二次元裏@ふたば

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455204 B25/01/05(日)19:29:51No.1269942610そうだねx4 20:42頃消えます
クリスマスからの騒動に一区切りです
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うちの子
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お借りした方々
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新ビジュアル
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差分
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このスレは古いので、もうすぐ消えます。
125/01/05(日)19:30:20No.1269942766+
赤い翼のデジモンは背に少女を乗せて北北西へ突き進む。
「それでまずは、デジタルワールドに行くの?」
背に乗る少女、名張一華は必死にフェニックスサンダーホークモンにしがみついている。
昨日までの彼女にはなんてことはない風圧が、今は命を奪いかねない暴風となって襲いかかっている。
「いや、まずは安全な場所に向かう。」いつの間にクロスオープンしたのか、すぐ後ろにヒエイと名乗った男がいた。
どうやら音声発声は必須では無いようで、あれらの派手な行動はわざとやっているのだと一華は気づいた。
「安全な場所?そんなところ…」彼女は最後まで言えなかった。ヒエイが無言でカードスラッシュしたのだ。
(これは催眠プラグイン!なんでこの人が……)名張家オリジナル、非売品のプラグインを持っていることに疑問を抱くも、強い眠気が思考を中断させる。
眠って動くなった一華をヒエイは抱きかかえる。
「アタル、気を抜くな。」そう呼びかけられてヒエイは面を上げる。
仮面で表情は見えないが、腕の中の少女に気を取られていたようだ。
225/01/05(日)19:30:34No.1269942840+
「うん、ごめんアンズーモン。行くよ、デジメンタル励起、シンクロ開始!」
「応よ!デジメンタル、ダブルブート!シンクロナイズ!」
アタルとアンズーモンの体が光に包まれる。
『時間』のデジメンタルとそのコピーデジメンタルを同調させることで余剰出力を発生、人間一人追加して時を渡る力を確保する。
「行くよ、母ちゃん……」光に包まれた飛翔体は加速し、音速を超えたところで空間から消失した。
時間の消失した亜空間で、アタルとアンズーモンは時間跳躍直後にデジタルワールドへ突入する準備を始める。
「Dゲートフィールドをテクスチャ上に展開、通常空間に復帰と同時に前方に投射、一気にゲートを突っ切る!」
「りょうかぁい!」アタルの指示にアンズーモンは威勢よく応える。
亜空間が消失し、曇り空の下に出てくる。
「射出ゥ!」アンズーモンの掛け声とともに撃ち出された何かはすぐにデジタルゲートに変化する。
「突入!」アタルが叫ぶ。アンズーモンは二人を乗せてゲートに突入し、直後にゲートはリアルワールドから消失した。
325/01/05(日)19:30:49No.1269942938+
今でない時代、此処でない何処か。
少し薄暗く調整された作業室で、初老の男がキーボードとマウスを忙しなく操作していた。
少し離れた場所で、赤い髪の少年が椅子の上で胡座をかいている。
男のすぐ横にある何本かのロボットアームが細かく動いており、その中央の作業台にはメガネが置かれていた。
「物理面の調整はあともう少しだよ、アタル。」モニターから目を離さずに男は少年に言う。
アタルと呼ばれた少年は所在なさ気に視線を彷徨わせると、椅子に逆向きに座り直した。
その背もたれに抱きつくようにしながら顎を上に乗せる。
「なあ、カイのおっさん、あの変な口上って何か意味あったのか?」
メガネの調整を続ける、カイと呼ばれた男に対し、アタルはそう尋ねた。
「普通に攻撃してそのまま追い払えばよかったんじゃないの?」
「……前に『上位存在』のことは説明したね?」作業の手を止めずにカイは話しはじめる。
アタルが黙って頷くと、カイは説明を続けた。
「君の宇宙用アーマーやアンズーモンの仮装、そしてあの口上はいずれも異世界の忍者や戦士を模したものだ。」
425/01/05(日)19:31:03No.1269943018+
「へぇ、そうだったんだ。」なぜカイがそれを知っているのかは不思議に思わないアタル。
「普通の人間にはそういった異世界の存在を認知することは不可能だ。だが上位存在は別だ。」
「別、というと……?」
「君に施した偽装は、それを知る者に対し傍目には意味不明な言動を催させる効果がある。」
「そんな効果がアレに……」
