【マルゼンスキーのキャラ崩壊の恐れあり】 「またまた来ました!バブリーランド!」 「もう!スペちゃん、あんまり騒がないの!」 「あっ、ごめんなさい……」 「騒ぐなら、ディスコでね♪」 「はいっ!」 波乱の初来訪以降も、スペシャルウィークは何度かバブリーランドに足を運んだ。 ただ一人で来る勇気は無いのでマルゼンスキーのお出かけについていく形である。 新調した水着もいたく気に入って、学園内で着用するのはもちろん、レースもそれで出場して勝ってしまうというのだから困りものである。 バブリーランドも、広いプールにお店やブースがいっぱい並んでいる場所、程度の認識しかないのだろう。 それで今日も今日とて楽しんだ、その後のこと。 「ふぅー、楽しかっ……あ、あれ!?マルゼンさん!?どこですかーっ!」 スペシャルウィークは、この年にして迷子になった。 「あわわわわ…どうしよう……」 数回既に来ているとはいえ、先輩の先導ありきだった彼女にまだここの土地勘は無い。 探しに行きたい気持ちもあるが下手に動けば入れ違う可能性も十分考えられる。 どうしようも無くなって、迷子センターにでも駆け込もうと思った時だった。 「おっ、スペシャルウィークちゃん?」 「ほんとだ。どうしたの、そんなキョロキョロして、迷子?」 「えっと、あなたたちは……」 金髪の二人組、明らかにチャラチャラした感じが出ている二人組だった。 「マルゼンさんから聞いてるよ。カワイイ後輩だって」 「あっ、マルゼンさんのお友達さんですか!」 「そうそ、よく”遊んで”もらってるよ」 聞けばこの二人はマルゼンスキーの知り合いだという。 その事実と、思ったよりも気さくな反応に警戒が緩んでしまった。 ……言葉の裏に隠された実態を察することはできずに。 「スペちゃんは今日一人?」 「いえ、マルゼンさんと…」 「え、マジ?はぐれたの?」 「はい……」 ちょっと待ってといいながら少し離れて二人で相談する。 (マルゼンさんって後輩置いていく人か?) (絶対違う。けど……) (ああ……) 二人の脳は全く同じ光景を浮かべていた。 薄暗い廊下を、見知らぬ男と連れ添って歩く姿。 外れててほしい予感ではあったが、あの後の彼女のハマりっぷりからはどうにも否定しにくいところがあった。 (すっかりビッチ、ってことかな……) (まぁ俺たちが原因なんだけど) 「あ、あのぉ~……」 心配した彼女が寄ってきたので慌てて話を切り上げる。 「ああ、いや、よければ一緒に探そうか?」 「ほんとですかっ!?あ、いや、助かりますけど……」 「うん、友達の後輩なら放っておけないっしょ、な」 「……あ、ありがとうございますっ!」 小さなポニーテールを大きく揺らしてお辞儀をする彼女。 その無防備に空けられた背中を見て、彼らが唾を飲んだことには気づかなかった。 「おったー?」 「おらん……」 「どこ行っちゃったんですかぁ~……」 30分ほど探し回っても影も形も無く、無意味に駆けずり回った疲労感だけが後に残る。 不安げな彼女を心配したのか二人はこんな提案をした。 「ちょっと休もうか、飲み物でも買ってさ」 「んーっ…!ティラミスおいし~い!」 入った喫茶店ではたまたま、そしてまたまたティラミスのフェアがやっていた。 軽はずみに奢ってあげる、なんて言った彼らが運ばれてきた山盛ティラミスに絶句したのは言うまでもないだろう。 「……毎度ティラミス食ってんな俺ら」 「これ財布足りるかな……」 「おかわり取ってきます!」 「「うっそぉ……」」 「どこ行ったんでしょうマルゼンさん…」 その後も捜索を続けること数十分、彼女の姿は結局見つからなかった。 (これやっぱり後輩ほっぽってヤリ部屋?) (だよな……全体探したし、あのボディ見間違えは無いし……) 割と本気で見つからなかったことに落ち込む二人。 それは彼女も同様で。 「どうしましょう…どうしましょう……」 ただ、そんなふうに不安がる彼女を見ていると、むらむらと嗜虐欲が湧いてしまうのは悲しい男の性である。 (……あの人が後輩ほっといて楽しむって言うなら) (……その大切な後輩が食べられちゃっても文句言えないよな?) 「なーなースペちゃん。俺ら最後の心当たりあるんだけど……」 「本当ですか!」 「……ただ、そこはちょっと、ね」 「行きます!早くマルゼンさんと合流しないと!」 そうと決めれば、使えるものは活用するのが彼らのやり口である。 そんな事情は梅雨知らず、少女はふんすと鼻息荒く彼らが仕掛けた罠に勇み足で踏み込んでいくのだった。 連れてこられたのはメインプール裏手にある薄暗い一角。 水着姿で心も体も開け放った男女がもつれ込み、一夜の夢を見るための設備である。 防音対策も相応の物を準備してはいるが、ウマ娘の聴覚にも対応すべきか否かの協議がされているとの噂である。 「こんな場所があったんですね……」 「来たことない?」 「はい。休憩スペースですか?」 「……まぁ、そんなとこ。多分このどこかに居ると思うんだよね」 嘘偽りない本心と見せたくない本意を混ぜながら言葉巧みに彼女を誘う。 奥深くまで伸びる廊下はどことなく不気味さをたたえ、無垢な少女を飲み込まんと待ち構える怪物の口にも見えるようである。 「えっと、じゃあ一部屋ずつ調べるって……?」 「いやいや、ここプライベートルーム。閉館のお知らせ以外で開けちゃいけないのよ」 「……じゃあどうやって?」 その疑問に答えるように、片割れが廊下の入り口にもたれかかった。 「俺がここで待ってるよ。出てきたら引き留めてそれを知らせに行けばいいだろ?」 「み、見ず知らずの人にそこまで任せられません!私も……」 そうやって意気込む彼女の手を引いて、もう片割れがやや強引に奥へと引き込む。 「女の子に立ちっぱなんかさせられないって、俺たちは奥で待ってようぜ」 「で、でも……」 「いーっていーって、今日一日スペちゃんと遊べて楽しかったしさ。恩返しってことで」 「……ううっ、つ、疲れたらいつでも言って下さいね!代わりますから!」 「おう。じゃ、ごゆっくり~」 手を引かれて、純朴少女が引きずり込まれていくのを手を振って見送る。 ここから出る頃には、あのぴちぴちの肢体に強烈な経験を刻んでいるであろうことを確信しながら、暇をつぶすために売店に向かった。。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 部屋の中は間接照明が淡く照らし、”そういう”ムードを湛えていた。 「わぁ……綺麗な部屋」 「雰囲気あるでしょ」 きょろきょろと辺りを見回す彼女をよそに、男は見知った風にベッドに腰掛ける。 道中で買ったドリンクを彼女にも手渡し、隣をぽんぽんと叩いて催促した。 「まぁ俺らは待ってるだけだし、お話でも聞かせてよ」 「そうですね!」 「───えっ、じゃあもうそれっきりなんですか!」 「そうなんだよ……向こうで上手くやってればいいんだけど……」 元々彼女の好奇心が強いことと、歴戦のしゃべりテクのおかげで話はよく弾んだ。 今はシメの失恋話(嘘)を聞かせているところである。 設定は、幼馴染の夢を応援するために、彼女に想いを伝えずにその海外行きを見守った、というものである。 少々芝居が過ぎる気もするが、真偽に意味は無く、彼女の心を揺さぶれればそれでいい。 「……スペちゃんってさ、あの子にちょっと似てるんだわ。よく笑うところとか」 「そうだったんですか?」 「うん、よく食べてよく笑って……だからかな、何となく優しくしたくなる、っていうか……」 「……そ、それは」 「あ、ごめん……変な話したわ。空気、悪くしちゃったな……」 大げさに浮かべた悲痛の表情に、彼女もつられて曇りだす。 そのままそそくさと立ち上がり、飲み物の補充をするフリで部屋を出ようとし、 その腕を、白い手が掴んだ。 まるでルアーに喰いつく魚のように。 「スペちゃん?」 「わ、私は、まだ恋とかは分かりません。でも、お兄さんが優しい人なのは分かります」 たどたどしく、顔を真っ赤にしながらなんとか言葉を紡ぎ出す。 