二次元裏@ふたば

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397029 B24/05/25(土)19:17:05No.1193090842そうだねx1 20:21頃消えます
「Hello everyone! 世紀のマジックショーへようこそ!」

自分は実に幸運だと思う。
あの人気ウマ娘、サトノクラウンのマジックショーのチケットを当てることが出来たのだから。
座席の位置としては中段程度の位置だが、お陰でステージ全体がよく見える。
果たして今日の彼女はどんなマジックを見せてくれるのか、今からワクワクが止まらない。

「今宵の思い出はみなさんにとって最も不思議な夜となることをお約束しましょう!──しかし、その前に……」

サトノクラウンが一度言葉を止めて、会場を見渡す。思わず観客の自分たちも息を止めた。

「……なんと! 今夜は『ドッペルゲンガー』がお客様達の中に紛れ込んでいるようです!」
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/05/25(土)19:17:29No.1193090997+
観客席にざわめきが走る。
ドッペルゲンガーというと、誰かの姿を借りて現れるという怪物だ。自分も含めて、ザワザワと観客達が席を見回すが、当然サトノクラウンに瓜二つな人影は存在しない。

「おや? どうやら私のドッペルゲンガーは恥ずかしがり屋なようです! では、こちらから招待させていただきましょう!」

サトノクラウンが指を鳴らすと、ステージ全体の照明を落ちた。観客席のざわめきがさらに一際強くなり、そして沈黙に包まれる。
会場全体のドキドキが一つになったところで、スポットライトの明かりがついた。何処からともなく聞こえてくるドラムロールの音ともに、スポットライトが会場全体を組まなく照らしていき──

「Found it! そこにいたのね!」

──俺を照らして、止まった。
224/05/25(土)19:17:44No.1193091104+
「……?」

眩しさに目が眩み、思わず瞼を手で覆う。
それから遅れて、左右をキョロキョロと見渡した。
ドッペルゲンガー、というからにはサトノクラウンに瓜二つな格好の人影がある筈だが、見つからない。

──え? あそこ、さっきまで男の人が座ってたよね?
──凄い……あの子クラウンさんにそっくり……。
──いつ入れ替わったんだろう? 

しかし他の観客達は『彼女』を見つけたらしい。先程とは違う種類の騒めきが客席を包んでいる。
一体、どこに『彼女』がいるのか。スポットライトに照らされているのだからすぐそばにいる筈なのに。
少し焦って辺りを見渡すと、視界の隅に艶やかな黒い髪の毛のようなものが入った。
324/05/25(土)19:18:33No.1193091433+
「……え?」

何だこれはと手に取ると、頭皮に引っ張られるような痛み。
さらに、いつの間にか手が指先まで真っ黒な手袋に覆われている。いつの間に?どうやって?──そこで初めて自分の身体を見下ろすと、いつの間にか服が変わっていた。
緑を基調にした、黄色のスカーフとサスペンダーが特徴な服。二の腕まで覆う黒い長手袋。下半身がどうなっているのかは伺えない。何故か胸元が膨らんでいて、視界が遮られている。
しかし、意識を向けると、何やらタイツのようなもので素肌が覆われているように感じる。
──まるで、サトノクラウンの勝負服のような。

「うそ……まさか……?」

思わず漏れた声は、聞き慣れた自分の低い声ではない。
ここで漸く、頭の中が噛み合ってくる。
サトノクラウンが言ったドッペルゲンガー。そして観客達が言うサトノクラウンにそっくりな子。
それは、まさか──
424/05/25(土)19:18:56No.1193091569+
「ふふ、楽しそうな気配に釣られちゃったのかしら? OK! 今宵は一緒に楽しみましょう! ステージに上がってちょうだい!」

サトノクラウンがウィンクをして楽しそうに笑う。
一体、俺に何をした!?──俺の心の中とは裏腹に、身体はサトノクラウンの指示通り立ち上がってステージへと向かっていく。
カツン、カツン、とブーツの音を会場に響かせて。背筋を伸ばし、胸を張って、観客達の目線を真っ向から受け止めて。

