「おーい、誰もいないのか?」  大原が派出所に帰ると中はもぬけの殻だった。 「まったく両津の奴め…」  小さく愚痴をこぼしつつ、大原は奥の休憩部屋へと進みどっかりと腰を降ろす。しかし、そこで人の気配を感じ奥を見た。 「ん…檸檬か…。寝ておるようだな」  畳敷きの休憩部屋にいたのは擬宝珠檸檬だ。その小さな体を横たえて、心地よさそうに寝息を立てていた。 「ふふ…可愛い顔だ」  大原は檸檬に近付くと、その顔を覗き込む。あどけないその寝顔を見た瞬間、大原の脳裏にある少女の顔が浮かんだ。 (あれは…そうだ、小学生の時の…)  それは、子供の頃に近所に住んでいた幼馴染の記憶。大原とは同い年で、活発で明るい少女だった。そして、大原にとっては初恋の相手。今初めて気が付いたが、檸檬はその初恋の相手に似ているのだ。大原は思う。ああ、もしあの子に想いを伝える事が出来ていれば…と。  幼馴染のあの子は中学に上がった際に転校してしまった。それ以来顔を合わせていないが、風の噂では結婚したと聞いている。大原は無論、今の家族に不満を持っている訳ではない。妻の事は愛している。しかし、もしも…もしもやり直せるとしたら。  気が付けば大原は檸檬の服に手をかけていた。荒くなる息を押し殺し、シャツをめくり上げる。露わになる檸檬の薄い胸、桜色の乳首。 「おおっ…!」  大原は感嘆の声を上げると、檸檬の体の上に覆い被さって