彼の迫真の演技が効いたのか、それとも彼女が初心すぎただけなのか、 「だ、だから、恩返しも兼ねて……い、今だけ、彼女さんの代わり、だと思ってくれていいですよ!」 密室に二人きり。妙な雰囲気と誘われた同情も相まって、普段ならしないだろう提案を引き出されたのだった。 「隣、いい?」 「ど、どうぞ……」 先ほどよりも近い位置に腰を掛ける。 場所を寄せ肌が触れる。 慣れぬ人肌に強張る肩を彼が優しく抱いた。 彼女にしてみれば、優しくしてくれた彼の慰めになれば、なんて甘い考えでしかない。 その甘さを存分に啜られようとしているとも知らずに。 「あ、でも私恋人らしいこととか分からなくて……」 「大丈夫、ゆっくり知って行けばいいから」 「や、やっぱり、キスとか……」 「それは、本物の時に取っておこうか」 その一言で、幾分か安心したように息を吐く。 それに構わず男はスキンシップを進めていった。 「こうやって人肌が恋しいときに安心できるんだよ」 「は、はい。なんとなく、分かるような……」 手首を掴み、もう片手がボディラインを這う。 際どい部位は避けつつも、巧みな手付きでまだ硬さの残る体をほぐしていく。 しばらく続けていれば徐々に他人の肌にも慣れ、緊張も和らぐ。 口こそ付けないものの、鼻筋を添わせるように顔を近づけお互いを堪能する。 匂いを、体温を、脈拍を感じ、ゆるゆると理性が融和していく。 もう既に彼女の頭に、どうしてこの行為をしているかの理由は留めていなかった。 「……ちょっといい?」 「……は、はい」 おもむろに二人の距離が空き、夢心地の逢瀬に水が差す。 やや不満げな彼女をよそに据え付けのキャビネットを漁って居る。 しばらくごそごそしていると、ふと焦げるような匂いがすぅ、と漂ってきた。 「お香、ですか?甘くて、いい匂い……」 「ここ、こういうのも置いてあるんだよね。もうちょい盛り上がるかなって」 「いいと思います……ん……」 細い棒の先から煙が掠れて消えていき、その成分を部屋に充満させていく。 甘い香りは鼻腔をくすぐり、とりわけウマ娘の嗅覚にはよく響いた。 (ふわふわ……ほわほわして……いいきぶん……) 温かい体温に包まれて、ほのかな香りに酩酊して、曖昧なまま幸福に沈んでいく。 ふと、体に違和感を感じて目を開ける。 言いようのない感覚に太ももをすり合わせて抵抗するが、止まるどころかじくじくと体を蝕んでいく。 何かを猛烈に我慢させられているような感じが拭えなくて、けれどもどうすればいいかも分からなくなって、 とにかく何にでも縋りたい気分が膨れ上がっていく。 「……どったの、スペちゃん」 「あ……いや、なんか体が……へんで……」 「変って、どの辺が?」 「わ、わかんない……」 頼みの綱を見出して縋りつく。原因も対処も分からない。 彼が何とかしてはくれないかと、目一杯溜まった涙が訴えかける。 その手引きをした張本人とも知らずに。 「ここは」 「ち、ちがいます……」 「ここ」 ふるふると首が振られる。 「じゃあ、」 ふっと彼の手が体を離れて、 「ここ」 そっと、下腹部に触れた。 「っ……!そ、そこっ……だ、だめっ、なで、っ……!」 臍の下。腹筋に守られているはずのその奥に撫でられる感触が貫通する。 確かな満足感と、その程度では足りないと飢餓感がこみ上げて、 良くなるどころか頭の中が更にパニックを起こす。 「あ、っくぅ……やだっ、おかしく……っ、な……」 一撫でするたびに気が狂いそうなほど”何か”を求めてしまう。 空腹ではない。食物以外に腹に収まるものを彼女はまだ知らない。 「いじわる……しないでぇ……っ……」 涙が堰を切り、頬を熱く伝う。 流石に潮時を感じて男は耳元で囁いた。 「何とかできるけど、ちょっと問題があってね?」 「な、なにぃ……ですかぁ……」 「それをしていいのは、ちゃんと恋人同士だけなんだ。キスよりも、もっと大事なこと」 「っ……な、なんで、なんでぇ……」 「それは、よく知らないけど……」 いけしゃあしゃあと、都合のよい知識を吹き込んでいく。 胎の疼きに気を取られた彼女には、その真偽を定められようもない。 