「よく来てくれたわね、『私』! 当然種も仕掛けも無いわよ! ふふ、今日アシスタントは『私』にお願いしようかしら?」
「好呀! 任せて!」
524/05/25(土)19:19:32No.1193091839+
頭の中は困惑しっぱなしなのに、唇が勝手に言葉を紡ぐ。耳に覚えのない言語で、恐らくは肯定の意を示し、彼女の隣に立って観客席を見渡す。
夢でも、見ているのか。
しかし肌で浴びるスポットライトの熱も、隣のサトノクラウンの存在感も、そして俺自身の身体から立ち昇る良い香り──恐らくサトノクラウンが愛用している香水の匂いも、生々しさに満ちている。
そしてサトノクラウンのマジックショーは進んでいく。
トランプを使ったオーソドックスな手品や会場の仕掛けを利用した大掛かりなものまで。
どれも自分は初めて観るものなのに、身体は勝手に彼女のアシスタントとしての働きをする。目線も、表情も、仕草全てで。
ただ心の中の俺だけが混乱に満ちていて──まるで、『サトノクラウン』という箱の中に閉じ込められているような。

「──それでは、今宵のショーはここまで! ご堪能いただけましたでしょうか?」

俺の混乱とは裏腹にショーはつつがなく進んだ。全てのマジックの披露が終わり、腕を広げて礼をする。カーテンが降りていき、観客達の目線が遮られて、ショーは終わりを迎えた。
624/05/25(土)19:20:16No.1193092161+
「凄いよクラちゃん! 最初から度肝を抜かれちゃった!」
「ふふ、ありがとう!」

舞台袖からもう一人のウマ娘──サトノダイヤモンドが駆け寄ってきた。彼女もドッペルゲンガーのマジックについては知らされていなかったのだろうか。

「あなたにも感謝するわ。このショーの成功はあなたのお陰よ」
「あ、ああ、うん……」

サトノクラウンがこちらへと向き直り、大きく礼をした。それはいい、のだが──

「……あ、あの。それで、これ、戻してもらってもいいですか?」

──俺の見た目は、相変わらず『サトノクラウン』のままだ。ショーが終わってやっと身体の自由が戻ってきたが、この衣装はどうやって脱げばいいのだろうか?
耳や尻尾を引っ張ると確かに神経が通っているような感じがするし、腕を動かすと胸に当たって──まるで、本当に胸が膨らんでいるような感触がする。さらに、脚を閉じればある筈のモノが無い。
恐らくはサトノの特殊メイクか何かだとは思うのだが。
724/05/25(土)19:20:39No.1193092311+
「……? 戻す? 言ったでしょう? 種も仕掛けも無いって」
「……え?」
「それじゃあ、またね。また来てもらえると嬉しいわ」
「え、あの──」
「関係者用の出口はあっち。案内してあげて」

言っていることが理解できないままに、クラウンがスタッフを呼び付けて、俺を帰らせようとする。

「え、いや、ちょっと」

俺の言葉は聞き入れられない。
スタッフに元々持っていた俺の荷物を用意されて、帰りの出口へと案内されて。
この衣装を脱がされることなく、ステージから追い出されていく──
824/05/25(土)19:20:56No.1193092432+
「──う、うそ、だろ……?」

結局サトノクラウンの姿に変えられたまま、関係者用の出口から外へと案内されてしまった。
顔も、服も、身体も。全て元の俺とはかけ離れたまま。
しかしステージに立っていた時と違って身体は自分の意思通りに動く……そのせいで、返って元の身体との差異を強く感じてしまう。
不安でピクピクと耳が動く。尻尾が暴れてお尻や膝の裏を擽った。

「……え、えっと……コレ、メイク……だよな? 落ちるん……だよな?」

呟きに答える声はない。徐々に大きくなる焦燥感に駆られて、俺は近くの着替えられそうな場所……多目的トイレへと足を運んだ。
924/05/25(土)19:21:17No.1193092562+
「……うそ……」

