――あれは、私とユーザが恋人になって半年ぐらい経った頃だったかしら。 小さな別邸の中でだけ、人目を忍びながらの関係。それに私はこんな身体だけれど……私達は私達なりに幸せを満喫していたわ。 例えば、デートが難しい分ベッドの上で一緒に寛いだりとか。 仕事を終えた後のユーザは、着替えた後も汗の匂いが漂っていて。その腕の中で抱き締められると、愛おしい気持ちで胸がいっぱいになるの。 ユーザも私の髪に優しく触れながら、顔を埋めて「クローディア」って何度も囁いたり。 勿論、とても恥ずかしいわ!でもそれ以上に嬉しくて、幸せで……誇らしくなるの。 他にも食事とか入浴とか、眠る時だってユーザといつも一緒。 お世話されるのは今までと同じ、けれど私の方からもユーザに色んな方法で「労い」をするようになったわ。 言葉や抱擁、それにキスとか……その、もっと深くて大人な繋がり方、とか。 だから私は今まで以上に、ユーザ無しでは生きられなくなってしまったの。 ……その割には全然困っているように見えない、ですって? ふふっ、そうね。貴方の言う通り、これは惚気話ですもの。 あぁ、けど一つだけ。本当に、本当に困った事が出来たの。これから話すのは、その時の事でね……。 ********** 庭園の片隅、静寂に包まれた別邸の中。部屋を満たすのはクチュクチュとした水音だけ。二人きりの空間、それでも凄く恥ずかしい。 ほんの少しユーザに触れられただけで股間は直ぐに反応してしまって、透明でとろっとした汁がユーザの指を汚していく。 「ね、ねぇ……ユーザ。もう、十分だと……思う、のだけど……」 けれど私の必死の懇願は届かず、ユーザはただ只管に指での愛撫を繰り返すの。 「何を言ってるの。クローディアはこのくらいの刺激じゃ満足できないでしょ?一人の時にベッドのポールに擦り付けていたぐらいだし」 ユーザの指摘に顔がかっと熱くなる。確かにそうなのだけど……今、そんな風に言わなくてもいいじゃない! 「あ、あれは……どうしても我慢できなくてっ。あの時はユーザだって、忙しそうにして……んんっ!?」 ベッドで仰向けのまま、剥き出しの恥部を刺激され続けて反論だってままならない。手足をバタバタさせながら快感に震える私を、ユーザは冷たい目で一瞥し――。 「だから必死に腰ヘコヘコさせてオナニーしてたんだ。はぁ……クローディアがこんなにエッチな子だなんて思わなかったな」 ――私の奥深くで、指の関節をグイッっと曲げた。私の一番弱いところ。ユーザに散々開発されたところ……グリッて刺激して。 「~~~ッッッ♡♡♡」 それだけで、私は情けなく絶頂してしまう。逃げ場なんてなく、押しのける事もできない。ユーザの思い通りに、私は情けなくて淫らな姿を晒していた。 「うわっ、クローディアのオマンコきゅうきゅう吸い付いてる。そんなに手マン気持ちよかったんだ?オナニーした後なのにまだイキ足りなかったのかな?」 絶頂の余韻に浸っている間もユーザは休ませてくれない。言葉で、愛撫で……ビクビク震える私の中をゾリゾリって乱暴に、けれど的確に刺激してくる。 「やっ、やだっ……許ひてっ♡まだ私、気持ちいいのの途中……らからっ♡私のそこ、虐めない、れっ……♡」 呂律が回らないぐらい快感で溶かされて、涙を流しながら必死に乞うてもユーザは止めてくれない。 「だーめ。ちゃんと約束したでしょ?クローディアの性欲処理は全部任せる、って。それにちゃんと"言葉遣い"も教えたのにもう忘れてる。お仕置き決定だね」 そう、初めてユーザと繋がった日に私達は約束した。 この関係を誰かに知られたら私達の全ては破綻する。だから絶対に見つからないように、ユーザが大丈夫って言った時だけエッチな事をしよう、って。 ……でも、それがこんな事になるなんて! 「だ、だめっ♡それ、だめっ♡そんなに早くしたら、私の、そこっ……オ、オマンコっ……♡オマンコ、またイッちゃうっ♡」 ユーザは何も知らなかった私に徹底的に快楽を教え込んだわ。無知な私が抵抗なんて出来るわけない。直ぐに私は性の快感の虜になった。 「ほんのちょっと刺激しただけなのにまたイッちゃうの?クローディアの子供マンコ、ちょっとスケベ過ぎるなぁ」 でもユーザはそんな私を敢えて縛ったの。感度だけはどんどん鋭敏になっていくのに、自分で慰める事は決してできない。 火照りを鎮めたいなら、ユーザに教えられた通り卑猥な言葉遣いでおねだりするしかない。 「ご、ごめんなさいっ♡エッチでごめんなさいっ♡私は、ユーザに優しく撫でられただけで恥ずかしいお汁を垂らしちゃう、変態な雌豚ですっ♡」 ……仕方なく、本当に仕方なくよ?だってこうしないと、ユーザの嫉妬は絶対に収まらないもの。 「うん、ようやく認められたね。そうだよ、クローディアはエッチで変態な女の子。満足させられるのは恋人だけ、柱でオナニーなんて以ての外だから」 以前から感じてはいたけれど、ユーザはかなり独占欲が強いみたい。私が物で自慰するのすら我慢できないぐらいに。……そういうところも好きなんだけど、ね。 「ちゃんとエッチに言えた御褒美。思いっきり気持ちよくしてあげるから、汚すのなんて気にしないぐらい派手にイッていいよ」 そういうと、ユーザは指の動きを一層速く、激しくして……。 「あっ、やぁ♡そ、それ無理ぃ♡イッ……イク♡イキます♡クローディア、おしっこ漏らしながらユーザにイかされますっ……♡」 ……そこから先は覚えてないわ。気付いた時には浴室の中、満面の笑みで私の全身を綺麗にしているユーザに揺り起こされながらだったから。 ********** 「……そういうわけで、とっても困ってるの!一度や二度ならともかくほぼ毎日だもの……身体が限界よ。世の恋人達は一体どうしているのかしら?」 熱の籠もった口調で情事について語るクローディア。そんな彼女に「いや、それは相当特殊なプレイですね」と返そうとして、結局口を噤んだ。 困らされていると言った割に、恋人について話す時の彼女はとても幸せそうな声色で。歪な関係かもしれないが、きっとこの二人はそれでいいのだろう。 「只今戻りました。……失礼、御歓談中でしたか」 丁度話終えた頃、件の恋人が戻ってきた。柔和な声と行き届いた気遣い。盲目の私でも解る程、その人は優美な使用人だった。 「いえ、お気遣いなく。丁度今貴方の事についてお話を伺っていたのですよ。とても素敵な方だと、クローディアさんが褒めていました。それはもう熱烈に……ね」 だから私は敢えて、恋人さんが反応するような含みを持たせる。優しくて嫉妬深い恋人さん、夜のスパイスにするならご自由にどうぞ。 「えっ、あの……ユーザ?今のはそういう事じゃないのよ?解っているでしょ……ねっ、ねっ?」 クローディア、私の大切な友人。どうかその人と末永くお幸せに。