「つまりアレに対して特異な反応したものは上位存在、あるいはそういったものと関わりがあるということだ。」
そこでカイは手を止めてアタルをまっすぐに見た。
「非常に危険な存在だ、出たらすぐに逃げろ。」
「……わかった。」アタルは神妙な面持ちで頷いた。
「さて、もうすぐ物理調整も終わる。彼女を起こしてこなきゃいけない。」
そう言うとカイは傍らにあるフルフェイス型の仮面を取り出した。
「変身してもらえるかな?」
525/01/05(日)19:31:18No.1269943109+
「お目覚めかな?」気がつくと、一華は寝台の上に横たえられていた。
話しかけてきた仮面の男の声はあからさまにボイスチェンジャーがかけられている。
「……あなたがプラグインを解除したから。」
警戒感を含んだ声を発しつつ、一華はもう一人のヒエイを名乗った男の方を見る。
視界がぼやけているため、目を凝らそうとして睨んだような顔になってしまう。
「よく見えてないんだろう?これを掛けなさい。」仮面の男がメガネを差し出した。
一見、赤い太めのセルフルームのメガネの用に見えるそれを掛けてみる。
ぼやけていた視界が多少はっきりする。が、『奪われる前』には程遠い。
「コマンド、現在の着用者をマスターユーザーに設定。」仮面の男がそう言うと、キュインという小さな甲高い音が聞こえた。
直後に一華の視界にいくつもの文字列が浮かんだ。メガネのレンズに文字が映し出されているのだ。
「デジルビー、デジエメラルド、デジサファイアをナノ単位で組み込んで透過型ディスプレイと集積回路の能力を持たせたレンズだ。」
その発言に一華は耳を疑った。それはまだ理論だけの段階で試験モデルの設計が始まったばかりだと記憶していたからだ。
625/01/05(日)19:31:32No.1269943186+
「波形パターン登録、量子通信回路生成、ユーザー様、お名前の登録をお願いします。」
「名張一華……あっ。」システム音声に言われてそう答えた一華は思わず声を上げた。
つい反射的に本名を名乗ってしまったことと、システム音声の女声に聞き覚えがあったからだ。
(……まぁ本名はもうバレてるからいいのか、な?)
『名張一華様のお名前は当機のライブラリに収録済み、問題はありません。』今度は頭の中に直接音声が響く。
「!!」脳の聴覚領域に直接伝達されたと思われるこの音声の感覚にも覚えがあった。
「これ、シャルウルの……まさかあなた、海津さん?そしてここはみら」
そう言いかけた一華の唇に仮面の男が人差し指をあてた。
一華の視線を引き寄せた人差し指は彼女を黙らせるとゆっくりと離れていき、左右に振られた。
「ダメじゃないか、判ったことをすぐにそのまま口に出すのは。」ボイスチェンジャーは切られていた。
「痛い目を見たばかりだと言うのに、まだ学習が足りないのかい?」聞き覚えのあるバリトンボイス。
「あっ!……はい、ごめん、なさい……」うなだれる一華。だが必死に回転する思考は止められない。
725/01/05(日)19:31:46No.1269943280+
『視度補正最大。この状態での視力は0.7相当です。外部入力を推奨します。』とある航空自衛官に酷似したシステム音声が告げる。
「あー、やっぱりか。まぁそうなると思って助っ人を用意してあるんだ。」
先程までのねっとりとした口調から一転、棒読みスレスレな感じになる仮面の男。
「全く、見えてないはずなのに推理だけで……出ておいで。」
「おうさぁ!……ハジメマシテ、ボクはサーチモン、よろしくね!」
鈍色に光る、円盤を背負った甲虫の姿をしたデジモンが姿を現す。しかし……
「なんか……小さく、ないです?」一華の持つ知識ではサーチモンは少なくとも大型犬か家畜並みのい大きさのデジモンである。
しかし目の前にいるそれは手のひらサイズである。
「ああ、リサイズしてるからね。」仮面の男はさらっと言う。
「出力は多少下がるけど日常生活のサポートにはそれでも十二分なはずだよ。」
ということはサーチモンの走査能力を視覚に転用する目算なのか。
「サーチモン、やってくれ。」仮面の男がそう言った数秒後、
『外部より接続申請を受信、許可しますか?』一華の意識にシステムがそう告げた。
825/01/05(日)19:32:00No.1269943372+
「……っ、きょ、許可します!」思わず、弾かれたように、直接音声で応答してしまう。
『識別名レイカ=ワームモンとの接続開始、視覚情報を視神経に転送します。』
今度はかなり視界がはっきりとしてきた。さすがに以前の『眼力』には程遠いが、日常生活に不自由することはないレベルだ。
『視力1.2相当に補正。これ以上の補正は大脳視覚野へのミラーリングが必要になります。』
「やめといたほうがいいよ?」仮面の男のぶっきらぼうな助言を、しかし一華は聞き入れなかった。
「ミラーリング開始!」音声でコマンドを入力した途端に、大きく視界が歪んだ。
(うっ!これが……デジモンの視界を、『生身』で受けた状態……!!)
