イベント:「隔絶電脳異界セフィロ・サーチャー」 第6節 進行度1/2 ステージ:セフィロ・サーチャー 第九セフィラ:イェソド 地に輝く無数の星。地平は遠く、空は一面が純白に染まる。 まるで天と地が逆転したかのような、摩訶不思議な空間。 そこに、空間の歪みが二つ顕れ――。 海風人手 「ここは…なんだ?すげえことになってるけど」 武福川駆 「おおっ!海風さんたちだ!どうやら合流できたみたいだな! おーーーい!!」 駆たち一行は人手たちを発見し駆け寄っていく。 この地で全員が無事集結した。 それぞれが情報を出し合い、現状確認を進める。 海風人手 「鏡見よぉ、お前全員が揃ったら説明するとか言ってたろ? なんか分かったことがあるって。」 人手の言葉により、全員が鏡見の方へと振り向く。 鏡見は眼鏡をただし、口を開く。 鏡見淡世 「そうでござるな。 拙者たちが戦った相手、ダンデビモンの発言から 者たちがいるところがどういう構造か、ある程度予測が立てられたでござる。 おそらく、この空間はセフィロトを模したものでござろう。」 シマユニモン 「セフィロト?なんだそれ」 トブキャットモン <ぬは知ってるんぬ、銀髪でクッソ長い刀身の刀持ってるストーカーの――> 筑波梨李 「馬鹿言ってる場合じゃねーんぬ。ちょっと口閉じるんぬ。」 鏡見淡世 「ンフフ、まあ語感は似てますな。 セフィロトというのは、旧約聖書に紐づくとある神秘思想の象形でござる。 かみ砕いて言えば、世界がどうやって出来たかというのを図形にして現したものでござるよ。」 鏡見は筑波が持っていた紙とペンを受け取り、図を描いていく。 「こんな感じで、10個の円とそれらをつなぐ22の小径(パス)で示されるでござる。 10個のセフィラは惑星や守護天使などの様々な要素が割り当てられ、 22の小径はタロットのアルカナに対応するのでござる。 人体や宇宙に照応する象徴として、スピリチュアルな世界にも用いられることが多いのでござるな。」 武福川駆 「あー、よく分からないけど、その図形がこの世界となんか関係あるのか…?」 佐辺優子 「…もしや、我々が戦っていた場所がこの円か?」 鏡見淡世 「ええ、おそらく。ダンデビモンが拙者の言に反応したあたり、そう考えてよいのでしょうな。 最初にここに囚われたお三方が合流できて、また2チームがバラバラに移動したにも関わらずここで合流できた。 そして、攻略が完了したセフィラに再び飛ばされることはない。 つまり、先遣隊のお三方が第一から第三セフィラに飛ばされ、この第六セフィラでこの場の全員が合流。 そこから2チームに分かれ、それぞれケセド・ネツァクゲブラー・ホドを攻略し、 拙者たちが今いるこのセフィラ…イェソドに到達したと考えられるでござる。 ということは、このセフィラを攻略できれば次のマルクトということですな。 ダンデビモンはこのマルクトにこの世界を構成するコアが存在すると言っていたでござる。 ここに到達できればこの空間のコアを破壊・ないし回収してこの空間を解体することが可能でしょう。」 佐辺優子 「一つ気になることがある。私たちが戦ってる間にもデジモンたちはここに送られているのだろう? だったらその者たちと鉢合わせするのではないのか?この中で外部のデジモンと遭遇した奴はいるか?」 鏡見と優子はメンバーへと顔を向けるが、誰一人として異を唱える者はいなかった。 鏡見淡世 「これもおそらく、の話なのですが、デジモンたちは我々とは別のセフィラに飛ばされているのかもしれません。」 武福川駆 「ってことは、さっき言ってたマルクトって場所か?」 鏡見淡世 「可能性としてはありえますが、もう一つのセフィラに飛ばされているかもしれませんな。 佐辺優子 「ん?セフィラって10個しかないのでは?」 鏡見淡世 「実は先ほど描いたセフィロトにはもう一つ、隠されたセフィロトが存在するでござるよ。」 そういうと沫世はメモ用紙に描かれたセフィロトに加筆をする。 