二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1714919657605.jpg-(708290 B)
708290 B24/05/05(日)23:34:17No.1186058738そうだねx2 00:49頃消えます
性懲りも無く怪文書です
この人たちをお借りしました
fu3440079.jpeg
先に言っておきますがキャラお借りしてごめんなさぁい!!!!!
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/05/05(日)23:35:19No.1186059227+
青石守は普通の少年だった。
良き父と良き母の間に生まれ、歳の離れた妹の面倒を見て、クラスメイトに揶揄われながら平凡な日々を過ごしていた。
ちょっと大きな恐竜型デジモンを連れていることくらい些細なことだろう。
ともかく、彼自身は普通の少年であるはずだった。
だから神様、これは夢だと言ってくれ。

「ギシャァァァァァァ!!!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁなんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」
【守!!ボク!!戦う!!!】
「それは嬉しいけどグレイモンに頼むと街がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
224/05/05(日)23:35:51No.1186059449+
青石守は逃げていた。スマホから聞こえる声やメッセージアプリのポップ音を聞こえないふりしつつ、逃げながらどうしてこんなことにととりとめもないようなことを考えていた。
後ろではリアライズしたスコピオモンが猛スピードで迫り来る。
今日は母に頼まれてスーパーの特売の卵のお使いを頼まれ(時間悪く買い逃したが)、妹の幼稚園のお迎えをしに行くはずだったのだ。それが突然のデジモン襲来である。
守は真面目に自分が何か悪いことをしたのかと心中で嘆いていた。
324/05/05(日)23:36:13No.1186059619+
青石守がグレイモンを始めとするデジモンと縁を持ったのはごく最近である。
グレイモンと共にパロットモンを倒したのを皮切りに、リアライズするデジモンたちを相手にグレイモンと共に度々戦っていた。
そんなこんなでデジモンに襲われることにも割と慣れてしまっているのだが、今回は完全に虚を突かれた形である。
グレイモンのいる裏山からは遠く離れ、おまけに夜である。
万が一これからグレイモンを呼んだとしても闇夜に慣れていない彼の視界ではたどり着くのに時間がかかるし、その移動の際に起きる被害も考えると得策とは思えない。
だから守は逃げた。全力で逃げた。
そして行き止まりにたどり着いてしまった。
424/05/05(日)23:36:37No.1186059772そうだねx1
スコピオモン!
砂漠の暗殺者という異名を持つ完全体昆虫型デジモン!尻尾の毒の回りは早く、刺されたことに気づく前に相手は絶命してしまう!
必殺技は尻尾の先にある猛毒針『ポイズンピアス』!

袋小路となった道の行き止まりで、守は立ち往生していた。相手は完全体。億が一にも守が素手で勝てる相手ではない。先の理由でグレイモンを呼ぶことも不可能。どう足掻いても万事急す。
ギラリと光る毒針の前に、守が拝啓お母様お父様…と辞世の句を詠まんとしていたその時。
524/05/05(日)23:37:04No.1186059961+
鮮やかな金属音が鳴り響いたと思うと、振り下ろされていた蠍の尾が鈍く煌めきながら跳ね飛ばされていた。
瞑っていた目を見開いた守は、そこに一人の少女が佇んでいるのを見た。
鮮やかな黒髪に、顔を覆った狐面が目を引いた。彼女が手に持った刀が、スコピオモンの尾を弾いたと悟ったのは数刻してから。
「あの…」
「動かないで。彼奴は私が…私達が仕留める。」
「いやあの相手デジモン…」
「心得ている。」
「しかし完全体…」
「問題ない。」
食い下がる守に対して、少女はにべも無い。
よほど自信があるのだろうか。デジモン相手に一歩も引かない彼女に、守はお礼を言うのも忘れて放心していた。
624/05/05(日)23:37:44No.1186060219+
「やらせてくれ。我らに必要なことなのだ。安心して欲しい。君の命はしっかりと守ろう。」
「うぉっ!デジモン!?」
「なんと。君も我らの存在を存じていたか。」
横から付け加えてきた小竜型デジモンに驚いた守は飛び退いた。我ら、と言うあたり彼女のパートナーか?となると彼女もまた俺と同じテイマーなのか?デジモンは普通デジモンしか戦えないはずだが…。
守の脳内は目まぐるしく動いていた。
リアライズしたデジモン相手に、デジモンだけでなく人間も共に戦う者がいることは、ひたすら守は信じられなかったのだ。

