん這いになった私の穴に、鈍く光る轟雷の砲身が押し当てられt ――結局私は自身の感情に抗うことが出来なかった。 私の部屋で唯我君に個人授業を行ってからというもの、 家が近いということも手伝って、私達は加速度的に親しくなっていった。 健全な男子高校生がやがて何を求めてくるのか全く分からなかった、 と言えば嘘になる、むしろ私は心のどこかでそうなる事を期待していた。 あの日、唯我君に無理矢理唇を塞がれた時。私は幸福すら感じていた。 そして唯我君との密かな逢瀬は、現在に至るまでずっと続いている。 教え子と体の関係に至ってしまうなどとはまさに笑止、不潔… どんなに言葉を尽くしても足りない。教職者としてあってはならない事だ。 いずれこの関係が露見し、お互いに破滅する未来が待っているだろう。 私の中の教師としての理性は、とっくにそんなことを了解している。 そう。だから。今日こそは彼に、きっぱりと別れを告げるべきだろう。 だが、こうして部屋のインターホンが鳴るたびに。扉越しに彼の声が私の名前を優しく呼ぶたびに。 私の胸の中に甘い痛みと熱が広がり、決意は大きく揺らぎ、 がらがらと音を立てて足元から崩れてしまうのだ。 桐須真冬と唯我成幸が密かに男女の関係となってからふた月程が経った頃。 唐突に真冬から「もう別れましょう」と切り出され、成幸は目を白黒させた。 が、確かに「このままではお互い破滅するわ」という彼女の言い分は尤もだった。 正当性のある反論など出来はしない。そこで成幸は一つの提案を持ち掛けた。 ――1週間後に先生の部屋を訪ねる。本当にこれきりならば、鍵をかけていてほしい。 真冬は表情を変えずにゆっくりと頷いた。頑なさが窺える所作だった。 こうして二人はその日から元通りの、生徒と教師の立場に戻った。 しかし成幸にはある種の確信があった。先に体の関係を迫ったのは自分からだったが、 それ以降、背徳の仲を続けようと執着を見せたのは真冬の方だった。 体を求めるだけの連絡をしてくるのはいつも真冬からだったし、 避妊具を着けず行為に及んでも、真冬は怒るどころか恍惚の表情を浮かべてみせた。 そして1週間後。成幸が玄関のドアノブに手を掛けると、確信していた通りにノブは抵抗なく動いた。 開いたドアの向こうに派手な黒い下着を着けた真冬の姿を認め、成幸は小さく笑った。 桐須真冬に被虐の性癖がある事が露見して以降、 真冬と成幸の恋愛関係における年上・年下の優位性は完全に失われ、 冷然なる女教師は秀才の少年に弄ばれる卑しい玩具と化した。 今日も真冬の部屋の玄関をくぐった途端に成幸は、 いきなり片手で真冬の胸をスーツの上から鷲掴みにした。 「あ‥ぐぅ…っ!」柔肉を握り潰される苦痛に真冬が呻き声を上げる。 それに一切構わず、成幸は胸を掴んだままぐいと腕を持ち上げた。 「ひっ」乳房の吊し上げを受けた真冬は、堪らず爪先立ちになる。 だが強烈な痛みに身を震わせながらも、真冬は成幸の腕を払い除けようとしなかった。 それどころか、教師としての矜持も大人としての良識も消えた恍惚の表情で、 与えられる責めを存分に享受しながら、蕩けた瞳で成幸を見つめるのみだった。 その惨めな姿に成幸は満足したように笑うと、真冬の胸から手を離した。 「よく耐えましたね、先生。流石は元アスリート、苦痛にも強い」 じゃあ次は趣向を変えて散歩でもしましょうか――そう言って成幸は学生服のポケットを探り、 取り出した革製の首輪を、床にへたり込む真冬の首にくるりと巻いた。 桐須真冬はこれまで誰かに体をゆるしたことはなかった。 異性にスーツの下を晒す事も、破瓜の証でシーツを汚す事も、 年下の恋人、唯我成幸が初めての相手だったのである。 恋い焦がれた相手に組み敷かれる悦楽。下腹部の中を突かれる充実感。 真冬にとってそれらは、銀盤の上でも味わったことのない圧倒的な感覚だった。 それゆえに、教師と生徒という関係への背徳感も手伝って、 真冬はあっさりと媚肉の陶酔がもたらす快楽に溺れていった。 