イベント:「隔絶電脳異界セフィロ・サーチャー」 おまけ 進行度1/2 ステージ:デジタルワールド 因果地平:11758471331175938357 とある池のほとりにて。 セフィロ・サーチャーの一件から数日後、人手はとある町に滞在していた。 デリーパーの攻撃を受けて町の大部分が破壊されていたという。 ダークスーパースターモンの提案の元、彼女たちは町の復興を手伝うこととなった。 そんな日々のある一幕。怪我で動けないデジモンたちのために人手は炊き出し用の食材を調達していた。 海風人手 「っていうことがあってよー!大変だったんだよもうほんと!」 清川海彦 「へぇ…デジタルワールド中で大騒ぎしてたけど、そういうことが起きてたんだ。 じゃああの時釣り上げたあのうにょうにょってデリーパーってやつだったのか。」 スイムモン 「道理で分からんはずだよ。あんなの見たことなかったし っていうかあんなの水の中にいるとかわけわかんないよ。」 清川海彦 「いきなり襲い掛かってきたもんね。しかもめちゃくちゃ多かったし。 あの時はちょっと焦ったよね。」 海風人手 「オイオイマジかよ。お前ら襲われたのか?大丈夫だったのかよ」 清川海彦 「あの時は近くに人間が何人かいたからね。その人たちがデジモンたちの指揮を執って戦ってたんだ。 だから被害はほぼ0。驚いて池にペンキ落として怒られたレッドペンキモン以外は怪我もなかったよ。」 スイムモン 「あのやろー、池に赤いペンキがっつりこぼしやがって。もう本当に大変だったんだよ? デリーパーが大群で来た時より焦ったよ。」 海風人手 「ははっ、そりゃご愁傷さまだ!……おっと、掛かった! 竿のウキが沈む。 それを人手は見逃さず、思い切り引き上げる。 だが… 海風人手 「ぐおっ、お、おんもっっっっ、…………んぎぎぎぎぎ!んんぬるああああ!」 …………け、結構でけえな!…ってこれ鯛じゃねえか。なんで池にこんなんいるんだよ……。」 釣れたのは1mを優に超える巨大な金目鯛だった。 清川海彦 「わっ、すごい。金目鯛だ。時々掛かることがあるけど、こんなにおっきいのは珍しいね。」 海風人手 「いや大きさじゃなくて、鯛って海の魚だろ…。やっぱ私デジタルワールドよくわかんねえわ。」 スイムモン 「むむむ、これは…鍋を囲むのによさそうな大きさだな…ジュルリ。」 釣果に目を丸くしていた彼らの元に、先ほどの話の主題となった人物が現れる。 篠崎勉 「おーい、みんな。調子はどーおー?」 レッドペンキモン 「なんかうまそうな魚つれたかー?」 海風人手 「お、噂をすれば…ってか?」 篠崎勉 「ああどうもどうも!人手さんも魚釣り手伝ってくれてたんですね!」 海風人手 「そりゃまあな!ここは被害が少なったみたいだが、町の方がやばかったんだろ? 炊き出しとかも必要だっつー話だし。ここは世界を救った人手様が手助けしてやらなきゃな!」 篠崎勉 「ありがたいです…。ボク釣りがちょっと苦手で。」 レッドペンキモン 「勉はいっつもボウズだもんなー!たまに釣れたと思ったらブーツとか釣り上げるし!」 清川海彦 「正直、逆に才能あるよねそれ」 一同に笑いが巻き起こり、勉は顔を赤らめる。 篠崎勉 「しょ、しょうがないでしょう!人には得手不得手があるんですから!」 海風人手 「レッドペンキモン、聞いたぜ? お前この池にペンキぶちまけたんだって?」 レッドペンキモン 「うっ、なぜそれを… さては、二人ともしゃべったなー!」 清川海彦 「ご、ごめん!話の流れでつい」 海風人手 「はいはい、話はそこまで。勉は用があってきたんだろ?」 篠崎勉 「あっと、そうだった!集会場の修理が完了したそうです! あと皆さんに朗報です!なんと!冷蔵庫が手に入ったのです! 行商のお姉さんが都合してくれたみたいで、ほんとありがたいですよね。」 海風人手 「おおっ、めっちゃタイミングいいじゃん! 今までだと生鮮食品の保管場所がネックだったからな。」 清川海彦 「ふぅ。それじゃあ、このあたりで切り上げよっか。」 スイムモン 「海彦!鍋食べたい!鍋にしよう!鍋!」 清川海彦 「そうだねえ、ここ最近ちょっと寒さが出てきたし。 