眼鏡の奥で伏せられがちだった目元を彩るのも、集中するとちゅっと尖ってしまう唇を染めるのも、中等部のカレンは自分じゃ買うのを躊躇ったデパコスの新作だ。
それを、意外なくらいに上手に使いこなすものだから
「なんだ、お姉ちゃんメイク上手じゃん」
ってこっそり呟いて、その声がなんだか拗ねたみたいに聞こえたことに自分で首をひねったりした。
でもやっぱり、お化粧してること自体に慣れていないのか、ご飯のあとはリップが取れてるし夕方になると鼻の頭がぴかぴかしてることがある。それを指摘すると恥ずかしそうに小さなポーチを取り出して、ササッとお顔を直すのだ。
「変じゃない？」
って、カレンのトレーナーになってくれた頃から変わらない少し落ち着かない上目遣いでこちらの目を見つめる。
「とってもカワイイよ！」
カレンが飛びっきりのカワイイ笑顔で言ってあげると、安心したように笑うの。
「カレンに言ってもらえると自信が持てる気がする」
って、恥ずかしそうな小さな声で言う。そういうところはオシャレになっても全然変わらないから、カレンも油断してたのかも。

「最近可愛くなったね」
って、なんだか変にねっとりした言い方。あんまりカワイクないと思う。
お姉ちゃんにそう声をかけた人は、彼女の1年か2年先輩にあたる男性トレーナーだった。
カレンはマヤちゃんたちと一緒に少し離れたところでそれに気づいて、声をかけるほどの距離じゃないからなんとなく成り行きを見守って──正直に白状するなら、聞き耳を立てていた。
お姉ちゃんが顔を赤くして嬉しそうに笑うのを見て、マヤちゃんが小さく悲鳴をあげる。
「恋バナの気配だっ！」
なんてはしゃぎだしたみんなの声がちょっと遠くに聞こえる。
でもねでもね、カレンはそういうのじゃないと思う。
お姉ちゃんは引っ込み思案で、ちょっと男の人が苦手とまで言っていたのだ。あの人はからだも大きいし、きっとお姉ちゃんは怖いと思っちゃうよ。それにね、お姉ちゃんは──
「カレン？」
みんなにお話していたら声がおっきくなってたみたいで、お姉ちゃんがこっちに気がついてたことにも気づかなかった。

「丁度良かった。今日のトレーニングのことなんだけどね」
カレンのお友だちも男のトレーナーさんも固まって、ちょっと気まずい空気になっているのに、お姉ちゃんは何にも気づいてないみたいに話しかけてくる。普段は大人しいのにそういう空気の読めないところがあって、そこもカワイイってカレンは思うの。
「お姉ちゃん」
呼んだ声は、ちゃんとカワイかったはず。
「カレンもお話があるの。行こ？」
手を繋いでトレーナー室へと向かう。授業はあと少し残っているし、きっとお姉ちゃんにもお仕事があるけどそんなの知らない。

あんまり広くはないトレーナー室に到着したらすぐに鍵をかける。遠くでチャイムが聞こえるけど、お姉ちゃんには聞こえないみたいだった。
「カレン……？」
不安そうにカレンの目をのぞきこんでくるお姉ちゃんの口をカレンの口でふさぐ。
前まではティントの色がお姉ちゃんのワセリンしか塗っていない唇に移らないか心配していたけれど、今はそんな必要なんてない。
「んッ、ちゅ……♡ ぅ…」
いつまで経っても鼻で息ができるようにならないお姉ちゃんのことを扉に押さえつけて、スカートの裾から片手を侵入させる。ストッキングがどうにも邪魔に思えて、爪を立ててひっかく。
「は……、かれん……っ♡ やだ、こんな時間から」
「大丈夫。お姉ちゃんが声出さなかったら誰も来ないよ」
もじもじとすり合わされる柔らかい脚の前にしゃがみこむ。上目遣いで「見せて」ってお願いしたら、お姉ちゃんは素直にスカートをまくりあげた。

そのまま、ストッキングとショーツをひとまとめにして膝の下まで引き下ろす。あんまりお手入れしてないのに薄い陰毛を撫でると、もうちょっと湿っていた。
「お姉ちゃんのエッチ」
いつも通りの口調のつもりだったのに、何だか責めるような響きを帯びる。ちょっと焦って、でもお姉ちゃんには悟らせないようにそのまま指をすべらせた。
「ヒッ………♡」
「おねーちゃん、カレンに集中して？ 声出しちゃダメだよ？」
「ん、ン゛ぅ…っ♡」
言われるがままに口を押さえるけれど、お姉ちゃんに声を抑えるなんてできるはずがない。だってカレンとイクときは大っきい声でイクって言う練習したもんね。
「ん゛ぁっ♡ ぁ、ぁああっ♡ イ、む……♡ ……ふぁ♡ だめっ♡ いく、イクっ！！ イクの♡♡♡ やだ、こえでちゃっ、♡ いくぅぅううっっ♡♡♡♡♡」