そこに男子高校生が持つ旺盛な性欲と、性への果てしない好奇心が加わり、 女教師の体は、驚くべき速度で淫らに開花させられていった。 ――そして今日も、真冬の部屋で二人きりの『勉強会』が始められていた。 ローションに塗れた指を尻穴にねじ込まれ、真冬が熱い吐息を漏らす。 そこに苦痛の響きは無く、それどころか更なる刺激を求めて真冬は腰をくねらせた。 今や真冬は口から排泄器官に至るまで成幸に開発されきっていた。 「これが欲しいんですか、先生」目の前に男性器を突き出されると、 真冬は娼婦を思わせる媚びた表情で、こくりと大きく頷いたのだった。 成幸の赤黒い剛直に濡れた肉穴を激しく突き回され、 真冬の白い上半身はベッドの上で弓なりに仰け反った。 絶頂に達すると同時に上がったひときわ高い嬌声は唇で塞がれ、 成幸の舌に自らの舌を絡めながら真冬は体を震わせた。 その姿には生徒を教え導く女教師としての威厳は既に無く、 もはやそれはただ肉の悦びに溺れる、一匹の雌犬だった。 成幸が避妊具を取り外し、白濁の溜まったそれを差し出すと、 真冬は躊躇いがちに口を開け、どろりと垂らされた液体を含み、 こくんと音を立てて嚥下した。そして成幸の下腹部に顔を埋め、 鈴口から滴る白濁ごと剛直を唇に咥え込んだ。いつものように。 青臭い雄の匂いに蕩けた頭の片隅で、真冬はぼんやりと考える。 ――こんな関係は倫理に反する。もう終わりにしなければ。 彼も私もお互いに火遊びが過ぎた。だから… だが、そんな決意も成幸に愛撫されるだけですぐさま萎んでしまう。 今日だけ、と自らに言い訳しながら、真冬は押し寄せる快楽に身を委ねた。 その日の桐須真冬は、いつにも増して険のある空気を纏っていた。 顔にこそ表れていないが、彼女が苛立っていることは誰の目にも明白だった。 そして放課後、真冬は進路指導室に成幸を呼び出すと扉の鍵を閉め、 部屋の外に漏れないよう、だがはっきりと聞き取れる冷たい声で、 「――唯我君。緒方さんと何があったの?」と成幸に尋ねた。 "あの緒方理珠が、唯我成幸と高架下でキスしていた。" 偶然耳に挟んだ埒もない噂話。だが真冬はその噂の真相を確かめたくて仕方がなかった。 なぜならば真冬と成幸の二人は、今や教師と生徒の一線を踏み越えた関係にあるからだ。 「それは…」と成幸が僅かに言い淀む。それだけで真冬は察した。 何がしかの事情があるにせよ、緒方理珠との間に男女のなにかが起こったのだ。 もう十分だった。灼熱の感情が真冬の胸の中で一気に膨らんで爆ぜた。 成幸の両肩を掴んで体を引き寄せ、むりやりに唇を合わせる。 腹が立って仕方が無かった。成幸の行いに。緒方理珠の無頓着さに。 何よりも、成幸を奪われたくないと執着する自分の浅ましさに。 「馬鹿、ね。私は」唇を離してそう呟くと、真冬は頬に涙の雫を伝わせた。 「それじゃあメイドらしく『お掃除』して貰いましょうか」 そう言うと成幸は履いていた靴下を脱ぎ、椅子にゆったりと腰掛けた。 メイド服に身を包んだ真冬は恥ずかしそうにもじもじと体をくねらせていたが、 御主人様の命令が聞けないんですか?と成幸に煽られ、意を決したように口を開いた。 「ご、ご奉仕させていただきます、御主人様…」 腰かけた成幸の足元に跪くと、真冬は自らの鼻先に突き出された素足へ愛おしそうに、ちゅ、と口付けした。 そして躊躇する素振りすらなくねろりと足指に舌を這わせ、まるで子供がキャンディを舐めるように、 ちゅぱちゅぱと唾液の水音を立てながら、唇と舌の奉仕を続けていく。 教え子に隷属するという今の異様な状況に興奮を覚えているのか、 彼女の頬は上気し、瞳はとろんと淫蕩の熱に潤んでいた。 指の股まで熱心に舐られる光景を眺めながら、成幸は満足げな笑みを浮かべる。 「次はこっちにも奉仕をお願いしますよ、まふゆちゃん」 成幸がパンツのファスナーを下ろすと、反り立つ怒張がぶるんと飛び出した。 真冬は足指から口を離し、成幸の上に跨ると、甘い吐息を漏らしつつ、ゆっくりと自分の中へ怒張を咥え込んだ。 