前回は『わたしたち』との戦闘で優位に立つも、ほむらちゃんの身体の中にわたし/観測者ちゃんがいると気づいた『わたしたち』が激昂し反撃
これを鎮めた私/わたしは
>「『私/わたしは、自分の罪を数えました』」
>1.「『さぁ、あなたの罪を数えろ！！』」
というところで終わりました
今回はこの続きから再開です

ほむらちゃんが、オリジナルが、仮面ライダーが。わたしたちを指して糾弾する。お前も罪を数えろと問い詰める
(その通りです)
わたしたちの中の何かが、それを受け入れて崩れ落ちる
「ああ、」
わたしたちの罪。集合意識の犯した、償いきれない多くの罪
「ああ……」
罪の意識がわたしたち自身を模って、わたしたち自身を喰らい始める
「ああああああああああ！！！！！！！！」

1〜9.逃れられない業から逃れようと藻掻いて、身体が意思から離れて動き始める
10.締まった喉を反射的に掻き毟りながら、その場に崩れ落ちる
dice1d10=2 (2)

「観測者ちゃん、この方法じゃやっぱり……/いいえ、これが最善です」
苦しみにもがきながら暴れ狂う『わたしたち』の動きは明らかに精彩を欠いていて、それが明確な戦闘の意図によるものではないと一目でわかります
しかし、あるいはだからこそ、それが -『わたしたち』自身を含む誰にとっても- 致命的なものになる前に止めなければなりません

正直に言えば、これは『「わたしたち」を殺さずに済む可能性がある』という一点を除けば最悪の方法です
憧れたヒーローの威を借りて心を折る。むしろ生き永らえさせてしまうという点で非人道的との誹りさえ受けるかもしれない行為です
ですがそれでも、これこそが『彼女を確実に止めること』、そして『生きて更生させること』。この二つを同時に達成できる、唯一の手段です

目的もなく力を振るう『わたしたち』。何度も思惟が反響してなにも聞こえないかのようなその内側に、それでも声を届かせる
テレパシーによる遠隔化した神経接続に混線させられるよう……苦しむ『わたしたち』に届くよう、可能な限りの全力でテレパシーに乗せる。わたし/観測者ちゃんと私/ほむらちゃんの想いを、確実に伝えるために

1.「あなただけは、絶対にここで止めます！」
2.「あなたをこそ、絶対に助けたいんです！」
3.1+2
dice1d1+2=1 (3)

1:1
2:0
dice6d2=1 1 2 2 2 2 (10)

『Bit Charge』
ゲノムオーグメンタⅢに存在する、出力調整機構
『Bite Charge!』
腰部正面の制御デバイス、その上面にあるボタンを二度押してチャージ。この状態で、デバイス右側の薬液シリンジを押し込む

「息を合わせて、/必ず成功させよう！」
あえてゆっくりと歩み寄り、暴れる『わたしたち』の突きだす拳や脚を最小限の動きで避けて。確実に、ピンポイントで当てられるように体勢を崩させて
『Finish Move!!!』
必ず届き、しかし破壊しすぎることもない。適切な出力で終わらせるための最後の一手

愛が欲しいか

狙うはただ一点、『わたしたち』の首元
「『
左脚を軸に、右脚を振り上げるアドバンシングサイドキック！

「『
ラ
イ
ダ
｜
バイトインパクト！！』」

マギア決まったな…

クライマックスだぜ

首元に突き刺さる右の爪先
そこから『わたしたち』の身体に伝播する衝撃を処理しようと、相変異型戦闘個体としての身体が自動的に自己修復指令を出す
「このタイミングでなら/届いて、もう一人の観測者ちゃん！！」
そこに、私/わたしは割り込んだ

私+わたし:371850
『わたしたち』:111588

あまりのも多くの情報が飛び交うどこか
痛み、飢え、寒さ。悩み、苦しみ、混乱。
物理的に存在するわけじゃない、しかし確かにそこに在って『わたしたち』を成り立たせるテレパシーシナプス