「…参るぞ、ブシアグモン。」
「御意。」
724/05/05(日)23:38:08No.1186060397+
勇躍、二人はスコピオモンの攻撃をかいくぐりながら踊りかかる。
二筋の流星が魔獣と渡り合う姿は、グレイモンと共に度々にしか戦わない守をしてどれほど研鑽されたものかをまざまざと実感させた。
生身の人間でありながらデジモンと渡り合う、非常識ながら魅了されている自分に、守は気づいた。

しかしそんなことも束の間、戦局は変転し始める。
曲がりなりにも完全体であるスコピオモンが、成長期であるブシアグモンを圧倒し始めたのだ。当然生身の人間である少女は言わずもがな。徐々に劣勢に追い込まれ始める彼女────宮本楓は、自身の目測の誤りを後悔しつつあった。
824/05/05(日)23:38:33No.1186060579+
(不覚…ッ!これほどの強敵とは。ガイオウモンを解き放たねば勝てぬか!?)
(カエデ、私がガイオウモンとなって時間を稼ごう。その隙にあの少年を逃すのだ。)
(しかし…)

敵を前にアイコンタクトで作戦を立てる二人はその練度の高さをまざまざと見せているのであるが、戦闘中においてはそれが隙を生む。
スコピオモンの巨大なハサミが、楓の身体を強かに打ちつけた。細く華奢な身体がもんどり打って倒れ込む。

「カエデ!!」
「クッ…!」
924/05/05(日)23:38:59No.1186060732+
ブシアグモンは攻めあぐねた。ガイオウモンへの進化、そして少年を逃すには楓の存在が不可欠だ。その彼女が攻撃されたとなると、ブシアグモンの行動にも影響する。
想像以上の強敵に、ブシアグモンが思考を逡巡させたその時。

「グオオオオオオァァァァァァァァーーーーーーッ!!!!!!!!!!」

猛々しい咆哮と共に、蒼き巨竜が姿を現した。巨竜はそのままスコピオモンのハサミに大顎で噛みつき、その勢いで敵の巨体を引き摺り回す。
グレイモン…?それもウイルス種。しかも凄まじい巨体。
珍しい個体だ。新手か?ブシアグモンは楓を助け起こしながらも答えを探すべく思考を加速させた。
しかしその答えは思ったよりも早く見つかったのだ。
1024/05/05(日)23:39:27No.1186060897そうだねx1
「お姉さんとブシアグモン!怪我は!?」
「…ッ擦り傷だ…ッ!それより早く!デジモン同士の戦いに巻き込まれるぞ!」
「わかってるよ!!俺だってテイマーの端くれだ!!助けてもらってお礼も言わず逃げるなんてしたくない!!」
「…!君があのグレイモンの…」
「そうです!!俺とグレイモンで奴を抑えます!!奴の弱点を探し出し次第一撃で仕留めてください!!」
「…心得た!任せたぞ少年!!」
「青石守です!!短い間ですがよろしく!!」
「宮本楓だ!」

名乗り合う二人。縁もゆかりもなかった二人の運命が交錯し、今ここに結実した。
1124/05/05(日)23:39:58No.1186061090+
「行くぞグレイモン!!周りなんて気にするな!!フルパワーでぶん殴れ!!」
「グオオオオオオ!!!!!!」
(これは…)
ブシアグモンは感嘆した。世代が違えばよほどのことがない限りデジモンの実力差は覆らない。加えてグレイモンは成熟期のはずで、スコピオモンは完全体である。にもかかわらず、目の前のグレイモンは敵をその勇猛な戦いぶりで追い詰め、その世代差を覆している。乱れ飛ぶメガフレイムに、完全体のはずのスコピオモンが完全にすくみ上がっている。
その実力は完全体と同等、否それ以上か?デジモンだけで発揮できる力ではあるまい…。
我々は少々少年をみくびっていたようだ。臆病な無辜の市民と思っていた彼もまた、自分たちと同じ勇敢なテイマーだった。
グレイモンはメガフレイムを乱射しながらスコピオモンの動きを止め、周りの建物を破壊しながら突進し、敵と組み合い押さえ込む。その時、スコピオモンの無防備な首筋が晒された。
1224/05/05(日)23:40:21No.1186061249+
「宮本さん!今だぁ!!」
「心得た!!ハァッ!!」

