ネオサイタマにある荒廃したビル内。ネオンライトの光は届かない薄暗く破損し穴の開いた壁から冷たい風が吹く中、一人のニンジャが音もなく歩いていた。黒一色に染められた長いコートを身を包み、コリめいた水色のショートヘアーをしている。彼女はアヴローラ、ロシアで活動してるヤクザ組織【過冬(カトー)】のエージェントであり、今は国外での情報収集の為にネオサイタマに潜伏している女ニンジャだ。 「フゥー…」 白い息を吐きながら廃ビルの一室を開ける。室内は外観には似つかわしくないほど整えられており、明かりはもちろんのことIRCに冷蔵庫、更には暖炉まで設備されている。アヴローラはコートを脱ぎ壁にかける、コートを脱いだその姿は雪めいて白く美しい肌が露わになり、ビキニめいた下着一枚のみである。そして、その胸はやや豊満である。 「今日は比較的楽なビズだったとはいえやっぱ疲れるなァ…」 両腕を真上に伸ばしながら息をつける。アヴローラは主に潜入そして仮想敵組織に対する工作任務が主であり、これまでも数々の任務をこなしてきた。今日も任された任務を終え自由時間ができたところだ。いつもなら本国からわざわざ輸入させたウオッカを片手にスシをつまむところだが今日は違う、冷蔵庫から取り出したスシパックを開けスシを食べ、エネルギー補給を終えると部屋を出ていった。コートは着ていないが過酷なロシアの大地で生き抜いたアヴローラからしたら一切寒くなく、むしろ先ほどまで着ていたコートも姿を隠すための物でありこれが普段の姿といっても過言ではない。鼻歌混じりに、どこか楽しそうな様子でアヴローラはビルの地下へと歩いていく。 そこは風の音さえ聞こえない冷たく薄気味悪い空間が広がっている。かつてここは暗黒メガコーポ傘下にあった中小企業が失態を犯した社員に研修を行わされるために設備されたものであり、その爪痕として『為せば成る』『御社なら年内可』『新年初労働』といった威圧的ショドーの残骸がいくつもある。アヴローラはそれらを気にも止めず奥へと歩いていき、扉の閉ざされた一室の前に立ち止まる。ポッケに入れていたカギを取り出し鍵穴に差し込んでガチャリとカギを開ける。ゆっくりと扉を開け、アヴローラはニッコリと笑いながら口を開いた。 「オハヨ、グラーフツェッペリン=サン」「………」 そこには壁を背にし両手、両足を鎖で拘束され、ところどころが破け汚れているミコー服を着ている胸が豊満な女が無言でアヴローラを睨みつけている。彼女はグラーフツェッペリン、アマクダリニンジャの一人であり油断ならないカラテの持ち主だ。殺意も込められたその視線に臆すことなくアヴローラは近くの椅子に座る。 グラーフツェッペリンがここに捕らわれたのは数日前からである。同じアマクダリニンジャであるリットリオと共に任務を行ってた際に突如として所属不明のニンジャが襲撃、応戦するも先ほどまで共に戦ってたはずのリットリオが突如として裏切りグラーフツェッペリンを襲い掛かった。あまりにも予想外の展開にガードが間に合わずそのまま気絶、気が付いた時にはこの地下室に閉じ込められている状態だった。最初は持ち前のカラテで鎖を破壊し脱走を試みたが、まともにスシも補給してない状態かつイクサで負傷した傷もあってかカラテが入らず、その間にタケウチめいた薬品を投薬され一切ニンジャ身体能力が発揮できない状態に陥っていた。 そして、現在もまだ回復には至らずこうして鎖に繋がれ数日間動けない状態になっていた。 「そんな顔したらせっかくのカワイイ顔が台無しだよ」「黙りなさい、早くこの拘束を解きなさい!」「それ聞いてハイワカリマシタ、なんていうと思ってるの?」 グラーフツェッペリンの言葉に耳を貸すこともなく、アヴローラは近づき顔を近づける。 「わざわざ君を殺さずここに連れてきたんだ、逃がすわけないだろ」「…いったい、なにが目的なんですか」「当然、君の口を割るためさ」 冷たくあっさりと言い放ったその言葉にグラーフツェッペリンは冷や汗をかくも表情は崩しはしない。 「…私のニューロンのニンジャ耐久力をナメないでください、その程度の脅しに秩序の先兵たる私が屈するとでも思ったのですか?」 だが、アヴローラもまたその笑みが変わることはない。