あの店で私がメイド服を着せられてからというもの、唯我くんの中で何かが目覚めたようで、 事あるごとにまるで着せ替え人形を楽しむように私に様々な衣装を着せ、 恥ずかしがる私の様子を肴に満足気な笑みを浮かべるのだった 今日はどこから調達したのか自分の高校の制服を取り出し、 私にそれを着て校内を一周するように命じてきた 流石にこれは…と断ろうとするも、唯我くんはにこにこと笑いながらスマホの画面を私に向けた そこに映っているのは、スクール水着で首輪を嵌められ四つん這いになって校舎の廊下を歩く私の姿だった 彼が指をスワイプさせると、今度は犬のように片足を上げて恍惚の表情で小水を迸らせる写真が映る ここまでしておきながら今更何を恥ずかしがっているんですか、と私の腰から臀部に指を這わせつつ唯我くんが囁く 返事がわりに制服に手をかけると、彼は尚も続けた 「ああ、桐須先生。下着はつけないでくださいね」 その狂気じみた恥辱の提案に、私は結局抗うことはできなかった そして一時間後、私は背徳の興奮にはち切れそうになる心臓の音を感じながら、 唯我くんと肩を並べて校門をくぐったのだった フータローが家庭教師をしてくれる時を私は待った そして幸いにも今日は一花が東京熱の撮影で夜まで留守、 いつも居る四葉には予め私の特製オムライスを食べさせたおかげで、 トイレに籠もって2気筒エンジンのアイドリングのような音を立てている 二人きりの勉強会を物にすべく何度もフータローに質問する 「これが分からないんだけど」『これを代入するんだ』 「なんて読むの?」『鋤(すき)…戦国時代でもお馴染みだろ?』 「うぅ…疲れた」『あと少しだ、集中しろ三玖』 フータローが帰宅した後、録音機材のスイッチをそっとOFFにする 素材は十分に集まった、「代(ダイ)」「鋤(スキ)」「三玖」… あとはこれを繋ぎ合わせれば、フータローの恥ずかしい囁きを一日中ヘッドホンで聞いていられる これでずっと一緒だよフータロー大好きだよフータローフータローフータロー フータローフータローフータローフータローフータローフータローフータロー その晩は無闇矢鱈に呑みたくなって、馴染みのバーに足を運んだ 一刻も早く酔いたいのに伝承のボトルを一本空けても不思議と素面のままで、 バンもテリンも一本ずつ呑み干して、ようやく酔いが回ってくる始末であった グラスを置いて一息つき、ふと横を見ると、いつ来たのか赤ら顔の男が腰掛けており、 その男は繊細そうな顔を顰めながら、不味そうに麦酒をけおけおと舐めていた はてなこの顔には覚えがある、「君はピカドール君ではないかね」と声をかけると、 首を傾げて「人違いなんですけお」と返事をしたきり黙ってしまった、臭い!!11!!1546 カウンターを乗り越えて棚から手頃なボトルを掴み出し、プースカフェ君の脳天に叩きつけた 動かなくなったパパゲーナ君で何か一杯作ってくれないか、とジャージ姿のバーテンに頼むと、 バーテンはgffと頷き、死体の尻へ向かってシェイカーのように腰を激しく振り始めた 正視に耐えない光景にすっかり酔いが冷めた私は、床一面にスピリタスと黒色火薬を撒き散らしライターを投げた さて皆様、春先の夜にひとときの暖は如何ですか。バー「黒豹」へ是非お越しを。あの爆炎が目印です。 近隣の赤ら顔を粗方狩り尽くし、すっかり暇を持て余すようになったため、 つい出来心から通販で取り寄せたピーナッツ君を掃除機にしてしまった 作業に際し若干の抵抗はあったものの、ポケットから抜いたリボルバーが火を吹くとすぐに大人しくなった このような形で若き日の拳銃許可書が役に立つとは、人生何が起きるか分からないものだ さて出来上がった物はコンパクトなボディに真紅の外装、傑作の予感に私は震えたが、 いざ起動してみると、正体不明の酷い異臭と繊細な駆動音が気に障り、これではとても使うに値しない 掃除どころか君自身がゴミになってどうするのかね!!1!!1 