「んぅ……ぁ…っ」 胸元に招き寄せた右手と…意外にも彼自身の意思で伸ばされた左手。摩り上げられるほどに溢れてしまう自分のものとは到底思えない悩ましい媚声にかぁっと顔が熱さを増す 彼の顔を見上げる事はさっきからできていない。自分がどんな顔をしているのかさえ考えられるほど余裕がなくなっていた 真菜にはひとつ決めていたことがある。人に触れる時は自らも触れられるのを許した時───いつかのないしょのスキンシップの時を思い出し、等価交換とばかりに自ら彼の胸板に押し当てていた指先からは絶え間なく力強い脈動が伝わり物言わず此方に訴えてくる 苛烈な戦いを忘れ今だけはと、愛しむように包み込む大きな掌の温もりと感触 ぐいとさらに身を寄せた体温に…接吻が添えられて、いよいよ私たちの体はおかしくなってしまった ほしい。もっと触れてほしい。きみがほしい 言葉にできる間もくれないほどに何度も唇と熱に浮いた目線を重ねられて身を捩り震える 「くろーさん…くろー…さん」