鏡見淡世 「この位置に、隠されたセフィロト、ダアトが存在するのでござる。 このセフィラは少し特殊で、他の10のセフィラとは異なる次元に存在するセフィラでござるよ。 もしかしたらデジモンたちは我々とは別口でここに飛ばされているのかもしれないですな。」 佐辺優子 「……なぜこの世界はデジモンを閉じ込め、殺戮する必要がある? この世界の成り立ちがその神秘思想によるものだとしても、この図はそういった意味合いが含まれる訳ではないだろう?」 鏡見淡世 「拙者もそこが引っかかってるでござる。ダンデビモンは生命の樹という単語を用いた。 先ほど図解したセフィロトは旧約聖書に記された生命の樹とされているでござる。 ですが、セフィロトはこんな物騒な役割を持つようなものではない、むしろクリフォトの方がしっくりくるでござるよ。」 筑波梨李 「また変な単語が出てきたんぬ。」 トブキャットモン <ダンデビモンはこう言ってたんぬ。  所詮は形を真似た児戯である、奴の目的に都合の良い舞台。って> ナイトモン 「奴…というと、もしやこの事件の黒幕でしょうか。」 九根針尾 「そう考えていいだろう。形を真似た児戯、つまりこの世界の形質を利用しているだけで 黒幕の目的はデータの蓄積によるこの空間の拡張なのかもしれない。」 佐辺優子 「……未だに分からないことは多いが、今後の具体的な方針が定まったとみていいだろう。 鏡見くん、九根さん、現実世界の方から何か連絡は来ていましたか?」 九根針尾 「ああ、来ていたぞ。悪いニュースとすごく悪いニュースの二つ。どっちから聞きたい?」 ダーくん 「どっちも同じじゃねーかッ!」 佐辺優子 「……すごく悪いニュースからで」 九根針尾 「あるデジタルワールドで、今まで以上のデータ流出が観測された。 今までは不要データやデジモンだけだったが、空間の歪みが発生したスポット周辺の 地形や建物といったものまで崩壊・流出していると」 一同 「!?」 九根針尾 「この事象が観測されたのは無数にあるデジタルワールドの中の1つだけだったが、 このまま放置していけば、この事象は波及して幾つもの世界をまるごと飲み干してしまうとか。」 海風人手 「くそっ、タイムリミットまでありやがんのかよ!」 佐辺優子 「それで、もう一つの方は。」 九根針尾 「どうやら先遣隊の派遣は難しいらしい。空間の歪みが人間の侵入を拒んでいるとか。」 ナイトモン 「デジモンだけは入れるということか?」 九根針尾 「ああ、そのようだ。何名かデジモンのみ向こう側に突入していったが、音信不通になったという。」 武福川駆 「援軍は絶望的か…、俺たちだけでこの事件を解決しないといけないのか。」 全員にプレッシャーが重くのしかかる。 ただでさえ道行が不透明なうえに、これ以上の助けが来ない。 過酷な戦いを切り抜けて疲弊してきている彼らに、その事実が精神をさらに追い詰めていく。 トブキャットモン <ま、そう気負う必要はないんぬ。人間をピンポイントで出禁にしてるってことは、  ぬたちのようなデジモンと人間の存在を危険視してるってことなんぬ。  逆に言えば、相当焦ってるってことなんぬ。奴さん冷え冷えなんぬ。> 九根針尾 「ははは、確かにその通りだな。 とにかくオレたちの方針は今までと何ら変わりない。敵を倒し先に進む。ただそれだけだ。」 武福川駆 「それはいいんだけどさ、その肝心要の敵の姿が見えないんだが」 ??? 「私をお呼びかな?」 一同 「!」 イベント:「隔絶電脳異界セフィロ・サーチャー」 第6節 進行度2/2 ステージ:セフィロ・サーチャー 第九セフィラ:イェソド くぐもった声がどこからともなく響く。 海風人手 「誰だ!どこにいやがる!」 ??? 「ここだ」 くぐもった声が鮮明になる。 一同が声の先を見ると、宇宙と白を隔てる地平線の上に、黒い靄のようなものが現れる。 黒い靄の中には無数の目があり、こちらを見つめている。 ??? 「私の名はシェイドモン。この地の監督役の一人、といえばよいかな。」 佐辺優子 「監督役…?