結論から言えば、メイクじゃなかった。
顔を引っ張っても『サトノクラウン』の顔は剥がれないし、耳も尻尾も全て地肌から生えている本物のようだ。
勝負服も恐らく本物と同じ素材で作られている。その下の身体については怖くてまだ確認できていないが、多分俺の想像通りだろう。
慌てて先程のステージへと走って戻る。慣れないブーツや蹄鉄の感覚に戸惑いながら。

「……え……?」

しかし、会場は完全に締め切られていた。さらに明かり一つ点いていない。人の気配がまるでしない。マジックショーなんて、無かったかのように。
今できることは、帰るだけ。
この、サトノクラウンの姿のまま。
1024/05/25(土)19:22:07No.1193092921+
「……夢? リアルな、夢なのか……?」

最早、そう信じることしかできない。

──ねえ、あのウマ娘……。
──あの勝負服、サトノクラウン?
──いや、まさか……こんなところにいないでしょ。凄いそっくりだけど……。

帰りの電車の中でも周囲の声を拾ってしまう。それは俺の認識だけが変わっている訳ではないこと、そしてウマ娘の聴覚を持ってしまっていることを意味している。
周囲の眼差しが恥ずかしい。俯けば、女性としても大きく膨らんでいる胸が、電車の振動で柔らかく揺れていた。
1124/05/25(土)19:22:52No.1193093246+
「……どうなってるんだ……?」

何とか自宅であるマンションの一室に帰ってきた。部屋の中は出かける前と一切変わっていない。ただ、部屋の主人だけが変わってしまった。

「ふぅ……んしょ……く……っ」

苦戦しながらサトノクラウンの黒いロングブーツを脱ぐ。四苦八苦の末に何とかブーツを脱ぐと、黒いタイツに覆われた長く綺麗な脚が露わになった。
まだショートパンツやサスペンダー、長手袋が残っているが──もう、疲れ果てて脱ぐ気力も残っていない。
いきなりサトノクラウンに瓜二つの姿にされて、ステージに立たされて、終わったかと思えばそのまま帰されて、周囲の目線が恥ずかしくて……。

