◆久墨哲哉(くずみ てつや)  11歳。一人称は僕。  デジタルワールドを放浪しているチーム「フルメタルハート」のジェネラル。  彼は小学校にも家庭にも居場所がない不登校児であり、毎日をゲームでひまを潰しながら過ごしていたある日、突然デジタルワールドに引き込まれる。  引き込んだ主であるデジモンイレイザーにダークネスローダーを与えられ、  配下のメガドラモン、ギガドラモンと共に、ネオデスジェネラルとして都市鉱山ダスタータウンを征服することを命じられた。  彼はデジタルワールドはおろかデジモンに対してのなんの知識もなかったため、ゲーム感覚でそれを引き受け、すぐにイレイザーを裏切ることになる。  普段はおとなしく控えめな性格で周囲の目を気にしながら生きているが、  自分の名前をもじって「クズテツ」呼ばわりされると激昂し、その単語を発した者への怒りで我を忘れる。  ジェネラルとしての資質は高く、さらにゲームで磨かれており、敵や周囲への観察眼と『読み』は無類の強さがある。  戦場の環境や地形を利用する戦法を好む。 ◆ムゲンドラモンX(クロス)    メガドラモン、メタルグレイモン、メタルマメモン、アンドロモン、メタルティラノモンの5体のデジモンがデジクロスした姿。  通常の究極体のムゲンドラモンとは異なり、素材となる5体のデジモンの自我はそれぞれ独立して存在している。  全員の意志が一つの目標を定めた時のパワーは通常種を上回る。  姿はムゲンドラモンとほぼ同一だが、人間の意思が干渉しているためか、  かつてファイル島のムゲンマウンテンや裏次元に現れたとされる個体のように、頭部や砲身が白銀のメッキ調に塗られている。  また、合体したデジモン達の心の傷が重なったかのように、胸のミサイル発射ハッチに大きく“X”型の傷が入っている。  首元には結束バンドのような黒い首輪がエネルギーパイプや配線類を首関節にまとめて束ねている。  ダークネスローダーによる強制デジクロスの力で、近くのデジモンやデータを素材にハイムゲンドラモンへとクロスアップしてパワー出力を上げることも可能。  しかし周囲へ甚大な被害を及ぼすため、哲哉が普段の冷静な状態であれば使用することはない。 ・ダスタータウンはネット上の塵となったキャッシュデータが流れ着く地帯である。  漂着したデータがスクラップや鉱物データの形で析出するため、それを資材とする少数のマシーン系デジモンが住み着いている。  哲哉がメガドラモン達と共に襲撃してきた際に、ダスタータウンを守っていた自警団デジモンが反撃。  しかし哲哉のジェネラルとしての能力の高さで、2対4の数的不利でありながらも哲哉達は徐々に優勢となっていく。  その最中、哲哉の指示をロクに聞かず、スタンドプレー気味だったギガドラモンが自警団を指して「クズ鉄」と言い放った。  その瞬間、哲哉は激昂。  メガドラモンに同士討ちを指示する。    メガドラモンは面食らうものの、その哲哉の憤怒に便乗しギガドラモンへの攻撃を開始した。  突然仲間割れが始まり、攻撃対象のギガドラモンはおろか、相手をしていた自警団デジモンさえ混乱する戦況となる。  その最中、メガドラモンは進化先の素材デジモンが場に揃っていることに気付き、哲哉に強制デジクロスを提言。  哲哉は言われるまま強制デジクロスを発動し、ギガドラモンを除く場の5体のデジモンは合体。ムゲンドラモンXとなる。 「こいつを斃せるなら何がどうなってもいい」  という哲哉とメガドラモンの強烈な思念に、取り込まれた自警団デジモン達も困惑しながらも同調し、圧倒的なパワーを発揮してギガドラモンを撃破。  しかしギガドラモンは哲哉の監視役も兼ねており、哲哉の裏切り行為はデジモンイレイザー陣営に筒抜けとなっていた。  さらにダークネスローダーの力で取り込まれた自警団デジモンは、ダスタータウン住民の反感を買い、4体まとめて追放される。  かくして、居場所の無くなった1人と5体はなし崩し的にチームを組み、デジタルワールド中を放浪することになった。 ◆メガドラモン  元デジモンイレイザー陣営。  一人称はオレ。  非常に冷徹で皮肉屋な性格。  自身が強くなるため、またその力を振るうためならば手段を選ばず、それ以外のことに興味をほとんど持たない。  同僚のギガドラモンとは成長期からの腐れ縁で、自分よりスペックが高く、いつも先へ行くことを疎ましく感じていた。  自分自身の過失による育成ミスで究極体への進化ルートが途絶えており、内心、絶望していた。  