炊き出しにはちょうどいいかもね。」 海風人手 「今までは図体のでかい奴らは野ざらしだったからなあ。 あのバチクソにでっけぇ集会場が直ったなら色々とマシになりそうだな。」 レッドペンキモン 「また、みんなと楽しくお絵描きできるようにしたいね」 篠崎勉 「そうだね、早くいつもの日常に戻れるように頑張らないと!」 そんな話をしながら、一同は町のほうへと歩みを進める。 人手たちの尽力によって最悪は免れたが、世界の各地にあの災害の爪痕が残っている。 日常を取り戻すためにはまだまだ時間がかかるが、彼らはお互いに手を取り合って復興していくのだろう。 イベント:「隔絶電脳異界セフィロ・サーチャー」 おまけ 進行度2/2 ステージ:現実世界 因果地平:11835517801175994312 世界を救った優子は、あの後元の町に戻り住民にいきさつを伝えた。 彼らは悲しみと失意に打ちひしがれていたが、優子の言葉によって奮い立った。 それから数日後、彼女は現実世界へと帰還した。 長い間失踪していた彼女が帰還したということで、 周囲は騒然となり、学校では一時期有名人として持ち上げられたらしい。 そんな日々の、とある一幕。 水原涼介 「いつの間にか失踪してたと思ったら、今度は世界を救って帰ってきたとか。 どんなラノベ展開だよ。」 青石守 「まったくだよ、でも佐辺さんが無事でよかった。」 佐辺優子 「ありがとう、そしてすまない。心配をかけたようだな。 でも私も驚いたよ。まさか現実世界にもデジモンが現れていて 一般にも認知されているとは。 そのうえ、同級生にもデジモンのパートナーがいることもな。」 水原涼介 「へへっ、俺たちの出会いの話聞いちゃう?」 ペイルドラモン 「おうおう!聞くも涙!語るも涙の出会いだったんだぜ!」 青石守 「そんなロマンチックなタマじゃないだろ…」 水原涼介 「ま、それはそれとして。 実はな、俺たちもあの事件の時、現実に現れたデリーパーの討伐作戦に参加してたんだよ!」 ペイルドラモン 「世界の平和を守るのも、俺たちの仕事だもんなー!」 青石守 「デジモンと一つになって戦ってたんだっけ。 かっこいいけど、でもちょっと怖いよな、デジモンになって戦うとか」 水原涼介 「なに弱気になっちゃってんの守ちゃーん。デジモンの力を信じてやらないと〜!」 佐辺優子 「君もデジモンになって戦うのか!驚いた。現実世界でもデジモンになれるんだな。」 水原涼介 「お?その口ぶりだと、向こうでもデジモンと一つになって戦うやつもいたのか?」 佐辺優子 「いや、デジモンになる人だったな。」 青石守&青石守 「え?デジモンになる?どゆこと?」 佐辺優子 「…にわかに信じがたい話なんだが、一人は悪の組織に改造されてデジモンに変えられて、 もう一人はデジモンの魂を使ってデジモンに進化してたんだ。」 水原涼介 「……お前、前々から言動がぶっ飛んでることあったけど。今日は特にやべえな。」 佐辺優子 「この目で見たのだから信じるほかないだろう。 ちなみに、後者の子は一度デジタルワールドを救ったとか。」 水原涼介 「え、世界ってそんな頻繁に危機に陥るの?怖くない?」 青石守 「いやむしろ悪の組織って単語が普通に出てくる時点でこわいよ。」 水原涼介 「そういや佐辺のパートナーデジモンってどんなやつなんだ?みせてくれよ」 青石守 「あっ、俺も見たい、すっげー気になる。」 佐辺優子 「ん?少し待ってくれ。えっと、スマホを…。ナイトモン。」 ナイトモン 「はっ、お呼びでしょうか、主。」 青石守&水原涼介 「かっ」 佐辺優子 「かっ?」 青石守&水原涼介 「かっこいいいいいいい!」 水原涼介 「なんだよ佐辺!めっちゃかっけーデジモンパートナーにしてんじゃん! え?なに?騎士?うわーめっちゃ羨ましい!」 青石守 「いいよなあ騎士。ああなるほど、姫を守る騎士ってやつ? 佐辺さんがお姫様かぁ〜」 佐辺優子 「お、お姫様…。いやそういうのではなくてだな…。」 ナイトモン 「皆様は主のご学友ですね。はじめまして、私の名はナイトモン。 今後とも、よろしくお願いいたします。」 