アスリートを育成する場であるここトレセン学園では、保健室に怪我をしたウマ娘が運び込まれるのはよくあることだ。 しかしトレーナーが運び込まれるのは珍しい。そんな普通ではない事態に、ごく普通のウマ娘ことマチカネタンホイザは直面していた。 「トレーナー……本当に大丈夫ですか?」 「……大丈夫だよ。ちょっと日に当たりすぎただけだから……」 タンホイザは普段の元気な姿からは想像もつかないほどに沈痛な面持ちで、ベッドに横たわるトレーナーの顔を覗き込む。 脂汗を浮かべたその顔は明らかにやつれており、異様なほどに青白かった。 「でも……今日はそんなに日差し強くないし、朝からずっと日傘差してたじゃないですか……熱中症なんて……」 「本当に大丈夫。少し休めば平気だから、早く戻って……」 「……トレーナー。ここ最近、ずっと調子悪そうでしたよ」 「そ、そうかな……」 「まさか何かの病気なんてこと……」 タンホイザが言いかけた時、トレーナーは急に口と腹を押さえて体をくの字に曲げた。 「うっ……」 「と、トレーナー!!?大丈夫!?」 タンホイザが慌てて覗き込むと、トレーナーは絞り出すように言った。 「ごめん……フクキタルに連絡、して……彼女のトレーナーを……呼んで……」 「わ、わかりました!わあっとっとっと、スマホスマホ!」 タンホイザは弾かれたように立ち上がり、慌てて駆けていく。 そしてその数秒後、カーテンの向こうにあった椅子に躓いて顔面から派手に転倒した。 「うぎゃぁーー!!ったたぁ……」 呻きながら顔を上げると、赤い血がポタポタと床に零れ落ちた。 「あだだ、や゛っぢゃっだ……でも先にズマホ!」 鼻血を拭おうともせずに急いで立ち上がろうとした、その時。 タンホイザは突然、後ろから肩を掴まれた。 「うひゃ!……と、トレーナー?」 恐る恐る振り返ったタンホイザの背後には、青白い顔をしたトレーナーが立っていた。その表情はどこか虚ろで、目だけが爛々と輝いている。 「あ、歩いて大丈夫なん……うわ!」 もう片方の肩も掴まれ、タンホイザの体はトレーナーの方へと向き直される。 タンホイザは思わず腕を掴んで抵抗したが、トレーナーはびくともしなかった。 「う、うそ……」 生まれつき優れた膂力を持つウマ娘にとって、男性に力負けするという経験はそうそう無い。ましてトレーナーのような細身の男に抑え込まれるなど、タンホイザは想像すらしたことが無かった。 あまりにも予想外の事態に、彼女はただ目を丸くして硬直する。 その顔に、少しずつトレーナーの顔が近付けられていく。 「……え?」 文字通り目と鼻の先に迫るトレーナーの口元を見て、タンホイザは思わず目を瞑る。 その直後、タンホイザは自分の鼻が、何か温かいものに覆われるのを感じた。 「ふが……!」 鼻を塞がれて妙な声を漏らすタンホイザをよそに、トレーナーはしばらくその行為を続けた。そして一度ごくりと喉を鳴らした後、ゆっくりと彼女の顔から離れた。 タンホイザが恐る恐る目を開けると、そこにはきょとんとしたトレーナーの顔があった。その肌は青白いままだったが、汗はすっかり引いてやつれた印象も無くなり、目には生気が戻っている。 「タンホイザ?……あれ?俺は何を……」 きょろきょろと辺りを見回すトレーナーは、やがて床に落ちた血に目を留めてびくりと体を震わせた。 「あ……まさか、そんな……」 トレーナーはタンホイザに向き直り、今にも泣き出しそうな表情で言った。 「タンホイザ!……俺は、君を噛んだのか!?」 「え……いや、噛んでは、無いですけど……」 タンホイザはなんとも言えない微妙な表情でそれに答える。 