『宇宙人捕獲』という写真を知っているだろうか? SFやオカルト方面に詳しければすぐに解るかもしれない 詳しくない人にもこう言ったら伝わるだろうか 『諜報員のような男二人に挟まれて、宇宙人が持ち上げられている写真』 なんでこんな話をしているかというと、俺がまさにこの写真のような状態なのだ 持ち上げられている宇宙人側で ─アリーナ フリースペース 「おい!お前ら!やめろっ!離せっ!」 俺はアルフォースブイドラモンとタイラントカブテリモンに「捕獲」されていた ─数分前─ 「あ?海辺でバーベキュー?行かね〜、あの愛媛騒ぎで疲れてるし、いい加減デッキの整理もしたいしな。」 眼の前に居るのは”いつもの”二人、「ナンバーズバスター」と「根布谷 シンジ」 この二人にバーベキューに誘われて、そんな風にぶっきらぼうに断ったのだ。 しかし… 無言で顔を見合わせ頷く二人。 そこからは早かった、二人共パートナーデジモンの「アルフォースブイドラモン」「タイラントカブテリモン」にたった一言「やれ」とだけ伝え、俺は即座に両側から腕を掴まれ「捕獲」されてしまった。 「おい!お前ら!やめろっ!離せっ!」 「何言ってるのよ、一人だけ不参加なんて認められるわけ無いじゃない。」 「そうさ、こんな夏に欠かせないイベントを逃したらもったいないぞ?」 俺は別に逃がしてもいいし、欠かしてもいい…! 暑い、人が多い、人が多い、人が多い、そして暑い なんでそんな場所に好き好んで行って肉食わないといけないんだ…! 「さぁ!二人共!連行よ!」 「っ!そうだ!おい!アグモン!お前も行かないだ…何その格好!?」 思わず二度見してしまった 「うむ?私はもう準備万端だ」 俺のパートナーデジモン「ニセアグモン博士」(自称、アグモン博士) いつもの帽子と学士服は何処へ行ったのか、サングラスとアロハシャツに着替えいかにも『夏満喫』といった格好へ変わっている 「お前こういうイベントに参加するタイプだったのか!?」 「あぁ、私は『アグモン友の会』に別口で誘われているのだよ」 「「「アグモン友の会」」」 三人でハモってしまった 一瞬、場が固まったものの、すぐに何もなかったかのように俺の「連行」が再開する 「あ"ぁ"ぁ"ぁ""ぁぁぁぁ"ぁぁ"!"い"き"た"く"な”い”ぃぃぃぃぃぃぃぃ…………」 そうして俺はずるずると引きずられながら、バーベキュー会場へと「連行」されていった… ─デジタルワールド ファイル島海岸部 合同バーベキュー会場 肉と野菜を一通り取り終えた俺達は中央部でワイワイと騒いでいる集団(恐らく今回の主催側や中心人物の塊だろう) から少し離れた卓へと移動していた。 周りを見ると最低2〜3人程度の少人数のグループが多い、交流は歓迎だが、あそこまでの大騒ぎはちょっと…という層が集まっているのだろうか ともかく、俺達は各々取ってきた肉と野菜を焼き始める… 「「なぁ」」「ねぇ」 三人で網の上を見渡す 「「「なんで全員鶏肉と野菜くらいしか持ってきてないんだ?」」」 「…」 そのまま全員で黙り込んでしまう まぁ俺もとやかくは言えないが、なんだ「砂肝、ささみ、ぼんじり」って まるで焼き鳥だ 少しでも「焼き鳥」感を払拭したいのか、各々でサイドメニューを作り出す シンジはアルミ皿の上でハムエッグを、ナンバーズバスターは焼きそばを、俺は持ってきた野菜をアルミホイルに包む。 とりあえずはトマト、ジャガイモ、玉ねぎにしておこう これでなんとか「バーベキュー」の体裁は保てるだろう… しかし 「暑い…」 「そりゃあ全身包帯ぐるぐる巻きならそうでしょ、外したら?」 そうしたいのは山々だが… 俺はD-STRAGE(周りからするとデジヴァイスに相当するらしい)を操作し、アバターメニューを呼び出そうとする ─アバターデータが破損しています やはり変わらないか… 「この世界」に来てから変わらないエラーメッセージ 破損しているって、この姿はデジモンリベレイターでのアバターのはずだ。 ジョン・ドゥという名前だって登録したプレイヤーネームに過ぎない 俺の名前は…… 名前…は… 一瞬、完全に思考が停止する 「…ねぇ?大丈夫?」 「!!?え?あ…おう」 彼女の声で意識が引き戻される 俺は今一体何を考えていた? 「悪い、何の話だった?」 「暑いなら包帯外したらって話!」 仮面を付けている奴に言われたくはないが全くその通りだ、しかし外せないものは外せない。 「まぁ、色々あってな、外したくても外せないんだ」 「ふーん…?呪われでもしてるの?」 呪いか 「そうだな…そんなもんなのかもな」 「…まぁ、いいわ、そのままでいいならそのままで」 『仮面』に関しては彼女にも思うところがあるのか、それ以上追求はされなかった。 「二人共」 隣のシンジから声がかかる 「…焦げるぞ?」 「うわっ!やっべ!」 二人で慌てて料理を火から網から下ろす 危ない危ない、肉は多少ならいいが野菜は焦げたら大惨事だ ホイルを開けて中身を確認する、良かった、無事だ ─トマトとチーズのホイル焼き、じゃがバター、玉ねぎのホイル焼き(醤油味) 脂質、脂質、塩分 「間違いないコンボね」 「あぁ、DP+3000って感じだ」 「…いや、セキュリティアタック+1じゃあないか?」 などと、下らない冗談で盛り上がりつつ、各自の料理をそれぞれ取り分けて食べ始める。 その後はもう、三人とも「うまい」しか言ってなかったはずだ お前ら普段のカードバトルで上げてる口上の語彙は何処にやったんだ?(無論、俺も含めて) 一通り食べ終わった頃、ふとある変化に気がついた 近くに集団が出来上がっている この付近の卓は2〜3人の少人数グループの集まりだったはずだが、今は一箇所に集まって何かを話し合っている。 楽しく歓談しているという雰囲気ではない、「何か」があったという風だ。 「…なにかあったのかしら」 「ちょっと行ってみようか、君はどうする?」 「俺は…」 そうだな… 「あぁ…いや、俺はここで休んでる」 そう言って二人を見送る 少し独りで落ち着きたい、そんな気分だった そうして、二人が離れたころ なんとなく、海辺の近くの森に目を遣って 全身が凍りついた ─『俺』が俺を見つめている Ep1 END PickupCard Lv3 ニセアグモン博士(バケーションモード)成長期 ウイルス種 恐竜型 (青) DP1000 登場コスト3 進化コストLV2(青)から0 進化:「ニセアグモン博士」 から0 登場時 進化時 ターンに一回 お互いのバトルエリアの最もLvの高いデジモン1体をそれぞれのプレイヤーの手札に戻す 進化元効果 なし