二次元裏@ふたば

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223253 B25/01/28(火)12:53:21No.1277372372そうだねx1 15:13頃消えます
イモゲンチャーうちののクリスマス
うちの
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お借りした方々
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このスレは古いので、もうすぐ消えます。
125/01/28(火)12:53:54No.1277372558+
12月25日・ロードナイト村・マイトの借りている家

有無が持ってきた極上肉にプラムを合わせた赤ワイン煮、薄切りサーモンと各種野菜のリースサラダ、トマトとほうれん草のピュレが混ざらぬよう盛り付けた2色のポタージュ、プリン型に焼いた生地にチョコを塗ってイチゴを乗せたキャンドルケーキ。
デジタルワールドの食材を使う以上レシピ通りとは言い難い、それでも普段より手間をかけた料理達は聖夜のディナーを望んだ少女の期待に応えられる仕上がりだろう。
既に日は落ちている、そろそろ有無達が戻る頃と判断して食器を用意する。
自分、ツカイモン、有無、有無のツカイモン、黒白、ソーラーモン。
今ここにおらず帰って来る予定もない1人と1体の分を含めて6セット、九分九厘使われずに終わるだろう分を眺め。
窓の外で降っている雪とは関係ない、冷たいなにかが心に積もっていく感覚に知らず少年の眉間にシワが寄る。
225/01/28(火)12:54:24No.1277372718+
「うわ〜お見事、マイトさん気合入れましたねぇ」
「当機は七面鳥を期待していたのだが、現時点の観測情報だけでも満足値は高まっているので問題はない」
「…チャイム鳴らせよ」
望みはしたが来るとは思っていなかった1組の客、今の自分達の状況を、厳密には自分達の周囲がどうなっているか理解しているか怪しい程いつも通りな黒白とソーラーモン。
いつの間にか背後に立ち、並んだ料理を興味深げに眺める彼等にマイトの口から漏れた言葉は久しぶりの再会には似合わないものだった。

「いや〜、合鍵貰ってるしいいじゃないですかそこは」
「ここは当機達ジャッジメンター組の隠れ家と認識している、親しき仲にも礼儀ありとはいうが家に帰るにチャイムを鳴らすのは不合理」
325/01/28(火)12:54:51No.1277372865+
ほら、と黒白は懐から取り出した合鍵を見せる。
ここはロードナイト村の端にあるマイトの仮宅、行動を共にする事の多いジャッジメンター樫戸正樹と映塚黒白にはその方が便利だろうと合鍵が渡され、実質3組の共有スペースとなっている。
「寝てる方のお前も持ってたんだけど、増やしてんじゃねえよ」
「いや俺が増やしたわけじゃないので、文句なら機会があればこれやった犯人にどうぞ」
寝室に寝かせた目覚めない方の黒白の服のポケットに入っているそれと全く同じ鍵。
許した覚えのない複製を見ながら、マイトの中で自分と身内のテリトリーを荒らした誰かへの怒りが静かに滾っていく。
425/01/28(火)12:55:10No.1277372971+
「あ〜黒白起きない〜クリスマスなのに〜、どうしよマイ…わぁ!?なんでこっちにいんの!?」
寝ている方の黒白の様子を見ていた…、実際にはペチペチと叩いたりくすぐって起こそうとし、諦め戻って来たツカイモンは黒白とソーラーモンの姿を認めると全身から疑問符を出しながら飛び回り始めた。
「久しぶりだツカイモン、変わりない様でなにより」
「ソーラーモンだー!あっ分かった!ごちそうあるから帰って来たんだ!?」
「体の気配がしたからまさかと思って来たんだけど、…俺達の分もあると思って良いんですかね?」
「…とりあえず出すから座れ」

しばらく前…関係者から図書館戦争と呼ばれる戦いの最中で黒白とソーラーモンは行方不明となっていた。
その後昏睡状態の黒白だけが見つかり、その後の診断により精神のデータだけが分離した抜け殻のような状態だと判明した。
黒白の妹の有無の判断で詳細は伏せ、基本的には行方不明という扱いになっている。
図書館戦争を早々に切り上げ、その後にも関わっていないマイトがそれを知るのは黒白が落とした遺書に遺産の受取人としてその名が記されていたからだ。
525/01/28(火)12:55:27No.1277373074+
「じゃあマイトさんは知ってるけど樫戸さんの認識では俺はただの行方不明者と」
「身内との事で忙しそうでな、8年分のロスもあるしあんまり抱えさせるとあのクソ真面目キャパオーバーで倒れかねんだろ」
「ボクも頑張って秘密にしてるからね絶対誰にも言わないから」
「この上ない不安を感じるが先原と切り離せない関係な以上仕方のない事だな」
出された料理を食べながら自身が消えた後の話を一通り聞き終えた黒白は少し考え、ここを訪れた時から抱いていた疑問を切り出す。
やや緊張した面持ちで触れたくない物に触れるような躊躇いを隠さずに。

