二次元裏@ふたば

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82036 B24/12/20(金)21:16:41No.1264550649そうだねx3 22:29頃消えます
【ファンフィクションな】

電子書籍割引キャンペーン締め切り探偵ザザ

第893893わ『ザザ対とっぱつてき33円キャンペーン』のまき
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/12/20(金)21:17:03No.1264550770そうだねx1
 冬至を迎えんとしていたエド城の、厳かで冷ややかな空気を、およそ場違いな猿叫が切り裂いた。
 ひゅん、とカタナの風切る音。続いて、微かな血飛沫が舞った。フスマに描かれた大松に止まるツルが、丹頂の名に由来した頭部以外をも紅に染め、その色彩的均整を崩す。
 凶善は呆然としながら、憤怒に染まった顔でカタナを構える、目の前のサムライを見た。次いで、烏帽子をずらし、自らの額を押さえた。
 冷気に当てられて生気を失っていた皮膚が、ようやく己が斬られたことを思い出したらしい。上等の小袖が鮮血に染まった。
 凶善は呻いた。
「な、血迷うたか、深谷殿」
「血迷うたも何もあるものか。重ね重ねの無礼の数々、もう許せぬ」
 きええ、とまた猿叫。だが、周囲に取り押さえられた主君のカタナが、にっくき凶善に振り下ろされることは、ついぞ無かった。

 そんなわけで、主君は切腹。そして、俺は、こうだ。
224/12/20(金)21:17:40No.1264551029そうだねx2
「唐留戸殿、いったい討ち入りはいつになさるのか」
 手穴木ィ 貞笹(てあなぎい さだささ)が俺に耳打ちをした。分厚く輝くビイドロ細工を耳にかけ、落ちた視力の助けにしている。当人曰く、これが自分の眼なんだそうだが。
「元来、締め切りはもっと前のはず」
「冷え込みも激しからず、雪もない。さらばその時ではなかったのだ」
「深谷様の無念を晴らすと決めたからには、過度な先延ばしは」
「分かっておる、分かっておる」
 分かる気なんてまるでない。俺はただの絵が好きなサムライだ。どうして仇討ちのリーダーなんかをやらなきゃいけないんだ。
「討ち入り直前、血判状を反故とし国へ帰るようにとの勧め。みなの覚悟を試すは、まこと良い策と存じ申す。されど試したからには、締め切りがより肝心になった、とお考えくだされ」
 そこなんだ。俺と手穴木を除いた残る三十一人が、帰れと言ったのに突っぱねやがった。ワーオ。
「肌も裂かれるような極寒の雪の日を選ぶとの計画、これもまた良きものと考える次第。されど、それも冬を過ぎれば絵に描いた餅なれば」
 行きたくないからそう言った。実際それで一回は成功したのに、こいつらときたらまだ諦めない。
324/12/20(金)21:18:40No.1264551412+
「……唐留戸殿」
 情報漏れを恐れて、俺たち浪士のアジトはいつも薄暗い。その暗さの中で、貞笹のビイドロが底知れぬ新月の夜めいた輝きを放った。
「締め切りは、近づいてござる。いつかは分からぬが。この年の内までには、ご決断を」
「……アッハイ」

 貞笹の脅しが天に通じた。しんしんと降り積もる雪を茫然と眺める俺を、貞笹のビイドロがじっと捉える。腹を括るしかない。
「者ども、時は来たぞ」
 おお、と密やかに、しかし勇気に満ちた喊声が上がった。

 かくして、俺たちは凶善の屋敷に向かった。月光に雪が白く照り映え、辺りは夕方のような明るさだ。
 家臣どもの詰め所に板を打ちつけ(出なかった言い訳が出来るようにだ)、火事だと喚いて(主君を見捨てた言い訳が出来るようにだ)、俺たちは屋敷に押し入った。
 事前の貞笹の調べで、凶善の寝室は見当がついている。襖を蹴り倒し、布団から這い起きた老人へ、俺はカタナを突きつけた!
「凶善!我が主君、深谷中臣の無念晴らすべく、我ら三十三人、推参したり!さればそっ首を頂戴致す!」
 凶善とて所詮泰平の世のサムライ、まして老いた身だ。小便を漏らして命乞いをするかと思った、その時!
424/12/20(金)21:19:04No.1264551571そうだねx2
「ビルビルビルーッ!」
 凶善の顔中の穴、いや身体中からもヒルのようにぬらぬらと光る何かが飛び出した!俺の足が恐怖に硬直する!
 ヒルじみた何かの塊は、凶善の皮を脱ぎ捨て立ち尽くした。人間そのものの、しかし人間にあるまじき出鱈目な位置と数に配置された知性ある七つの目が、俺を見返した。恐ろしい!思わず悲鳴!
「ヤアー!」
「ビルビルビルビル……」
「ヤーアアア!き、凶善は!凶善はいずこか!」
「この皮の中身なら、とうに我が宇宙的胃袋の中に収まっておるわ。お前と三十二人の中身も吸い出し、我が眷属の化けの皮になってもらう。33円に備えるための三十三の化けの皮とは、いやはや宇宙的運命を予感させるよの」
「何を言って……」
 名状し難き怪物の触手が俺を捕らえた!耳に鼻に、得体のしれないミミズじみた物体が潜り込む!
「まずは頭蓋から掃除してやるぞ」
「ヤアー!ヤーアアーアー!」
 その時だ!
ZZAPP!!二筋の金光が迸り、怪物の身体を割り裂いた!
「ギャーッ!」
 怪物が俺を取り落とした。尻餅をついた俺が振り向くと、立っていたのは浪士の一人だ。
524/12/20(金)21:19:31No.1264551785そうだねx3
「手穴木ィ……殿」
「唐留戸、お前は締め切りを守り、こうして討ち入った。後は私の出番だ」
 手穴木ィが燃えた!切腹か!?否、それはただの炎ではない……この世ならざる焔に燃える合羽だ!
「ビルビル……貴様は……」
「左様、この私こそ」
 怪物がうめき、探偵は歌舞伎役者も顔負けの見事な見栄を切った!二つの超自然の存在の声がシンクロする!

