神崎璃奈です。日記を書くことにしました。  私は病院にいたらいつのまにかデジタルワールドという所にいました。  ここはデジモンという生物が住む世界なんだそうです。  ケンタル先生が教えてくれました。  ケンタル先生はケンタルモンという私を助けてくれたデジモンです。  なんだかうさんくさいヒゲの生えたクジラのようなモグラのようなドリルが付いたデジモンに襲われたときに助けてくれました。  とても変なヒゲを見て笑っただけなのに怒った器の小さいモグラはニセドリモゲモンというそうです。  ドリモゲモンというデジモンの偽物なのかと思ったらそうではなく発見が遅かったためにそう名付けられたそうです。  なんだか可哀想になりました。ヒゲを笑ったのは悪いことをしたようなので今度あったら謝ろうと思います。  それからケンタル先生が私を治療してくれました。すごいです。病気も治りました。  ケンタル先生は、いろんなことを知っています。そして、色んな人やデジモンを治してます。  私もケンタル先生のようなみんなを癒せる大人になりたいです。  デジモンイモゲンチャーカドゥケウス  CASE 1:データ異常  本日の患者:三上竜馬、トリケラモン  登場人物紹介  ケンタルモン:通称ケンタル先生。あるいはドクターCとも呼ばれる。デジモンだけでなく人間に対しての医療知識も豊富なスーパードクター。  神崎璃奈:通称ナスガキ。ケンタルモンの助手として働く11歳。デジメで呼べば来る。  スカルスカモン:今回の主役。でもセリフ無い。  三上竜馬:スカルスカモンの被害者。セリフ殆ど無い。  トリケラモン:スカルスカモンの被害者その2。でもセリフがなくてごめんなさーい!!  三下慎平:竜馬の仲間。セリフ殆ど無い。  鉄塚クロウ:竜馬の仲間。セリフ殆ど無い。 「これは一体……?」  デジメで緊急要請を受け、即座に駆けつけたケンタルモンと神崎璃奈。  そこには体の一部が骨のようなテクスチャになってしまった三上竜馬とそのパートナーデジモンで、同じく骨のように変わり果てたトリケラモンの姿、そして彼ら二人と行動をともにする仲間たちが居たのだ。 「うーん、液晶化のようなデータ異常の一種かな? 竜馬くんだよね? 喋れるかい? 一体何があったんだね?」 「……ほねうんち」 「?」  あの三上竜馬がこのようなふざけた単語を喋った。その事実にケンタルモンと神崎璃奈は首を傾げた。  真面目な彼にいったいなにがあったのか。すぐに三下慎平がその答えを言ってくれた。 「先生、竜馬たちは……あのほねうんちとしか言いようがないデジモンにほねうんちをぶつけられたらこいつら体が骨みたいになって……その上、ほねうんちとしか喋れなくなっちまったんです……!!」  明らかに笑いをこらえながら語っている三下を竜馬が睨む。 「えぇ~慎平先輩、それマジですかぁ!? あの竜馬先輩がそんなこと言う羽目になるなんてぇ……ちょっと面白すぎるんですけどぉ~💜 アハハハハハハハ💜」 「……いや、これは笑い事ではないよ璃奈くん。テイマーがパートナーのデジモンにバトルの指示を出せなくなってしまうからね……」 「あのほねうんちデジモンに竜馬がやられちまって、体まで変化したんでこりゃやばいって急いで竜馬とトリケラモンを救出してそいつから逃げたんです」 「このような辱めを受けた竜馬くんの精神的なダメージも計り知れないだろう。かなり狡猾な手口のデジモンの仕業ということだね?」  ケンタルモンに咎められた璃奈は竜馬が受けた苦しみを想像した。それは確かに彼にとってとてもつらいことだっただろう。  ほね竜馬に向き直り、笑っちゃってごめんなさいと頭を下げた。  竜馬は喋ることなく気にしてないという表情を取ろうとしたのだろうが、データ異常が進行している顔ではどういう表情なのかわからない。 「ところで、先生! ほねうんちってなんですかー!」 「私は昔から世界各地を巡っているが、そんなデジモンがいたとは聞いたことがないね……」  そして、ケンタルモンは竜馬とトリケラモンの体を調べていく。 「ふむ……人間がデータ異常を起こすのも変だと思いましたが、竜馬くんは仲間をかばおうとして盾になりましたね? そういう痕だ。被弾が多すぎたようですね……」 「デジモンの攻撃は当たった時点でデータを変化させる物があるから避けるかかき消すかしなきゃいけないものが多い……って先生言ってたよぉ💜 竜馬先輩~次からは避けてくださいねぇ💜」  だが、仲間のために盾になろうとするのは竜馬先輩らしくて凄いと璃奈は思った。きっと自分を盾にするなんてできないだろう。  そしてケンタルモンによる診断結果が出た。 「これはとても特殊なデータ異常ですね。はっきりいいますが今の龍馬くんとトリケラモンは生物学上は死んでますね」 「はぁっ!?」 