「……吸われました。ずび」 「……へ?」 ――それから1時間ほど後。 ふたりは内側から鍵をかけたトレーナー室で椅子に座り向き合っていた。 「……吸血鬼に噛まれた!?」 素っ頓狂な声を上げたタンホイザに、トレーナーは申し訳無さそうな表情で話を続ける。 「この前帰りが遅くなった時に、後ろからいきなり首を噛まれたんだ。気が付いたら牙が生えてて……」 「じゃ、じゃあ最近ずっと日傘を差してたのって……」 「直射日光に当たると肌が焦げるんだ。傘を差してればなんとか平気だけど」 「もしかして十字架とか、にんにくとか苦手ですか?」 「苦手になったね……この前シンボリクリスエスとすれ違った時、もの凄く怖かった」 「さっき肩掴まれた時すごい力だったんですけど、それも……?」 「……さっきは本当にごめん。この体になってから力がウマ娘並みに強くなって……怪我もすぐ治るんだ」 「そうだったんですね……」 その異常な腕力を肌で感じていたタンホイザは、トレーナーの荒唐無稽な話をすんなりと信じた。  「そして、これが一番困ることなんだけど……人の血を飲まないといけなくなった。色々試したけど動物じゃダメで、人間かウマ娘じゃないと受け付けない」 「今まではどうしてたんです?」 「先輩……フクキタルのトレーナーに事情を話して、少しずつ分けてもらってた。あとは実家に戻って家族からもらったり」 「あ、だからさっき呼んできてって頼んだんですね」 「ああ……あまり飲まないでいると、何を食べても空腹が続いて体調が悪くなってくるんだ。先輩が最近忙しくて、なかなか会えないでいたらこんなことに……」 「多めに飲んでおくとかは……?」 「唾液も特殊になってるみたいで、傷を舐めると一瞬で治っちゃうんだ。だから腕に傷をつけて血を出してもらってそれを舐めるってやり方だと、あまり量が摂れない」 トレーナーは口を開き、牙のように長く伸びた犬歯をタンホイザに見せた。 「この牙から出る液か何かがその効果を打ち消すらしい。だから噛みつけば大量に血が飲めるけど……たぶん、それをやると俺と同じことになる」 悲痛な顔で俯くトレーナーに、タンホイザは涙を滲ませながら問いかける。 「……どうして、私に言ってくれなかったんですか?」 「ごめん……でも、君は優しいから」 「え?」 「こんなこと言ったら失礼過ぎるんだけど、実は先輩や父さんの血はすごく不味いんだ。飲んだら気持ち悪くなって、せっかくの血をほとんど吐いちゃうくらい……でも」 トレーナーは口を手で覆いながら言った。 「君の血は、これまでの人生で食べた何よりも美味しかった。さっきのことは記憶が曖昧だけど、それだけは覚えてる」 「…………」 「飲む前から、なんとなくそれはわかってたんだ。だから、もし君が苦しむ俺を見て、血を分けてくれようとしたら……俺はいつか舐めるだけじゃ我慢できなくなって、君を噛むと思った」 トレーナーは口を覆ったまま、タンホイザから目を逸らした。 「……君を噛んで、俺と同じ目に合わせるくらいなら……死んだ方がマシだ」 「っ!」 二人の間に、しばらく沈黙が流れた。 そして、意を決したトレーナーが顔を上げようとしたその時。 「むん!!!!!」 「うわっ!……た、タンホイザ?」 大きな声で気合を入れたタンホイザは、トレーナーにビシッと手のひらを向け、力強く言った。 「トレーナー!私決めました!」 「な、何を?」 「これからは、私の鼻血を飲んでください!!」 驚いて固まるトレーナーに、タンホイザはハキハキと続ける。 「倒れた時と比べたら、今のトレーナーすっごく元気です!