お前が塩の帝国と内通している事に気付いたのは、ごく最近の事だ。 聡明な兄上や周囲を固める大臣達が敢えて野放しにしているのか、それとも全く気付いていないのか知らないが、ボクにとっては衝撃だった。 今日までの一切、ボクとお前の間に、僅かばかりでも結ばれていた感じたものは……全てまやかしに過ぎなかったという事だ。 あまりにも残酷じゃないか。ボクの気持ちがお前に分かるか。またしてもボクは不要な存在になってしまった。 まあ……だからと言うべきだろう。いい加減うんざりした訳だ。お前がこうして拘束されているのはボクの独断だ。 思い出したか? わざを使わなくても昏倒させるくらいなら容易い。後ろからちょっと叩くだけだ。 殺そうとか、拷問にかけようとか、そんな事はしないとも。血に賭けても構わないぞ? これからするのは……ボクの身体でお前を篭絡する。 その顔が見たかった所はあるな。しかし冗談は言ってない。今からボクは自分の女を駆使してお前という男を誑かすんだ。 塩の皇帝と言えば何やら豊満でボクとは正反対らしいが……触れない女より触れる女だろう? よしんば嗜好が変わらなかったとしても安心してくれ。ボクの事が好きになるまで終わりはしないんだ。 そう、ずっとだよ。お前のかの国に残した友愛や親愛や恋愛や敬愛を全て溶かして、ボク以外何も考えられなくなるまで続ける。 脅し? まさか、これは決定事項だ……なるほどお前の言う通り、見方を変えれば拷問かもしれないが。ボクにとって血の誓いなんて何の価値もないから良いだろ。 ボクとお前の間には昏く深い嘘の海が隔てていた訳だが、これからは一切のまやかしなく真実だけが残る。それは素敵だと思わないか? ボクは思う。お前もそう思うようになる。 ああ、大臣ちょうどいい所に。誰でも良いから寝床を整えて、食事と湯を持ってこさせてくれないか。 今この内通者が寝ている所だから、起きたらまた懲らしめてやらないといけない……何を言うんだスリーパー? ボクがこの男は内通したと言っているんだ。それとも何か? 従者一人好きにする権利すら取り上げるつもりか? ボクに道を示してから取り上げておいてか? 胸の苦しそうな顔をするじゃないか。だが安心してくれ、ボクはこの男がいれば満足すると言っているんだ。お前から見て内通者じゃないのなら太子は気が触れたとでもしておけばいいだろう。 これで解決だ、良かったな? さて繰り返すようだが寝床と食事、それから湯を頼んだぞ。早めにな。 ……やっと行ったか。おや、お前もお目覚めだったか。小娘の身体を一晩中貪った気分はどうだ? 幸せか? 幸せじゃなさそうだな。幸せになるまでやるから大丈夫だ。 ボクにはお前が必要なんだ。お前にボクが必要じゃなくてもな。お前もボクが必要な身体にしてやる。 覚悟は決まったか? 結末は同じでも耐えられる期間は延びるかもだ……内心どうあれ、ボクの裸でいきり立つのは嬉しいものだ。 ボクの舌でも噛んでみるか? 実はナイフを隠し持っていてボクをグサリ! といくか? 出来はしないなぁそんな事をしたらお前も死んでしまうものな。 太子という立場に初めて感謝しているかもしれない。ボクが傷付けば只で済ませる訳にはいかないのだから。 さ、力を抜け。いや力を入れろ、か。高貴な身体でお前を受け入れてやるからな……毎日毎晩、お前とボクが両思いになるまでずっとだ。 大好きだぞ♥