イベント:「隔絶電脳異界セフィロ・サーチャー」 第4節 進行度1/2 ステージ:セフィロ・サーチャー 第五セフィラ:ゲブラー 気が付くと、一面に赤い葉の生い茂る木々が立ち並ぶ場所に出ていた。 空からは黒い雪のようなものが降りしきり、地面は黒に染まっていた。 異様な光景に優子たちは驚愕する。 武福川駆 「なんというか、すごいな……。」 九根針尾 「これは雪か?」 降り落ちる黒い雪のひとひらが九根の掌に落ちるが、 溶けることなく水のように蒸発してしまった。 武福川駆 「佐辺!こいつはもしかして。」 佐辺優子 「ああ、私たちに立ちふさがったデジモンたちが消えた時と似ている。黒い粒子となって消えた時のようにな。」 九根針尾 「立ちふさがっていた敵、か。 つまり、この雪はキミたちが戦っていた敵の材料みたいなものなのかな。」 佐辺優子 「断定はできない。だが、記憶にとどめていた方が良いだろう。」 武福川駆 「……あれ?ほかの人たちが来ないな。」 佐辺優子 「トブキャットモンの言った通りか、事前にチームを分けて正解だったな。」 九根針尾 「戦力は分断されたが、まあ無秩序にバラバラになるよりははるかにマシだな。 …とにかくこのフィールドの組成を解析に回そう。」 九根は現実世界から持ってきた解析用の小型機械を操作する。 ――数分後。 九根針尾 「……よし、データ転送完了だ。」 武福川駆 「なあみんな、そろそろ敵が現れてもいい頃合いだと思うんだが、一向に姿が見えないぞ。」 シマユニモン 「確かにそうだな。もしかしたら別の場所で待っているのかもしれない。このあたりを探索し――」 九根針尾 「――殺気ッ!上だッッッ!!!」 ナイトモン 「主!」 頭上から発射される炎の柱を間一髪で避ける駆と九根。 ナイトモンは咄嗟に盾を構え、優子を庇う。 盾に向かって放たれた炎の柱ははじかれ、攻撃の余波が周囲の木々をなぎ倒していく。 ??? 「中々やるようだな。だが、これくらいは切り抜けて貰わなければな。」 武福川駆 「お前!不意打ちとか卑怯だぞ!」 シマユニモン 「そうだ、降りてきて戦え!」 ??? 「愚か者め。利を捨てて戦うなど愚の骨頂!お前たちは地を這いずり無様に殺されるのがお似合いだ!」 上空から一方的に攻撃してくる正体不明の敵。 駆はダービーボールで敵の情報を分析する。 武福川駆 「あいつは…ベリアルヴァンデモン。…きゅ、究極体だっ!!」 佐辺優子 「なっ!究極体だと!」 シマユニモンはラスターショットで攻撃するが、ベリアルヴァンデモンには届かない。 敵の攻撃を掻い潜りながら思案する駆。 はるか上空にいる敵をどう倒すか…。 シマユニモン 「くそっ、高すぎて攻撃が届かない!」 武福川駆 「どうする、どうする…!」 ベリアルヴァンデモン 「はっはっはっ!思う存分逃げまどえ!じわりじわりとなぶり殺しにしてくれるわ!」 ベリアルヴァンデモンは上空から攻撃を続ける。 対空攻撃が十全ではないことを理解した彼は、逃げまどう姿を高笑いしながら眺める。 だが――。 九根針尾 「ふっ、甘いな。バイオ――エボリューションッッ!!」 九根は構えを取りバイオスティングモンへと進化する。 ベリアルヴァンデモン 「ほう、貴様人間のくせにデジモンになるのか。だが、貴様が進化した所で戦況は変わらん!」 九根針尾 「それは…どうかなっ!」 バイオスティングモンは背を屈め、次の瞬間、大きく跳躍する。 あっという間にベリアルヴァンデモンのいる高度まで迫る。 ベリアルヴァンデモン 「なっ!」 バイオスティングモン 「地を這いずるのは――貴様の方だッ!」 九根はベリアルヴァンデモンに渾身の蹴りを食らわせる。 とてつもない速さで地面に落下し、地面に叩きつけられ黒い雪が舞い上がる。。 ベリアルヴァンデモン 「ガッ…ハァ…!お、おのれっ!」 一部始終を見ていた優子たちは驚愕する。 「九根さんすげぇ…!」 佐辺優子 「ああ…とんでもないな」 ナイトモン 「主!今です。」 佐辺優子 「!あ、ああそうだな!」 武福川駆 「よしっ!俺たちも行くぞ!」 シマユニモン 「ああ!」 