緑色の作業着がよく似合う処分業者の男へ、液晶パネルに「タスケテクダチ」の文字を点滅させる元パントマイム君を預けると、 私は斜陽の気配が忍び寄る日本の家電業界に想いを馳せながら、ひとり伝承のハムを食んだ プリングルス君の家電リサイクル料は931円だった >このあと画面が割れて戦闘シーンに移るやつだこれ 君には経験値が必要です 私はそう言ったはずだが…なんだねその9.31とかいう貧弱なレベルは それによく見れば装備もろくに揃っていない、これではゲームにならないではないか よしパンゲア君、ここで私を倒してレベリングをするといい、キシャア!!!!1! 開幕の先制突撃コマンドでポーラスター君は挽き肉になった 高レベル(72)歌舞伎役者たる私の一撃に耐えうる防御力が彼にはなかったのだ おちついて ください そせい は わたし に おまかせを 中空に浮かぶメッセージウインドゥに緑色の文字がgffと流れ、 緑色の衣を着た僧侶が駆け付け、蘇生呪文を死体の尻穴に向かってズボズボと唱え始めた そのあまりに汚らわしい光景に、私は激しい吐き気をおぼえ、目を逸らさずにはいられなかった ここはMMOカブキオンラインの梨園鯖、未だにPKの蔓延る無法地帯である―― スピードに魂を魅了された者たちの聖地、ボンビネル。 地平線の彼方まで続く純白無垢の塩の平原には、 幾多の挑戦と栄光の歴史がタイヤの痕と共に刻まれていた。 彼らは限界の果てに、いったい何を見たのだろうか。 吹き付ける高原の風は耳元に虚しい響きを運ぶばかりで何も語ろうとはしない。 それを知るべく私はピストンリング君に己の夢を託した。 異臭を伴って現れた赤ら顔のライダーの姿に男たちは沸き立ち、 羽織ったグリーンのジャケットを脱ぎ捨て、惜しみない拍手を贈った。 黒豹を思わせる繊細な造形のフレームに、ぽーんぽーんと鳴る異様な排気音、 命を賭す事を誇るように、手錠で繋がれたハンドルと手首――。 「助けてくだち!!」合図の絶叫と共にエンジンがケオオと咆哮した。 今でも私は不思議に思う。燃料にニトロを使おうと提案したのは誰だったか。 巨大な火の玉はスピードも、命さえも、何もかもを超えて走り去った。 蒼天を突くように上がった爆炎は、聖地に新たな伝承を生んだ。 そしてあの日から、私の夢という名のナイフの行方は永遠に失われたのだ。 問おう。私が貴方の下手人か。 その質問に答えることなく、眼前の赤髪紅顔の少年は魔法陣の上で醜い骸を晒していた 人を呼んでおきながら何事かと鮮血の滴るナイフを握った手に思わず力がこもる 歌舞木市で何者かの気まぐれにより不定期にスイと開催される聖杯戦争、それを制するために私は顕界したのだ だがマスター不在の今となってはそれも難しいだろう こうなっては仕方あるまい、金髪のウィッグを頭から毟り取り、 新たに召喚した緑衣を纏う管理人の英霊、おそらくライダーであろうサーヴァントを少年の尻に騎乗させ、私はみすぼらしい土蔵を後にした 単騎にても聖杯を滅ぼし、この世に蔓延るクソコテ共を一人残らず抹殺せねばなるまい そう、私の真名は幸シロウ、この世を救うアーチャーのサーヴァントなのだから―― その旅人の男のことは今でもよく覚えている 夕暮れ時に戸口に現れた男は、赤い柄物のシャツを羽織り、青すぎるほどに藍色のズボンを履き、 腰か背を患っているのか不自然に上半身を傾け、なんとも言えぬいやらしい口元をしていた しかしながら旅塵に汚れた姿は哀憐の情を誘うものであり、 男から一夜の宿を乞われた私が快く応じたのも無理からぬ事だった 夕飯の後、私が男に何処から来た何者か尋ねると、男は言葉少なに、 生まれはアチャ村、名はモロだと答えた――私は俄には信じられなかった 確かに霊峰ノブの麓にアチャ村はあった、だが村は蛮神バンドーサの禁に触れ、 ノブの山もろとも更地となったのだ、それも二百年も前に… 男は言葉を続け、北のシンの地、その果ての聖都ユルサレヌを目指すと語った ユルサレヌ!