白夜の街に浮かぶ偽りの太陽。
一年に一度日食を起こし、現実世界への転移門が現れるという。
これを知って暫くは道中で人助けをしたり悪党を倒したりしながら、
目標として旅を続けてきた。
そんななか「●●●●●●」という存在が現実世界を破壊しようとしているという話を聞かされる。
選ばれし子供とはそのために呼ばれたのだと。

転移ゲートが開くまで残り2週間。急ぎ歩を進める彼女らの前にオニスモンが現れる。
応戦しこれの撃退に成功するが、モノクロモンの戦車は険しい表情をしていた。
「あれは、俺の群れを滅ぼした巨鳥だ」
-----------翌日-----------------
野営をして一夜明けると、戦車はいなくなっていた。
「俺はオニスモンを追う。マモを現実に連れていき預かってほしい」と、置き手紙を残して。

「がああああ！」
マモが手紙を破り捨てる。
「お、落ち着いて！」
「落ち着いてられるか！宿敵がやっと見つかったっていうのに、
　肝心の俺を置いていってどうするんだあのバカ！」
テルコが荒れるマモをどうにかなだめてひとまず落ち着かせる。
冷静になったマモは静かに口をひらいた。
「それに、お前らは究極体になって、「●●●●●●」ってやつと戦えるんだろうがよォ
　…俺に何ができる？パートナーすらいない俺が、現実に帰って｡
向こうに帰る理由もないしな」
「でも、せんしゃもマモのことを心配して」
「相談もしねえで、あの馬鹿の勝手だ！…探しに行く。あいつじゃ、オニスモンに殺されるのが関の山だ。
せめて、俺がついてやらなきゃいけねェ」
外套を羽織って荷物をひっつかむ。
昨日の雨でぬかるんだ道には、しっかりと足跡が残っていた。

-----------峠道-------------
うすうす感づいていた。マモはデジヴァイスの力を引き出すことができない。
彼女と出会う前からずっと俺は一人で戦ってきた。完全体ならば自力でなれたとしても不思議ではない。
モノクロモンと琥白と戦ったときは、俺のほうが実力で上回っていたはずなのに敗北した。
あのときに見た光がデジヴァイスの力なのだろう。
その後も旅を続けるうちに何度も見た光が、マモの腕輪から発されたところを見たことがない。
他の人間といた成長期は、みるみるうちに完全体となり、やがて俺を越して究極体へと至った。
もはや俺は足手まといと言ってもいいのかもしれない。情けないことだ。
彼女のもとを離れても、俺の身体はタンクドラモンへと進化することができた。
簡単に証明できるのに今まで確かめなかったのは、癪だが彼女へ愛着が湧いてしまったらしい。
真実を知ればマモといる理由もなくなってしまう。
「まったく、マモだのノノだのテルコだのガニモンだの珊瑚だの琥白だの、
成長期の世話をしてるうちに、俺も甘くなったものだ」
鼻で息を吹き出して自分を嘲笑する。
まあ、悪いものでも無かったが。

断崖に少しの樹木を転がして作られた粗末な巣に侵入すると、確かにそこには巨鳥がいた。
体力回復のため食料を確保したのだろう。辺りにはデジモンの死体が散乱していた。
巨鳥はこちらを見つけると、咥えていた肉片を一飲みにしてから、咆哮を轟かせた。
すでに半分身体のなくなったミノタルモンから足を離すと、強い風を巻き起こしてゆっくりと飛翔する。
「お前と相まみえるのもこれで3度目か。今日こそは、白黒付けさせてもらおう」

-------------数時間後--------------------
「あれ〜ハイエナ野郎のオニスモンいないじゃ〜ん」
古代鳥型究極体オニスモン。
村落を襲撃しても血の匂いに誘われて現れ、せっかくの死体や傷病者を食い荒らしていくのだ。迷惑なことこの上ない。
選ばれし子供たちの反撃を受けて手負いと聞いたから、
究極体のデジコアの採取も兼ねて駆除しておこうと思ったのに。

「…おやおや〜？」
荒れた巣に立ち込める硝煙の臭い。ここで戦闘があったらしい。
中に降り立って見渡してみると、オニスモンの食残しがかすかに動いた。
「あ〜生ゴミかと思ったらガキどものタンクドラモンくん。
固くてまずそうだから放置されたんだね〜」
目論見が外れた憂さ晴らしに、頭を蹴り飛ばし踏みにじる。これは思わぬ拾い物だ。
「何回か粗製どもはけしかけたけど、君は私のことしらないか〜」
「はじめましてだね〜復讐者くん」
「聞こえる〜？あいつのこと殺したい〜？殺したいよね〜。じゃあ、私が改造してあげる〜」
「どうせこのままだと死ぬだろうし、動けもしないだろうから、君に拒否権ないけどね〜。ははは」
こんなところで完全体の素体が労なくして手に入るとは僥倖。
オニスモンが来る前に収容してさっさと逃げてしまおう。

