うち、段々ユーザさんに似てきたかも。付き合ってから……ううん、付き合う前からちょっとずつ。 「相変わらず寒がりだよね。でもほら……ぎゅーっ、てすれば温かいでしょ?」 スキンシップ、楽しみにするだけじゃなくて自分の方からするようになったり。 「好き、だよ。大好き。ユーザさんの事、独占したいぐらい好き」 ずっと恥ずかしいって思ってた事、ちゃんと口に出せるようになったり。 「……だからあんまり嫉妬させないで。ユーザさん、うちの恋人なんだから。他の人ばっかり見てたら、ヤだよ」 その代わり感情を隠すのはどんどん下手になって。子供みたいに甘えたり、ワガママ言って困らせたり。 でも、それを受け止めて貰えて幸せな気持ちになったり……とか。とにかく色々。 「ひゃうっ!?……も、もう!ダメだって!そういうのは禁止!」 でも一つだけ。……エッチなのは真似できない。いや、しなくていいんだけど。 というかユーザさん、幾らなんでも積極的過ぎだって。人目のある場所でも色んなところ触ってきたりとか。 「唇にも耳にもキスはダメっ!……胸触るのも!ここ外だよ!?」 触れ合いたいって気持ちはわかる。うちもユーザさんと、もっと深く繋がりたい。 でもやっぱり節度ってものがあると思う。ここだけは似ないし、似たくないとこだよね。 ま、付き合ってるからって全部一緒じゃなくてもいいし、別にいいけど。 ********** 暖房をつけたばかりの部屋の中で白い吐息が重なる。うちとユーザさんの熱い体温の証。 絡め合った手からも湯気が出そうなぐらい掌が熱を帯びて、全身が蕩けそうになる。 「んっ……ちゅっ……♡ぁむっ、ふぁ……♡」 キスが凄く好きになった。これもユーザさんに似てきた事、かも。今まで経験が少なかった分、がっつりハマっちゃって。 ……でもこれは、別にエッチじゃないよね?ほら、挨拶の延長みたいなものだし。 「んくっ……んむ……♡はぁ、はぁ……♡」 少し休憩、って思っても身体が言う事を聞いてくれない。ふわっと香るユーザさんの匂い。汗をかくと余計に濃くなって。 ハグの時でも堪らなかったのに、我慢なんて出来るわけないじゃん。 「ねぇ、もっとしよ?うち、まだし足りない……いいでしょ?」 うちとユーザさんの身長だと、主導権は基本ユーザさんの方。頭一つ高い分、うちからするのは限界があるから。 二人で並んで歩く時はこの差が恨めしい事もある。でもこういう時はちょっとだけ得してるかも。 甘えた目つきで見上げられるの、ユーザさんは結構好きみたいだから。 「あっ……♡んんっ、ちゅっ……♡ふぁ……ん~……♡ちゅっ、ちゅっ♡」 ちょっとだけ背伸びして、軽いキスを繰り返す。首に手を伸ばして引き寄せるみたいに。 そうすると直ぐユーザさんも応えてくれる。うちの腰をそっと支えて、軽くグイッて抱き寄せて。 ……これ、凄いドキドキする。毎回やって貰うのに、未だ慣れない。ずるい。ユーザさん、ずるい。ずるくて、優しくて、好き。 「んっ、やだ、見ない……でっ……♡」 上から覗き込むように、ユーザさんの顔が迫る。真剣で、切なそうな顔。 普段のユーザさんは可愛い。仕草とか笑顔とか、子供っぽいところとかも全部可愛いって思える。 でもこういう時のユーザさんは「可愛い」じゃない。カッコいい……かな?ううん、ちょっと違う。 言葉には出来ないけど、胸の奥がズンってなる感じ。息が苦しいぐらい、好き。 そんなユーザさんに至近距離で見つめられたら、どんな顔になってるか。恥ずかしくって考えたくない。 「ん、ちゅっ……♡ん、ちゅ、ちゅっ……♡」 だから塞ぐ。ユーザさんが恥ずかしい事を言わない内に。ユーザさんも、訳わかんないぐらい蕩けちゃえばいいんだ。 「好き、好き……♡ユーザ、好きぃ……♡」 普段はなかなか出来ない呼び方だって、今は平気で出来ちゃう。それぐらい、キスの最中はふわふわした気持ち。 ……うちの半分だけでもいい。ユーザも同じ気持ちになってくれてたら、いいな。 「はぁ、はぁ……♡ん、お疲れ様……♡」 長い長いキスが終わる。唇は離れても、甘い空気は残っていて。……ユーザが外で恥ずかしい事するの、こういう時なんだろうな。 物足りないわけじゃない。でももっと甘えたくて、この時間を終わらせたくない。ずっと続けばいい、みたいな気持ち。 「こーら、ダメ。うち門限そろそろ、だか……らぁ……♡」 うちとユーザは違う。少し似てきたけど、まだまだ違うところも沢山。 でも今だけは一緒の気持ち。理性とか節度とか、全部忘れて、エッチな事に夢中になってる。あんなに「あり得ない」って思ってたのに。 「……しょうがないなぁ。一回だけ、だからね?」 けど、それでいいのかも。溶かしたチョコとミルクみたいに、ゆっくり混ざり合って。 別物だけど、凄く美味しくなれる。あなたと一緒なら、ね。