マルモブリーズ架空育成イベント怪文書 育成イベント『有馬記念にむけて』 発生条件:シニア有馬記念に出走 ――えへへえ年末は美味しいことがいーっぱい! クリスマスはなんといってもクリスマスケーキ!!おっきいチキンの丸焼きに、最近はシャケもたくさんなの!! 大晦日は年越しそば!あたし何十杯でも食べられちゃう!おせちのつまみ食いもほんのちょっと……ほんのちょっとだけ……。 でもねでもね今年はもーっと美味しくて楽しみなことがあってね、それは……。 ――控室 「有馬記念だーーーー!!!!(大文字)」 「ワッショーーーーーイ!!!!!(大文字)」 マルモブリーズは有馬記念に出ることになった。 有馬記念はその年の芝の王道路線の集大成とも言えるお祭りのようなグランプリレースだ。 「あっトレーナー!!中山のレース場グルメとか、他にもおいしーいご飯とか、沢山あるから食べていいよね?」 【終わってからね!!】 「あはは……」 相変わらず食欲過積載なマルモのセリフにこれには同期キタサンブラックも苦笑いだ。 「キタちゃんキタちゃん!あたしたち有馬に出れるなんて夢みたいだね!」 「うんうん!私たち今年はいっぱい頑張っていっぱいいい成績出したからね! それに私たちだけじゃないよ!有馬記念は色んな世代のウマ娘が集まる夢のお祭りなんだから! 特に今年は下の世代からダイヤちゃんが菊花賞を勝って有馬にくるんだ! 本格化のタイミングのズレで同期デビューはできなかった分、今日この舞台で一緒に走れるのがすごく楽しみだったんだ!」 「いいよね~まさに夢の舞台だよ~」 「もちろんマルモちゃんとここで戦えるのもすっごく楽しみなんだから!今度はばっちり逃げ切ってみせるからね! それに下の世代だけじゃなくて上からもすごい人がいっぱい!なんてったって今年は……」 その時コンコンと控室のドアをノックする音が聞こえた。 「あ、私出ますね!」 ドアに近い位置にいたキタサンブラックが自分より先に立ち上がり、応対に向かう。 「!?あ、あなた方は……! はいっマルモちゃんならいます! はい、はい!お互いいいレースにしましょうね!よろしくお願いしますっ!」 「マルモちゃん、面会が来てるよ! じゃあ私ダイヤちゃんに会いに行くから席外すね!」 「あたしにー?」 キタサンブラックが出ていったのと入れ替わりに2人のウマ娘が入ってくる。 「ついにこの時が来ましたね、マルモ」 「挨拶に来た、よろしく頼む」 「わぁー!グラス先輩にオグリ先輩だあ!いらっしゃーい!」 ドアを開けた先にいたのは、グラスワンダーとオグリキャップだった。 共に有馬記念を2度制した経験のあるレジェンドオブレジェンドウマ娘だ。 「マルモ。貴方たちが皆と切磋琢磨し高め合う姿を見て、私は滾る心を押さえきれなくなったもので…… 全盛期は過ぎた身ですが……ふふっ、久々にこのレースの場に戻ってきちゃいました♪」 「私も同じだ。いてもたってもいられなくなって、この日の為に鍛え直してきた 君や、君たちと、共に走るために」 「っ、そこまで……そっかあ……ありがとうございます! あたしもがんばるので……がんばりましょうね!」 「ああ、いいレースにしよう」 「待ち焦がれた一戦……悔いのないよう、全力勝負で参りますので―― 超えられるものなら、超えてみせてください」 「…………」 ――地下バ道 【マルモ、これが終わった後のごほうびだけど……】 「あ、その話、今はいいかも!」 【エーーーーッ!?!?】 マルモがレース後のごほうびごはんの話をキャンセルした……だと……? どうしようこんな事初めてだ、何か体調でも悪いのだろうか……。 「あ!そんな心配そうな顔しないで!