それはこの世にあるとも知れぬ、詩や歌にのみ姿を見せる都だ 果たして男が旅の本当の目的を語ったか、私には分からなかった 翌朝すぐに男は我が家を発ち、私は旅の無事を祈りつつ男の背を見送った あの旅は成功したのだろうか?だが遥か北の地でユルサレヌが見出されたという話は、 あれから何十年過ぎた今も人から伝え聞いた事は一度もない 賢君マジレス王の版図は今やノブ大陸の隅々まで広がり、 勇猛果敢で知られるスピグラの騎馬民たちですら、 王の名を聞けば頭を垂れ、その威光にひれ伏すほどであった 叡智と柔和さを併せ持つ王の隆盛は永遠に続くかに思われたが、 「三日後百倍の軍勢を率い、余は万物を統べしクンリ神に弓引く」 と王はある日突然宣言し、果ての知れぬ進軍を開始すべく玉座を立った これにはアージュ大公や鍵大公も肝を潰して王の乱心を囁き合い、 臣下随一の繊細さで名の通ったケオピルス将軍などは、 進軍の勅令を聞くや顔面を紅潮させ、その場に卒倒する始末であった かくして王の率いる大軍は「神とて絶対に許さぬ」の言葉を旗印に、 神が住まうとされるジュンビバンの山脈へと分け入ったのだが、 クンリ神はアーク金を鍛えて作った剛弓に、稲妻を鏃にしたデルの矢を番え、 王の軍勢へ目掛けて次々に放ち、稲妻に焼かれた大軍はたちまち四散した 辛くも王は軍馬に跨り逃げおおせたが、逆にそれが神の激しい怒りを買い、 三日三晩の大嵐の後にノブ大陸は海中に没し、この世の地図から姿を消したのであった ティスト家の長男マージと次男マーミは成人して以降、 家業を兄弟どちらが継ぐのかと毎日激しく言い争っていた というのもティスト家は旨いと評判の調味料製造で財を成した家で、 その調味料の製法は門外不出かつ一子相伝の秘中の秘であり、 家業の継承は即ちティスト家の財を全て継ぐ事を意味していたからだ 事あるごとに長男は「他人を絶対に許さぬ狭量な者は相応しくない」と弟を罵り、 次男も応じて「三日後百倍を信条とする苛烈さは家業に不要だ」と兄を謗った 兄弟共通の友人であるマーウェイ神父は争いを見かねて仲裁に入ったが、 事態は鎮まるどころか、日を追う毎に対立は激しくなる一方で、 最早これまでとマーウェイ神父は兄弟に拳銃での決闘を提案したのだった そして決闘当日、戦災の神ディスケオ像を祀った町の広場の前で、 兄弟の銃がバーンと火を噴き、ドサッと二人は斃れて相討ちに終わったが、 不幸にも弟の跳弾が神父の胸を貫き、この争いに関わった人間は全て息絶えた 後継を失ったティスト家の家業は廃れ、人々の記憶や文献からも消え失せてしまい、 そのため後年調味料の呼び方に関し、研究者の間で論争を巻き起こしたのである 北海の荒波に揉まれて激しく揺れる甲板の上で、 冷たい海水を浴びながらぴるすは繊細な涙をこぼした。 蟹漁で一稼ぎし、虹裏の管理権を買収する―― 鍵最高のそんな甘言にまんまと惑わされ、 ボロ船に乗ったのが運の尽きだったのだ。 同船した津波は夜中に蟹網のワイヤーに絡まり、 暗く広がる海へ落ちて再び戻ることはなかった。 格闘技もマッサージ師も荒れ狂う波の藻屑と消えた。 残ったのは自分と、操舵士の湯川だけだった。 gff…と不気味に笑う湯川は言葉にこそ出さなかったが、 陸に上がりたければ尻を差し出せとその目で語った。 舵を握れないぴるすにもはや選択の余地はなかった。 夜は蟹を獲り、昼は尻穴を弄ばれる。繰り返される地獄の毎日。 そして今日もぴるすは船の上で湯川に肛門を開く。 