「あの図書館に置かれた筈の俺の体が、ここにある理由なんですけど…」
「有無が持ってきた、あんな辺鄙な場所に放置されてちゃ聖夜の奇跡も届かないとさ、本気で言ってるかはともかくお前の為になにかしたかったんだろ」
いい妹じゃねえか、と言葉を最後まで待たずに返されたそれを聞きながら元よりダウナーな少年はなにに居た堪れなくなったか顔を伏せる。
625/01/28(火)12:55:45No.1277373168+
「……ちょっと兄としてどういう反応取るべきなんですかねこういう場合、妹がクリスマスに家族以外の男の家にいてその場に踏み込んじゃったって」
「気にすんのそこかよ」
「だってぇ、経緯はどうあれクリスマスにマイトさんと有無が一緒にいてマイトさんが料理作ってるのにいきなり来て先に食って団欒してるって兄としてどうですか?」
「知らんわお前の兄観とか、男と女が揃ってるだけで変なもん見て勝手に気まずくなってんなよ」
そも街の中で黒白の体を自然に隠す為の家という有無の目的にマイトの隠れ家が合致したにすぎず。
加えてパートナーデジモン達もいてはそういう雰囲気になりようもない。
なにより肝心の有無は兄の体と自分が選んだ極上肉を運び込みクリスマスのディナーを依頼した後、外から帰って来ていない。
725/01/28(火)12:56:12No.1277373295+
「んな事より元に戻れんのかそれ、マトモにも長続きする状態にも見えねぇんだけど」
事情を聞かされても納得し難いのか伏せたまま唸る姿に溜息を付いたマイトが話題を切り替える、来年もこの形のクリスマスを迎えるのは御免だと笑えない冗談付きで。
「ん…、当てはなくもないって感じですかね、とりあえず今は体に戻る手がかりとか現状打破の為の人脈作りしてます」
「繋がりを増やし縋れば救いの手が降りてくるのではないか?といつもの他力本願である」
そのやり方で今までやって来たのだから今回もそれに頼る、ソーラーモンの言葉に頷きお互い食べ終えたのを確認した黒白は立ち上がる。
「ごちそうさまでした、ああ遺産の件は俺が正式に死んだら振り込まれる…と思います」
初めて会った時から重ねてきたツケに足りるかは分からない、それでも残せる全てで払うと曖昧に笑う。
825/01/28(火)12:56:32No.1277373386+
「払う気あったのが驚きだよ、ただ遺産って形だと払われてもオレも使えなくなってる可能性あるからやめろ」
「?すいません説明お願いします」
去ろうとしてかけられた奇妙な言葉に思わず足を止める、先原マイトは金を好むが金を使ってしたい事が特別ないのは黒白も知っている。
だが金を使えなくなるというのはよくわからない、それではまるで受け取った時に金を使う人間自体いないかのようだ。

「例えば今回上手くいかずにお前がそのまま死んだ場合な?オレはお前をそういう目に遭わせた奴を殺す、事情も相手の強さも関係なく自動的に殺しに行く、それでオレが死んだりムショにぶち込まれるのが分かりきってても」
「えぇ〜…?死んだ後の事まで責任持てないとはいえ俺マイトさんの死ぬ理由になるの嫌ですよ?」
淡々と当たり前の理屈を言い聞かせるように、自分の生死が殺意のトリガーだと告げられた割に黒白の態度はどこか緩い。
目の前の、柄は悪いがどこか冷たく澄んでいるような友人がそんな烈しい心を語る姿に現実感が沸かない。
925/01/28(火)12:56:49No.1277373491+
「あー!黒白本気にしてない!ボクも本気だからね!黒白もソーラーモンもジャッジもハイコマンドラモンも誰かやられたらボクらめちゃくちゃ怒るし悲しいしやった奴にブチギレなんだからね!! 」
「ツカイモンがそう言うのだから事実なのだろうな、当機達は思ったより愛されている」
パートナーとは真逆に全身から感情を迸らせ吠えるツカイモンをソーラーモンが宥める。

「じゃあ、死なないように今まで以上に頑張りますわ」
「おう、頑張って早く帰って来い」
1025/01/28(火)12:57:10No.1277373587+
「ただいまー、ご飯出来てるー?おっちょうどお皿が…まさか先に食べた?」
「いや…客に食わせた」
客人が…先程まで会話して食事もしていった筈なのに顔も声も思い出せない誰かが帰るのと入れ替わるように少女達が帰宅した。
「誰に食わせたの!ちゃんとウチらの分あるの?有無のお兄さん起きたら足りなくなるんだよ!」
「あるもん4人分!それに黒白とソーラーモンはちゃんと…まだ起きてないから起きたら足りなくなる?あれどうしよマイトなんでお客さんに出しちゃったんだっけ?」
「なんで覚えてないの!」
同種で見た目に区別が付け辛い2匹のツカイモンの言い争い無視し有無はキッチンに向かう。
端から今日戻って来るとは思っていない黒白とソーラーモンの分を除けば二組が食べるのに問題のない量がそこにはある。

「うわ〜お見事、マイトくん気合入れたねぇ…なに変な顔して」
「いやなんかそっくりだなって、意味分かんねえなすぐ食べるか?」
「いや自己完結されても困るんだけど」
1125/01/28(火)12:58:05No.1277373860+
解釈違いとか情報の間違いとか色々あったらごめんなざぁい!!!
1225/01/28(火)13:13:29No.1277377848そうだねx4
激重感情だわ…
1325/01/28(火)14:42:40No.1277395800+
すごいいいやりとりなのにでも黒白この後女性2人侍らせて聖夜過ごすんだ!ってなるなった


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