「俺、スペちゃんのこと結構好きなんだ」 「ふぇ!?」 「可愛いし、優しいし、今だって俺を慰めようとしてくれてたもんね?」 「そ、それは……」 直球ストレート。 バッターボックスに理性の姿は無い。 「わ、……」 「私も……好き、です……」 「じゃあ、恋人ってことで」 絡みあうような口づけが、陥落の合図だった。 手際よく彼女を寝かせ、水着をずらして局部を露出させる。 恋人同士の免罪符が羞恥心を封じ込め、初めて見る男の臨戦態勢も、今の彼女にとっては治療器具程度の重要度でしかない。 「ど、どうすれば……」 相も変わらず疼き続ける胎を抱える彼女を前に、男は何やら性器に取り付けた。 「いい?今から一番深いところでつながるから。合図に合わせて呼吸してね」 「は、はい……」 いきり立つ一物の先端がが、ぷに、と柔らかな丘を押し上げた。 「吸って」 「すー……」 「吐いて……」 「ふー……」 「吸って……」 「すぅ……」 「吐い、て」 「ふー、う、うぐぅっ……」 ぶち、と何かが裂けるような感触を抜け、熱い筋が腹に一本通っていく。 「あ、う……❤」 その先端が一番奥に触れた時、先ほどより強く満たされるのを感じた。 「ふぅ……どう、ナカの感じ」 「ま、まだ、よく、」 「んじゃ、ゆっくりやりますかね」 ゆっくりと腰を引いていく。 「あっ、ぬけちゃ……」 折角届いたのに、それがみるみる遠ざかる。 どうしようもなく手を伸ばしても止められなくて、また哀しみがいっぱいに広がって…… 「よっ、と」 「ぅんっ❤」 一突きで霧散した。 抜けて、届いての繰り返しが脳に直接響く。 真っ赤な熱が胎内をこすり上げ、若干の息苦しさと未知の気持ちよさが波のように襲い来る。 「あっ、う”、やぁ……❤」 思考を全て裂いて快楽の享受に回し、少しでも彼を求めて腕を伸ばす。 「よしよし、甘えん坊さん」 「うぅっ……❤」 腰の動きは止まないまま、ぽんぽんと頭を叩かれる。 どうしてかそれがたまらなく嬉しい。彼が愛おしい。 無意識に手はシーツを握りしめ、何に耐えているのかも分からないまま体に力が入る。 それは当然お腹にも伝わって、自然と肉棒を絞り上げる形になっていた。 (あつい、くるしい、しあわせ) 脳はとっくにキャパを超え、無心で与えられる感覚を貪るだけの雌と化す。 それは熱で狂った機械のように、苦痛も快楽も区別しない。 いつしか手はシーツから男の背中に回って、四肢で彼をこれでもかと抱き寄せていた。 そして、彼の動きが止まった。 (あ、) 間髪入れずに臍の奥底で熱が爆ぜ、ぴったりと渇望を満たしていく。 「あ、あぁああぁっ❤❤❤❤❤❤❤❤❤」 満ちる、満たされる、足りないものが全て補われていく。 感じたことのない充足感。ターフを駆ける時とは全く違う快感。 「うう……❤❤……うぁ……❤❤❤」 獣のような声を上げ、がむしゃらに彼に抱き着き、全身でその歓びを叫ぶ。 胎内で彼が脈動し、何かを注いでいるらしいことは辛うじて理解できたが、それが何なのかは検討も付けられない。 だんだんと静かになっていく脈動と、彼の体重を感じながら、ゆっくりと意識を手放した。 「ん……あれ、ここは……」 ズキズキと下腹部の痛みが意識を引き戻す。 ぼんやりした頭で何があったかを思い出そうとしていると、視界の外から見覚えのない男がのぞき込んできた。 「あ、起きた」 「うひゃぁぁぁ!?だ、誰!……って」 よく見て思い返せば、あの時入り口で待ってもらっていた方の男だった。 それに釣られて今までの痴態が思い出される。 「あ、あわわわ……」 勢い任せとはいえ、とんでもないことをしたと今更後悔が押し寄せる。 なし崩し的に恋人の契りを交わしてしまったような気もするし、 そもそもあんな勢いでしていいことだったのかも怪しい。 彼に義理を立てるべきかと、当の本人を探して部屋を見回した。 「あ、あれ、もう一人の方は……」 「あいつ?トイレ行ったよ」 「そうですか……って、そうです!マルゼンさん!見つかったんですか!?」 「うん、疲れたから先に上がってるって。