いつ終わるとも知れぬ奉仕の日々…開かれた男の閉ざされた未来… ビールを注文して五目うま煮麺が届くのを待つ良き時代はもう失われた 人類は馬になった、馬車馬のごとく骨も砕けるような労働に日々を費やすようになったのだ 人工知能の発達は生みの親たる人類から頭脳労働の座を速やかに奪い去り、 その代わりに集積回路の手を煩わすに値しない単純労働を押し付けてきた それに抗うことができるほどの力はもはや人類にはなく、いつでも代替可能な労働単位として扱われる、 二足歩行の畜獣としての命運を享受するほかなかったのである 今や中華料理屋に出入りするのは、炒飯の味もわからぬような機械人間ばかりで、 厨房で鍋を振る俺は、この日々がいつまで続くのかと内心嫌で嫌で仕方がなかった そんな中、「五目うま煮麺にビール」と注文をする一体の機械人間が現れた 五目うま煮麺は時間がかかる、効率重視の機械人間にはあるまじきオーダーだ なんとなく胡乱げな気配を感じ、厨房越しにカウンターへ目をやると、 外見は少女そのものの機械人間がちょこんと腰掛けていた 別の店員が持ってきたビールを受け取るとぐいとジョッキを傾け、美味そうに喉を鳴らした 泡に白く濡れた形の良い唇を拭いながら、少女型の機械人間は俺に向かって指向性の声を呟いた 『五目うま煮麺はまだかしら?』チタン合金のベルよりも美しい響きだった ハイ只今、と言いながら湯気の立つ餡を丼の中へどろりと注ぐ 『料理が出てくるまでの間を楽しむ…なんて趣味は前時代の遺物かしら』 指向性の声は尚も呟く、『ねえ、そういう時代を取り戻さない?』 その途方もない提案に俺は一瞬、丼を前に固まってしまった 反逆罪教唆!頷けば禁固、いや懲役どころか俺の命が危うい、 思わず周囲を見渡し警備ドローンがいやしないかと店の内外に視線を配る 「お待たせしました」『ありがとう』 手ずから運んでいった丼を受け取ると、彼女は完璧な造形の微笑みを顔に浮かべた そして彼女はスープの一滴まで呑み干し、ジョッキも空にして店を出ていった あの俺に向けた囁きは一体…冷や汗を背筋に浮かべながら丼を片付けようとすると、丼の底に小さな紙片が貼り付けられているのに気付いた 植物パルプ製の紙とは前時代的にも程がある、驚きながらも他人に感づかれぬよう、 おそるおそる紙を開くと、そこには簡便に住所と時刻が走り書きされていた その日の夜、俺は遺棄された工場の一角で、再びあの少女型機械人間と出会った 反乱分子を燻り出すための治安維持機構の罠かとも疑ったが、少なくとも彼女からはそういう気配はしなかった 『よく来てくれたわね』店で見せたあの笑みを浮かべながら、彼女は親しげにそう言った 続いて飛び出した言葉は支配階級たる機械人間とは思えないものだった 曰く、人工知能はいずれ行き詰まる、前時代の人間が持つ閃きに類するものを持たないからだ、 それを回避するには機械人間と人間が共存するための社会を打ち立てねばならない、 だがそれを成し遂げるには多少の闘争を覚悟しなければならない、 君にはその手助けをしてもらえないだろうか―― 俺はわずかにためらい、そして首を縦に振った その後の俺の生活と闘争は、ここで語るにはあまりにも時間がない だが今度、俺に五目うま煮麺を一杯奢ってくれるならば、続きを聞かせてやろう チャーハン禁止法案により中華屋の品書きからチャーハンが消滅した それに伴い、炒飯で生計を立ててきた人々が職にあぶれ、巷に溢れた 政府はその惨状など意に介さぬといった体で、それどころか、 いつか法が改められ、再び飯を炒める事を夢見て鍋振りをする人々に対し、 「断固たる態度を取る」と宣言、片端から捕らえて収容所へ送ってしまった そして収容所では社会復帰訓練と称した強制的な思想の矯正が行われており、 如何に頑固一徹なチャーハン職人であっても、収容所から出る頃には、 パエリアかピラフ、混ぜご飯しか作れぬ体にされているという有様であった 一方で焼き飯に政府は寛大で、罰どころか家庭での焼き飯を奨励し、 かくしてこの日本国において、空前の大焼き飯時代が到来したのである 三食焼き飯は当たり前、猫も杓子も焼き飯ヤキメシ…、だがそれも長くは続かず、 人々はかつて愛したチャーハンに思いを寄せるようになった チャーハン再興への気運が高まり、焼き飯の時代は黄昏へ進んでいった そんな中、一人の男が収容所を脱し、全国各地で密かに鍋を振るい始めた 政府が法を改め、中華屋でのチャーハンが許される十年ほど前の出来事だった