二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1721047807256.jpg-(59987 B)
59987 B24/07/15(月)21:50:07No.1211457919そうだねx5 23:04頃消えます
ガルパンSS さおまこ
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/07/15(月)21:50:22No.1211458080+
「なぁ、沙織」
「なぁに? 麻子」
「……眠い」
「そっか」
 すぅ、すぅ。
 麻子の呼吸に合わせた静かな寝息と、麻子の温かさに包まれていく。
「幸せって、こういうものなのかな」
「……」
 そっと麻子を胸元に抱き寄せながら、わたしも目を閉じる。
 優しい眠り心地が、じんわりとわたしを包んでいった。
224/07/15(月)21:50:35No.1211458189+
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324/07/15(月)21:50:45No.1211458262+
 最近、わたしと麻子は同じ屋根の下で暮らしている。
 どちらの家に帰るかは、その日の気分や冷蔵庫の中身なんかで決める。
 理由は……それがお互いの得になるから。
 
 麻子は夜ふかしがなくなる。
 わたしは、麻子に勉強を教えてもらえる。
 それだけじゃない。なんとなくだけど、お嫁さんの練習もできるから!
 毎夕、麻子と肩を並べて帰るのが、楽しみになってきた。
 今日の我が家は、わたしの暮らす寮。
 部屋に帰って窓を開けると、暑いけれども少し心地いい汐風が、頬を撫でながら部屋の中に流れ込んだ。
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424/07/15(月)21:50:56No.1211458352+
 コンタクトを外して眼鏡をかけて、制服は脱がずにエプロンを纏う。
 麻子はテーブルに数学の教科書とノートを広げる。
 教科書を見る、その目は左右にリズカルに動いて、ノートが数式と回答で埋まっていく。
「ふぅむ、こうやってさっさと宿題を片付けて、夕飯を待つのも悪くないな」
「でしょー? あっ麻子、野菜切るの手伝って」
「うん」
 麻子が手を洗って、まな板の上のゴーヤを縦にざくっと切ると、スプーンで種とワタをかき出していく。
 フライパンを動かす手を止め、さくさくと薄切りにしていく麻子の隣で、ツナ缶の油を抜いて、ゴーヤと和える支度をする。
 今日はあまり手をかけない。
 スーパーで安かったマンダイのムニエル、ゴーヤの和え物、夏野菜のスープに、雑穀米。
「これも和えるか?」
「うん」
524/07/15(月)21:51:30No.1211458587+
 帰り道、麻子が着替えを取りに行くついでに摘んできた、庭に生えたオオバ。
 これも麻子が千切りにして、わたしが手にしたゴーヤの入ったボウルに、ぱっぱと加えていく。
「いいよねー、夫婦で日常的な共同作業、お料理ひとつでその仲が分かるよね!」
「ああ」
「……なんか突っ込んでよ」
624/07/15(月)21:51:43No.1211458689+
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724/07/15(月)21:51:53No.1211458766+
 夕飯を済ませたあと、麻子が洗い物をしてくれてるあいだに、わたしも宿題を片付ける……もちろん麻子の解答は見ないよ!
「ねぇ麻子ー、4-(2)なんだけどさー、このxとyの」
「ああ、それは引っかけだ」
「あー、ありがと」
「ん」
 麻子が出すヒントは本当に最低限。
 だけど、ひと言でも効果は絶大。
「そもそも、沙織の学力なら私のヒントなんか要らないだろう」
「そんなことないよ! 麻子の一言で迷いがふっと消えて道が開けるんだもん!」
「褒めても何も出ないぞ」
「飴でいい?」
「ん」
 ポイっと麻子の口めがけて飴を放り投げる。
824/07/15(月)21:52:09No.1211458878+
書き込みをした人によって削除されました
924/07/15(月)21:52:27No.1211459027+
書き込みをした人によって削除されました
1024/07/15(月)21:52:57No.1211459283+
「あ」
「問題な…パクッ」
 あさっての方向に飛んだ飴ちゃんを、麻子は皿を放り投げて軽いステップで舞い上がり、あさっての方向に跳んで口でキャッチして……着地の反動でキッチンに跳び戻って、落ちてきた皿をキャッチした。
「よっと」
「麻子! 凄いのは認めるけどお皿割ったら怒るからね!」
「もぐもぐ……飴を放り投げる沙織が悪いぞ」
「そりゃそうだけどさぁ……」
1124/07/15(月)21:53:13No.1211459397+
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1224/07/15(月)21:53:24No.1211459502+
 そうこうしているうちに夜も更けてきた。
 制服を洗濯機に入れて……寝巻きを用意して、
「麻子ーお風呂入るよ」
「そうだな」
 狭いユニットバスだし、別に二人で入らなくてもいいんだけど……麻子から一緒に入ると言ってきた。
「なんで?」
「電気代が安くなる」
「それだけ!?」
「それだけだ」
 そんな軽い理由で裸どうしのお付き合いをするのもどうかと思う。
 でも、最初は恥ずかしがってたわたしもだんだん慣れてきた。