水原涼介 「うわめっちゃ礼儀正しい…。めっちゃ紳士じゃん…。」 佐辺優子 「一番驚いたのはこれかもしれないな。」 そういうと、優子はスマホをこつこつと叩く。 佐辺優子 「まさかデジモンを収納しておけるとは、 ナイトモンをどう家に入れようかと悩んでいたが…。 まったく、技術の進歩には目を見張るものがあるな。」 青石守 「そうそう、佐辺さんがデジタルワールドに行ってからかな。 デジモンの社会認知が急激に高まって、デジモン関連の技術がどんどん向上していったんだよ。 昔は謎の怪生物とか言ってたのに、今じゃデジモンって単語は常識みたいになってるし。」 水原涼介 「今回のデリーパー騒ぎもばっちり新聞に載ってるからな。 へへ、俺たちが戦ってるところテレビに映ったんだぜ!」 ペイルドラモン 「録画して何度も見返してるもんな―! でも気持ちは分かるぜー!めっちゃかっこよかったもんな俺たち!」 水原涼介 「おうよ!佐辺も観るか?」 佐辺優子 「あ、ああ。後で見させてもらうよ。 それで、デリーパーの被害はどれくらいだったんだ?」 水原涼介 「それなー。なんか局所的に発生してたみたいでさ、 一応避難は間に合って死人は出なかったよ。けが人も避難中に足をひねったとかそんなもん。 ここと、群馬と、静岡と、香川と、宮崎と、沖縄。この6か所でデリーパーが溢れてて、 デジモンとパートナーが向かってみんなで戦ってたんだ。 いやあ、思い出したら興奮してきた!」 青石守 「俺とグレイモンも戦ってたんだけど、建物を余計に壊しちゃってさ…。」 水原涼介 「まあ仕方ねえって!戦える奴は少なかったんだし。 それにあのおっちゃんも言ってたろ?責任は俺たちが取るからデリーパーの対処に集中してくれって。」 青石守 「それは、そうなんだけど…。」 佐辺優子 「みな必死だったんだろう。もっとうまくできたとかあの時ああしていればなど考えても仕方ないさ。 それに、人を守るために戦ったのだ。君は胸を張っていいんだ。」 青石守 「そ、そういわれると、逆に照れるというか。」 水原涼介 「俺たち全員で世界を守ったんだぜ?文句言ってくる奴がいたら俺が逆に切れてやるからよ!」 世界を守った子供たちが会話に花を咲かせていると、 優子を探していた青年が現れる。 風吹冬矢 「あ、いたいた。佐辺さーん。ちょっと今いいかなー?」 水原涼介 「ご使命だぜ、お嬢様。」 佐辺優子 「それはやめろ。 ……すまない!今行く!」 風吹冬矢 「談笑中に悪いね。特務室から佐辺さんに伝言があってさ。 デジタルワールドから帰ってきた人って色々と事務手続きがあるみたいでさ。 それ関係で聞きたいことがあるからデジ庁に来てくれって。」 佐辺優子 「ああ、了解した。連絡ありがとう。」 風吹冬矢 「そういえばさ、佐辺さんってあのデリーパー事件の時、 デジタルワールドの最前線にいたって聞いたんだけどマジ?」 佐辺優子 「それは誰から聞いたんだ?」 風吹冬矢 「いやあキョーイチローさんたちが話してるの小耳に挟んじゃってさ。 まさか佐辺さんも向こうで戦ってとはなあ…。」 佐辺優子 「も、ということは、まさか君もか?」 風吹冬矢 「ああ!俺もハグルモンと一緒に戦ってたんだ! まさかこの高校に、これだけパートナーデジモンがいる生徒がいるとはね。 なんか運命的なものを感じちゃうよ。」 佐辺優子 「まったくだな。…そういえば、デジ庁からの呼び出しだったな。これから向かおう。」 風吹冬矢 「ああ!じゃあまた明日!」 佐辺優子 「また明日。」 ナイトモン 「彼も言っていましたが、確かに主の周りにはデジモンの関係者が多いですね。」 佐辺優子 「そうだな。意外と普通の事なのか、それとも、これがどんどん"普通"になっていっているのか…。」 現実世界へと戻った優子は、デジモンという存在が いつの間にか現実世界でも身近なものになっていることを知る。 時に優しく、時に恐ろしい、近くて遠い隣人。 そんな彼らを迎え入れたこの世界が、今後どのようになっていくのか、それは彼女にはわからない。 だが、デジタルワールドの経験は、彼女の進むべき道を照らしてくれるだろう。