レイド:WAVE1/1 ベリアルヴァンデモン×1 ベリアルヴァンデモンの総HPを0にすると撃退戦解禁 撃退戦 ――戦闘終了後 バイオスティングモン 「お前が――落ちろッ!」 ベリアルヴァンデモン 「ぐ、ぐおあああっ。貴様…貴様ァッッッ!」 武福川駆 「ははは!アイツ飛び上がろうとするたびに撃ち落とされてやんの!」 空の利に固執し何度も飛び上がろうとし撃墜され、 地で戦おうとすれば3方向からの集中攻撃にさらされる。 即席ながらも3体のコンビネーションは十全に発揮され、圧倒的戦力差をも覆す。 ベリアルヴァンデモン 「殺すッ!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すッッッ!!!!!!!!!!!! 皆悉く死に絶えよッッッッッ!!!!!!!!」 ベリアルヴァンデモンは構え、大技を放つ準備をする。 しかし、ナイトモンと優子はそれを許さない。 佐辺優子 「究極体でさえこの始末。慢心とは恐ろしいものだ…、我々も肝に銘じなければな。 ――ナイトモン!とどめを!」 ナイトモン 「承知!いざ、雌雄を決す!滾れ…光よッ! 切り拓け、――忠義称揚す極光の剣(ファイデリティ・コールブランド)!!」 ベリアルヴァンデモン 「おのれ…おのれええええええええええええええ!!!!!!!!」 ナイトモンの放つ光の斬撃が木々を薙ぎ払いながら進み、ベリアルヴァンデモンを抱き溶かす。 黒い雪景色をも白く染め上げた光は徐々に解けて消えていく。 ベリアルヴァンデモンの姿は欠片も残らず消滅していた。 バイオスティングモン 「人間とデジモンの絆が成す必殺の一撃、凄まじい威力だな! 究極体すら消し飛ばすとは。」 武福川駆 「それはそうと、倒しちまってよかったのかな」 駆はベリアルヴァンデモンのいた場所を見つめながらつぶやく。 ナイトモン 「あれだけ殺意をむき出しにされては言葉など通じないでしょう。」 佐辺優子 「そういうことだ。そもそも、不意打ちした時点で会話する気はゼロだろうさ。」 シマユニモン 「……!駆、あれを見ろ。例の歪みだ。」 シマユニモンが首を向けた先には空間の歪みが発生していた。 一同が集結し、空間の歪みへと歩みだす。 武福川駆 「どうする?もう進むか?」 駆は二人の方へと翻り質問を投げかける。 口元に手を当てながら思考する九根の横で、優子が口を開く。 佐辺優子 「メンバーが分断されたうえ敵も究極体が出張ってきている。 正直、合流を視野にいれるべきではある。あるのだが……、行き先が不透明な以上それも難しいな。 九根さん、現実世界では進展はありましたか?」 戦闘修了を確認したバイオスティングモンは人間の姿へと戻り 少し離れていた二人の方へと合流する。 九根針尾 「いや、送信したデータを絶賛解析中だそうだ。もっとデータが欲しいらしい。 という訳で、オレは進むことに一票。」 武福川駆 「俺も1票。」 シマユニモン 「俺も一票。多数決なら進むに決定だな。」 佐辺優子 「いつから多数決になったのだ…。だが、まあ進むしかないだろう。 それに移動先にも何かしら法則が見えてくるかもしれない。」 武福川駆 「よっしゃ!じゃあ進むか! この場の全員が頷き、空間の歪みへと歩き出す。 いつの間にか黒い雪は止み、あたりには沈黙だけが残されていた。 イベント:「隔絶電脳異界セフィロ・サーチャー」 第4節 進行度2/2 ステージ:セフィロ・サーチャー 第八セフィラ:ホド 穏やかな渓谷 小川のせせらぎ 優しく照らし出す日の光 のどかな風景 そして ――見渡す限りの、うんち。 空間の歪みを抜けた優子たちが目にしたのは、 どす黒い色に変色したスカモンの群れであった。 武福川駆 「うわー…」 九根針尾 「ははは、なんだこれ。」 佐辺優子 「これは…中々に…つらいな……。 究極体が出てきてくれたならどんなによかったか…。」 九根針尾 「そちらのほうが幾分かマシだったな。視覚的にも。 とはいえ通常種とは比べ物にならないほどの圧を感じる。 強化体…の可能性も捨てきれない。みんな、油断はするなよ。」 