二次元裏@ふたば

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418086 B21/10/02(土)00:29:20No.851822999+ 01:47頃消えます
ウマ娘とは適切な距離感を保たなければならない。
それは俺達トレーナーにとって当たり前の事だが、実践するのは難しい。彼女達は思春期の少女であるが故に頼りになる大人への憧れと恋慕を混同してしまう事がある。或いはトレーナー側が彼女達に入れ込み過ぎて掛かってしまうことも。
そんな過去の失敗例を聞く度に思う──まぁ、うちの担当なら問題は無いだろうと。

「なあヤエノ、トレーナーとウマ娘の恋愛ってどう思う?」
「れっ!? そ、そそそそそれはつまり、わ、わたしとと、と、トレーナーさんが……っ!?」

俺の担当ウマ娘、ヤエノムテキは色恋沙汰のいの字を聞いただけで茹で蛸になってしまうくらいには真面目で耐性の無い子だ。
何気なく聞いた質問に案の定オーバーヒートして机に突っ伏す彼女に苦笑しつつ、ごめん忘れてくれと告げる。こんな彼女だから、距離感を間違えることはないだろう。

「……し、しかし……望まれているのであれば……私は……」

机に突っ伏している彼女の呟きの内容は聞き取れないが、ちょっと悪い事をしてしまったなと反省する。冷たいスポーツドリンクでも用意するとしよう。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/10/02(土)00:29:49No.851823142+
そんなやり取りがあってから数日後。
ヤエノがアルダンやチヨノオーに何やら密談を持ち掛けているのを見かけたり、不自然に頬っぺたが赤くなっていたりするのを見かける機会が増えてきた。
もしや風邪でも引いてしまったのだろうか、アルダンも身体が弱いというし──なんて少し不安になってきた頃に。

「はぁっ!!」

トレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで、ヤエノが入室してきた。何だ何だと困惑する俺を前に、彼女は力強く歩み寄って。

「いざ……尋常に!」

懐から差し出したるは、一枚の便箋。綺麗な桜色で、ハート型のシールで封がされている。

「……わかった」

その意図は読めないがとりあえず便箋を受け取り、開封する。穴が空きそうな視線を感じながら、恐らくは彼女が書いたであろう直筆の文章に目を通して──
221/10/02(土)00:30:16No.851823283+
「……ふむ」

──読めない。
字が不揃いというか、まるで幼児が書いたように崩れている。内容が解読できない。
しかし、彼女がここまで気合いを入れて渡してきた文を「ごめん、読めない」などと言って突き返す事は許されまい。
であれば、推測するべきはヤエノの意図だ。
尋常に、という言葉。そして緊張した様子のヤエノ。普段の彼女ならば使わないであろうハートマークの封。解読困難に文字列。
そこから推測される、この便箋に彼女が込めた意図とは。

「……なるほど……」

間違いない──つまるところ、これはヤエノからの謎掛けだ。
彼女が真っ向から挑んで来た知恵勝負。
ここ数日で彼女がアルダンやチヨノオーに相談をしていたのはこの問題作りの為なのだろう。
321/10/02(土)00:31:17No.851823589+
じっくり何度も読み直す。
判別困難な文字列に、桜色の封筒とハートマーク。これらの共通点を考え抜く。
そして、俺がこの場で出せる最適な答えは。

「……ヤエノ。すまないが、この文章に答えることはできない」
「!…………そう、ですか…………」
「だけど、それは今の話だ。君が卒業する頃には必ず……必ず、君が満足する答えを返してみせる……それでも、いいかな?」