体調悪いとかお腹壊したとかじゃないから!」 自分の不安げな顔色を見たマルモが、慌てて被りを振って否定する。 「あのねあのね、あたしはこれまでずっと、走るの楽しいのと、ごほうびのごはんと、それからトレーナーの事が走る理由中でもおっきい理由だったんだけどね でもでも、さっき控室でグラス先輩とオグリ先輩が来てくれて話してくれたり、それにキタちゃんだって楽しみって言ってくれるの聞いたら あたし……勝ちたいなって思ったんだ ごはんの話とかそういうの抜きで、ちゃんと今日一緒に走って、一緒に戦うみんなのことちゃんと見て、ちゃんと……勝ちたいの。勝つために、走るんだ。 あ!!もちろんごほうびはあったら絶対絶対ぜーったい嬉しいんだけど!!今じゃなくていいので!!」 【なら、行っておいで】 「うん!いってきます!!」 地下バ道の出口、光が差し込む方へマルモが進んでいく。 いつも見送るマルモの背中、その背中は、いつの間にかずっとずっと大きくなっていた。 ~~~~~ 攻略ポイント このレースには長距離適性A&高ステータス&金スキル持ちのオグリキャップ(クリスマス)とグラスワンダー(和服)が出てきます 概ねサクラチヨノオー育成シナリオのシニア有馬のミスターシービー位の強さだと思ってください しかしシニア有馬の育ち切ったタイミングなのでこちらも新シナリオのインフレしたステータスとスキルパワーで殴って下さい ~~~~~ 『有馬記念を終えて~よく出来ました!~』 「すーごく楽しかった!」 走り終えた後のマルモの声が、熱気冷めやらぬ暮れの中山の寒空に響く。 「いや~強かったなぁマルモちゃん!後ろからの存在感ひやひやしたよ!」 「はじめましてマルモさん、そして対戦ありがとうございました! キタちゃんやマルモさん、初めて大舞台で当たるシニアの皆さん、とっても手強かったです…けどいいレースができました!またの機会があればよろしくお願いしますね♪」 「キタちゃん、それにダイヤちゃんも!」 「ふふっ、マルモ、いい走りでしたよ~。本当に、強くなりましたね」 「ああ、いつの間にかこんなに強くなっているとはな……同じレースに出て、更に実感した」 わちゃわちゃするマルモ達を穏やかな笑顔で感慨深げに見守るグラスとオグリの年長シニア2人組。 ふいにグラスが、マルモに声をかけた。 「マルモ。マルモブリーズ。 私はあなたよりずっと早くにこのターフに立ちました。しかしどんなウマ娘でも未来永劫走り続ける事はできません。恐らくきっとあなたよりずっと早くにここを去るでしょう ですが知ってますか?ウマ娘の走った証、その志は後に現れるウマ娘が時に継ぎ、繋いでくれることがあるんですよ それは作り出したラインやミームを繋いでくれる者――――例えばツインターボさんに対するパンサラッサであったり、ライスシャワーさんに対するイーブイさんであったり~… そして時に出会う事のある、運命的な何かを感じる者であったり……あなたは後者です、マルモブリーズ。 走ることを極め、頂点に立つことが私の夢…… それを継ぐには、あなたはちょ~っと、いえかなり、節制が足りぬような気もしますが……」 「ヒッ!?」 話の最後の方から徐々に鋭くなるグラスの目に、マルモが怯えた声をあげる。 それに気づいたグラスが、慌てて眼光を緩めて続ける。彼女の声色は、更にあたたかく優しかった。 「ですがその夢、その目標も全てはそもそも『走ることが好き』だからこそ、それが原点であるからこそ存在するものです。 