「……ほねうんち!?」 「落ち着いてください。正確にはスカル系デジモンと同じような状態です。ですが、このまま治癒できないと侵食が進み肉体が完全に滅びてしまうでしょう」 「ケンタル先生! 竜馬を治せるんだろうな!?」  鉄塚クロウが血相を変えて叫ぶ。竜馬とともに戦ってきた仲間たちの顔もこわばっていた。 「もちろんです。所詮はデータ異常の一種ですから」 「それを聞いて安心したぜ……」 「ですが、今すぐ治せるわけでもありません。私も初めて見る新種の症状ですからね。そのほねうんちデジモンとやらを分析し出来れば新鮮なサンプルを手に入れなければならないでしょう」  こうして、ケンタルモンと神崎璃奈は、三下たちからの情報からほねうんちのデジモンを探しはじめたのである。 ――――  そこは怪しげで神秘的な雰囲気をもたらす森であった。ミスティツリーズに似ているなとケンタルモンは思った。 「ふふーん💜 璃奈ちゃんにかかればすぐに見つけれるんだから💜 見ればすぐわかるって言われてたけどどんな見た目なんだろなぁ💜」  そうしているうちに、璃奈の体が通れそうな茂みを見つけた。  そこになにかが居た。それは骨のような質感だが見た目はどう見てもうんちだった。ソフトクリームではない。うんちだった。  そんな物を見れば理性ある人間は誰しもがこう叫ぶであろう。 「ほねうんちだーっ!!」  その声に反応しそのほねうんちデジモンは璃奈の方を向く。  そして、ほねうんちデジモンは自身の身体と同じような質感のうんちを投げてきたのだ! 「ギィエ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エッ! ヴェ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!?」  悲鳴を上げて逃げ出す璃奈。  当たれば竜馬と同じくほねうんちしか喋れない骨人間にされてしまうのだ。いくらなんでも女の子なのにそれは嫌だ。  今までの人生でも出したことがない速度で彼女は逃げ回った。 「おー、お手柄だよ、璃奈くん。これは確かにほねうんちのデジモンとしか言いようがないね。写真を撮ってスカルスカモンと名付けて学会で発表しよう!」 「そんなことより先生助けヴゲェ゙ッ! ギィア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」 「スカルスカモンが投げるほねうんちのサンプルが多めにほしいのでもうしばらく逃げ続けてください。少しくらい当たっても治せますから大丈夫です」  時々ケンタル先生はドSになるなぁ……と悲鳴を上げながら璃奈は思った。  背中の六連排気筒から煙を吹かせ音速に近い速度を出したケンタルモンが璃奈を救うまで、彼女は全力で逃げ続けることになるのであった。助手って大変なんだなぁと考えながら。 ―――― 「えー、新たに発見されたスカモン種デジモンであるスカルスカモンはおそらくスカル系デジモンがスカモンへと変化した際にエラーがおきて誕生したか、もしくはスカル系デジモンの廃棄データから自然発生的に誕生しました。  その実力は究極体か、それに匹敵する実力を持つ完全体デジモンと思われます。  彼の必殺技である『ボーンウンチ』はスカルサタモンの『ボーンネイル』のデータに非常に近く、当たったデジモンに対して強力なデータ異常を起こします。  基本的症状としては簡単に言えば文字列データを書き換え、いわゆる誤字、誤植によって技の発動や進化、ジョグレスの阻害をすることが主となります。  さらにスカル系デジモンによる不要データで作られたためでしょう。  低確率で液晶化と同じようにスカル化というべき状態異常をも引き起こします。スカル化は肉体のデータを滅ぼすので、通常のデジモンは本来のステータスから大きく性能が下がります。  特にHPや防御力の低下が著しく大きいです。また技も先述の通りほとんど使えなくなってしまう強力な状態異常です。  ですが、元からスカル系や汚物系のデジモンであればこの状態異常を気にすることなく立ち向かえるでしょう。  恐ろしいのは人間に対してスカル化が発動した場合です。初期段階では生命活動が停止しゾンビのようになり、最終的には復活も不可能な骨になってしまうと推測されます」 「先生~そんな話はいいから龍馬くんとモノケロモンちゃんへの薬はどうしたんですかぁ~💜 璃奈ちゃん死ぬ気で走り続けて足が痛いんですけどぉ💜」 「実は……サンプルが足りなかったようでね! 璃奈くん、竜馬くんたちのためにもう一走りしてくれないかい?」 「ヴェア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ーッ!?」 