情けない事に、今この場では分からないため一旦保留にさせてもらう。頭を下げ、教え子に頼み込む。

「っ!!……は、はいっ! ふ、ふ……ふふ……! 不束者ですが、何卒宜しくお願い致します!」

だけどヤエノは認めてくれた。胸を撫で下ろし、ホッと一息吐く。
しかし問題に真剣に取り組むだけで、ここまで喜んで貰えるとは。ブンブンと根本から尻尾を回転させるように振り回すヤエノが微笑ましくて、つい口元が緩んでしまう。
これも俺と彼女が適切な距離感を保てているからに違いないな。
421/10/02(土)00:31:38No.851823686そうだねx13
ヤエノムテキならこんな感じで適切な距離感保てると思うんだよね
521/10/02(土)00:31:58No.851823802そうだねx20
クソボケがーーーッ!!
621/10/02(土)00:33:26No.851824294+
いれ込んでしまっているようです
落ち着きを取り戻せると良いのですが…
721/10/02(土)00:33:51No.851824442+
トレセン学園にクソボケを放てっ!
821/10/02(土)00:34:48No.851824748+
余りにも適切過ぎる答えすぎるんだよクソボケが!
921/10/02(土)00:34:57No.851824787+
ヤエノムテキのヒミツ
実は動揺すると幼児のような字しか書けなくなる
1021/10/02(土)00:35:32No.851824956+
素直に読めないなら読めないと回答しろや!!
1121/10/02(土)00:36:05No.851825105+
🌸💢
1221/10/02(土)00:36:34No.851825251+
>素直に読めないなら読めないと回答しろや!!
気持ちを込めて頑張って書いた文字に対して言うのは失礼だろ!
…読めないけど
1321/10/02(土)00:37:43No.851825635そうだねx2
>実は動揺すると幼児のような字しか書けなくなる
幼児のような字どころか
字の体裁を保ててねえじゃねえか
1421/10/02(土)00:39:14No.851826071+
卒業までには解読してみせる!
1521/10/02(土)00:41:39No.851826803+
>桜色の封筒とハートマーク。これらの共通点を考え抜く。
普通ならこの時点である程度察することが出来るが中央のトレーナーは頭が一流であるが故に深読みしてしまうのだ
1621/10/02(土)00:43:09No.851827243+
実際に距離を保てているから許すが…
1721/10/02(土)00:46:01No.851828190そうだねx1
「つ、次の休みに! あ! あ、ああああ、ぃ……びきなどは如何でしょうかっ!?」

ある日のトレーニング後のこと。
何やらやたら緊張し、拳を構えるヤエノにそんな風に啖呵を切られた。
『あびき』とは、一体何だろうかと一瞬悩み──即座に答えが出せた。

「わかった! 次の日曜日、校門前に10時に集合でいいかな?」
「!!……は、はい! 何卒宜しくお願い致しますっ!!」

あびきとは──即ち粗挽きと言おうとして噛んだに違いない。恐らく粗挽きハンバーグが食べたいのだろう。そしてご一緒に、という事は一緒に手作りしないか、という事だ。であれば、食材探しから一緒にお手がけして探した方がいいだろう。

「作るのは俺の部屋でいいかな?」
「つ、つくっ!? と、トレーナーさんの部屋!?天……っ!!!??〜〜〜〜っ!! わか、わかりましたっ! 覚悟を決めます!!!」

ハンバーグ一つに随分な気合の入れようだな、と思いつつ。彼女が来ても大丈夫なように部屋を整理しておかないとな、と部屋の現状を思い返して苦笑した。
1821/10/02(土)00:46:20No.851828296+
最近不足してた鴨葱成分を摂取できてありがたい…
1921/10/02(土)00:47:25No.851828607+
少々掛かり気味ではないでしょうか
2021/10/02(土)00:48:47No.851829058+
クソボケ回答以前に産駒作りと勘違いするのは掛かり過ぎだ!
2121/10/02(土)00:50:25No.851829527+
逢引じゃなくてデートって誘えば誤解は生まれなかったッス
2221/10/02(土)00:51:35No.851829894+
あのヒミツはいいネタになると思ってたよ
2321/10/02(土)00:51:55No.851829993そうだねx3
>素直に読めないなら読めないと回答しろや!!
このトレーナーだと「君の口から直接聞きたい」とか言っちゃいそうでな
2421/10/02(土)00:55:19No.851831010+
チヨ!説明せい!
2521/10/02(土)00:56:02No.851831215+
クソボケが…イチャイチャしろ…
2621/10/02(土)00:57:44No.851831681+
ちゃんと言葉で伝えないからこうなる
2721/10/02(土)01:00:20No.851832380そうだねx6
>このトレーナーだと「君の口から直接聞きたい」とか言っちゃいそうでな
いい…
2821/10/02(土)01:01:00No.851832579+
ラブソングを和風に言い換えてしまうヤエノがデートなんて
カタカナ単語言えるわけない
2921/10/02(土)01:01:17No.851832653+
恋愛クソザコがクソボケにがっちりフィットしててこれは…
3021/10/02(土)01:02:53No.851833061そうだねx1
そして迎えた当日。
普段よりも遥かに気合の入った化粧をしているヤエノに新鮮な気持ちを抱きつつ、彼女と一緒にハンバーグの食材探しに商店街へ。