きっと血が出てるのが鼻の奥だから、つばが届かなくてたくさん血を飲めたんです!鼻血なら、噛みたいなんて思わないくらい、大満足!できると思いませんか?」 「!なるほど……」 「それに自慢じゃないですけど、私はよく鼻血を出しますから!どうせ流れちゃう血ならトレーナーが貰ってください。……ね、それなら良いですよね?」 「あ、ああ……いや、だけど、嫌だろ?鼻血飲まれるなんて……」 「トレーナーのためなら、それくらいなんのその!好きなだけちゅーちゅーしてください!むん!」 タンホイザは胸を張り、自信満々に答える。その顔には、さっきまでのような悲痛さはもう微塵もない。元気で明るい、普段通りの彼女だった。 「……だから、もう死んだ方がマシなんて言わないでください。私のトレーナーは、トレーナーだけなんですから」 「っ!!……ありがとう、タンホイザ……」 トレーナーは涙を拭いながら言った。 「……わざと鼻血出そうなんてことだけは、絶対しないでくれよ?」 「ご心配なく!そんなことしなくても絶対出ますから!」 「そんなに自信持たなくても……」 朗らかに笑い合う二人。その間には、いつも通りの、普通の空気が戻ってきていた。 「……それにしても、トレーナーに噛み付いた吸血鬼さんはトレーナーの血を飲んだってことですよね?」 「そうだろうな。噛まれた時血の気が引くような感じがしたし」 「フクちゃん先輩のトレーナーさんは血が不味いのに、どうしてトレーナーは美味しく血を飲めたんでしょ?男の人の血がみんな不味いわけじゃないのかな?」 「それはまあ、逆に母さんの血も不味かったし……」 「むむん?じゃどういう人の血が美味しいんだろ?」 「……あー……やめよう。そこを探るとお互いにとって良いことがない」 「え?なんでですか?」 「やめよう」 そして、数日後。 「あだーーっ!!」 トレーニング中に躓いて転んだタンホイザは、顔面から地面に激突した。 「あたた、またやっちゃった……」 「あー!マチタンまた鼻血出してる!」 「え!ほんと!?」 タンホイザは慌てて顔を触り、指に血が付くことを確認する。 「いけませんね。すぐ保健室に……」 「わ、私ちょっとトレーナーのとこ行ってくるね!!」 タンホイザは血が溢れないように手で覆うと、素早く立ち上がった。 「タンホイザさん!?鼻血が出てる時に激しい運動は……」 「……ってもう行っちゃったよ。早っ」 ぽかんと立ち尽くす友人たちを背に、タンホイザはトレーナーの元へ駆け付ける。 「トレーナー!出ましたよ、鼻血!ずび!」 「そ、そんなに急がなくても……」 「早くしないと止まっちゃいますから!ほら、あっち行きましょ!」 二人は慌てて人気のない場所へ駆け込む。タンホイザは鼻を覆っていた手をどけると、トレーナーに顔を近付けた。 まだ鼻から滴っている血を目の前にして、トレーナーは思わず生唾を飲む。 「さ、どぞ!」 「……ごめん、ありがとう」 トレーナーはタンホイザの小さな鼻に唇を重ねると、流れ込んでくる温かい液体を飲み込んだ。 「ふがが」 しばらくの間、タンホイザの妙な声とトレーナーが喉を鳴らす小さな音だけが二人の間に流れる。 やがてトレーナーが離れると、タンホイザの鼻血はすっかり止まっていた。 トレーナーはハンカチでタンホイザの鼻を拭いながら、申し訳無さそうに呟く。 「……本当にごめんなタンホイザ。……臭くないか?」 「いえ全然。むしろ……」 トレーナーの唾液は花の蜜に似た、ほのかな甘い香りがしていた。それが吸血鬼の特性のひとつであり、獲物を誘惑するために備わった機能であることなど二人は知る由もない。 