戦闘:WAVE1/3 スカモン(異界兇懼体)×10    WAVE2/3 スカモン(異界兇懼体)×10    WAVE3/3 スカモン(異界兇懼体)×10 ――戦闘終了後 シマユニモン 「くっ、出会った中で一番の強敵だったな…。」 武福川駆 「シマユニモン。俺はどんな時だってお前と一緒に戦う覚悟だったけど。 ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ自信を無くしてしまったよ…。 シマユニモン 「しっかりしろ!駆!」 ナイトモン 「……あの、主。どうして距離を取るのですか。」 佐辺優子 「いや、別に。特に意味はない。気にしないでくれ。 ただちょっとだけ…!おっと、ナイトモン。もう少し距離と取ってくれ。」 ナイトモン 「……………………。」 九根針尾 「ははは、こんなこともあろうかと、向こうでデジタルワールド専用の小型クリーナーを用意してもらった。 どんな汚れも一発洗浄。もちろん、消臭効果も折り紙付きだ。デジ庁の用意の良さに感謝だな。」 佐辺優子 「ああ…九根さん。これほどまでに援軍がうれしいと思ったことはありません…。いやほんとに。」 あまりにも強力無比な相手に、この場のほとんどが心身ともに傷を負ってしまった。 一時の休息として、一行は川沿いにならぶ少し大きな石に腰かける。 小川のせせらぎを聞きながら、一向は今回の戦いを振り返った。 佐辺優子 「先ほどのスカモン、少し気にならないだろうか。ついついギャグのノリで流してしまったが。 ………………。ああいや別にスカモンに掛けてるわけではなくて。」 武福川駆&シマユニモン (何も言ってないだろ…!) 佐辺優子 「おほん。あのスカモンたちはかなり強化されていたように思う。 通常個体と比べ物にならないほど、それも、1体1体が完全体に迫るレベルには。」 武福川駆 「まさか集団で襲われるとはな。俺たち今まで大ボスを一体ずつ相手にしてたから 敵は一体しか出てこないって先入観が生まれちまってたわ。」 佐辺優子 「もう一方のチームが心配だ。ダークスーパースターモンの実力は疑うべくもないが、残りの二人は未知数だからな……。 チーム分配は九根さんの采配によるところが大きいが……、あの二人はお強いのですか?」 解析用の小型機械を操作する九根に優子が話を振る。 「ん?ああ。筑波さんはまあ置いておくとして、鏡見くんはああ見えて1度デジタルワールドを救っているからな。 戦歴は苛烈だぜ?究極体だけじゃなく三大天使やあのルーチェモンとも交戦の経験があるとか。」 武福川駆&シマユニモン 「すげぇ…。」 佐辺優子 「す、凄まじいな…。失礼ながら、あの見た目からは想像できない……。」 ナイトモン 「ですね…」 九根針尾 「彼自身は能力がインチキじみてたからできた芸当だとか、貢献度は現地民や三大天使の助力が大きとかいってたが、 それでも世界を救う戦いに身を投じていたのは事実。まあオレたちにとって先輩にあたるような子だよ。」 解析データの送信が完了し、九根は顔を上げる。 九根針尾 「ま、そうはいっても今回は守るものが多い戦いだ。何せ護らないといけない世界が二つだからな。 あの子だけでは荷が重いだろう。オレたちも全力で事に当たらなきゃな。」 佐辺優子 「そうですね」 武福川駆 「だな」 九根の言葉に全員がうなずき、決意を新たにする。 しばらく他愛のない話を続けていた一行は、少し遠い場所に空間の歪みを発見する。 佐辺優子 「どうやら次が来たようだな」 武福川駆 「…よくよく考えたら、あの空間の歪みも結構謎だよな。 敵を倒したらすぐ出てくることもあるし、今回みたいにちょっと時間がかかったりするし。 なにかが影響してんのかな。」 九根針尾 「確かに気になる。が、現時点では答えは出ないだろうさ。 データも送信できたし、結果を待つより先に進んだほうがいいだろう。」 武福川駆 「じゃあいっちょやったりますか!……今回みたいなのは1回きりにしてほしいよ、ホント。」 佐辺優子&九根針尾&ナイトモン&シマユニモン 「同感。」 全員の心が一つになるのを感じた優子たちは、空間の歪みへと歩みを進める。 心地よい風と小川のせせらぎに見送られて。