それは突然だった。 「…?なんか落ちてるな、ツカサ?」 「本当だ。なんだこれ…ガラスの靴…?なんでそ────── それを拾い上げた彼は、なんの前触れもなく唐突に姿を消した。 「ツっ…ツカサ!?どこ行ったんだ!?ツカサ!ツカサぁぁぁ!!!!」 彼がさっきまでいたところには、クロスローダーが落ちていた。 ━━━━━━━━━ ──────んなもんが落ちて…は?」 落ちていたガラスの靴に触れたら、メルヴァモンがいなくなった。 というか、周りの景色が全て変わった。 「転送された…のか?」 辺りを見回してみると、大剣に盾、槍、銃、ハンマーと言った武器類が大量に並べられている。 「……ッ!!…開かないか。」 扉には鍵がかかっているようだ。牢屋…というか武器庫…?のようなところに俺は転送されたらしい。 鉄格子のつけられた窓の外には、真っ赤な溶岩が流れているのが見える。 「火山地帯…」 少なくとも、さっきまでメルヴァモンといたエリアの付近にこんなロケーションはなかった。かなりの距離を移動させられたらしい。 「おや、大抵は転送に耐えられずにしばらく気絶してしまうのですが…さすが、姫様の選んだお方だ。」 「誰だ!」 どこからか声がした。 「使い魔…まあ、執事のようなものでございます。」 鉄格子の隙間から、パタパタとぬいぐるみのような見た目をした鳥が羽ばたいてきた。 「お前…デジモンか?」 「使い魔、でございます。貴方様にはこれから、ブトウカイに参加していだたきます。」 「舞踏会…?踊りなんて興味はないぞ。さっさと帰してくれ。」 「いえ、武と闘いの…武闘会でございます。」 なるほど…それでこれだけ武器があるってことか。 「貴方様には、これから姫様と戦っていただきます。ここにある武器は全て、貴方様がご自由にお使いになっていただいて構いません。」 「…勝てば帰れるのか?」 「さぁ?今までに姫様に打ち勝った者はおりませぬゆえ…」 「じゃあ戦わないと言ったら?」 「…一方的に蹂躙されたいというご趣味の方でしょうか?すでに姫様にその身を捧げる覚悟とは…御見逸れいたしました。」 話にならねえな… このまま何もしないよりは…戦ってなんとかした方がまだマシのような気はする。 それに、勝てないにしても時間稼ぎができればクロスローダーの位置情報で助けが… 「……ない」 「デジヴァイスの類でしたら、転送プログラムの効果対象外でございます。公正な武闘会のためでございます。ご了承ください。」 クソ…クロスローダーさえあればデジメモリも使えるのに…これですぐに助けが来ないであろうことが確定してしまった。 こうなったら…大人しく従って戦うしかなさそうだ。 「武器の説明を頼む。」 「承知いたしました。ここに用意されております武器は、屈強なるデジモンのデータより作られたレプリカ…本物よりも数段、威力は落ちてしまいますが…人間の体で扱うにはその方が都合の良いこともありましょう。」 いくつかは俺も見たことがあるデジモンの武器だ。カラテンモンの剣やイージス、あれは…オメガモンの腕か…⁉︎ 「…この銃は?」 俺はかなり大型のショットガンのようなものを指差した。 「暴食を司りし七大魔王、ベルゼブモンの武器『ベレンヘーナ』でございます。」 「そっちにあるリボルバーは?」 「ベルゼブモンの変種、ベルスターモンの武器『リゾマデロート』でございますね。射撃武器がお好みですか?でしたらオススメがございますよ。」 そういうと、鳥はさっき外を見た窓とは別の窓を覗くよう促す。 「あちらは幾多のサイボーグデジモンの集大成、ムゲンドラモンの持つ『ムゲンキャノン』でございます。」 デカすぎる。戦車砲よりも圧倒的にデカい…! 「あれ…どうやって使えば良いんだよ…」 「背負ってみては?」 「無理だろ!」 …もしかしてこのまま武器選びで時間を稼げば助けが来るのでは? そう思ったことを見透かされてしまったのか、鳥の使い魔は俺の頭に止まると、目玉を覗き込むように首を下ろす。 「姫様は今の所、貴方様の準備をお待ちになっていらっしゃいます。しかし、姫様のご気分が変われば…貴方様は準備の終わらぬまま、丸腰で武闘会に参加することになるかもしれませんよ?」 「はぁ…わかったよ。…今から言ったものを用意しろ。」 「何なりと。」 ───────── 「さぁ!新たなる”王子様”の登場です!!」 場内にけたたましく響き渡るアナウンス。さっきの使い魔がやっているようだ。 ドーム球場のように屋根のついた円形の闘技場に、俺は踏み出した。 「よし…さっさと終わらせよう…」 右腕にイージス、左手にオリンピアを装備し、ナイトモンの兜を被る。 結局使ったことのある武器ばかり揃えてしまった…一応、腕につけたイージスの影に隠すようにリゾマデロートを持っているが、これは逆にまともに扱えるか怪しい。 もっと色々と装備したかったが、持てる量にも限界がある。結局俺は、この心許ない装備で、”姫様”に戦いを挑むことになってしまっていた。 「待ちくたびれたなぁ〜!私のお、う、じ、さ、ま、?」 コロシアムの真ん中に待ち受けていたのは、滑らかな金髪と白いドレスのような格好が特徴のデジモンのようだった。 それは椅子に腰掛け、俺に背を向けていた。 「ここから帰してくれ!」 「嫌、だよ。」 「だったら先手はもらった!」 奴の頭を狙って発砲する。 「避けられっ!?」 「う〜ん、情熱的な一発だね。」 「ぐあっ!?」 確かに銃弾は奴の頭があった場所を撃ち抜いた。が、奴はそれ以上の速度で俺の背後を取り、蹴り上げた。 「でも…自己紹介ぐらいはさせてほしいなぁ。」 「チッ…じゃあしろよ…!」 蹴られた勢いで、兜が吹き飛ばされた。 「では、お言葉に甘えて。私の名はサンドリモン!」 奴は大仰に腕を広げる。 「この”灰かぶりの城”の城主…つまりお姫様さ!そしてキミ…吉村司は…私の王子様、だよ。」 「あー…まず、ここ…城っていうより闘技場にしか見えない。次に、俺にはもう相手がいる。だから帰らせてくれないか?」 「ふふふ…まず、ここは城の一角にすぎない。そして…キミを王子様に選んだのは、キミに相手がいるからだ。なんの問題もないね?じゃ…続けようか!」 その無茶苦茶な返答に困惑する隙すら与えられず、鋭い蹴りが飛んでくる。 「問題しか…ねえよ!!」 蹴りをなんとか盾で防いで、オリンピアで斬り返す。 「はぁ〜♡なんて甘美な一撃なんだ♡私に抗おうとくり出されるその一撃!それをこうして叩きのめすのって…最高に気持ちいいんだよねぇ!マリッジストライク!!」 斬り返しを跳ね返すように、ガラスの靴の一撃が放たれる。 「なっ…砕けた⁉︎」 オリンピアにヒビが入り、粉々に砕け散る。 「ふふっ…頼みの綱が壊れちゃったかなぁ〜?でも、このぐらいで…キミは折れないよね?」 「なんのためにわざわざこんなことしてるのか知らねぇが…!俺は浮気するほど不義理な男じゃない…それに!こういうアプローチは趣味じゃない!」 折れた剣の柄で、サンドリモンを殴りつける。 「あはははっ!なんのために?それが私の喜びだからさ!屈強な者を屈服させ蹂躙し!そいつが残してきた愛する者に侘びながら…私の元で情けなく果てる!その瞬間が!!最高に興奮する!!!」 「……良い趣味しやがって!」 「さぁ!キミも私の喜びになれ!吉村司!」 その言葉と共に、踵落としが俺を襲う。 イージスでそれをなんとか受けはしたものの、やはり限界が来ているらしくヒビが入り始めている。 「何がレプリカだよ…使い物にならねぇ武器ばっか渡しやがって…!」 「当たり前だろう?あそこにあった武器はみーんな、私に敵わないってことを知ってもらうための…いわばプレイの道具みたいな物だよね!」 