むしろその口先は更に上がった。 「君がどう考えようが勝手だが…私は一切慈悲を掛けるつもりはない」 そう言うとグラーフツェッペリンを拘束していた鎖を解き、そのまま抱きかかえ部屋を出た。万全の状態ならこのままアヴローラの首をへし折ることも可能だが、今はまともに指を動かすことさえ困難な状態であるのもあり、グラーフツェッペリンは大人しくしていた。 しばらく歩いていると先ほどとは別の部屋の前に止まり扉を開けた。室内の光景を見たグラーフツェッペリンは思わず絶句してしまった。まず真っ先に目にしたのは大きな卓球台に卓球ラケット、そのほかには『休憩用な』とショドーが書かれた冷蔵庫にいくつものロッカー。更に『108回打ちます』『年末年始』『年中無休』『鍵の掛け忘れ』といった威圧的ショドーの数々がかけがれている。 「何をするかは、言わずともわかるだろう?」 アヴローラの声はどこか楽し気で恐ろしく聞こえた。グラーフツェッペリンは青ざめながらも口を開く。 「無駄なことを…何をやっても私は」「イヤーッ!」「ンアーッ!?」 グラーフツェッペリンは投げ飛ばされ卓球台の上に倒れこんだ。まともに力がでないのもあり起き上がることもできず、臀部をアヴローラに見せつけるかのような体勢になりミコー装束がはだけさらし越しに豊満な胸が露わとなった。アヴローラは既に卓球ラケットを手にしていた。 「アマクダリの内部情報、および各地に存在するアジトの場所にメンバー…全て喋ってもらうぞ」「だ…誰が喋るとでも」「イヤーッ!」スパーン! アヴローラのラケットがグラーフツェッペリンの豊満な臀部をスパンキング!アヴローラは決してカラテが得意なわけではないがどこを叩けば効果的にダメージを与えられるかを知り尽くしている! 「ンアーッ!」 グラーフツェッペリンは経験したこともない痛みに震えあがった。 「どうした?そんな大声をあげるとは、もしかして初めての経験か?」「ウウゥ…」 恥じらいと苦痛でニューロンがショートするような感覚に襲われる、実際このような体験はモータルの時代も含め初である。 「こ…この程度で音を上げるとでも…」「じゃあ遠慮なく」「え」 すると、アヴローラはもう片方の手にもラケットを手に持ちそして。 「イヤーッ!」スパーン!「イヤーッ!」スパーン!スパパパーン! アヴローラは凄まじい速度で臀部を連打! 「ンアーッ!?」 グラーフツェッペリンは想像を絶するを痛みを何度も味わう!スパンキングは基本一撃つづ与えるのが基本でありこうも瞬時に何度も行うのは極めて危険とされる! 「どうした、さっきまで威勢よく喋ってたじゃないか」スパーン!「ンアーッ!」「君に関して少し調べたがどうやらイクサばかりでこういうのを味わうは新鮮か?」スパーン!「ンアーッ!」「何か喋ってくれないとつまらないんだがなぁ」スパパパーン!「ンアーッ!!」 —————————————————— 「ブッダ…!」 しばらく、時間にして言えば10分もかかってはないが休む間も与えずスパンキングは続いた。グラーフツェッペリンの目は曇り涙が溜りはじめ、度重なるスパンキングによりミコー装束は更にはだけ、スカートはずれ落ち純白の下着と少し赤くなった臀部が露わになり、豊満な胸を支えたさらしもほつれ始めていた。今はひたすらブッダに祈りをささげることしかできない。 一方、アヴローラは度重なるスパンキングにより若干疲れが出始め、何よりワンパターンになりつつある現状に飽きが生じ始めていた。今は一度スパンキングをやめ、近くの冷蔵庫を開けソーダアイスを頬張っている。 「さて、準備運動はここまでとするか」「…えっ」 スパンキングが収まり安堵してたグラーフツェッペリンにとって精神を追い詰めるには十分な言葉だった。準備運動?あれが?焦りがグラーフツェッペリンを襲う中、構うことなくアヴローラはソーダアイスを噛み砕いた。 「えっ」 グラーフツェッペリンは目を疑った。アヴローラの体に変化が起き始めた。両腕はごわごわとした毛が生え太くなりはじめ、手もそれに合わせる用大きくなり鋭い爪が生えた。全身も一回り大きくなり、頭にはケモパンクスめいた耳が生える。