哲哉の裏切りとデジクロスによってまだ自分に強くなれる可能性があることを実感し、哲哉に恩義を感じている。  チーム内では自分から発言することはほぼなく、意見を交わす際は知能の高いアンドロモンとのみ。  飛行能力を持っているため、旅の移動手段はもっぱらメガドラモンの背に乗っている。 ◆メタルグレイモン(ウイルス種)  元ダスタータウン自警団。  一人称は俺。  武人肌で正々堂々とした戦いを好み、敵や味方にもそれを強いる悪癖がある。  戦闘センス自体は高く、正面からの戦闘ならば右に出る者はいない。  ダスタータウン住民のほとんどが自ら戦わず、自警団に守ってもらうばかりという状況に危機感を覚えていた。  また自警団の役割に誇りを持っていたが、追放された際自分以外の3体が特に引きずる様子もなく、受け入れたことにショックを受けている。  ワクチン種のメタルグレイモンに空中から倒された経験があり、飛行するデジモンに強い敵愾心を抱いている。そのためメガドラモンによく突っかかる。  信念を持ちまっすぐに生きてきた彼の言葉には含蓄があり、哲哉の心にまっすぐに届く。  言葉ひとつで豹変する哲哉の心を危うく思っているが、同時に普段は自分を尊敬してくる純粋な眼差しを信用しようと努力している。   ◆メタルマメモン    元ダスタータウン自警団。  一人称はボク。  明るく快活な性格で、口数が少なく暗くなりがちなチームを引っ張るムードメーカー。  通常、一部のヒト型のデジモン以外は希薄な性自認を、自分が強く認識していることに悩んでいた。  哲哉がダスタータウンを襲撃してきた際に一目惚れしてしまい、密かに想いを寄せるも当人からはマスコット的な可愛さとしか見られていない。  そのことに内心傷ついているが、気丈に振る舞い、いつも哲哉を元気づける。 ◆アンドロモン    元ダスタータウン自警団。  一人称は私。  知能が高く、チーム内では当座の方針を提案したり現況の分析など冷静な発言でチームを支える。  ダスタータウンはデジタルワールドの僻地である土地柄か、自警団以外の住民は排他的かつ狭い考えのデジモンが多く、  アンドロモンは内心で守るべき対象に苛つきを覚え、見下していた。  しかし外の存在である哲哉やメガドラモンと深く触れることで自身の考えもまた井の中の蛙であることに気付かされる。  結果としてダスタータウンを出る羽目になったが、それさえも楽しんでいる。  普段はよく哲哉にデジモンやデジタルワールドの知識を教え、逆に哲哉から人間界の知識を教えてもらっている。 ◆メタルティラノモン    元ダスタータウン自警団。  一人称はワシ。  チーム内で一番の大食漢であり、チーム内で一番のパワータイプ。  全員が完全体という同じレベルではあるが、メタルティラノモンはチーム内での年齢が最も上。  温和で優しい性格であり、話題を柔らかい雰囲気で着地させる術に長けている。  ダスタータウンを守っていた際、自警団の皆が複雑な悩みを抱えていることを察してはいたが、その相談に乗れないことに悩んでいた。  強制デジクロスした際に全員が強い自我を持っていたため、全員の思考が共有化され、お互いの抱えていた心の傷を強制的に察することになった。  そのため、チーム内のデジモンは互いの事情への微妙な距離感と生温い絆が芽生えており、  和が生まれてはいるので、メタルティラノモンは一応これでもいい、と自分を納得させている。  居場所のない哲哉の身の上やその未来を憐れんでおり、今だけでも彼の安らぎの場を作ろうとする。 ◆チーム「フルメタルハート」  哲哉は当初、ムゲンドラモンXの外見からチーム名を「フルメッキハート」と名付けたが、5体全員から却下され、今の名前になった。  デジモンは哲哉の人生で初めて自分の感情に寄り添ってくれた存在である。  旅を通してこの世界はゲームなどではなく、彼らにも感情がある、ひとつの生命であると今は受け止めている。  当座の目標として哲哉が現実世界へ帰る方法を探しているが、本人は今の環境に居心地の良さを覚えており、帰りたくないと思い始めている。  食料や拠点を求めてデジモンの集落を転々としているが、イレイザー陣営に裏切り者として追手を差し向けられているため、一箇所に留まれることはない。  戦闘が発生するとムゲンドラモンXの力で対処することが多く、周囲を破壊してしまうことも多い。  「ダークネスローダーを持ち、ムゲンドラモンを連れ、方々を破壊して回る少年がいる」  という噂が独り歩きし始めていることを哲哉達はまだ知る由もない。