「冗談だよ璃奈くん。薬はできた。骨とウンチという混ざりづらいデータが綺麗に融合しているから少し難しかったけどね。いやぁこんなデータもあるんだね。私もまだまだ学ぶべきことが多いな」 ――――  薬を投与された竜馬とモノケロモンの体に起きていた異常はすぐに消え去った。  しかし…… 「竜馬! 大丈夫か!」 「……」 「流石にここは何か喋れよぉ……お前死ぬかもしれないところだったんだぞ」 「……ほねうんち」  竜馬から発せられた言葉でみんなの顔が凍りついた。  まさか薬の効果が不完全だったのであろうか? 「ほねうんちしか喋れないのだけなおってない!?」 「なにっ!? 私が医薬プログラムのデータ計算を間違ってしまったというのか……?」 「……ジョークのつもりだった」 「竜馬てめぇぇぇぇぇぇぇ!!」 (あれ? 竜馬先輩って実は結構面白い人?)  こうして彼らの治療は成功に終わった。  ケンタルモンと璃奈は彼らに別れを告げ、再びそれぞれの旅へと戻っていく。 ―――― 「先生、またこの森進むんですかぁ~? スカルスカモンにまた襲われたらどうするんですかぁ~、もうあんなに走るのは嫌ですよぉ」 「その時は私が抱きかかえて逃げるよ」 「え~💜 それならスカルスカモンでてこないかなぁ~💜」  そんな話をしながら彼らは森を進んでいる。  そのうち、ケンタルモンはその目の良さで森の奥に人間の少女がいることに気づいた。 (おや? 人間が一人でこんなところでなにを……? 危ないから助けるべきか?)  彼女の名前は高坂ユキ。  演出家であるスカルサタモンと組み、デジタルワールドに来た少年たちと出会い交流を深めた後、劇的に死んだように見せかけることで彼らの心の傷になろうと企む少女である。  だが、その邪悪な企みが実ったことはない。なぜならば…… (おや? あっちにはスカルスカモン……? 彼女に近づく野生のデジモンを追い払っているようだ。  ははぁ……縄張りを犯されたから龍馬くんや、璃奈くんを襲ったのだと思ったのだけれどスカルスカモンは彼女を守っていたようだね。  どうやらあの少女には、私の手助けなどいらない頼もしいナイトがついていたようだね!)  高坂ユキとスカルサタモンの目論見は、スカルスカモンによって知らないうちに邪魔され続けていたのであったとさ。  そして、やがて一人の少年が彼女たちにその真実を突きつけることとなるのである。 「ほねうんちだーっ!!」  おしまい。 おまけ 神崎璃奈ちゃんについてもう少し考えてみた。 ・一人称はだいたい璃奈ちゃん。時々私。デジワーツカイモンがボクだったしボクっ娘にしようかなと思ったけどどう思う!? ・基本メスガキ口調のガキでしかない。 ・根は良い子だろうけど妙なとこ図太そう……。 ・自分か誰かが助かる二者択一の状況だと自己犠牲したがるところがあるけど、深い考えはない。助けれるなら助ける、そういう子。 ・「ヴェ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」とか「ギィエ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙エ゙!!!」とか涙目で汚い絶叫する。子供は大声で叫ぶと可愛いですよね。  善悪逆転世界verだと戦の時に雄叫びを上げるウォークライに変わってる。 ・普段二人旅しかしてないから描かれないけど、冒険のPTメンバーに正式に入るとメスガキのノリですぐ調子乗って先に行くけどすぐ悲鳴あげて逃げてきてケンタル先生が手で顔を抑えて「やれやれ…」するそんな感じのポジションに収まる。  サンドヤンマモンの群れに追われて悲鳴と両手上げながら逃げてくるとか、無害なデジモンをメスガキ煽りして逃げてくるとか。 ・ケンタル先生のことは本当に尊敬してるが、ポジションとしてはピノコだから結構厚かましいところがあるんじゃないかな? ・描いた絵を見返すとなんでこいついつも口開けてんだろ…… ・好きな食べ物はたこ焼き。好きなジュースはぶどう味。 ・ケンタル先生に対して恋愛感情はないような……あるような……。でも馬だし本人が「デジモン医学的にデジモンは無性だから私は男でも女でもなく無性だよ」と言ってるし……。 ・先生の発音はしぇんしぇーってなってることが多いと思う。 ・ヴァン様のファンだけど本当にアイドルに対するファンみたいなもん。のばらちゃんの恋は素直に応援してる。 ・好きな男のタイプはからかって面白い人、かまってくれる人。だけど献身的で世話焼きなところがあるから、だらしないところがあるぐらいの相手がちょうど良さそう。 ・家では甘やかされて育ってそう。ミミちゃんいいよね。家庭に問題とか特に無さそう。