それはクマめいたものだった。そう、これこそアヴローラの持つヘンゲ・ヨーカイジツだ! 「アッ…アアァ…」 グラーフツェッペリンは恐怖した。準備運動の意味がよくわかった、アヴローラはまだ本気をだしてさえいないことを! 「ま、待て!」「んん?」 卓球ラケットを再び手にしたアヴローラはグラーフツェッペリンの制止の声を耳にし顔を向ける。 「こ、これ以上の私に手を出して…ただでは済みませんよ!アマクダリが…秩序が必ず貴女を」「もしかしてだが…自分は助けられる立場にあるとまだ思い込んでいるのか?」「なッ!?」 アヴローラは平然としゃべり続ける。その言葉には哀れみさえ感じ取れた。 「確かにここはあらゆる勢力から放置されてるほどの辺境だ、でもIRCは問題なくつかえるし君に生体LAN端子が施されてないにしても向こうがその気になればこんな場所一瞬でバレるだろうな…少なくとも君が監禁された期間を考えればもう特定可能のはずだ」「あ…うっ…」 アヴローラの言葉にグラーフツェッペリンは怯んだ。言ってることは何も間違ってない、アマクダリの力をもってすれば見つけ出し、そしてエージェントやアクシスを送り込むのも容易のはずである。だが、いつまで経っても助けはこない、これが何を意味するかはグラーフツェッペリンも薄々とわかっていた、システムは、アルゴスは自分を助けるという選択肢を捨てたことを、秩序が自分を見捨てたということを。 「あぁ、それとあれも用意しないとな」「あれ…?」 何かを忘れたかのように言うと、アヴローラは近くの壁にかけていたひもを手に取った。卓球ラケットとひも、まったくもってシナジーを感じられない二つにグラーフツェッペリンは訝しむことしかできない。アヴローラはヘンゲし巨大化した手にも関わらず器用にひもを卓球ラケットの持ち手に力強く縛り付けた。 「よし…これで」 そして、その時である! ビュン!ビュン!ビュン!「えっ」 どうか、心臓のヨワイ方は心して見てもらいたい。アヴローラは先ほどひもをクルクルと凄まじい速度で回している。その挙動はまるでモーニングスターだ。振り回しているその先端に何があるか?トゲの生やした鉄球ではなく、ラケットだ、卓球ラケットをセットしたひもを振り回している!そして 「イヤーッ!」SMASH!! 試し打ちと言わんばかりに地面に叩きつけた!卓球ラケットの衝撃を受けた場所には軽くヒビが入るほどの威力がでている。 「よし、これで準備は万全だ…!」 アクマめいた目が、グラーフツェッペリンを睨みつけながら再び卓球ラケットを振り回す。 「ア、アイエエエエエエッ!?」 グラーフツェッペリンはあまりにも恐ろしい光景とその眼光に恐怖しついに失禁!何をするかは嫌でも理解可能! 「ヤメロ―!ヤメ」「イヤーッ!」SMASH!!「アイエエエエエエッ!?」 振り落とされた卓球ラケットは狙いがズレてグラーフツェッペリンの真横に空振る!その風圧で何枚かのさらしが切れた。 「なるべく勢いよく当てた方が良いからな!次は外しはしない!」「ま、待って!やめて!やだやだぁ!!」 恐怖のあまり涙を流しまともに動けない体を必死に動かそうとした、だが! 「イヤーッ!」SMASH!!「ンアアアーーーーッ!!!???」 ナ、ナムアミダブツ!なんたる恐ろしい光景か!先ほどとは比べることさえできない苦痛にグラーフツェッペリンは叫ぶ! スパーン!「ンアーッ!?」 そして、あまりの勢いに不可解な挙動をした卓球ラケットは720度回転したのちアヴローラにも被弾!まだ扱いに慣れてない故のハプニングだ! 「ンア…ま、まだやっぱ扱いに慣れないなァ…」「アアアァーッ!アアアアアアアァ―ッ!!」 グラーフツェッペリンがいまだ痛みに苦しみの絶叫がこだまする。アヴローラは気を取り直して再び回転を始めようとした。 「ま、待って…待ってよぉ…」「んー?次は何?」「こ、これ以上したら…し…死んじゃう…情報を、吐き出すのが目的…なんでしょ…?」 大粒の涙を流しながらグラーフツェッペリンは訴えた。ナムサン、これは実質命乞いに等しいが言ってることは間違ってない。実際アヴローラは最初の質問いこうインタビューらしき行為は一切しておらず、ただグラーフツェッペリンをスパンキングしてるだけでありまだ情報の一つも引き出せてない。 