二次元裏@ふたば

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47865 B25/02/11(火)23:08:38No.1282238132そうだねx1 00:39頃消えます
「何でこんな日に忘れ物するかなぁ………」

放課後、人のいなくなった校舎の中というのはなんとも寒々しい
結構着こんでるつもりだけど、まるで冷蔵庫の中にでもいるような気分だ

「さっさと回収して帰らないと。なんで携帯とか忘れるかなぁ………」

普段ならやらないようなポカをした後というのは、より哀しい
本当ならもう寮に帰って暖房の効いた室内でマカダミアナッツぽりぽり食べながらハワイのパンフレットでも眺めてたはずなのに
でも流石に一日携帯放置はよろしくない。取りに行かざるを得ない
普通に困るし大事な連絡来ても気づけなかったなんて笑い話にもならない。だからこんな夕暮れも過ぎそうな校舎内を歩くことになってるんだけど

「ううぅ……お腹空いた………って、あれ?」
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
125/02/11(火)23:08:52No.1282238215+
人気のない廊下を歩いていると、その先に人影を発見。薄暗くて誰かわかりにくいけど、これは………

「ソングラインちゃん!!!!!!!!!!!!!!お疲れ様です!!!!!!!!!!!!!!!」

……そう言ってにっこり笑って手を挙げてくる彼女

「………………」
「あれ???????????どうしましたか????????????」
「いや、なんでもない」

頭に?を浮かべてきょとんとして
びっくりというかきょとんとしたいのはこっちだっての
225/02/11(火)23:09:04No.1282238282+
「どうしたんだ、急に」
「さっき校舎の外に居たらソングラインちゃんが入っていくのが見えまして!!!!!!!!!!!こんな時間にどうしたんだろうと思てついてきました!!!!!!!!!!!!!!」
「どうしたもこうしたも、携帯忘れただけだよ。教室行って回収したらすぐ戻るって」

呆れてため息をついて、ちょっと大げさに手振りで答える

「そういうことでしたか!!!!!!!!!!!!!!!!」
「寒いからさっさと回収して帰るぞ」

というわけで、一人お供が増えたけど予定通り教室に向かう
まあ一人も寂しかったしいいか。足音だけがよく響く廊下にも飽きてたし
325/02/11(火)23:09:15No.1282238348+
「お腹空いた……早くご飯にしたい………」
「今日は何ですかね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「……ニンジンゴロゴロポトフだよ」
「今からお腹空いてきました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ぐぎゅるるるるるるると地鳴りみたいな腹の音
はしたないどころじゃないぞ、まったく。というか……うん、だよなぁ
と、そんなこんなしていたら、あっと教室までついた

「よかった、まだ施錠はされてない。早く帰ろう」

あんまり長居はしたくないしな
というわけで、自分の机の中から無事にスマホを回収して、と
念のために連絡が来てないか確認して……うん、大丈夫。これでよし
425/02/11(火)23:09:25No.1282238407+
「さて、帰るか」
「そうしましょう!!!!!!!!!!!!!!!!!」

お供を引き連れるようにして、教室を後にする
あー、これ早く帰らないと真っ暗になる奴だ……お風呂の時間とか考えると走りたいくらい

「そういえばソングラインちゃん、明日併走しませんか!!!!!!!!!!!!!!最近やってないですよね!!!!!!!!!!!!」
「………………この間オーバーワーク気味だからって抑えろ言われたばっかりだろ」
「そうでした!!!!!!!!!!!!!!!」

………まあ、いいか
さっきよりもいっそう薄暗くなった廊下を歩きながら、回収したばかりのスマホで明日の予定を確認する
んー、とりあえず急ぎの用はないしトレーニングも控えないといけないけど、ランニングくらいはしておかないとなぁ
一応、トレーナーさんに確認のメッセージを……よし
525/02/11(火)23:09:42No.1282238516+
「それにしても、まだ暗くなるのが早いなぁ」
「ですね!!!!!!!!!!!!!!まだ寒いし早く春になりませんかね!!!!!!!!!!!」
「春かぁ……ううぅ。お花見の時、またあのフリフリの服着ないといけないのかぁ………」

この間の中古服屋で買った、あのドレスみたいなフリフリの服……ああ、今から気が重い
……いや、別に嫌じゃないんだけどね?時折一人の時に着て鏡の前でじっとしてたりしませんよ?本当ですよ?
汚すといけないから大事にはしてるけどね?そのくらいはね?

