自由人 怪文書 「(鍵は空いてるな…)おい、来てやったぞ!」 シャーレのドアの前に立つとまずはドアノブをゆっくり回し鍵がかかっていない事を確認する 驚かせようとノックをすることもなく勢いよくドアを開けるが、何も反応が返ってこない …いつもならあいつがふざけた挨拶するなり驚くなりで出迎えてくるなり反応があるはずなのに今日に限っては何も反応がない… 「………おい、クソボケ!いるなら返事しろ!」 大きな叫ぶが私の声がこだまするだけで返事ないようだ… 「あいつ…人の事呼んでおいてどっか行ったのか…?…いやでも鍵は開いていたな、あんな無防備なヤツでもそういうとこはしっかりしていたし………まさか!?」 嫌な事態を想定し隠し持ってた銃を取り出し辺りを警戒を強める 執務室に1人分の気配を感じる…やたら書類が積まれており、よく見えないがあそこはアイツの机だな… (気配もあいつっぽい気がするが…なんで返事をしないんだ…?ドッキリしたって笑えないし…こんな事アイツが…いやアイツならするわ!…もしドッキリだったならボコボコにしてやる!) 少し緩んだ警戒心を強め、銃を構えつつ気配のある方へ距離を詰め回り込むと机にうつ伏せになったまま動かないあいつの姿が目に入る 「ッ…先生!?」 無意識だった…罠かもしれないと警戒していたはずなのに、銃を降ろして先生の元まで無警戒に駆け寄っていってしまった… 息がある事を確認すると同時にハッとなり、再び周囲を警戒をしよ…う……と………ん…?コイツ寝落ちしてるだけじゃね…? 「ッ~~~~。はぁ…人がせっかく心配してやったっていうのにコイツは…ま、まぁ…それくらいなら許してやるよ」 こっちが心配している間にマヌケ面晒して寝ている男に悪態を付くながら殴ってやろうと思ったが、いつもの生徒のためにとかで何日も徹夜したんだろうと拳をゆっくり下ろすと机の上に散らばったものに目がいく 「ん?写真…?見た感じ前にやってたらしい運動会の奴かな…?ふ〜ん…私には関係ないけど………いいご身分だな、このすけこまし」 おそらく写真の整理中に寝落ちしたのだろうか…机の上に広がった写真にざっと目を通すと多くの女子生徒と楽しそうに映るすけこましの姿が見え苛立を覚える… 「お〜い起きろよ〜私がせっかく来てやったぞ〜」 もう少し寝かせてやろうと思ったが、イラついたのでさっさと業務を終わらせて帰るためとすけこましを起こそうと声をかけて頬をつつくがまるで起きる気配がない…でも、ちょっと楽しいなこれ… 「うりうり!ほ~らさっさと起きないと、このままつずっとつつくぞ~…あっ!?」 調子に乗ってすけこましの頬を突いてるとパクっと指先を甘噛される 「ギャーッ!ヘンタイ!!咥えんな!舐めるな!しゃぶるな!離せ!んん…ッ♡やめろぉ!スケベ!ヘンタイなプレイに巻き込むなぁ!」 そのまま指をしゃぶられ、背筋にゾクゾクするもの妙な感覚感じながらも、ヘンタイの鼻をツマんで口を開かせると素早く指を引き抜いて距離をとる 「はぁはぁ…口元にあったものなんでも咥えるのかよ、とんだヘンタイだな、このすけこまし………ん?」 甘噛された指をプラプラ振りながら、近くに転がっていた油性ペンとチェキに気付く。 「いいもんあるじゃん♪あんな事してくれたすけこましにお礼参りしてやらないとな(キュポッ)」 「ほら、お前が散々撮りたがってた、可愛い女の子が一緒に写真撮ってやってるんだから泣いて喜べよ、すけこまし」 油性ペンで頬に落書きをすると、チェキを使い中指を立てた私と落書きされてマヌケ面で寝ているすけこましとツーショット写真を撮る 現像された写真を確認し、上手く撮れたマヌケ面を見て少しは溜飲も下がったことだし、せっかくだからすけこましが起きるまでの暇つぶしを兼ねて弱みになるものがないかと、椅子を持ってきて机にある写真の束を物色していく… 「…うーわ、あの浮気男…どんだけ写真撮ってるんだよ…ほんと節操ナシだな、次から次へと女の写真が出てくるんだけど…ん?随分ゴツい子もいるんだな…いや流石にこれは節操なさすぎるだろ…」 しばらく写真に目を通していくと何故か既視感を感じる妙にゴツいピンクの体操服姿をした生徒の写真に目が止まる 「んん…?なんか見覚えあるような…いやでもこんな子いたら絶対忘れないよな…なんか夢に出てきそうなくらい…だ…し……………!!!?!????」 「ってこれすけこましじゃねーかよ!なんで女装してんだよ!?うーわ最悪じゃん、死ね!ほんと死ね!!マジで死ね!!!夢に出たらどうしてくれんだよ!」 しばらくアレな写真とにらめっこするとすぐ横で寝ているすけこましと顔が同じことに気づいた…気づくんじゃなかった…いや気づきたくなかった…果てしない後悔に襲われながら横で未だ呑気に眠るヘンタイに中指を立てながら罵声を浴びせる 「ほんと…なんでこんな格好してんだよ!?趣味か!?趣味なのか!?こんな奴に絶対会長ちゃんをやりたくないんだけど!!」 「………………でもまぁ…どうせ…かわいいかわいい生徒からのお願いなんだろうなぁ…ほんとバカだな…アイツ…なんで逃げないのかなぁ…」 「まぁ…変なところでも真面目に付き合うのが先生のいいところなんだけどさぁ…はぁ…なんか萎えてきた…」 一通り感情を発散させると格好はどうあれいつもの先生だなと納得する……ノリノリで自分から志願したのではないと願いたい…あとさっき見た写真の記憶も今すぐ消したい…いろいろ思うことはあるが写真をまとめて綺麗に片付ける 「さて…体調管理もできないバカのためにも、今日は私一人で仕事終わらせておいてやるよ、だからゆっくり休めよ、先生…」 先ほどのすけこましとの写真にラクガキを済ますと、先生の前にそっと置いてそのまま業務を開始する