視野範囲、可視領域、見えている情報、すべてが人間のそれを上回っていた。
『忍者』が持つ多次元演算能力が健在な時ならば難なく処理できるそれらが、いまの彼女には過大な負荷となってオーバーフローを引き起こす。
『異常検知、セーフティー作動。ミラーリングを停止します。』視界が通常のものに戻る。同時に頭痛と疲労感が彼女を襲う。
925/01/05(日)19:32:16No.1269943480+
「ほら、言わんこっちゃない。」
「いいんです、今の、わたしの、限界を……把握、したかった、だけです、から。」明らかに呼吸が乱れている。
「いいから休もう、ヒエイ、彼女を客間のベッドへ運んであげて。」一華からメガネを取り上げると仮面の男はそう言った。

一華を客間に運んで戻ってきたアタルは、変身を解除すると疑念の眼差しをカイに向けた。
「カイのおっさん、あのサーチモンって、レイカ兄ちゃんのワームモンとユリカ姉ちゃんのデジメンタルだよな?」
「君なら見れば『判る』だろう?確認の必要があるのかい?」仮面を外したカイは冷ややかな視線を送る。
「……レイカ兄ちゃんとユリカ姉ちゃんを巻き込んだのか!」少年の声が怒気をはらむ。
「バカじゃないの!レイにぃとユリねぇがアタルにぃのやってる事に気づかないわけ無いでしょ?」
突如割り込んできた声に、アタルの目が見開かれる。
「アネモネ!?お前なんでこんなところに!?」そこに立っていたのは白髪の少女。
父親譲りのややツリ目気味かつ不敵な笑顔が目を引く、アタルの一つ歳下の妹である。
1025/01/05(日)19:32:29No.1269943566+
アタルは昔からこの妹には何かと負けることが多く、似たような雰囲気を持つオアシス団員の少女のことも同様に苦手と感じる一因にもなっていた。
「そりゃワタシの力が必要だからに決まってるじゃないのバカルにぃ?」
「正確に言うと俺だがな。」少女の背中をよじ登ってきたアルマジモンが口を挟んだ。
「とりあえず一華…『ちゃん』には今日一日はここで休んでもらうことにしよう。その間にアネモネとアルマジモンには『工事』に行ってもらう。」
言い争いになりそうな気配を察したカイが割り込んだ。
「ちゃんとサーチモンから『知識のデジメンタル』を忘れずに借りていくんだよ。」
「わかってるわよ。それで明日はレイにぃの『友情のデジメンタル』でいいのよね?」
「ちゃんと覚えてたね、偉い偉い。じゃあアンズーモンを呼んでくるね。」
立ち上がって部屋を出ていくカイ、自慢気に鼻を鳴らすアネモネ。
1125/01/05(日)19:32:47No.1269943667+
それを見て不安気な表情のアタルに対し、妹が人差し指を突きつけながら言い放つ。
「あのねアタルにぃ、事はワタシたち兄弟全員の問題なのよ。なのに兄弟の誰にも相談しないで!」
「そりゃだって……」相談できる訳ないだろ、とも言えずにだまっていると、
「アタルにぃって昔っからそう!なんでいっつも相談しないの!?」
「…………。」それについてアタルは、反論も弁明もできなかった。
それができる性格だったらそのような糾弾を受けることが最初から無いのだが。
1225/01/05(日)19:33:39No.1269944007そうだねx2
続きはtxtからお願いします

間違いとか解釈違いとかあったら
ごめんなさぁぁぁい!!
1325/01/05(日)19:59:35No.1269953235+
ようやっと大人しめのコーデになった気がしないでもない
1425/01/05(日)20:03:14No.1269954702+
成長を感じる…
1525/01/05(日)20:04:30No.1269955239+
ちょっと説明しますと現状の一華ちゃんは力を失ったことで家族や穂村くんから捨てられることを極度に恐れている状態です
そんなことするわけがない!と頭では分かっていますがもしかしたら…という考えが浮かんでくるのを止めきれません
自力でそれを否定できないぐらいに心が弱っているからですね
この子が次にわからされるのは忍者じゃない自分は誰にも必要とされないという残酷な事実なのかそれとも…
1625/01/05(日)20:08:31No.1269957125+
スプシモン様にはもしご覧になられましたらスプシNo.333名張一華のメイン絵を新ビジュアルのほうに差し替えをお願いしたく思います
1725/01/05(日)20:11:34No.1269958632+
リサイズサーチモンなんか好き
1825/01/05(日)20:14:16No.1269960111そうだねx1
>リサイズサーチモンなんか好き
そういえばサーチモンって大きさどれくらいだっけと思ってアニメのキャプ画像確認したんですよ
で か い
いくらなんでもデジモンの秘匿されたリアルワールドにそのまま連れていけるサイズじゃなかったので小さくしたり見えなくしたりしました
1925/01/05(日)20:19:19No.1269962355+
そうはならんやろってぐらい想像よりでかいデジモンいるよねアニメ…
2025/01/05(日)20:33:03No.1269968577+
>そうはならんやろってぐらい想像よりでかいデジモンいるよねアニメ…
例のサイズ比較サイトでアドコロverの奴選ぶと大概どデカい
前ジャンボガメモンとクーレスガルルモン比較したら後者の方がデカくて笑っちゃったよ
2125/01/05(日)20:33:46No.1269968905+
ご協力いただきました穂村拝公式様とオアシス団員GG-88号公式様に改めて感謝を
そして奇しくもかつての穂村くん同様に家族に捨てられる恐怖に震える一華をこれからもよろしくお願いします


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