「こんなところで何してるのかな鉄塚さん」 「何って…晩飯の魚釣りだが。真菜は散歩か?」 「森で助けていただいたお礼を言いに来たところ」 「お礼」 「そ」 「別に気にすんなって、全員無事でしかもいっつもやってることだろーし」 「すごいキックだったじゃん。明良兄さんもびっくりして褒めてたよ」 「そりゃありがてえ」 「……ところで明良兄さんに言ってたゾッコンの相手って誰?」 「ギャアアアアびっくりした海に落ちるとこだったぞ!?」 「そんなにひっくり返るほど?はいお手手どーぞ」 「おおサンキュー…よいしょ。えーとだなアレはなんつーか半分見栄っつーか…」 「もしかして司ちゃん?」 「あー確かに大事だ。大事だけどよ……今のとこ保護者としてっつーか」 「ふーん。じゃあ年が近い女の子で気になる子とかいない?」 「………ヘェアッ!?」 「せっかくだし聞かせてよ」 「そ、そうだな……は…は、颯乃は正直最初見たときすげえ美人だと思った。今はもうすっかり一緒に戦った戦友!ってカンジだが…」 「颯乃ちゃんかー。他には?」 「他ァ!?んー…アシフトイモンズは正直全員粒ぞろいだろうが…ああコレマジで本人たちに言うなよハズいんだからな!」 「はいはい続きどーぞ」 「ええ…他かぁ」 「じゃあゾッコンと言わず身近な人のことでもいいよ」 「そーだなァ。竜馬は無口だが頼りになるしアイツの本音がようやく聞けてよかったぜ今回は。三下は一言多いのがたまにムカつくが俺よりずっと頭の回転早えし信頼してるぜ」 「へぇー」 「そういやお前の兄ちゃんもカッコよかったな。バースト使えるヤツと肩並べて戦ったの初めてだったし、また会って話してみてえなー」 「ふーん……」 「な、なんだよ。さっきからすげー恥ずかしいんだがまだ言わせる気かぁ?」 「明良兄さんにはそういうの言って、私には一言もないんだー?」 「はっハァア!?いやちょっと待てソレ面と向かって褒めろってかムチャいうんじゃねーよっ!」 「言わないとお礼言わずにさっき聞いたこと良子ちゃんたちに言っちゃおうかな」 「オイ!だーっ、ええとだな…」 「……」 「……」 「……かっ」 「か?」 「……かわいいんじゃあ、ねえかな」 「ふふ、よくできました。それあげるね」 「それ?…うおおおおチョコ!チョコなんて初めてもらったぞォオオオ!?」 「義理に泣くなんて大げさじゃん。そんなに?」 「一度ももらったこと無えんだよこういうの…ありがてえ…ありがてえ」 「よかったじゃん。じゃあお夕飯楽しみにしてるクロウさん」 「おう任せとけでっけえの釣ってみせらぁ!……ん!?今何…あっもう居ねえ!」 「…司ちゃんは護ってもらう時、ずっとああいうの見てたのかなぁ」 「ちょっとだけ見直しちゃったな」