気丈な視線は、ただ滑稽さしかもたらさなかった。列席者は失笑を堪えるのにも苦労して、 場内にはどこともつかぬ笑い声がくすくすと、絶えることなく漂っている。 かつん、かつんと酒杯の縁に氷の角の当たる音が響き、声の冷たさだけが増していく。 彼らはありきたりの見世物などには飽いているのだ――女一人が己の腕程度の巨根にて、 二穴をほじくり返された程度では、瓶一つ空くことはない。 そんなものは――いくらでもあるし、どこにだってある。彼らの手持ちの玩具にだって。 その女が、行為の最中ずっと、憎悪と憤怒にまみれた視線を向けてきたところで、 尻穴の皺まですっかり丸見えの状態では、やはり格好はつかないのである。 にも関わらず、彼らが根気強く彼女の破瓜から今までを見守り続けてきたのは、 その美貌と均整のとれた肢体が無残にも破壊されゆく様を見届けたいからではなかったか。 娼婦星にもそうはいないような金の髪――地球人種の一種であることを示す白い肌、碧い瞳。 それらがいかに珍しくあったとしても、遺伝子を組み変えて再現するのは難しくなかった―― いや、彼らの種族の進化の歴史を改めて辿り直し、“本物”として作ることさえ可能である。 そんなものが使い潰されるだけの茶番に、ここにいるような連中はわざわざ付き合うまい。 もはや内と外との区別も曖昧なぐらいに押し拡げられ、開きっぱなしの尻穴から性器が抜かれる。 そして彼女を犯していた大柄な男は、遊び飽きた玩具を床に投げ捨てでもするかのように、 乱暴に掴んでいた金髪から指を離し――重たい音を立てて、転がす。 女の足腰はがくがく震え、四つん這いの体勢ですら維持するのが困難であるらしく、 みっちりと肉のついた安産型の尻の――尻たぶに隠されてなお無残に覗く直腸の下端を、 観客の前に晒してしまっている。そこから、出されたばかりの精の塊がぼとん、ぼとんと落ち、 そのたびに、屈辱に打ち震える呻きの聞こえるのが、なおさら彼らの目を喜ばせるのだった。 ようやく肘が彼女の上半身を支えられる程度の力を取り戻したところで、 ちょうど、高々と振り上げられていた平手が流星のように尻の上に落ちる。 ぱしぃん、とよく響く音は、聞くものの耳に一層の笑いを届ける――何度も、繰り返し。 赤々と腫れた尻を、男はあたかも労るかのように掌で撫でるのだが、 その動きにもまた、会場のあちこちからの反応が飛んでくる。 ただ一人、尻を打ち叩かれた彼女だけが笑いもなく歯を食い縛って耐えているものの、 そうして一方的に嬲られているという事実そのものが、彼女の立場を如実に示すのである。 男の指は、まだ手型の残る尻肉を撫で回したのち――腿の方、股間の付け根へと降りていく。 いまだ四つん這いの女は、彼に尻を向けたまま床に突っ伏して表情を隠そうとするものの、 男の指が陰唇をなぞり――先ほどの仕打ちによって膣内がとろとろに蕩けた証拠を見つけると、 耳の先まで真っ赤にして、自分自身の肉体の浅ましさを否定するかのように頭を振る。 けれども指にまとわりつく粘液は、確かに彼女の性器から分泌されたものであり、 尻を叩かれ――“次”を示唆されることによって、自然に期待し、濡れてしまう肉体へと、 この女が躾けられてしまっていることを、何よりも雄弁に語っていた。 そして男は――彼女の首輪とつながる鎖の端を、じゃらじゃら音を立てながら引く。 ぷぴゅ、と間抜けに腟分泌液の一筋が尻肉を割るように噴いて床に落ちた。 処女喪失から仕込まれ続けた彼女の肉体は、鎖の音と首を引かれる感触に自動的に反応する。 この後に来るのは――先ほど尻穴を抉ってきた彼の性器を、舌で綺麗にする作業。 男の股間に顔を埋め、束ねた髪の根元を掴まれながら、強引に掃除させられる。 その味にも慣れきってしまった己を恥じながらも、やはり舌だけはちろちろ動いて止まらず、 演目を後へ進めるのに協力してしまうのだ――心から望んだことではないにせよ。 男は相変わらず鎖を握ってはいるが、彼女の舌使いに満足すると、無造作にその頭を撫でる。 するとまた、ぷぴゅ、ぷぴゅ、と雌臭い汁が床を汚す。こうして頭を撫でられた“後”は、 殊更に激しく、彼によって責められることを身体が理解させられているから―― 引き起こされた彼女の身体に、観客たちの視線が嫌というほど集まる―― 息を整えながら、その好色で下卑た視線に、なおも怒りを込めた視線を向けるものの、 客へのそんな非礼を、男は咎めない――所詮一人の女、こんな店の常連たちに何ができようか? 身体を垂直に起こせば、必然的に乳房もその質量に従ってゆっくりとうなだれていく―― だがその軌道は純粋な縦軸ではなく、斜めに逃げるように横軸の回転をも纏っていた。 先端からぽたぽたと垂れるのは――無論、彼女の乳首からこぼれ出した母乳であり、 四つん這いの頃からずっと床に押し付けられていたその先端は、黒々とした下品な光沢を、 甘ったるい白い衣の中に半ば隠していた。そしてまた新たな雫が、 乳房の下端へと、肌をなぞりながら落ちていくのである――とめどなく、幾筋も。 