「あのさ、麻子っていいシャンプー使ってるんだね、ちょっと意外だったかな」
 あんまり意識してなかったけど、麻子の髪の毛は近くで見るとつやつや、さらさらしてる。
「沙織の作る料理が美味いからな」
「答えになってないよ」
1324/07/15(月)21:53:49No.1211459680+
「髪は……いろいろあってな」
麻子の髪を束ねてから、背中を流すわたしに語ってくれたのは……、
「そっか、ごめん、変なこと聞いちゃったね」
「いやいい、沙織だから言えたんだ」
 おばあみたいにがみがみと厳しかった麻子のお母さんが、唯一ほめてくれてたのが、その長い黒髪。
 だから麻子は、髪を切らなかったんだ……。
「おばあはもう切ってもいいぞと言ってくれるが……髪を切るのはどうしてもできなかった」
「うん」
「切ればあと30分、寝ていられると思うんだが…」
「いいよ、わたしも麻子の髪の毛、大好きだから」
 麻子と同じシャンプーにした。みんな気づくかな?
「気づかれたからと言って気にしないが」
「でもでも、同棲してるのがばれちゃうかも!」
1424/07/15(月)21:54:05No.1211459780+
「これ同棲というのか」
「シェアハウス、かな?」
「「「「それだ!!!」」」」
 ちょっと待って、なにか混線した。
1524/07/15(月)21:54:17No.1211459865+
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1624/07/15(月)21:54:29No.1211459952+
 麻子の髪をマイクロファイバータオルでしっかり水気を切ってから、櫛を入れる。
 手櫛もすーっと入っていきそうな滑らかな髪質に、ちょっと嫉妬しちゃう。
「私は自分で乾かすから、沙織も自分の髪の手入れをするんだ」
「んー、もうちょっと」
 麻子のつやつやの髪から匂い立つシャンプーとコンディショナーの香りが、ちょっとくすぐったく感じる。
 麻子はドライヤーを使わずにこの長い黒髪を乾かしてるんだ。初めて知ったときは大変そうだと思ったけど、もう10年はそうしてるから慣れたって。
「沙織、私が乾かす」
「えっ? 本当?」
 ブォォォォと、ドライヤーの熱気が髪と頭皮をじりじりと焦がす。
「わたしもタオルドライしようかなー」
「時間はかかるが髪は痛まない、お勧めする」
「っても、わたし乾かすのに時間かかるから」
「そうだな、私みたいに3時に風呂に入るわけじゃないから、大丈夫だろう」
「まって、ちょっと待って麻子」
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1724/07/15(月)21:54:45No.1211460061+
「乾くまでの間タオルを何枚か変えながら、水分を吸わせていく……。その間には本が何冊も読める」
「ちょっと」
「髪の毛が乾くうちに周囲が薄明かりになるが、まぁ2時間寝れば学校に……」
「麻子っ!!」
 もう、睡眠障害のレベルで眠れないことが、さいきんの麻子の生態を知るうちにわかってきた。
 ……知ってる、麻子が寝ない理由は知ってるけど……それじゃあ麻子の身体が壊れちゃうよ!
「いい? わたしの家ではわたしがルールだからね! 夜更かししちゃダメだよ!? 寝床に本を持ち込んでもダメっ!!」
「うるさいな、沙織はそど子にでもなったのか──」
 えいっ!
1824/07/15(月)21:54:57No.1211460143+
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1924/07/15(月)21:55:10No.1211460227+
 ベッドに麻子を押し倒す。
「……今日の沙織はずいぶんと積極的だな」
「ちがう、ちがうよ」
 艶めいた黒の髪の毛に指を纏わせながら、ささやく。
「麻子が寝るまで、わたしも寝ない」
「徹夜するってことか? お盛んだな」
「ちがう! ちがうよ!」
 押し倒した麻子にぎゅっと抱きつくと、ふわりとしたボディーソープの香りがした。
「寝ないとおかしくなっちゃうよ」
「大丈夫だ、もう6年はこの生活を続けている」
「おばあに怒られなかったの?」
「あきらめた、おばあが」
「でもわたしはあきらめないからね!?」
 暴れる猫を押さえるように、体重をかけないようにして、自分のからだで麻子を包み込む。
2024/07/15(月)21:55:30No.1211460363+
 麻子の吐息と鼓動が、だんだんと緩やかになっていく。
「いい子だね、麻子」
「照れる」
 わたしはすうっと息を吸い込んだ。
 鼻いっぱいに、麻子のシャンプーの香りがした。
2124/07/15(月)21:55:56No.1211460560+
おしまい

日常ものを書こうとしたら大変だった
2224/07/15(月)21:57:35No.1211461277そうだねx2
さおまこキテル…
2324/07/15(月)22:03:16No.1211463612そうだねx1
良かったよ
2424/07/15(月)22:06:35No.1211464822そうだねx1
日常ものってさらさら書ける様な気がしたけど意外と大変だ
2524/07/15(月)22:09:40No.1211466126+
いい…
2624/07/15(月)22:29:08No.1211473853+
いちおうテキストも…
fu3733554.txt
2724/07/15(月)22:51:55No.1211483216そうだねx3
最高だぜ


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