お前のほかにもその監督役とやらが存在するのか?」 シェイドモン 「ふふふ、どうだろうな? お前がそう思うならそうではあるし、お前がそうでないと思うならそうではない。」 海風人手 「あのな、禅問答するためにおめーを呼んだんじゃねーんだよボケが。 さっさとそのカントクヤク?がいるところに案内しろ。アタシたちは暇じゃねーんだよ。」 シェイドモン 「は、は、は、は、は、は、は。 そうか、暇ではないか。すまないな。私には幾分か余裕がある故。」 トブキャットモン <何が余裕がある故、なんぬ。  黒幕が直々にお出ましした時点で余裕ゼロなのは分かり切ってるんぬ。  三文芝居は犬もネコも食わねーんぬ。> シェイドモン 「は、は、は、は、は、は、は。 手痛いな。否定はできない。だが肯定もできない。 私は私の楽しみのために現れた。ただそれだけだ。」 武福川駆 「俺たちはお前と楽しむつもりはねーよ 速攻で引きつぶす!いくぞシマユニモン!」 シマユニモン 「応!」 佐辺優子 「私たちも。征くぞ、ナイトモン!」 ナイトモン 「承知!」 シェイドモン 「は、は、は、は、は、は、は、は、は、は、は。」 シェイドモンはおぞましい笑い声をあげながら、自身から2体の分身を生み出した。 その分身がシマユニモンとナイトモンに急接近し、同化してしまった。 シマユニモン 「ぐ、ぐお、おおおお、がああああああああああ」 武福川駆 「お、おい!どうしたシマユニモン!って、うおああああああ!」 ナイトモン 「ぐ、ぐぅ…これは…まずい…ぐぅぅぅぅぅ!」 佐辺優子 「どうした!ナイトモン!」 シマユニモンは突如激しく暴れだし、仲間目掛けて突進する。 それと同時に、ナイトモンの様子もおかしくなる。 イベント戦闘:WAVE1/1 ナイトモン×1 シマユニモン×1 3ターン経過で戦闘終了 ――戦闘終了後 シマユニモン 「くそっ、くそっ!駆っ…!俺から…飛び降りろ……!このままでは…!」 武福川駆 「落ち着け!落ち着いてくれシマユニモン!一体どうしたんだよ! っておい!前!とまれ!とまるんだシマユニモン!!!」 シマユニモン 「ぐぅ、がああああああ!!!!!!!」 暴走したシマユニモンはとてつもないスピードで疾走する。 その先には梨李がいた。 筑波梨李 「な、なんなんぬ!」 トブキャットモン <梨李ーっ!逃げるんぬー!> シマユニモンの突然の暴走の際、トブキャットモンは回避行動によって梨李から距離を取ってしまっていた。 咄嗟に梨李の元へ飛び出すが、シマユニモンの速度に間に合わない。 さらに加速し、もはや回避は絶望的かと思われたが。 鏡見淡世 「筑波殿ーッ!!!、――ガハッ!」 いつの間にかメルキューレモンに進化していた鏡見が梨李を突き飛ばし身代わりになる。 咄嗟の出来事にメルキューレモンは鏡を構えることができず、腹部に直撃を食らい、大きく回転しながら吹き飛ばされる。 その衝撃で進化が解除され、鏡見は気絶してしまった。 筑波梨李 「か、鏡見くん!」 九根針尾 「バイオ――エボリューション!止まれ!シマユニモン!」 咄嗟に進化した九根がシマユニモンの前に立ちはだかり、正面から受け止める。 バイオスティングモン 「グアッ…!と、とてつもない力だっ!」 武福川駆 「シマユニモン…!たのむ…止まってくれぇっ!」 シマユニモン 「体が勝手に……くそっ!止まらない!くそっ、くそぉっ! ……バイオスティングモン!俺を倒せ!このままじゃ仲間たちに被害が及ぶ!」 バイオスティングモン 「諦めるなシマユニモン!あのシェイドモンとかいうやつに乗っ取られているのだろう!」 シマユニモン 「頼む!このままでは全滅してしまう!」 武福川駆 「駄目だ!駄目だシマユニモン!あきらめちゃダメだ!!!」 駆は涙を滲ませながら叫ぶ。 バイオスティングモンの渾身の力でシマユニモンの動きを封じているが、それもいずれは限界が来る。 筑波梨李 「トブキャットモン…!あいつ、あいつを倒せば」 トブキャットモン <分かってるんぬ!