古の墳墓 冒険の導入 トライボアに向かって出発してから数日後。パーティーは森に隣接したラウンター村に到着しました。パーティーが宿屋で休んでいると、村の衛兵が訪ねてきます。彼はアンディと名乗り、衛兵では対応しきれない事件が起きたので、冒険者である皆さんに対応したいと言います。「いとこの村が山賊に襲われたとき、あなたたちに助けてもらったと聞いています。あなたがたの腕を見込んでどうか解決していただきたい事件なんです」 アンディによると、この町には亡くなられた人の遺体を安置する地下墓地があるのですが、最近そこで奇妙なことが起きているというのです。遺族が墓参りに向かったところ、遺体がひとりでに歩き出し、遺族を襲ったではありませんか。今のところ遺体が地下墓地の外に出てきたという話はありませんが、このままほおっておく訳にはいきません。町の衛兵はそうした超自然の出来事に対処できず、みんな怖気づいてしまったのです。 事件を解決してくれれば金貨200枚を支払うとのことです。皆さんはその依頼を受け、アンディに案内されて地下墓地の入り口までやってきたところです。 墳墓の特徴 歴史:丘外れの洞窟を見つけた古代の豪族は、この土地を聖なる場所だと考えた。そこで洞窟内を改装し、一族の墓所として利用した。豪族はやがて衰退し、支配権を失った。後の入植者たちはこの洞窟を見つけ、死者を埋葬するようになった。 壁:自然洞窟に窪みが備え付けてあり、骨壷や骨が埋葬されている。登る場合のDCは10で、高さは10ft。 床:剥き出しの土だが、エリア4と5は敷石で舗装されている。 温度:冷たい。1時間過ごすためにDC 10の【耐久力】セーブを行い、失敗すると1段階の消耗状態を被る。 照明:壁や地面にヒカリゴケが生えているため、薄明るい。 ワンダリング・モンスター エリア1 パーティーは小高い丘の麓にたどり着きました。丘の斜面には二つの洞窟が見えます。その手前には草地が広がっていて、高さ2メートルほどの岩が円形に並んでいます。 入口#1 アーチ状の門になっていて、骸骨や天使が浅浮き彫りにされている。高さ15ft。エリア2に通じている。 入口#2 洞窟を加工した上り階段が続いている。エリア3に通じている。 罠:床には爆発のルーンが描かれている。受動知覚15以上で気づく。DC15の〈捜査〉判定で効果が判明する。装置無力化DC18。知らずにルーンのエリアに入った場合、10ft以内のクリーチャーはDC12の【敏捷力】セーブを行い、失敗すると3d6[火]ダメージを受ける。成功すると半減。 モンスター:ミノタウロス・スケルトンx1、スケルトンx2。辺りを警備している。 エリア2 南側入口 エリア1に通じている。 北側階段 エリア4に通じている。 部屋の特徴 東西の壁沿いには石の棺がある。北西には死者の神ケレンヴォーの死神めいた石像がある。石像の腕には鉄製の丸いリングが握られている。DC10の〈軽業〉判定に成功すると、リングを回収できる。 モンスター:コッファーコープスx1、ゾンビx1。2体のゾンビがいる。うち一体は普通の服を着た一般的なゾンビだが、もう一体は腐敗が進んでいて、錆び付いた鎧や剣の残骸を身につけている。彼らはこの場所を警備していて、エリア1の階段の罠が起動すると、コッファーコープスは様子を確認しに移動する。モンスターたちは呻き声をあげながら辺りを徘徊している。 財宝:棺のひとつにはエルフのミイラが横たわっている。彼は黄金のブレストプレートを身にまとい、杖を握りしめている。この鎧はブレストプレート+1で、杖はスタッフ・オブ・マイナー・ヒーリングを携えている。もうひとつの棺には罠が仕掛けられている。中には1500cp、700gp、50gpが入っている。 