「ていうか、まず春の前に雪掻きの心配しないとだよ。また降らないとも限らないし」
「今年は特に冷え込んでますからね!!!!!!!!!!!!あと2,3回はあるんじゃないでしょうか!!!!!!!!!!!!」
「勘弁してくれよ、もう………」

そんな地獄ごめん被りたい。だけど、振ったらやらないといけないしなぁ………
625/02/11(火)23:10:02No.1282238632+
「ソングラインちゃん、早く帰りたいのでしたら近道しませんか!!!!!!!!!!!!!!!!」
「近道?そんなのあったか?」

思わず普通に聞き返してしまう

「時短になる道があるんです!!!!!!!!!!!!!!行きましょう!!!!!!!!!!!!!!」

そう言って彼女は私の先を歩いていく。まあいいか、という感じで着いていくけど本当に大丈夫なのか?
外を見ればもう十分暗くなってきている。早めに帰らないといけないのはそうなんだけど

「こっちって………ほぼほぼ通ったことないぞ」
「あんまり使う人もいないですが確かですよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ならいいけど」
725/02/11(火)23:10:17No.1282238728+
普段全然使わない道だからっていうのもあるけど、暗い校舎内っていうのはどこか独特の雰囲気があってあまり得意じゃない
早く帰りたいんだけど……方角的にはどうなってるんだこれ

「……なあ、本当にこっちであってるのか?なんか方角怪しいけど」
「大丈夫ですよ!!!!!!!!!!!!さあ!!!!!!!!!!!」

………………まあ、予想はしてた、けどさ

「早く帰らないと遅くなっちゃいますよ!!!!!!!!!!!早く………」
「なあ」

そこで、もう『やめた』
足を止め、声ももう『アイツ』に向けるそれとは違うものになって
視線だけは、逸らすことなく
825/02/11(火)23:10:35No.1282238842+
「もう少し付き合ってやろうかと思ったけど、やめだやめ。最初は、なんていうか……動機もわからなかったし、放置してたんだけどさ」

でも、もうダメだ。案内するお前の目に、『悪意』がはっきり見えちゃったから

「そもそも、例の花見の話に食いつかないし、トレーニングの予定も知らないし……挙句、あの食いしん坊がご飯の予定忘れる?ありえないだろ」
「 ソングライン ちゃん 」

それでも、その顔はやめないつもりか
いいよ。もうそれでいい。こっちももう諦めた
大体、これが一番大事なことだけど………
925/02/11(火)23:10:49No.1282238934+
「お前気づかなかったか?私は今日、お前と会ってから一度も……… 『メイケイエール』なんて呼んでないんだよ」

その言葉に、初めて……『コイツ』の顔が歪む
粘土細工が何かにぶつかってしまったように、ぐにゃあ、とでもいう感覚で
やっぱこうなるのかぁ。残念だけど。予想はしてたし
だけどそれでも、湧き上がるものがある
腹の底で、何か熱いものがグラグラと湧き上がる感覚。この感覚を一言で表すなら、きっと

「だからさ。もうお前も諦めろ。ていうか、もう私も限界なんだ。これ以上私の前で………」

怒り、なのだろう

「その顔を、晒すな」
1025/02/11(火)23:11:01No.1282238990+
一歩。また一歩。最後通牒のつもりで、ゆっくり、確実に足を踏み出す
足音だけが暗い廊下に響く
私は今……どんな顔をしているのか、自分でもわからない。だけどきっと、それはソダシちゃんやタイムがいなくてよかった顔なんだろう