瞬間、流星が魔獣の首を捕らえた────。
1324/05/05(日)23:40:49No.1186061458+
────
デジタマに戻ったスコピオモンは、リアライズに耐えられず間も無く消失した。きっとデジタルワールドに戻るのだろう。
【ボク疲れたよ守〜】
メッセージアプリにそう書き残しながら、グレイモンはその場にしゃがみ込んだ。
裏山から危険を察知し、慣れない夜道を走ってきてくれたのだ。相棒想いの可愛い奴だ。守はグレイモンの献身に心からの感謝を向けた。
その移動の際の被害については目を背けながら。

「改めてありがとうお姉さん。助かっ…あれ?」
感謝の弁を述べようとした矢先、件の二人が姿を消していた。
お礼も言わせてくれないなんて、本当に流れ星みたいな二人だな。
守は柄にもなく詩的な表現で二人を喩えながら、改めて思いを馳せた。がしかし…
「…ってL○NEにめちゃくちゃ鬼電入ってる!!母さんからだ!?ウワーッお迎え!!忘れてたァ!!」
滝のように汗を流し、顔を青くしながらあたふたしだす、締まらない少年であった。
1424/05/05(日)23:41:14No.1186061605+
(市井のテイマーに、完全体を超えた成熟期デジモン、か…)
少し離れた高台から慌てふためく少年を、楓は静かに見守っていた。
助けるはずの相手から助けられた。その事実に思うことがないとは言わないが、彼等の侠気には素直に快哉を上げたい気分だ。
辛く苦しい修羅の道。しかしこれが二人きりでないとしたら…?
邂逅した少年に、ありもしない可能性を垣間見た楓は、皮肉げに微笑みながら闇夜へと姿を消した。
1524/05/05(日)23:42:14No.1186061978そうだねx2
終わりです
なんか守くんが最初かなりヘタレになってたので微調整しました!!
時系列的には守くんがディノレクスモンとパートナーになる前で楓ちゃんたちがオキグルモン様と対戦する前ですかね
重ね重ねキャラをお借りしてごめんなさぁい!!!
1624/05/05(日)23:43:23No.1186062432+
むっいいグレイモンだ…
1724/05/05(日)23:44:47No.1186062958+
プレーンながらも誰かを助けるために頑張れる青石くん良いねぇ…
主人公力ある…
1824/05/05(日)23:52:02No.1186066008+
ボーイミーツガールいいねぇ…
守楓キテル…?
1924/05/06(月)00:00:03No.1186069611+
青石くんはやはりいいな…
2024/05/06(月)00:02:39No.1186070798+
>「行くぞグレイモン!!周りなんて気にするな!!フルパワーでぶん殴れ!!」
危ない時にここまでブッ切れられるのは良いぞ青石くん…!
2124/05/06(月)00:08:33No.1186073583+
助けられるだけじゃない男の子いいよね…
2224/05/06(月)00:21:20No.1186079027+
楓公式だけど書いてくれてありがとうね!
いい感じに中間の進化設定しておけばグレイモンと並べられたんだろうけど想定してなくてごめんね!
年下に敬語使う守君いいよね
2324/05/06(月)00:22:45No.1186079549+
グッドグレイモン!!
まさかウチの守を描いていただけるとは!!興奮と感謝の極み!!
守のキャラ解釈はまさに僕と一致してるので大丈夫です!!カッコよく描いてくれてありがとうございます!
2424/05/06(月)00:23:20No.1186079778そうだねx2
>No.1186079027
>No.1186079549
ウワーッ!!!公式の方々!!
こちらこそありがとうございます!!
なんとか上手くできたみたいで嬉しいです!!


fu3440079.jpeg 1714919657605.jpg