タンホイザは言い淀み、慌てて話題を変えようとした。 「……と、とにかく!急いだおかげでたくさん飲めましたよね!ちょっと手に付いちゃいましたけど」 「ああ……」 鼻を押さえていた手に付いた血をじっと見つめ、トレーナーはぼそりと言った。 「……それも貰っていい?」 「え!……い、良いですよー!どぞ!」 「ありがとう」 トレーナーはその場で跪くと差し出された手を取って、貴族が高貴な女性の手にキスをするように、丁寧に指先の血を舐め取り始めた。 「ひゃ……!」 陶器のようにきめ細かく真っ白なトレーナーの肌は、先程の吸血の影響かほのかに紅潮している。中性的な顔立ちのトレーナーには薄紅色の肌がよく映え、どこか耽美な雰囲気を醸し出していた。 「……ひょぇ」 まさか跪かれるとは思っていなかったタンホイザは、そんなトレーナーの顔を見下ろしながら何か妙な感覚を覚えていた。 それは心臓がドキドキするような、鼻の奥がムズムズするような―― 「うあ゛……また出ちゃった……ずび」 ――再び流れ出した鼻血を軽く啜りながら、タンホイザは少し恥ずかしそうに呟いた。 「……どぞ」 「あ、ありがとう……」 そんなこんなで、タンホイザの尽力によりトレーナーは飢えと無縁の生活を送れていた。以前と変わらず学業とトレーニングに打ち込む日々、そんなある日のこと。 2人で外出した帰り道。日が暮れゆく町並みをタンホイザと歩きながら、トレーナーは折り畳みの日傘を閉じて鞄に仕舞った。 「大丈夫ですか?まだ明るいですけど……」 「どうせ横から差し込むし、これくらいなら平気だよ。ちょっとジリジリするけど」 「帰ったら冷やさないとですねぇ」 仲良く話しながら歩く二人の目に、ふと一人の子供の姿が映る。 親と離れてしまったのか、すぐ近くには大人の姿がない。そして子供は民家の玄関先に積まれた植木鉢に興味を示しており――今まさに、塀の上に置かれた植木鉢に手を伸ばそうとしていた。 「危ないっ!!」 咄嗟に駆け出すタンホイザ。猶予は数秒、目標は2つ。ぐらぐらと揺れる植木鉢を支えるか、子供に覆いかぶさるか。一瞬の逡巡の後、彼女はより確実に子供を守れる方を選んだ。 「……っ!」 子供を抱きかかえ、衝撃に備えて歯を食いしばる。しかし、数秒経ってもそれは来なかった。 「……あれ?」 タンホイザが顔を上げると、そこには植木鉢を両手で支えるトレーナーの姿があった。青白い顔をさらに青くし、トレーナーは植木鉢を元の位置に戻しながら言った。 「ほ、本当に危なかった……これ結構重いな。びっくりした……」 「……トレーナー」 タンホイザは駆け寄ってくる親らしき人影へ向けて子供を送り出しながら、目を丸くして言った。 「さっきの所からここまで、結構ありますよね?……は、速くないですか?」 「……あ、そうか……俺、君と並んで走れたのか」 力がウマ娘並みに強くなって――という言葉が、タンホイザの脳裏に蘇る。それは腕力だけではなく脚力も、ウマ娘と並べる程になるということ。 タンホイザの顔がみるみる明るくなり、目がきらきらと輝く。 「トレーナー!!今すぐ学園に戻りましょ!!」 「え?いきなりどうしたんだ?」 「良いこと思い付いちゃったんですよ〜!」 タンホイザに手を引かれ、トレーナーは学園の方へと走り出した。 すっかりと日が暮れたトレセン学園のコースで、二人の人影が走っていた。一人にはウマ娘の証である耳と尻尾が付いているが、もうひとりにはそのどちらもない。 しかしそれでも、二人は並んで走っていた。 「はぁっ、はぁっ……やったー!勝ったぁ!」 