「 ソン  グラ イ   ンちゃ ん  」

さらにぐにゃりと歪むその顔
徹底してくれるのは逆にありがたいかもしれない。こっちもかえってブレーキ掛けなくて済むというものだ
向こうから何か仕掛けてくるという気配もなく、もう手を伸ばせば届く距離
歪んだまま、それでもなお笑い……嗤いながら私の名前を呼ぶ『コイツ』を、もう許すことはできなかった

「その顔で。その声で」
1125/02/11(火)23:11:13No.1282239044+
初めてだ。こんな体験、よくもさせやがって
こんなに、力強く拳を握り込んで


「私の、大事な友達を、騙るなーーーーーーーーーーーーーーーー」


全力で、振り抜くなんて
1225/02/11(火)23:11:23No.1282239110+


「………逃げられた」

人生初の、本気の拳は空振りに終わった
いや、当たったのかもしれない。ただこの手には、薄っぺらい布を引き裂いたような感覚が一瞬伝わっただけだった
でもあの気味の悪い怪物は消えてなくなっただけで、倒れてもいなければ残骸も残ってない

「ま、いいけど」

二度と顔出さなければ、それでいい
本当に不快な奴だった。なんで私なんかを狙ったのかも目的もわからないままだったけど、それでいい。そんな事情、知りたくもないから
1325/02/11(火)23:11:36No.1282239170+
「騙されるわけないだろうが」

勝ち誇ったような顔で、本人がいる前じゃ絶対言わない台詞が流れるように出てくるのは
きっとこんな奇妙な体験の余熱なんだろう

「どれだけあいつの事見てると思ってるんだ。バーカ」

間違えるはずがない。間違えてたまるか。そんな、自身に満ちた声
それが自分の口から出たということがどこか可笑しくて

「………おっと」

今度こそ私しかいなくなった廊下に携帯の着信音が響き渡る
画面に表示された着信画面には、まさしく……まあ、本人の与り知らない所だけど張本人の名前
1425/02/11(火)23:11:48No.1282239247+
「………今度こそ、本物だよな?」

流石に、ちょっと怖くもなる
いやだって、冷静になって考えてみたら今さっきまで自分が体験してたことってホラー映画の一幕以外の何物でもない訳だし
変な熱が残ってるせいでアレだけど、本来私ホラー嫌いだからね?

「………もしもし」
『もしもしじゃありませえええええええええええええええん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

わぁい、鼓膜吹っ飛ぶかと思った
でも、どこか安心した。顔見てないから証拠もないんだけど、何となくこいつは本物だってわかったから

「わ、悪いって。でもお前栗東だろ?なんで………」
『タイムちゃんから連絡があってまだ帰ってないって聞きました!!!!!!!!!!!!!!!タイムちゃんが何度連絡しても出なかったって言うから探しに行こうかって話してたところです!!!!!!!!!!!!!!!』
「ああ………なるほど、そういう」
1525/02/11(火)23:12:01No.1282239335+
………アイツめ。着信履歴まで誤魔化してたって事か。多分この着信切った後に確認したら大量の着信が入ってるんだろう
とはいえ、まあ今事情を説明しても長くなるし、そもそも信じてもらえるかも怪しいことだしなぁ……

「悪いな、携帯忘れて校舎まで取りに帰ってたんだ。それで回収したのが今なんだよ」
『とにかく!!!!!!!!!!!!タイムちゃんにすぐ連絡してあげてください!!!!!!!!!!!!危うく先輩方やトレーナーさんにも連絡がいくところです!!!!!!!!!!』
「わかった、すぐに連絡するよ。こっちからしっかり謝っておく」
『当たり前です!!!!!!!!!!!!!!!!!』

コイツにここまで怒られるのも久しぶりだな
それだけ心配してくれてたってことなんだろうけど、そう考えるとどこかむず痒い

「メイケイエール」
『ほへ????????????????』
「悪かった。ありがとうな」
1625/02/11(火)23:12:15No.1282239415+
突然改まって、安心したような声でこんなこと言われて戸惑ったのか、返事が停まる