「……お願いだから、覚めてくれ……」

ゆっくりと、瞳を閉じた。
目が覚めたら、マジックは全て解けて──『サトノクラウン』という箱から抜け出せていることを願って。
1224/05/25(土)19:23:08No.1193093387そうだねx8
クラちゃんにされたい
1324/05/25(土)19:23:54No.1193093736+
いいね…
1424/05/25(土)19:24:21No.1193093936そうだねx6
え…なにそれこわ
1524/05/25(土)19:24:33No.1193094026そうだねx1
TSFとマジックショーは相性がいいよね……
1624/05/25(土)19:25:32No.1193094485+
こわいよー
1724/05/25(土)19:29:00No.1193096003そうだねx2
理不尽に変身させられちゃうの本当好き
1824/05/25(土)19:29:20No.1193096165そうだねx1
プリTSダービー世界では本物と本物みたいな怪異がいる
1924/05/25(土)19:30:45No.1193096737そうだねx2
本物の影武者として一生終えるのもいいよね
2024/05/25(土)19:32:52No.1193097698+
何が怖いって関係者どころの騒ぎじゃないのに関係者ではないでいきなり日常に戻されてるのが一番怖いよ…
2124/05/25(土)19:33:12No.1193097860+
クラちゃん責任取って!
2224/05/25(土)19:33:47No.1193098115そうだねx1
肉体だけ改造されるパターンと思考ごと改造されるパターンと世界が改造されるパターンがある
2324/05/25(土)19:35:19No.1193098808+
外見はまあいいとしてもちんこ返せや
2424/05/25(土)19:36:09No.1193099203+
いや待て中に意識だけ残ってるけど制御できないのは怖い怖い…
2524/05/25(土)19:37:52No.1193099978そうだねx1
>何が怖いって関係者どころの騒ぎじゃないのに関係者ではないでいきなり日常に戻されてるのが一番怖いよ…
あくまで一般客にアシスタントしてもらっただけだから
ショーが終わればただの一般人だから
変えられた身体? 種も仕掛けもございませんのでそのままお帰りください
2624/05/25(土)19:38:24No.1193100228そうだねx1
この世界ではあとは鏡とかが即死アイテムだったな…
2724/05/25(土)19:39:09No.1193100572+
やっぱすげーぜ…マジック!
2824/05/25(土)19:39:15No.1193100620そうだねx1
>この世界ではあとは鏡とかが即死アイテムだったな…
照魔鏡の類でもあれば元に戻れる?とか思ったけど鏡即死アイテムなのか…
2924/05/25(土)19:40:12No.1193101010そうだねx5
三女神は慈悲深いから本当はウマ娘なんだよねって手鏡チェンジさせてくれるよ
3024/05/25(土)19:42:52No.1193102174そうだねx1
>照魔鏡の類でもあれば元に戻れる?とか思ったけど鏡即死アイテムなのか…
そこに使うだけで愛嬌◯なウマ娘にしてくれるプリティーミラーというアイテムがあるじゃろ
3124/05/25(土)19:42:57No.1193102225+
>>この世界ではあとは鏡とかが即死アイテムだったな…
>照魔鏡の類でもあれば元に戻れる?とか思ったけど鏡即死アイテムなのか…
プリティミラーは即死アイテム
3224/05/25(土)19:46:26No.1193103816+
TSショップ
3324/05/25(土)19:46:32No.1193103857+
こうしてサトノが量産されていくんだな…
3424/05/25(土)19:47:11No.1193104145そうだねx4
身体だけクラちゃんに変えられちゃってるけど社会的立場は元のヒトオスのままだから職場には行けなくなるしなまじ有名人そっくりな身体にされてるから親も知人も誰も信じてくれないの
いいよね
3524/05/25(土)19:47:36No.1193104334+
>TSショップ
TSってそういう…プリティとは愛嬌とは…
3624/05/25(土)19:47:58No.1193104501そうだねx3
>身体だけクラちゃんに変えられちゃってるけど社会的立場は元のヒトオスのままだから職場には行けなくなるしなまじ有名人そっくりな身体にされてるから親も知人も誰も信じてくれないの
>いいよね
パターンがいくつかあって本人だけ変わってる場合と戸籍ごと変わってる場合と世界ごと変わってる場合がある
3724/05/25(土)19:50:35No.1193105706+
三女神様の気分次第で変わる
3824/05/25(土)19:52:07No.1193106399そうだねx4
本人だけ変わってるパターンは95割おつらいことになる…
3924/05/25(土)19:53:39No.1193107108+
久しぶりに見れて嬉しい………
4024/05/25(土)19:54:15No.1193107417+
本人だけ変わったパターンだとハヤヒデが金払ってお姉ちゃんと呼ばせようとしたりする……
4124/05/25(土)19:59:14No.1193109958+
クラちゃん邪悪すぎない?無関係の男性を自分に変えて一体何がしたいの?
4224/05/25(土)20:00:37No.1193110631+
これシリーズ?
他のも見たい
4324/05/25(土)20:03:23No.1193112026+
>パターンがいくつかあって本人だけ変わってる場合と戸籍ごと変わってる場合と世界ごと変わってる場合がある
どのパターンもいいよね…
4424/05/25(土)20:04:40No.1193112707+
これちょっとホラーじゃない?
好き
4524/05/25(土)20:05:17No.1193113045そうだねx1
TSまではいいけどほっとかれるパターンはかわいそう
4624/05/25(土)20:05:31No.1193113186+
解けないならこの先不幸しか待ってないな…
4724/05/25(土)20:07:45No.1193114334+
かわいそうなのはかわいい
4824/05/25(土)20:08:17No.1193114606+
これで後は貴女もサトノです!とかなる方が放り出されるよりは…ってなるな
4924/05/25(土)20:08:54No.1193114914そうだねx2
ここまでするなら意識も改変してやれよ!
5024/05/25(土)20:16:39No.1193118685+
──目が、覚めた。
身体のあちこちが痛い。フローリングの床に倒れ伏していると気付く。
どうやら昨日のマジックショーで疲れ果ててベッドに横になる前に寝てしまっていたらしい。
壁の時計を見ると始業時間をとうに過ぎていて、ちょうど上司からスマホへの着信が。

