つつ、と天井のそれの唇から何かが垂れた
玉虫色のそれがこちらの口元目掛けて降りて来る
動け、動けと念じるも身体は思う様に動かず
せめてもの抵抗にギュッと目を瞑りかけた寸前
ポコンというＬＡＮＥの着信音が鳴るのとシーツを跳ね飛ばすのは同時だった
壁を蹴破り転がり出たトレーナーの手にした携帯には
本物のスカーレットからの「ちょっと寝苦しいんだけど」
そんなメッセージと共に添付された汗ばんだ胸元
普段なら叱咤する所を今はただその発育の良すぎるデカパイへと感謝する
退避先の合宿所の中庭には同じ様に寝間着の同僚達と
それぞれの部屋の奥からはウマ娘の姿をとった光る眼の何かが見える
「物理は！？」
「当たるが通らん」
「フクトレ！」
「時間くれ。すぐには無理だ。生き残れ」

ねえウオッカ
今朝はトレーナー達何か皆寝不足なツラしてないかしら？

気軽に怪異が溢れ過ぎじゃない?

室内まで侵入する怪異はこれまでに居たっけ

眼だけが光っていた…

生霊だったりしないよな…

姿を真似るにはお粗末だけど部屋まで入ってきてて複数体いるのは大分危険だな?

台詞は何を言っていたのか

>台詞は何を言っていたのか
アンタはアタシの1番かしら？

なんというか夏だな〜

まさかスカーレットのデカパイに感謝する日が来るとはな

ここからどう立ち向かうんだ

あたりはするんだから物理で防いでフクトレのために時間を稼ぐ

>ここからどう立ち向かうんだ
相手が怪異ならオカルトのルールが適用される
まずは鏡やタバコで防御するのが有効

「駄目だな火遁も魔術も通らん」
「銃弾は吸収されて反射されるぞ」
「おいニシトレ突出するなそんなに前にいたら取り込まれる！」
「そっちは偽物だ目見ろって本物は円陣の内側にいる」
「すまんそのトロフィーで最後だ」
「こっちも光源が尽きる」
「フクトレ！」
「すまん！だがもう少しで…」
「違う！今のは俺じゃない！」
「あっ」
「返事…」
「やっべフクトレが同化される！頭からいってる！」
「引っ張れ引っ張れ！急げ！」

シラオキ様ー！助けてー！！

思ったよりもギリギリの状態じゃねえか…

逆さ文字のフォントなんてあるんだ…