> トブキャットモンはすぐさまシェイドモンの元へと飛び、渾身の力を放つ。 トブキャットモン <いてこませ!"青空に築け、精鋭の誇り(スカイフォージ・トップガン)"ッ!全弾、ぶちまけるんぬー!> トブキャットモンの周囲に16発のミサイルが現れ、シェイドモンの元へと飛んでいく。 爆発と煙が掻き消えると、シェイドモンは一切の傷なくそこにいた。 トブキャットモン <ぬぁ…!あいつ、物理攻撃が効かないんぬ!?> シェイドモン 「は、は、は、は、は、は、は。 残念である。無念である。九つ前の前世からやり直すが良い。」 筑波梨李 「まずいんぬ…。ぬたちじゃ…どうしようもないんぬ…!」 トブキャットモン <ぐぬぬぬぬ!> 筑波梨李 「そうだ、鏡見くん!鏡見くんの力ならどうにかなるんぬ!」 そう言うと、梨李は鏡見の倒れている場所へと駆け寄る。 筑波梨李 「鏡見くん!起きるんぬ!早く起きるんぬ!でないとみんなが…みんなが!」 梨李は必死に呼びかけるが、鏡見の意識は戻らない。 筑波梨李 「まずいんぬ…ば、万事休すなんぬ…!」 ナイトモン 「くぅ…体の自由を…奪うとは…!皆!私から…離れろ…ぐぅ!」 ナイトモンが抜剣し、周囲を薙ぎ払う。 佐辺優子 「ナイトモン!…まさか、あのデジモンに操られているのか!?」 ダーくん 「しゃらくせぇ!ナイトモンッ!今止めてやるッ!」 ダークスーパースターモンがナイトモンの前に立ちふさがり、 彼の剣をいなしていく。だが、卓越した剣技は少しずつダークスーパースターモンを追い詰めていく。 ダーくん 「ぐおッ!…さすがはッ!スターのきらめきを持つ騎士だぜッ!」 剣技で吹き飛ばされ、膝をつくダークスーパースターモン。 気力を振り絞るが、蓄積したダメージのせいで四肢に力が入らない。 海風人手 「ダーくんッ!」 思わずダークスーパースターモンの元へと駆け寄る人手。 ダーくん 「くそッ…立ち上がれ…ダークスーパースターモンッ!俺がやらねばッ、人手がッ!」 佐辺優子 「止まれ…止まってくれ…ナイトモン…。」 ナイトモン 「申し訳…ありません…主…。貴方に…そのような顔を…させてしまうとは…。 ぐううううううう」 ナイトモンの剣が眩い光に包まれる。 彼と共に戦った者ならば、次に起こることが予想できるだろう。 その威力のすさまじさ。究極体おも消し飛ばす光の強大さを。 佐辺優子 「や、やめろ…やめろナイトモン…!たのむ、…たのむ、やめ…やめて…っ。」 優子の声は次第に小さくなっていく。 絶望に打ちひしがれ、彼女は顔を上げられない。ナイトモンの姿を直視できない。 これから起こるであろう惨状に目を向けられない。 ダーくん 「やべえぞ…ありゃあッ!…人手ッ、はやく逃げろッ!」 海風人手 「逃げてどうすんだよ!逃げたってどうにもならねえよ! …………どうすれば、……どうすればいいんだよ!畜生!…畜生!」 ナイトモン 「駄目、駄目だ!それだけは!くそっ!! 止まれ、止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ!!!!!! 止まってくれええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」 ナイトモンの制止もむなしく 光を湛えた騎士の剣は 巨いなる力を伴って、今―― ??? 「激・氷月牙!」 シェイドモン 「ぐ、ぬ」 上空から飛翔する無数の氷の刃がシェイドモンへと放たれる。 体中に突き刺さり、思わず苦悶の声を上げるシェイドモン。 ??? 「痺れちまいな!」 どこからともなく現れた弾丸が、ナイトモンとシマユニモンに命中する。 双方ともに動きが止まり、その場に倒れこむ。 シマユニモンに最後まで騎乗していた駆も巻き込まれて転倒する。 海風人手 「うわっ」 バイオスティングモン 「な、なんだ!今のは!」 ??? 「みんな、大丈夫かい!?」 謎の声が一同に響く。 ??? 「俺の名はデジマスター、君たちを助けに来た!」