「「電子書籍割引キャンペーン締め切り探偵ザザ!」」
624/12/20(金)21:20:09No.1264552092そうだねx4
「ビルビルビル……」
 金光に灼かれたはずの怪物の身体はじくじくと肉を盛り上げて再生し、今や元通りだ。恐ろしい!
「人間のみならず貴様にも邪魔をされるとは。我がせっかく2024年12月20日より年明け1月9日にかけて電子書籍サービス
Kindle
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等においてニンジャスレイヤーのコミカライズを含む角川書店発行コミックスの33円キャンペーンが突発的に行われることを宇宙的第六感にて察知し、人の皮を借りて待つという計画を今まさに成功させんとしていたのに」
「2024年……待て、今は……元禄……何年先の話を」
 俺のつぶやきにザザが応えた。
「星々が過ごす上天の時に比した時、人間の歳月は瞬きにも満たぬ」
「アッハイ」
724/12/20(金)21:20:44No.1264552350そうだねx3
 なんてこった。俺は夢を見ているのか?電子書籍割引キャンペーン締め切り探偵ザザは金剛石(ダイヤモンド)の両目義眼を光らせた。恐ろしい!
「ビルビルーッ!」
 怪物が襲いかかる!
SMASH!「ギャーッ!」
 応酬の正拳突きで怪物は吹き飛んだ。
「トドメだ!義眼光線!」
 金剛石の目から光線が放たれる!
「アアアアアアー!」
 怪物は一瞬で蒸発して死んだ!何てこった!
「この世には科学で解明できない謎がたくさんある」
 両目義眼のザザは奇妙な帽子を被り直し、焔を燃やす不吉な合羽をひらめかせた。
「それらに対抗できる力を持つのが私、両目義眼のザザなのだ」
「ハイ」
824/12/20(金)21:21:24No.1264552624そうだねx2
「そして、カラルド。お前は、やると言ったな」
「エ、これ以上何を」
「討ち入りだ。主君の仇を討つのだ」
 ザザが凶善の皮を拾い上げた。恐ろしい!
「これを主君の墓へ持ち帰り、仇討ちをなすのだ」
「いや、皮じゃなくて首を」
 ザザの金剛石の義眼が輝いた!眩しい!
「アアアアアーッ!」
「やると言ったな!」
「アアアアアアアアアーッ!眩しい!」
「今年中に、やるのだ!」
「アアアアーッ!アアアアアアアアアーッ!!」
「せよ!」
「アアアアアアアアアーッ!アアアアアアアアアーッ!!!」
(いじょうです)
924/12/20(金)21:26:53No.1264554872そうだねx6
アッハイ
1024/12/20(金)21:29:59No.1264556016+
アイエエエザザ狂いの狂人!
1124/12/20(金)21:33:59No.1264557694そうだねx4
なんでザザを…
1224/12/20(金)21:42:42No.1264561516+
ザザ怪文書久しぶりに見た
1324/12/20(金)21:46:08No.1264562829+
ザザは変で怖い人だけど
ザ・ヴァーティゴの冒険譚で見せた画面越しにやってくるシーンはかっこいいと思うの
1424/12/20(金)22:03:33No.1264570010+
ザザに対する異常な愛情を感じる…
1524/12/20(金)22:13:02No.1264573760+
今回はビルビルーッしてたので33点加点します
1624/12/20(金)22:17:54No.1264575771+
>「ヤアー!ヤーアアーアー!」
ちいかわみたいでカワイイですよね


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