だが、この問いに対しアヴローラの表情は変わることはない。笑みを浮かべながらグラーフツェッペリンを見つめていた。 「実を言うとさ、最初から情報なんてどうでもいいんだよね」「えっ」「何も考えてなかったのか?君がここに来る前の出来事について、お仲間についても」 アヴローラがそういった瞬間だった。突如として霧めいた蒸気がアヴローラを包み込んだ。何が起きてるのかわからないグラーフツェッペリンは困惑するほかなかったが、次の瞬間、そこに立っていたのは。 リットリオだった、 「えっ」 再び困惑の声が漏れた。何が起きてる?なぜ、リットリオ=サンがここに?先ほどの卓球ラケットによるダメージもあってかニューロンが追いつかず爆発寸前である。 「答え合わせとしよう、私のジツはただのヘンゲではない、他者と瓜二つの姿にもなれるんだ。あの時、君を襲ったリットリオ=サンは私だったんだよ」 そう、これこそがアヴローラの本領、ツツモタセ・ジツである。グラーフツェッペリンが捕らえられた同日、任務場所へと合流するのリットリオをアヴローラが襲い無力化させ、リットリオの姿にヘンゲしグラーフツェッペリンへ接近したのだ。無論、グラーフツェッペリンもツツモタセ・ジツの存在はしっていたが、基本裏工作としての側面があるツツモタセ使いが前線に現れるなど思いもしていなかった。ウカツとも言える失態だ。 「…それで、実を言うともうインタビューのほうはリットリオ=サンでとっくに済ませているんだよ。忠誠心とかなさそうだったから余裕かと思ったけど苦労したよリットリオ=サンをへし折るのは…あっ、せっかくだし見てみるか?その時のリットリオ=サンを」 そう言うとアヴローラはIRCを取り出し返答も待たずグラーフツェッペリンに画面を見せる。 「ヒッ!?」 そこに映ってるのは満面の笑みを浮かべてるアヴローラと、服を全て破り捨てられ、深い傷跡で全身痣だらけで目が黒ずんでるリットリオの姿だ。よく見れば足の関節が逆向きに折れ曲がっている。 「…さて、では君はこう思うだろう。なら何のためにこんなことをしてるのかと」 アクマのような眼光が光る。グラーフツェッペリンはあまりの恐怖に震え、再失禁した。 「まぁ…言ってしまえばそうだな…私が楽しむ為なんだよ、これも全て、ね?」 気がつけばアヴローラは元のヘンゲ状態の姿に戻っていた。リットリオから情報を得たことを聞いた時点で薄々わかってはいた、だが、その恐ろしい真実が確実となったことはグラーフツェッペリンにとってかつてないほどの恐怖だった。つまり、このインタビューは自分が何をしようと終わることはない。ただひたすらアヴローラの気が済むまで耐えることしか許されない。 「じゃあ、もう休憩は十分だね」「待って…助けて…」「それじゃあ再開としようか。言っておくけどこれだけで終わりじゃないからな」「い、いやぁ!ヤダァ!誰か助けてぇ!」「助けなんてこないのはわかりきってることだろ?さぁ続けよう……簡単に壊れるなよ」「ア、アイエエエエッ!アイエーエエエエエエッ!!」 —————————————————— その夜、廃ビル周辺に悲鳴めいた声が鳴り響いた。 ドクロめいた月が夜空に浮かぶ。まだ悪夢は巡り、終わることはない。 【軽い名簿的なやつな】 [アヴローラ] 過冬所属のニンジャでありツツモタセ使い。やや豊満な胸を持つ。 この次元では仕事疲れを癒すためにかわいいな女の子を拷問する趣味を持つ。気の強い女ニンジャの精神を折るのが好き。 [グラーフツェッペリン] アマクダリ所属のミコーのニンジャ。ツルギ・ドーを極める恐るべきカラテの持ち主だが、いろんな要因が重なり発揮されることはなかった。 生き延びるも助けがくることはなく、永遠にアヴローラの玩具となる運命にある。 [リットリオ] アマクダリ所属の元ギャングリーダー。アーチ級ソウルの憑依者でありパルクールによるカラテを得意とする。 アヴローラのアンブッシュで一発KOされ捕縛される。最初は拷問にも強く抵抗するも次第に精神がすり減り、大事な足を折られた際には心が折れた。実は地下室の別室に監禁されている。