「おう学園のトレーナーさん! 今日は若奥様もご一緒かい!?」
「は、はいっ!! い、未だ未熟者ですがぁ……っ!」

その後、肉屋の店主からの揶揄いにテンパって素っ頓狂な答えを返すヤエノに微笑ましいものを感じながら俺の部屋に戻り、二人でハンバーグ作り。いざ実食をしたハンバーグはとても美味しかった。

「うん。これなら毎日食べたいなぁ」
「はぅ……!! は、はい! しょ、精進しま……っ!!」

感想を伝えただけなのだが、ヤエノは目を回して気絶してしまった。緊張の糸が切れたというか、オーバーヒートした感じというか。まさかここまで粗挽きハンバーグへの熱意があったとは。
しかしこのままだと寮の門限を過ぎてしまうかも──と念の為に確認を取ったところ、何と外泊申請を出していたらしい。
「初心なようで以外とやるねぇ」とは寮長のお言葉だが、ヤエノは最初からしっかりとした子だよ、と返しておいた。
3121/10/02(土)01:05:00No.851833600+
外堀も埋まった
3221/10/02(土)01:06:05No.851833854+
ただ抱けーー!!!と言うのではないなこれは
3321/10/02(土)01:09:40No.851834704+
キザったらしい事を素で言うんじゃねぇ
3421/10/02(土)01:10:35No.851834924+
ヤエちゃんは毎回沸騰して目を回して終わりなんだけど
外野からは毎回抱かれてると思われて外堀が埋まっていく
3521/10/02(土)01:11:18No.851835085+
ヤエノ文書たすかる
毎日でも摂取したい
3621/10/02(土)01:12:14No.851835319+
初夜のヤエちゃんは恥ずかしさと快楽で呂律回ってなさそう
3721/10/02(土)01:13:07No.851835526+
ヤエノならもう10回くらい寝た(気絶した)よ
3821/10/02(土)01:15:01No.851835982+
どうするんだよ!寝るのか!いっしょに寝るのか!?
3921/10/02(土)01:16:25No.851836323そうだねx3
そんな風にちょっと様子がおかしくも、レースでは絶好調の結果を残し続けるヤエノと共に過ごす日々。
特別なことをしなくても適切な距離感を維持できているのは彼女が真面目だからに他ならない。
先輩方はわざとだらしない男のフリをしただとか色々やっていたらしいが、特別な事など何も必要は無かったのだ。

「……あ、でも……」

ふと、ウマ娘とトレーナーとして適切な距離感を保てている先輩の中に、一人だけ特別な方法を取っている人がいる事を思い出した。
その人は何と、自分のチームに所属しているウマ娘にセクハラ──紛いのことをやっているらしい。
何でも不意打ちでトモを撫で回すように触るのだとか。それで大体のコンディションや状態を把握できるらしい。

「試しに俺もやってみるか?……なんてな」

一瞬だけ浮かんだ考えをすぐに頭を振って消す。俺には触っただけで状態を把握する技能なんて無いし、下手な事をして距離感が壊れてしまう事は避けたい。
……でも、俺はこの時気が付いていなかったのだ。
そもそも、そんな事を考えること自体が間違いだと。頭の片隅にこんな考えが少しでもあるから、やらかしてしまうのだ、と。
4021/10/02(土)01:21:47No.851837478+
それは、ヤエノの卒業を間近に控えた頃のとあるG1レースで。
オグリキャップを始めとするライバル達へのリベンジを見事に果たし、引退レースで有終の美を飾ったヤエノムテキ。
そんな彼女に──俺は、土下座をしていた。

「……必ず! 必ず、責任は取る!」

何をやらかしたかと言うと──セクハラをしてしまったのだ!
ついに迎えたこの日に、結果を残したヤエノに感極まった俺は大泣きして。
大歓声の中で勝鬨を上げるヤエノに、俺も祝福と今までの礼を返すべく走って駆け寄って。
そして、先走り過ぎて見事に足を絡ませ──