罠:矢の罠。DC15の知覚判定で罠に気づき、DC15の〈捜査〉判定で効果が明らかになる。装置無力化判定のDCは15。知らずに開けた場合、そのPCは二回の遠隔武器攻撃を受ける。遠隔武器攻撃+5/1d8[刺突]ダメージ。 エリア3 南側階段 下り階段になっていて、エリア1に通じている。 北側階段 緩やかな下り階段になっていて、エリア4に通じている。 部屋の特徴 左側の地面から湧き水が溢れ出ている。看板があり、「健康を望むものは1度飲め。2度以上は飲まぬこと」と共通語で書いてある。 この湧き水を飲むと、2d8+2のヒットポイントが回復する。ただし、24時間以内に2回以上の場合はDC12の【耐久力】セーブを行い、失敗すると24時間性別が反転する。 エリア4 北側階段 エリア2に通じている。壁には「私の透明マントを盗んだのは誰?」と落書きされている。 南側階段 エリア3に通じている。 東側扉 下記参照の鉄の扉。 部屋の特徴 鉄製の扉があり、ドワーフの彫像がその脇にある。扉にはライオンの頭を象ったドアノッカーが備え付けてあるが、ノックするためのリングがない。 エリア2のリングをライオンにはめ込むと不思議な力で扉が修復される。ノックをすると扉が開く。ノックの呪文を使っても開けることが出来る。 ドワーフの彫像を調べたPCはDC15の〈捜査〉判定を行う。成功すると、髭がレバーになっていると気づく。引っ張ると台座が回転し、中から宝箱が現れる。中にはクローク・オブ・プロテクションが入っている。 エリア5 西側扉 エリア4に通じている。 部屋の特徴 南東には石の祭壇があり、ミイラが横たわっている。黒いローブを着た男が呪文を唱えており、パーティーが部屋にたどり着くと儀式が完了する。ミイラはよたよたと起き上がり、パーティーに襲いかかってくる。 戦術 1R目、オゾズはスピリチュアル・ウェポンを発動し、ウィザードやローグを攻撃する。2R目はホールド・パーソンを発動し、バーバリアンを麻痺させようとする。呪文攻撃後は祭壇を使って遮蔽を取ろうと試みる。 オリルは同様にウィザードやローグを”恐るべき眼光”で麻痺させようとする。それから、バーバリアンを攻撃する。ただし、呪文効果によって麻痺している場合、まだ動けるPCを”腐敗の拳”によって攻撃する。 財宝 オゾズはアンデッドの王オルクスの聖印を持っている。DC15の<宗教>か<魔法学>に成功すると、オルクスの聖印であること、オルクスは強力な悪魔で、別名は”不死のプリンス”であることを知っている。耐毒剤1個、50gp相当の装飾品を2個所持している。また、祭壇の陰に宝箱が隠してある。特に罠はかかっておらず、以下のアイテムが手に入る * 4100cp、1800sp、170gp、50gpの宝石8個、25gpの芸術品が2個 * ポーション・オブ・ヒロイズム一本 * グレート・アックス+1 * 「遺体をアンデッドにする儀式」の呪文書。大変危険な品物なので買い手はつかないが、トライボアに持ち帰れば教会が50gpで引き取ってくれる。 * 手紙。それによると、オゾズは”黒き魔法使いジョシュア”という強力な魔術師に弟子入りしていて、地下墓地の遺体をアンデッド化し、軍団化すればより強力な呪文を教えてもらえるよう約束していたらしい。 結末 アンディをはじめ、町の住民は冒険者に大いに感謝をしてくれる。その日一日はちょっとしたパーティーが開かれ、ごちそうや地元のジュースが振舞われた。そして、手紙について知ったアンディは「ダスタラ様に報告したほうが良い。きっと力になってくれるでしょう」と助言をする。翌朝、一行は気持ちのいい朝日を浴びながら、トライボアに向かって旅立つ。