高らかに笑いながら言い放つサンドリモン。 「じゃあこれでも喰らってみろ!」 踵落としを防ぎながら狙える部位…腹部と股間に向かって、リゾマデロートを乱射する。 「んぎっ⁉︎んんぅ…狂熱的だね!そんなに反抗されたらもっと興奮しちゃうじゃないか♡キミが私に屈服して…彼女に謝りながら果てるところを考えるだけで…デジコアがキュンキュン疼く!」 「やっぱ銃もダメか…だったら道具なんていらねぇ!」 俺は空になったリゾマデロートと、ついでにヒビの入ったイージスを投げ捨てる。 「殴り合いだったら!お前の小細工なんて関係ねえよなぁ!」 「はははっ…バカなんじゃないのかな?いくらキミが強くても…素手でこの私に勝てるわけないじゃないか!でも…これだったらもっとはっきりと…キミが私の喜びになるのを感じられそうだね…♡行くよ!私の王子様!」 「てやぁぁぁ!!!!」 俺はサンドリモンに殴りかかった。 ━━━━━━━━━ 「ど…どうしよ…ツカ…ツカサが…」 どうしようどうしようどうしよう…変なデジモンに狙われてたら… 助けに行きたくてもどんな奴の仕業かわからないし… 私はどうすればいいのかわからないまま、ツカサのクロスローダーを拾い上げた。 そうだ…これでハカセに連絡できるはず…! 「あれ…?確かツカサはこう…」 操作がわからない…! 「繋がった!ハカセ!アタシだ!」 「あれ〜?司君じゃなくてメルヴァモン君かい、珍しいね。僕に何か用かい?」 通信の相手はハカセ、つまり神月ユウ。たびたび世話になっているデジモンの研究者だ。 「ツカサが急に消えたんだ!どこにいるかわからないか!?」 「司君が…!それは大変だ。ただそれだとちょっとわからないな…もう少し詳しく状況を話せるかな?」 「えっと…ツカサが…落ちてた靴…?みたいなのを拾ったら急に…」 それを聞いたハカセは、急に焦ったような声になった。 「…ガラスの靴かな?」 「そうだ。なんでわかったんだハカセ?」 「……それは多分…サンドリモンの仕業だね。」 サンドリモンという名前には聞き覚えがあった。自分を打ち負かすものを探して、強い者と戦い続けるデジモン。 ツカサはそんな奴に攫われたのか… 「ハカセ。サンドリモンがどこにいるのかわかるか?」 「うーん…火山地帯に城を作っていることが多いようだけど…どこに転送されたのかは…わからないかな…」 「ありがとうハカセ。それだけわかれば十分だ。」 それだけ情報が手に入れば、私がすることは一つだった。 ━━━━━━━━━ 「うぐぁはっ!」 サンドリモンの攻撃を避けきれず、吹き飛ばされて壁に叩きつけられた。 「そろそろ諦めて屈服した方がいいんじゃない?私の王子様になるの、そんなに嫌かなぁ〜?見た目には自信があるんだけどなぁ」 「何度も言うが…俺には相手がいるんだよ!」 血をぬぐい、奴に向けて拳を振るう。 「ふふ…あはは…!いいよ、その拳!なんて情熱的なんだ!でも、キミは私の喜びになる運命だ!」 サンドリモンはそれを難なく避けると、俺の首を掴んで持ち上げ、壁に打ちつける。 「さぁ、私に屈しろ!」 「お断りだって…!言ってんだろ…!!」 「はぁ…私、我慢するの辛くなっちゃったぁ…♡。唇ぐらい…味見しちゃおっかなぁ〜」 顔を近づけてくるサンドリモン。 「……そりゃあああ!!!」 そいつに向かって、俺は思いっきり頭突きを喰らわせてやった。 「──────ッ⁉︎私の顔に傷が…!はは…!そう言う趣向の王子様もいいけど…私…ちょっと怒っちゃったかなぁ!」 サンドリモンが指を鳴らしたのを合図に城の一部である時計塔が変形し、キャノン砲が作り出された。 「ギガプリズムデイト…!「次はここだぁぁぁぁ!!!!!!」 それが発射される寸前、壁を破壊して現れた者がいた。 「メルヴァモン!?」 砂埃が上がっていようが、誰が来たのかはすぐにわかった。 「ツカサ!