(ここが、『わたしたち』の中、なんですか？)
ほむらちゃんの声がする。確固たるかたちではない、それでもほむらちゃんだとわかるヒトガタがそこにいる
(ええ、わたしもこうしてここに来たのは初めてのことですが……)
手元……というものは存在しないのですが、それでも自分の側に意識を向けると、確かにオリジナルの『わたし』とわかるヒトガタの一部が見えます

３倍のパワー

(聞こえますか、わたしたち)
『わたしたち』に厳密な意味での中枢はないのですが、それでもそれに近い最大のノードに向けて声を届かせると

1,2.「わたしたちを、断罪するのですか？」
3,4.「わたしたちは、なぜまだ生きているのでしょうか」
5,6.「わたしたちは、どこで間違ったんでしょうか……」
7.!?
dice1d7=3 (3)

見失っている…

あなたたちを助けるために倒したんだ

伝わってくるのは、絶望に近い虚無感
「あなたの、あなたとほむらちゃんの言う通りです。わたしたちは、償いきれないほどの罪を犯してしまった」
犯した業が、処理不可能なエラーデータという形で次から次へとシナプスを這いまわる
「今できるのは、これ以上の罪を重ねる前に自分で始末をつけること。自分が悪だと気づいてしまったのなら、やるべきことは、『必要』は、それ以外にないでしょう？」
決まり切ったことを言うかのような言い方で、でも彼女を取り囲むのは『納得』や『諦念』ではなく……『恐怖』

「なのに……なのにわたしたちは、わたしは、まだ死にたくない！生きていたいと思ってしまうんです！」
罪を犯し、それを悔い、それでも……それでも生きたいと思ってしまう
罪の重さを自覚していればいるほど、その浅ましさは堪えがたいものでしょう

1.(あなたにはまだ出来ることがある！)とほむらちゃんが
2.(生ぬるいことを言うものじゃありません)とわたしが
dice1d2=2 (2)

価値観がずれすぎてしまったからな

観測者ちゃんは観測者ちゃん？に厳しいなぁ…

なんと、生ぬるいことでしょうか
(罪を犯した？償いきれないほど？だから自ら命を絶つ？)
正直に言えば、腹が立ってきます
(そんなことが、そんな贅沢があなたに許されると思っているのですか！？)
「ひっ！？」
怯える彼女に --そう、あの巨大な意識はなんと今この時、確かにこの小さなわたしに怯えたのだ-- 、真正面から相対する
(あなたが死ねば、残された体は？急に放り出されるマミさんたちのアフターフォローは？生体原子炉は？)
「あ……」
今更気づいたような声を出す彼女に、自分への苛立ちを隠しながらゆっくりと伝える
(ともかく、あなたはまだ死ねない。死ぬことは許されない)
なんと、生ぬるいことでしょうか

死にたくないと思う彼女に、わざわざ「死んではいけない理由」という逃げ道を突き付けるとは

例えあの仲間達を失わせた相手でも…マッポちゃん…

(それにね、もう一人の観測者ちゃん……えっと、群測者ちゃん？)
観測者ちゃんの厳しい……ちょっと厳しすぎる言葉を見かねて、私も声をかける
(私は、あなたに生きていて欲しい、です。たとえあなたが、観測者ちゃん本人じゃないとしても)
「それは、でもわたしたちは」
(でもも何もないです！私は、あなたが性根の底から悪いヒトではないと知っているんです！)
そう、群測者ちゃんは悪いことをしようと思ったわけじゃない。みんなのために、私のために頑張って、それで道を踏み外しただけ
(だから、私はあなたに生きていて欲しい！あなただって生きていて良いんです！)
観測者ちゃん。これは私が、あなたにも言いたいことなんです

1.たとえあなたが、あなたに出来る最善をできなかったとしても！
2.もしもあなたが、何かを間違えたり、失敗したりしたとしても！
dice1d2=2 (2)

(私は、あなたに生きていて欲しい。必要だからじゃなく、ただ、あなたが好きだから)

というところで、赤字なので今日はここまで
また次回お会いしましょう。それでは

お疲れ様