「はぁ、はぁ……や、やっぱり……流石に速いな……」 コースに倒れ込むトレーナーを覗き込み、タンホイザは満面の笑みを浮かべた。 「えへへ、実は一度トレーナーと走ってみたかったんです!楽しかった~!」 「ああ……これ、良いな。外で見てるのとは全然違う視点で君の走りが見られる……もっと充実したトレーニングができそうだ」 トレーナーも目を輝かせながら、起き上がってタンホイザに向き合った。 「……というか、他のトレーニングに付き合っても良いんだよな。併走は夜しかできないけど、屋内ならいくらでも……」 「わ!それも楽しそうですねぇ!」 トレーナーは無邪気にはしゃぐタンホイザの顔を見つめながら、ぽつりと言った。 「……ごめん、タンホイザ」 「え?……どうして謝るんです?」 「……教え子の鼻血を啜って生き永らえるトレーナーなんて、最低なのに……今初めて、吸血鬼になって良かったって、思った……」 トレーナーの目から、ぼろぼろと涙が零れ落ちる。タンホイザは静かに微笑みながら、黙って話を聞いていた。 「君と一緒に走れる日が来るなんて、こんなに幸せなことないよ……生きてて良かった。ありがとう、タンホイザ」 「こっちこそ。……特別な時間をくれて、ありがとうございます」 ――それから、マチカネタンホイザのトレーナーは彼女のトレーニングに現れるようになった。 「てい!てい!たぁー!」 「良いぞタンホイザ!もっと強く打ち込んでこい!」 サンドバッグではなくトレーナーのミットにパンチを打ち込むタンホイザを、周囲のウマ娘達は唖然とした表情で見ている。 「……タンホイザさん、さっきから本気で打ち込んでいるように見えるのですが」 「……そーね。あの人の体、どーなってんの……」 「ねー、ターボもあれやりたいー!」 「勘弁してくれ……」 ウマ娘を一番よく知る担当トレーナーが彼女と共に走り、拳を受け止め、共に泳ぐ。それは言うなれば、全てのトレーニングが友情トレーニングとなるような効果。 マチカネタンホイザの実力はそれまで以上に伸びていき、そしてそれはレースでも―― 「――1着はマチカネタンホイザ!!」 歓声に沸くレース場を背に、マチカネタンホイザは彼女のトレーナーの元へ戻って行った。 「やりましたよトレーナー!見てました?」 「ああ、最高のレースだった!……でも」 むんと胸を張るタンホイザの前に屈み込み、彼女を見上げながらトレーナーは言った。 「レースが終わった後、転んで膝を怪我しただろ。……最後まで気を抜いたら駄目だよ」 「うう……お恥ずかしい」 「ほら、見せてごらん」 膝を手早くチェックし、トレーナーは安心して息をつく。 「……うん、ちょっと擦りむいただけだね。良かった」 そしてそのまま膝に顔を近付けると、薄く滲んだ血をぺろりと舐め取った。 するとみるみる皮膚が再生し、傷など元から無かったかのように治ってしまった。その様子を確認し、トレーナーは立ち上がる。 「これで良し」 「いや良くないですよ!?土とか付いてませんでした!?」 「小石巻き込んだりしないから平気だよ。なぜか感染もせずに綺麗に治るんだ」 「そうじゃなくて……トレーナーのお口が」 「……ちょっとジャリジャリするね」 「もう、早くうがいしに行きましょ?」 2人並んで歩きながら、ふとタンホイザが笑みを漏らす。 「……んふっ」 「ん?どうかした?」 「いやー、なんだか私達、全然普通じゃなくなったなーと思いまして」 「……そうだね」 こうして、トレーナー以外は何もかもが普通のウマ娘、マチカネタンホイザと彼女の専属トレーナーは、その後も2人でトゥインクルシリーズを駆け抜けて行ったのだった。