よかった…ここにいたんだな!」 「嘘だろ…どうして私の城に辿り着けたんだ!?転送距離は相当あったはず…なぜここが…!?」 「簡単な話だ!アタシは目についた火山地帯にあったサンドリモンの城を全部ぶっ壊した!」 「バカな…そんなの無茶苦茶だ!」 サンドリモンが困惑している間に、俺はメルヴァモンの元に駆け寄る。 「助かったぜメルヴァモン…」 「血が出てるぞツカサ…大丈夫か…?」 「これぐらい平気だ。それより…全部ぶっ壊したっての…マジか?」 「ああ、ここで4軒目だ!あ…そうだツカサ、これ。」 彼女からクロスローダーを受け取る。 「持ってきてくれたんだな。」 「当たり前だろ?これがアタシとツカサを繋いでくれるんだから。」 サンドリモンはふらつきながらも立ち上がり、俺たちに相対する。 「はぁ…はぁ…当て馬がしゃしゃり出てくるなんて…!初めての事態だよ…!」 「当て馬とは…随分と好き放題言ってくれるな!」 彼女はサンドリモンに向け、剣を構える。 「やるぞ!メルヴァモン!」 「ああ!」 俺はクロスローダーを掲げた。 「「アーマーアップ!」」 勇気のデジメンタルとメルヴァモンが融合し、燃え上がる。 「フレアメルヴァモン!」 進化した彼女の炎は、いつもと比べはるかに強く、大きく、熱くなっていた。 「はは…まあいい。これでパートナーを倒せば…間違いなく屈服してくれるってコトだよねぇ…?ギガプリズムデイトブレイク!撃て!!」 「はぁぁぁぁ!クレイジーゴーラウンドEX!!」 時計塔が変形した巨大なキャノン砲からレーザーが放たれようとしたその瞬間、メルヴァモンは巨大な炎の竜巻と化した。 それは火山からマグマを吸い上げ、時計塔すらも破壊し竜巻の一部とした。 「嘘だ…!?私の城が!」 「喰らえ!!!」 竜巻から、マグマやガレキがサンドリモンに降り注ぐ。 「あ…ぅ…あぁぁ…つ…使い魔!行け!ノーブルファミリアーツ!!」 奴は使い魔を乗せたカボチャ型爆弾をそれにぶつけて相殺しようとする。 「そんなのでアタシを止められると思うか!!」 しかし、メルヴァモンはさらに斬撃を飛ばし、それを押し切った。 「使い魔!使い魔!?どうすれ…うわっ!」 「これで…終わりだ!!!」 竜巻から飛び出したフレアメルヴァモンは、燃え盛るオリンピア改でサンドリモンを断ち斬った。 「わ…私が…屈服…させられ…ああぁぁぁぁっ!!!」 ───────── 「はは…は…まさか…この私が…屈してしまうとはね…あはは……私の城が…崩れていく…」 半壊した”灰かぶりの城”の中、地面に倒れ伏すサンドリモンの元に俺たちは立っていた。 「烈々たる…一撃だった…♡屈服させられたというのに…なんという喜びだ♡…キミの名前…聞いてもいいかな…?」 奴…いや、彼女はメルヴァモンに向け、そう問いかけた。 「メルヴァモン。…片角のメルヴァモンだ。」 「そう…か…メルヴァ…モン…つか…さ…とても熱烈な…激情的な戦いだった…よ…」 サンドリモンはデータの塵となり消え去った。デジタマは…残らなかった。 「!?なんか揺れてるぞツカサ!」 周囲の地面がグラグラと揺れ始め、半壊状態だった灰かぶりの城がさらに倒壊していく。 どうやらフレアメルヴァモンが暴れた影響で、周囲の火山活動が活発になり始めているようだ。 「いつ噴火してもおかしくないな…早く帰るぞメルヴァモン!ゲートオープン!」 ───────── 後日。 「きゃーーっ!?」 メルヴァモンをクロスローダーに入れたら悲鳴をあげて出てきた。 「い…いた…」 「いた?何が?」 「サ…サンドリモン…」 「……え?」 クロスローダーに目を落とすと、確かにそこにはサンドリモンが表示されている。 「出てこい!リロード、サンドリモン!」 そこから現れたサンドリモンは、確かに俺たちが戦ったサンドリモンであった。 