男の指先は、その巨大な乳房に深々と食い込み、中の脂肪を押し潰して乳腺に圧を掛ける。 乳輪の凹凸の一つ一つから、乳が勢いよく噴出しては、それに遅れて、また、ぷぴゅ。 搾った乳を手のひらいっぱいに溜めて乳房そのものに塗り込んでいき、搾り、塗り、搾る。 女の胸は、彼女自身の母乳によっててらてらと艶めかしく光らせていたが、 その上にさらに、留まることのない新たな白い筋が、何度も何度も垂れて落ちていく。 そうして彼女の乳腺を開ききると、男は彼女の腹部――ぱんぱんに張った臨月胎に手を伸ばす。 撫でる――手を広げ、指の中に丸ごと掴み、支配するような手つき。 ぷっくりとした臍は彼の指の節の中に収まってしまいそうなぐらいで、 指に踏み潰されるたびに、女は悲鳴ともつかない声を噛み殺すのであった。 乳を搾られ、腹を撫でられ――彼女の膣口は、既に準備万端、といった調子である。 乳首に負けずと色素を溜め込んだ陰唇はこの男の太く破壊的な性器によって押し潰され続け、 見る影もなく、びらびらと外に逃げて膨らんでいる――それを観客に見せるため、 男は彼女に、しっかりと股を割り開くように命じた――その言葉に、逆らえない。 見られている、という羞恥。これからされることへの、期待。良いようにされている、屈辱。 銀河最強の賞金稼ぎとの異名を取った彼女が、こうしてただの性玩具として―― それ未満の、孕み人形として、下衆どもの暇潰しのためだけに消費されるなどとは。 この生き様に肉体は早々に屈服して卵子を差し出し――凌辱者の子が子宮を占拠し、 望まぬ子を肥え太らせるための母乳を、生産し続けているという事実は受け入れ難いものだ。 だが彼女という存在を象徴していたあの青い全身服は、今や切り裂かれ仕立て直されて、 肘と膝から先だけを包む、長手袋と靴下として生まれ変わっている。 これだけ、肉体の中の雌の部分を引き出され、誇張されてしまった現状では、 彼女の心身が健全に整っていなければ装着できない鳥人族の全身鎧など、望むべくもない。 ほんの少しでも、男からの刺激を加えられた途端――火照り、蕩けてしまう肉体なのだから。 それでも、彼の手の中にある鎖がまた音を立てると――期待に満ち満ちた肉体は、 早く挿入してほしい、奥の奥までを穿ってほしい、と追加の愛液を垂れ流し、雄に媚びる。 股を開いた蹲踞の姿勢のまま、身体を横にくねらせと言われ――その通りにすると、 乳房に掛かったひねりは新たな白い筋を吹かせ、重たい腹を左右にもたもたと振る。 慣性の掛かった腹の動きは、胎動によってさらに不規則な揺れをそこに生み出し、 二人分の体重を支える不安定な爪先は、踏むべき場所を探して何度も前後する。 観客が拡げきられた膣口と尻穴を十分に堪能したとみるや、男は彼女の背後に回って、 ひょい、持ち上げて――いきり立った性器に、彼女を、“落とした”。 一年間、ひたすらに咥え込んできてもなお、男の性器は本来的に彼女にとっては太すぎる。 それを臨月胎に打ち込んでいるのだから、到底、全てが入り切るわけがない。 なのに、そこを強引に、重量を活かしてねじ込んでいるのだから――結果は明らかだ。 女は碧い瞳を大きく見開き、金髪を振り乱しながら、無理だ、やめろと騒ぐ。 当然、その言葉を誰も聞きはしない――却って、抽挿が激しくなるばかりである。 彼女自身が分泌した体液が、凌辱者を自ら奥へと導いているのだから、 口で拒絶したところで、肉体の方は中断することなど望んでいないのは明らかだ。 赤子もまた、自分の通るべき道がこうして“準備”されていることを喜ぶかのように、 下から突き上げられている彼女の腹部を、ぼこぼこと異様な風にも歪ませていく。 ぽっかりと、空いた、穴。凌辱直後の彼女の膣口を形容するには、その他に言葉はない。 そこの奥まで、ぎっちりと詰まった、粘つくような、濃い、精の塊が、 黒と赤の見苦しい光景を、いくらか見れるものには仕立て上げている。 半失神状態の彼女の陰唇を指で摘んで広げ、子宮口までの道のりを見せるまでがいつもの流れ。 ――だが今回は、それだけで終わらない。膣内には、既に羊水もこぼれ出していた。 腿をべったりと濡らし、息を荒げて視線を虚空に泳がせる彼女の内心とは裏腹に、 赤子は外界に這い出るために、内側から頭で子宮口を押し拡げていく。 その痛みに、また思考が輪郭を取り戻す――が、産むための心構えなど、ない。 母体としての責務から逃げようとする女の腹の上に、男の手がまた、降る。 真新しい手形が付き、臍が柑橘類の果汁でも搾るかのように、摘まれ、捻られる。 すると少しずつ、閉じていた子宮口は――快楽に我を失い、ひくついて、緩んでいく―― 女の喉からは、混沌とした感情をそのまま絞り出したような言葉のなりそこないがこぼれる。 観客たちはげらげら笑い――彼女のあまりに不様な出産を、見届けるのであった。 生意気にも銀河の守護者気取りだった女を――ただの雌に貶めた満足感と共に。