〇浮橋 長閑(うきはし のどか) 4年前にFE社から脱走した人体実験の被験者。16歳。現在はデジタルワールドの各地を放浪して逃亡生活を送っている。 過去の記憶に欠落が見られ、自分がどのような実験を受け、それ以前にどのような人物だったかを思い出せない。 後述するデジヴァイスの使い方などは記憶しているため、デジモンに関わる実験に参加していたと考えている。 時折行方を捜すFE社の刺客に襲撃されるため一つ所に落ち着くことができず、戸籍も存在しない。現在の名前も自分で適当に名乗っているに過ぎない。 性格は穏やかでおっとりとしているが屈強なバイタリティを持ち、あらゆる場所に出没して短期のバイトで日銭を稼ぎながら住み込みor路上生活を送っている。 失った過去よりも現在に目が向いており、いつも新しい人々と出会う忙しい日々にも少しずつ楽しんでみせる余裕ができつつある。 しかし過去の無い人間が安定した暮らしを得ることは難しく、自分の過去を取り戻すべく再びFE社に戻る(率直に言えば本社を襲撃する)ための仲間集めに奔走するようになる。 「どうあれ私の過去は変われないのだから、これ以上下を向いても虚しいだけだもの。それに、いつもお客様が来るから寂しさだけはないわ」 〇ルガモン 長閑のパートナーデジモン。FE社の実験施設に閉じ込められていたのを長閑が発見し解放。協力して脱走した。 額の旧式インターフェイスが特徴。性格はかなり好戦的で、長閑の静止を聞かずにFE社の刺客や長閑に近づく者に襲い掛かってくる。 長閑に対してはぶっきらぼうな態度だが、共に自由を勝ち取ったとして心を許しているらしい。彼女を傷つける者とは誰であっても戦う。 昔、数多くデジモンが殺され行く「地獄」の中から目覚めたと自称し、自分をそこに陥れた誰かに復讐を誓っている。 デジヴァイスと長閑の血液によってルガルモンに進化する。この形態では本来持たない吸血デジモンの特性が与えられ、 致命的なダメージを受けても自分以外の血を浴びることで急速に回復する。 〇デジヴァイスブラッド 長閑が所持する特殊なデジヴァイス。残存する記憶では長閑以外にも複数の被験者に与えられていたらしいが、詳細は不明。 折り畳みナイフのような小型の刃が内蔵されており、これを用いて所持者自らに傷をつけ血を流させる「エッジスラッシュ」によりデジモンに力を与える。 このデジヴァイスを用いて進化したデジモンは吸血デジモンの特性が追加され、激しいダメージも血を浴びることで回復する能力を獲得する。 採血する血は心臓に近いほど、出血量が多いほど効果が上がる。長閑は基本的に手首を切り、より強化が必要な場合は上腕に突き刺すようにしている。 〇過去 長閑のルガモンの正体はダークワールドで発見された「終末」のデータに汚染されたデジモンであり、ルガモンの姿と進化体自体が存在を隠蔽する偽装である。 FE社ではこの終末―――究極的な死を反転させ、死を克服する手段の一つを造り出そうとした。終末のデータがダークワールド内で引き起こす災害事象の中に、数多のデジモンを投じ虐殺を行った。 その結果、終末のデータに汚染されながら生き残ったルガモン(に偽装される前のデジモン)が回収されたが、サンプルから有意なデータを取り出すのに手間取っている間に脱走された。 そして、長閑の正体はその実験のために用意された検体であり、デジヴァイスを用いてデジモン達の蟲毒を作り出した当事者であった。 汚染デジモンとの親和性が高まるように血液に特別な調整が施され、実験のたびに拒否反応を示したために幾度も記憶を消去された。 現在、長閑はこの事実の記憶を失い、同時にルガモンも彼女が自分を地獄に落とした当人、地獄の最中で復讐を誓った相手であることを知らない。