「お前…なんでツカサのクロスローダーに…」 「……確かに、確かに私はあの時死んだはずだった!しかし!気が付くと私はクロスローダーの中にいたんだ!ハントされたんだよ!私は!」 大仰に手を広げながら話すサンドリモンの姿に、俺は既視感を感じていた。 「ツカサ…?」 メルヴァモンが疑うように俺に目線を向ける。 「違う違う!ハントなんてしてないって!」 「じゃあなんでアイツがここにいるんだよツカサ!」 「知るか!俺が聞きたいよ!」 俺たちの口論をよそに、サンドリモンは話し続ける。 「あの情熱的な戦いで私は理解したんだ!屈服させられることの喜びを!司!メルヴァモン!…いや、司様!メルヴァモン様!パートナーデジモンにしてくれなどとは言わない!どうか…このサンドリモンを…お二人のペットにしてくれ!」 「「はぁ?」」 …どうやら変態は死んでも治らないらしい。 「私は惚れてしまった!司様だけじゃない!メルヴァモン様のあのアツい燃え上がるような斬撃!ハートを射抜かれる…いや!ハートを斬り裂かれてしまった!」 あの斬撃は”ような”じゃなくて本当に燃えてただろ…と思いながらメルヴァモンの方をチラリと見る。 「いや…なんか…そんなに言われると…照れるな…アタシ…」 えっ?あっ、受け入れる感じ? 「どうか…クロスローダーの隅っこにでも私を置いてくれ…!」 「…どうする?メルヴァモン」 「アタシは…ツカサに任せるよ。」 「よし、じゃあ〜……クロスローダーにいることは許可してやる。」 あれだけ強ければ…まあ損をすることはないだろう…たぶん。 「ありがとう司様…やっぱり私が王子様に選んだ人だ…!」 「様つけるのも王子様呼びもやめろ…なんか…キツい。」 「キミがそう言うなら従うよ。なんなりとね。」 またしても大仰にお辞儀をしながら答えるサンドリモン。 「おいサンドリモン…ツカサのこと、わかってるだろうな?」 メルヴァモンは彼女に鋭い目を向けながら、そう聞いた。 「もちろんだともメルヴァモン。私は側室で十分さ。」 その答えで合ってるのか…? 「……ならいい。」 合ってたらしい。ん?ちょっと待てよ。 「…もしかしてサンドリモンまで俺が相手することになってる?」 「抱いてくれないのかい?容姿には自信がある方なんだけどなぁ〜」 これまた大仰に髪をかきあげるサンドリモン。 「…それとも…好みじゃ無いのかな…?」 不安げなその顔は…正直なところ可愛いとは思う。 「いや好みとかそう言うのじゃなくて…俺にはメルヴァモンが…」 「アタシは別にいいぞ?」 「えっ」 「そう言うの好きだろ?えっと…ハーレムって言うんだっけ。アタシが一番って決まってるなら、アタシはそれでいい。」 「まぁそりゃ…嫌いなやつそんなにいないだろうけどさ…」 「じゃあ決まりだね司!情炎に焦がれるような一夜を過ごそうじゃないか!」 判断を誤ったような気がしたが、後悔したところでもう遅かった。 ━━━━━━━━━ サンドリモン cv.麦咲輪葵紫 童話「シンデレラ」のデータ以外にも、ダークエリア等から流れ込む質の悪いデータを摂取してしまった影響で、致命的に性癖が歪んでしまったサンドリモンの一個体。 自身を打ち負かす者を求めて戦いに明け暮れるサンドリモン種の特徴が変質し、自身が相手を屈服させることに喜びを感じる様になっていた。 ダークエリア由来の逆NTRのデータに影響を受け、パートナーのいる強き者を城に集めては打ち負かすことを目的として活動していたが、司達に敗北した結果、打ち負かされる喜びを思い出してしまった。 俗にヒトナー連合と呼称される、ヒトナーデジモン由来のリンクデータにも影響を受けているため、重度のヒトナー兼デジナー。尚且つ性別を定義しないことも少なくないデジモンの特徴からか、全性愛者である。 情熱的のような表現を多用するのは、メラモン系列のデジモンから進化した事に由来する。