貴方はその点、『走ることが好き』…この想いに対しては、ただの一度も曇りもなく、ぶれずに持ち続けてきましたね 悔しがる事や相手が強いと感じることはあれど、己が心の業火に焼かれる事なく、安定した心持ちのまま走ってきました これはとっても珍しくて偉い事ですよ~、私ですら、脚や周りのライバル達との事で、不惑とはいきませんでしたので~… ありがたい事に私には何人か運命的な後輩は居ますが、その中でもあなたは1番、私の『走る事が好きな気持ち』を受け継いでくれた気がします。マルモブリーズ。 もしかしたら、またここで走る気になったのも、それを確かめたかったからかもしれませんね~ 嗚呼……今日このレースに出て本当に良かった……」 「ほぇ……?なんか運命とかはそんなよく分かんないけど、あたしはずーっと走るの楽しいし、 だからグラス先輩とも一緒に走れて、ちゃんと勝ちたいって気持ちで戦えて、それは間違いなく、先輩やみんながいてくれたおかげだから…… だからね、えっと、あたしもグラス先輩たちといっしょに走れて、ずっとたのしかった!ありがとうございました!」 微妙によく分かり切っていない様子を見せつつ、まだほんのり蒸気した顔でグラスに頭を下げるマルモ。 その様子を少し遠くから見ていたオグリが、少しためらいがちに口を開いた。 「私は……グラスワンダーほどそこまで大層な事を考えてここに臨んだ訳でもないな そうだな……ただ、マルモと会ってみたかったんだと思う」 「んー?同じトレセン学園に通ってるから、普通に学校で会いますよね?」 「それはそうなんだが、うん……私は君がトレセン学園に入学するまで君と会ったことも無ければ存在すら知らなかった そんな相手と会うことができて、その上こうして同じ舞台で走れるというのは、実は本当はありえないくらいの、ものすごい奇跡なんじゃないかと思えるんだ なんかこう、グラスワンダーの言っていた事と近いけど違うような…… すまない、上手く言葉に出来ないな……(ドボスコゴゴゴ)ん?」 オグリが言葉を探している間に突如地響きの様な轟音が響いた。 音のする方に目をやるとマルモが腹を押さえている。原因は言わずもがなだった。 「話してる時にごめんなさ~い!あたしには難しい話が続いて、なんとかがんばってわかろうとしてたらお腹空いてきちゃって~ う~お腹が~、お腹がサイレン鳴らしてる~ぐーぐーって」 「本当に鳴ってるな。(グゴゴゴゴ)私もだが」 「マルモブリーズ。オグリキャップ。2人してはしたないですよ(グギュゥゥゥ)……ぁぅ……」 三者三様の腹の音が鳴り、お互いがお互いを見やって困ったように笑う。 「トレーナー!!おなかすいちゃった!! 今日がんばったごほうびに!!やっぱりおいしいものいっぱいいっぱいたべた~い!! みんなと一緒に食べたらぜ~ったいもっとおいしいから晩ごはんは一緒がいい!!いいよねトレーナー!!」 【んも~おいしいもんいっぱい用意するからな!】 「何!?いいのか!?よろしく頼む」 「あら~、では、ご馳走になります~」 「今の聞いたダイヤちゃん!?あのっじゃあお言葉に甘えさせていただきますありがとうございます!」 「聞いたよキタちゃん!では、ご相伴に預からせて貰いますね♪」 「ウワーッ!!??マルモとオグリが来るぞおおおおお!!!」「あっばばばばば」「警報出せ!!!中山の飲食店街一帯にサイレンを鳴らせ!!!!」「ウッ」「ウワーッ!?料理長がショックで倒れたー!?」 かくして年の瀬の中山の夜は賑やかに更けていく。 自分の財布と中山の料理人たちは地獄を見たが、今日この日をそして今年一年のレースを走り切ったマルモを始めとしたウマ娘達はそれはそれは天国のような笑顔で食卓を囲んだ。 スピードが20上がった 根性が20上がった 「中山レース場」のヒントLvが2上がった 「込み上げる熱」のヒントLvが2上がった おわり