@ 「姉さんを…返せ!」 真の力を解放したガジモン…プルートモンと共に、ダゴモンの姿をした影を追い詰める伽耶とドーベルモン。 致命傷を負ったダゴモンはミレントを操作し、配下のハンギョモンたち…そしてミレントとの強制デジクロスを果たす。 それは、ハンギョモンたちを無理やりダゴモンの形に納めたかのような姿をしていた。本来のダゴモンよりも肥満ぎみに膨れ上がった体からハンギョモンたちのパーツが無数に生えており、ゼラチン状の緑色の巨体を動かす様子は山が歩いた、あるいは山がよろめいたという様子であった。 「チッ…こうなれば仕方がない。まとめて殺すぞ」 取り込まれているミレントごとダゴモンを倒そうとするプルートモン。戦意を喪失した伽耶の代わりに、ドーベルモンがその前へと立ち塞がる。 A 「あれは既に死んでいる。動くだけの死体のためになぜそこまでする?」 「カヤの望みが、オレのやりたい事!カヤが殺したくないなら、オレは死んでも殺させない!」 何度吹き飛ばされてもプルートモンを妨害するドーベルモン。 傷つき、退化し、エレキモンに戻ってなお戦おうとするその姿に、伽耶は再び戦意を取り戻す。 「ごめんなさい、そしてありがとうエレキモン。…やっぱり私は、姉さんと一緒に帰りたい!」 「気にしないで。だってオレは、カヤのパートナーなんだから」 2人の強い絆が、エレキモンを新たなる姿に導いていく。 「エレキモン進化──!」 『アヌ■■ン』『■センモ■』『■タルガ■ルモン』…違う。どれも今のオレ/私が求めている力ではない。 今まで喰らってきたデータの中から必要なデータをサルベージ…『Xプログラム』そして『X抗体』を抽出。 旧式インターフェースを創造。自身が持つ魔狼のデータと共に解き放ち“究極の魔獣”へと至る──! 「フェンリルガモン!」 B 「プルートモン、姉さんを助け出します。手伝ってください」 「再起が遅い…だが、いいだろう。再びお前と契約してやる」 再び立ち上がり、究極体へと進化を果たした伽耶とフェンリルガモン。 その姿に満足気な笑みを浮かべたプルートモンは、再度の共闘を受諾する。 「いいの?カヤ」 「ええ、ここで裏切るような相手でない事はよく知っているでしょう?」 盲目的な忠誠に、利用し合いの契約。そんな形で始まった彼らの関係にはいつしか、確かに絆が芽生えていた。 「フェンリルガモン、プルートモン、ジョグレス!」 「──フェンリルガモン:黄泉津顎(ヨモツアギト)!」 C 駆ける、駆ける、駆ける──! 冥府の刃を持った魔狼は、主人を背に乗せ邪神へと迫る。 「10時方向から触手、3秒後跳んで!」 近づかせまいと叩きつけられる、幾本もの触手にハンギョモンの群れ。そのことごとくを回避し、切り裂き突き進む。 彼女たちのみで対処できない妨害は、他のテイマーやデジモンたちの攻撃が道を切り開いていく。 異様な風貌をした大型のハンギョモンは、魔弾により眉間に風穴を開けられた。触手を束ねて作られた壁は炎の刃に切り裂かれた。 「…!ありがとうございます!」 D 切り裂かれた触手を足場とし、巨影の胸元に取り込まれている姉へ…姉の死体へと魔狼に刃を振るわせる。 一定以上の精神データ、生前から縁のある人と物、膨大なリソース。その他複数の条件に、何よりも本人の生きたいという強い意思。 数々の条件をクリアした場合においてのみ、冥府の刃は蘇生の光を帯びる──! 「──絶極叛刃、黄泉路返(ぜつごくはんじん、よみじがえし)!」 5年の歳月を経てなお衰えぬ親愛を胸に、彼女は姉へと手を伸ばす。 「帰ろう!姉さん!」 E 「…ダゴモン、クロスオープン!」 その声とともに、ダゴモンは自身の力がごっそりと奪われたのを感じた。呼びかにより意識を取り戻した彼女は、その一瞬でもって自身とダゴモンのエネルギーをフェンリルガモンへと譲渡。さらに自身との接続を解除してみせたのだ。 「ありがとう、伽耶ちゃん──ペンモン、リロード。そして、超進化!」 海面へと落下していく伽耶とフェンリルガモン。3人を背に乗せると、それはふわりと飛翔した。 かつてはクロスローダーに封じられ、死にゆくパートナーを見ていることしかできなかった。なればこそ、今、全力で力を振るおう。今度こそ守り抜くために。 「行きましょうシャンポンモン。“お礼参り”というやつです!」 「汚名返上名誉挽回。今こそ雪辱を晴らす時である!」