「すぐに帰るから。また明日」
『………もう!!!!!!!!!気を付けてくださいね!!!!!!!!!!!』
「ああ。じゃあ」

そう言って、通話を終える
校舎の外に出て、少し吹いてきた風に首をすくめて歩き出す。少し走った方がいいかなぁ……でも夜だし、危ないか
今日の事、果たして話した方がいいのかどうなのか。信じてもらえるかどうかはまた別の問題としてだけど
……少し、待つか。信じてもらえたらそれはそれで変に怖がらせちゃいそうだし

「………ん?」
1725/02/11(火)23:12:27No.1282239506+
少し歩いて、校舎が離れてきたところで
言いようのない感覚……無理矢理表現すれば、視線を感じた、とでも言えばいいのか
何かに見られたような気がして、振り向く

「………………………………」

ため息が溢れ出る
追ってこないのか、そもそも追ってこれないのか。そもそもそれが私の勘違いじゃなくて本当にそうだったのかも断言できないけど

「しつこいな、お前」

窓の向こう側に
輪郭すらあやふやな、だけど何か言いたげな影が立っていた気がした

「……じゃあな。下手くそな偽物さん」
1825/02/11(火)23:12:38No.1282239580+
それだけ呟いてからまた歩き出し、もう振り返ることはなかった

「うぅ……寒い。早くお風呂入りたい………」

ブツブツブツブツと愚痴りながら住み慣れた寮への帰路を行く
恐らくだけど、まだずっとあそこにいるのだろうアレは、次の誰かを探すのだろうか
何がしたいのかも、何が起きるのかもわからないあの迷路を歩かせるために
だけど、私は坊さんでも神父でも霊能者でもTさんでもない。自分からどうこうはできないし、私と、私の大事な人達に関わらなければなにかするつもりもない
1925/02/11(火)23:12:49No.1282239660そうだねx1
「ていうか、まず………」

だから。人によっては一冊本ができそうな怪奇体験の終わりに、私の紡ぐ〆の言葉は

「………お腹空いたー!!!!!!早く、ごはんーーーーーーー!!!!!!!」

そんな、目先の事に対する……つまらない、だけど大事な叫びで十分だ
2025/02/11(火)23:13:21No.1282239860そうだねx2
以上。酒飲んでメイソンした
関係ないけどエールちゃんが夢に出ました
2125/02/11(火)23:19:12No.1282242009そうだねx4
こえーよ
怪異もだけどブチギレソングちゃんがこえーよ
2225/02/11(火)23:29:25No.1282245767そうだねx1
読み返したら初見でもう気づいてるのかこれ
2325/02/11(火)23:34:57No.1282247691そうだねx3
というかこの世界線にも普通に出るのか怪異…
2425/02/11(火)23:43:40No.1282250714+
ウマ娘世界なら霊的なものは珍しくないからね
2525/02/11(火)23:55:50No.1282254863そうだねx1
また肝臓虐めて書いてるのか
2625/02/11(火)23:56:17No.1282255010そうだねx3
きさらぎ駅みたいなのも前出てたな
多分プボ君がラーメンずっと食ってそうな
2725/02/11(火)23:57:03No.1282255246+
カフェ案件じゃねえか
2825/02/12(水)00:04:27No.1282257629そうだねx3
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140510 B
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
2925/02/12(水)00:07:30No.1282258572そうだねx1
>No.1282257629
お手描きありがとうございます!!!
ソングラインちゃん瞳孔開いてる…
3025/02/12(水)00:08:33No.1282258910そうだねx1
>No.1282257629
左見て変な声出た
これに直接暴で対処する判断できるソングラインちゃん覚悟決まりすぎでは
3125/02/12(水)00:24:59No.1282264197そうだねx3
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126177 B
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
3225/02/12(水)00:26:17No.1282264578そうだねx1
>No.1282264197
まさかの二枚目!?本当にありがとうございます…


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