-------数日後、カーゴドラモン内部------------------
ハッチが開き、暗い機内に光が差し込む。
「おはよ〜元タンクドラモンくん」
「さぁ、君の宿敵だっけ、もう近くにいるから投下してあげるよ」
「ちょ〜っと出力上げたからデジコアヒビいっちゃうと思うけど、
　廃品回収はしてあげるからね〜」
箱状のの固定具ごと押し出され、身体が宙に浮く。
金具が連鎖的に火薬で弾け飛ぶ音とともに、纏っていたフレームは分解し、
俺は地上へと降り立った。

---------数分後--------------
「…こんなものか」
闘いはひどくあっけなく終わった。
オニスモンが放つ光線ごと砲火で撃ち抜き、地上に落下したところで翼を押さえつけ頭を踏み砕いた。
これが究極体。長い時間の中で得られなかった力。
これが旅の果て。大切な群れの仲間たちへの弔い。
大義は果たされたのだ。
「…………」
俺は一体、これから戦士としてどう生きていくのだろう。
守るべきものもなくただひとり孤独で。この命に何の意味を見出せばいい？
復讐の猛火は消え失せ、共に意思が薄れていく。あれは俺の灯火だったのだ。
電脳核に亀裂が走っていくのを理解した。
心が静寂の暗闇に満たされていくのを感じる。すべてが無へと変わっていく。
いや…まだ、俺は―
「マモ」

鋼鉄の眼孔から光が消える。糸の切れた機械人形は、血の上にただ立っていた。

以上です！
作ってる途中の後半は完成の目処がたったので溜まってたのを吐き出しました
一週間そこそこで続きは投下できると思います
二週間以上かかるようだったら最悪そのまま投下します

絵本来たか…

おつらぁい…

機械ショップお姉さんが持ってるムゲンドラモンはマモちゃんのモノクロモンの成れの果てだったのか…

なんだい最近は…
絵本がすごい勢いで増えるが…

>機械ショップお姉さんが持ってるムゲンドラモンはマモちゃんのモノクロモンの成れの果てだったのか…
すまねえあっちはまた別個体です
こっちはちょうどいい処刑装置兼鉄砲玉兼人質の欠陥品です

お姉さんがちゃんと悪に見える…

>お姉さんがちゃんと悪に見える…
ずっと悪党だろ！？
ちょっとブライダルで胡乱に巻き込まれただけで！！

>お姉さんがちゃんと悪に見える…
コア夕立4号に殴りかけられてること除けば一貫して悪役だし…

ノノちゃん義手頼まなくてよかったね本当に

つれえよ…あんなに一緒だったのに…

お姉さん森編でもあああちゃん改造しようとしたしな…あっちは影さんに折檻されかけたが

>お姉さんがちゃんと悪に見える…
ちょっとコミカルに見えるようにしてるけどちゃんと戦力を溜め込んでるし
人間を模倣したプログラムにすぎないという都合でプライドがないのでやりくちはかなり邪悪でクレバーだぜ！

テルコをマモちゃんの旅に同行させてくれてありがとうございます！
戦車がこんなことになっちゃうのつらいよ…
憧れてた究極体になれたのに…

>ノノちゃん義手頼まなくてよかったね本当に
一応普通に改造できる手段も用意してあるけど
襲撃のときは覆面してて実は顔は割れてないので
ケンタル先生と協力（邪魔）して手術でも面白かったなあと思ったり
顔合わせも兼ねて

お辛いけど後半を座して待つ…

>ケンタル先生と協力（邪魔）して手術でも面白かったなあと思ったり
>顔合わせも兼ねて
機械ショップお姉さんが正気のときにケンタル先生が機械修理用にジャンクパーツ買ってたとかでも面白いかも

ケンタル先生も機械パーツあるもんね

>テルコをマモちゃんの旅に同行させてくれてありがとうございます！
こちらこそ一緒に遊んでくれてありがとうね！
テルコちゃんの究極体楽しみにしてるぜ！

大作作られてる気配は感じてたのでやっと見られそうでこちらもわくわくぴゅぴゅぴゅです
ノノの義手に変なの仕込むことになったらお姉さんが仕込んだことにしよう…

野生児もツッコミに回るレベル…

>大作作られてる気配は感じてたのでやっと見られそうでこちらもわくわくぴゅぴゅぴゅです
あらためて進化バンクめっちゃかっこよかった…
シエちゃんだのテルコちゃんだのりんねちゃんだの犬虎コンビだの
技術と発想と情熱がこもった作品はいつも俺に勇気をくれる…