がくりと折れたひざを、低いけれどしっかりあるヒールでは支えきれなかったみたい。カレンの体にすがりついてしくしく泣いてるお姉ちゃんの背中を撫でてあげながらお話する。
「おね〜ぇちゃん？ ダメでしょ？ カレン、声出さないでって言ったよね？」
「だってぇ……」
「もう！」
大袈裟に怒ったふりをしてみせると、大きな目にうるうると涙がたまる。
「最近のお姉ちゃん、カレンの言うこと全然聞いてくれないね。メイクだって、カレンに一言も相談してくれなかったし」
化粧品、一緒に選べたらきっと楽しかったのにって思って、やっと自分がヤキモチを焼いていることに気がついた。
お姉ちゃんの何もかも、カレンに任せてくれたらいいのに。そしたら、他の人が軽々しく触れようと思わないくらいカワイイお姉ちゃんにしてあげられるのに。
「……お化粧、似合ってなかった？」
悶々と考えているカレンに、お姉ちゃんがぽつりと訊く。
「カレンが嫌ならもうしない。……カレンに嫌われるならする意味ないの」

マスカラを巻き込んで、濁った色の涙がぼろりと落ちた。
「カレンが、私が隣にいたら恥ずかしいんじゃないかと思って頑張ったんだけど、ダメだったね。ごめんね。カワイくなかったね。
カレンは私のこと好きって言ってくれるけど、他の人は納得してくれるか分からないから、カワイクなりたかったの」
ごめんなさいって言いながら目を擦るから、メイクなんてぐちゃぐちゃで、でもその様子がカレンにはとってもカワイく見える。
「お姉ちゃん」
「うぇ……やだ、顔見ないで。カワイクない……」
「カワイイよ。お姉ちゃんはずっとカワイイ。カワイクなかったのはカレンの方」
「カレンはカワイイよ！ ……ひぐ、やだ、カレン、嫌いにならないで……っ」
大人なのにしゃくりあげて泣いちゃうお姉ちゃんのことを抱きしめながら、これからどうしたらいいんだろうってこっそり頭を抱えた。

カワイクない感情に振り回されるカレンチャンが見たい

振り回してるのに振り回されてるのいい…

成人女性の情緒はもうめちゃくちゃ

凄くいい…

二人ともいい拗らせ方してて身体にいい

大の大人がメイクぐちゃぐちゃにして泣きながら女子中学生に縋りついてるのいい…

倒錯している…

適度にカレトレにアプローチをかけては首筋に虫刺されの跡が増えていくのを見守りて〜〜〜

お姉ちゃんは次の担当バに移れるんですか…？

ねえこれ卒業しても共依存じゃ…

>お姉ちゃんは次の担当バに移れるんですか…？
お姉ちゃんをトレーナーにする子がいくらいてもお姉ちゃんをお姉ちゃんって呼べるのはカレンだけだから

カレンちゃんにグチャグチャにされるお姉ちゃんはカワイイ！！のであろう....

>お姉ちゃんは次の担当バに移れるんですか…？
そもそも移る必要がある？

まぁ順当にカレンチャン卒業と同時に強制退職でカレンチャンに永久就職ルートでしょうね…

こんなにお互いの心を乱せる相手がいるのは幸福なことだよ

お姉ちゃんはカレンチャンの赤ちゃん産もうね

必死にお姉ちゃん口説くけど眼中にもなく目の前でカレンといちゃつかれたい人生だった

なんだい最近は…お姉ちゃんの情緒を破壊するカレンチャンが多いが…

お姉ちゃんを道から外して独り占めするのがカワイくないと思ったらトレーナー業は続けさせるかもしれないけど
トレーナー業を続けさせる事で逆にカレンチャンの事を考えちゃう時間は増えると思う

カレンちゃんに養われるお姉ちゃん

養われてるのが心苦しくて普通に仕事するお姉ちゃん

お姉ちゃんの情緒はもう滅茶苦茶

本当はレンズ大きめの眼鏡にしたらとか色々案があったせいで拗ねちゃうカレンチャンカワイイ