「あっ」
「……っ!」

大観衆が見守る中で、俺はヤエノに飛び付き、抱き締めるような体勢で──彼女に、キスをしてしまった!
4121/10/02(土)01:21:58No.851837509+
書き込みをした人によって削除されました
4221/10/02(土)01:22:42No.851837686そうだねx5
す………素晴らしいです!!!!
4321/10/02(土)01:24:15No.851838010+
ウワーッ!?急展開!
4421/10/02(土)01:26:43No.851838560+
クソボ…ええ!?
4521/10/02(土)01:27:40No.851838729+
ラッキースケベに入るのかなこれは…
4621/10/02(土)01:28:43No.851838950+
思春期の少女にとってこれは大層ショックに違いない。俺は即座に頭を下げて、彼女に謝罪をした。

「トレーナーバッジも返上する!」
「こ、こここことぶきっ!?」

ヤエノは狼狽えて舌も覚束ないようだ。
普段ならこのままテンパって走り去るのがいつものパターンだが、今はレースが終わったばかりだし、周りにオグリやタマモクロスがいる為そういうわけにもいかないのだろう。
ヤエノは目を閉じて、そして何度か深呼吸を繰り返すと、冷静さを取り戻した。

「……わかりました。トレーナーさん」

ヤエノが俺の前で正座をし、目線を合わせる。

「目指すべき頂に至り、同じ志を抱いた貴方の言葉。受け取る以外の選択が有りますでしょうか?」
「ヤエノ……!」
4721/10/02(土)01:29:50No.851839171+
ここまでくるともうアンジャッシュのコントだよ!
4821/10/02(土)01:32:03No.851839608+
ヤエちゃんがトレーナーを引き止めなかったのでトレーナーさんは責任を取ってトレセンを辞めてしまいましたヤエちゃんのせいですあ〜あ
4921/10/02(土)01:33:17No.851839856+
「改めて。これからも──不束者ですが、何卒宜しくお願い致します」

芝生の上で三つ指突いて頭を下げるヤエノ。そんな彼女の返答に、会場が更に沸き立つ。
それは彼女の懐の深さに対する賞賛に違いない。彼女と仲の良いアルダンとチヨノオーも手を合わせて笑って──いや、それを通り越して涙ぐんでいる。

「……あ、あの、ですね。それで、その……この会場ですが、私の両親も来ていまして……!」
「ああ、わかってる。ちゃんと伝えないとな」
「はい……!」

そしてヤエノは過去最高のウイニングライブを披露して、最高の引退式を終えたのだった。
5021/10/02(土)01:37:16No.851840648+
ヤエノと共に控室で彼女の両親を待つ。
何やらソワソワと落ち着かない様子だが──これが最後になるかもしれないので、一つ聞いておきたかった。

「……なあ、ヤエノ」
「はい」
「あの便箋だけど、さ」
「……はい!」
「答えは……君の口から教えて貰っても、いいかな?」

そう。
不甲斐ない事に、俺は今に至るまであの文章の解読に失敗していた。必ず答えを出すと言っておきながら結局解読を聞いてしまう自分に恥ずかしくなり、頬が熱くなるのを感じる。

「ええ。それは──」

ヤエノが口を開き、紡ぐ答えは──
5121/10/02(土)01:38:55No.851841051そうだねx1
みたいな感じで卒業までは適切な距離感を保てると思うんだよね

>このトレーナーだと「君の口から直接聞きたい」とか言っちゃいそうでな
ハンバーグまでしか考えてなかったけどこのレスで多分こんな引退式になるだろうなって思ったんだよね
5221/10/02(土)01:39:21No.851841141+
>このトレーナーだと「君の口から直接聞きたい」とか言っちゃいそうでな
ウワーッ!採用されてる!
5321/10/02(土)01:39:55No.851841242+
このトレーナーできる男みたいな雰囲気出してるけどとんでもねーポンコツだな!
5421/10/02(土)01:40:13No.851841309+
ウワーッ!結納じゃねーか!
5521/10/02(土)01:40:15No.851841316+
抱けー!!
5621/10/02(土)01:41:28No.851841598+
適切な距離感…適切な距離感ってなんだ…
5721/10/02(土)01:42:35No.851841829+
G1レース勝利で引退してるから適切
5821/10/02(土)01:44:30No.851842266+
G1の大舞台でこんな事したら全国に放映されてしまう


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