「あの、すみません! すぐに……!」

電話の向こうから、上司の困惑した気配がする。
──誰だ君は、アイツに変わってくれ。
5124/05/25(土)20:16:49No.1193118774+
「……あ……」

手から、スマホが滑り落ちる。
昨日のことは、夢じゃなかった。

「……汗くさい……」

昨日お風呂に入らずに眠ってしまったから、全身が少しベタベタしている気がする。
汗臭さが鼻をつく……そこに濃く混ざる、女の子特有の香りも。
5224/05/25(土)20:17:03No.1193118884+
「……落ちない……」

やや複雑な構造の勝負服を脱ぐのに手間取って、シャワーを浴びる。
いくら水滴を受けても顔を擦っても、顔に施されていたメイクは落ちても、『サトノクラウン』の顔はそのままだった。
……見てもいいのか躊躇うが、身体も。
ウマ娘の身体を洗う作法なんてわからないから適当に洗い流し、髪を乾かす気力も無く。
この身体には合わないシャツを羽織って、居間へと戻った。

「……どうしよう……これから……」

職場には行けない。信じてもらえない。知人はどうだろうか。
ある日、『サトノクラウン』が知人を名乗って接してきたとして──自分なら、どんな反応をするだろうか。
5324/05/25(土)20:17:17No.1193119013+
──解決策も見つからないまま、日々は過ぎていく。
然程多くない貯蓄も減っていく。
最低限の身嗜みは整えているが、繊細なウマ娘の身体をどうすればいいかなんてわからないから、どんどん身体も荒れていく。

「……どうしよう。これから……」

最後の貯金を降ろして買ったパンも食べ終わってしまった。
あてもなく公園に来たが、あのマジックショーの手がかりも何も見つからない。
サトノクラウンだと勘違いされたくないから大きめのフードで顔を隠しているが、この日々はいつまで続くのだろうか。

「Hello everyone!」

──聞き覚えのある声に、全身が跳ねた。
5424/05/25(土)20:17:32No.1193119128+
耳を顔をそちらに向けると、サトノクラウンがそこにいた。
公園に集めた衆目の中で、手品を披露しているようだ。
脳裏にあの夜の出来事が蘇る。
──もしかして、元に戻してもらえる?
──それとも、さらに姿形を変えられる?
──あるいは、彼女自身も何も知らない?
どうすればいいかわからなくて──じっと躊躇っていると、『彼女』と目が合った。

「……え?」

彼女の手から、手品に使っていたコインが落ちる。
呆然とした眼差しと、ポカンと空いた口。
チャリン、と地面にぶつかる音がして──
5524/05/25(土)20:17:50No.1193119277+
「あ、あなたは……!?」

──瞬く間に、サトノクラウンが距離を詰めてこちらに寄って来た。
流石GⅠウマ娘の瞬発力、とでも言えばいいのか。

「あなたは、一体……?」

彼女の目が、フードの下の俺を見抜く。
反応からして、あの夜のマジックショーの『サトノクラウン』とは別人なのだろう。
つまり──俺は、元には戻れなくて。
あなたは一体、と聞かれても。
5624/05/25(土)20:18:47No.1193119775+
「……わかりません……」

ポロポロと、熱い雫が頬を伝う。
俺はどうすればいいのだろう。俺は一体誰なんだろう?
顔も、性別も、何もかも自分の記憶と違うのに。

「う、……ぐすっ……俺、は……っ!」
「惊!?……え、えっと……」

ボロ泣きする『サトノクラウン』を前に、オロオロと慌てるサトノクラウン。
そんな俺たちを、周りの観客たちは不思議そうに見つめていた。
5724/05/25(土)20:18:50No.1193119794+
怖い…
5824/05/25(土)20:19:01No.1193119887+
こんな感じでクラちゃんに拾われたい


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