ロビーの仮眠室で寝てるよ」 「は、早く行かなくちゃ……わ、わっとと……」 慌てて立ち上がり部屋から出ようとする。 しかし股がひりひり痛んで情けない歩き方しかできない。 ひょこひょこと歩く彼女、その腕を男が引き寄せる。 勢いよくベットに受け止められた彼女に彼が詰め寄った。 「あ、あれ、え……?」 「ちょいちょい、連れないじゃん」 「な、なんのことですか!?」 「アイツとはして俺はお預けって酷いじゃんって話」 「あ、あれは何かの間違いですっ!」 彼から逃れようと背を向けて這いずる。痛みと倦怠感で思うように体が動かない。 その様子は彼からすれば、美味しそうな尻がふりふりと誘っているようにしか見えないが。 「まあまあ、俺とも間違い犯そうよ、ね」 局部だけをぺらりと捲り、まだ濡れの残る穴に二本目が撃ち込まれた。 「あっ!?や、やめ、ぇん……っ❤」 腰を振るたびフリルも振れる。 結合部からは粘膜の負担を和らげるための蜜が漏れだし、スムーズな抽挿がより強く胎を抉りこむ。 「あっ❤だめっ❤こういうのはっ❤恋人だけと❤ってぇ❤」 「じゃあ俺ともなろうよ。恋人」 「そ、そんなの……❤」 「じゃあやめ」 「へ……?」 あっけなく肉棒が引き抜かれ、急に放り出された体がベッドのスプリングを軋ませた。 太い杭が出入りしていた穴は元に戻り切らずぽっかり空いて、それは今の彼女の心を表しているようでもあった。 (あ、あれ……これで、いいんだよね……?) 理性が本能を納得で捻じ伏せようとする。 もう貞操はズタボロではあるが、最後の一線は守ったのだと、何度も何度も説き伏せる。 説き伏せても、尚、 「ぅ、うぅ~~~~っ……」 「どしたの」 素っ頓狂な声が上がり、そちらを振り向いた。 尻だけを突き出してマットレスに沈んでいた彼女が、その尻たぶを両手で割開いて見せつけている。 「さ、最後までしてください……!」 「いいの、俺たち恋人じゃないんでしょ?」 「い、今だけです!今だけ恋人でいいですから!」 「……じゃ、遠慮なく」 にやりと笑った男の手が再び尻をわしづかみ、期待にひくつく穴に一物がねじ込まれた。 ~~~~~~~~~~~~~~ 「~♪……あっ、スペちゃん、こっちこっち」 「マルゼンさぁん~……」 ロビーで読書をしていたマルゼンスキーが、ひょこひょこ歩くスペシャルウィークに気づいて顔を上げる。 その有様と、後ろからのこのこ付いていた二人組を見て大体を察した。 「……今日は、大人の階段を昇っちゃったのね」 「な、なんでそれを……」 「ナイショ、ね♪」 スペシャルウィークには口元に指をあてて見せ、遠くの彼らにはウインクを飛ばす。 それを見て、呆れた様子で彼らは帰って行った。 帰り路。 愛用のカウンタックが夜の帳を引き裂いていく。 「どう、気持ちよかった?」 「ふぇ!?な、何のことで……」 唐突に投げかけられた質問に、後ろめたさから答えをぼかす。 「いいのよ。私も経験したことあるから」 「えっ、マルゼンさんもですか!?」 「……まさか、あの子たちに後輩まで食べられるとは思ってなかったケド」 自分のことは棚に上げ、後輩に毒牙を掛けた彼らに思いをはせる。 「や、やっぱり、イケナイこと、なんでしょうか……」 「ううん、そんなことないわ」 自分のしたこと。 道徳的に褒められたものではないそれを、彼女はこともなげに肯定した。 「で、でも、あれって、赤ちゃんが……」 「チン……おちんちんに何かつけてたでしょ?あれがあれば大丈夫よ」 「そ、そうなんですか……?」 「そうよ。だから、ただキモチよくなるための行為なの」 「気持ち、よく……」 ごくりと唾を飲む。あれを、ただ何も考えずに貪っていい。 邪な期待が心に巣食っていく。 「恋人だなんてまだるっこしいしがらみもナシ!本命が出来たら、またその時考えればいいわ」 「……は、はい」 俯いてしまった彼女を横目で見て、アクセルを踏み込む。 (火遊び、覚えちゃったわね❤) 次の休日のスケジュールを勘定しながら彼女もまた、期待の炎を胎に灯していた。