「俺の女性経験とな」
「そう！お姉さんとして後輩ちゃん達に遅れを取る気はないもの！」
「そういえばそういうの流行ってるって聞いたなー…」
興味本位で人の色恋沙汰を掘り起こそうとは浮ついていて嘆かわしい、と堅い顔で話していた副会長。
多感な女の子のすることですし、と困り顔だったたづなさん。
自分の人生の女っ気の無さ白状させられて終わったわ！とキレてたトレーナー仲間。
晴れて禁術指定されたあの件と同様、意図せず前情報は仕入れてあった。
しかし自称・流行りのアンテナが敏感なナウい女たる彼女がまたも珍しく流行りに乗ってくるとは。
いつもはだいたい何故か古い電波をキャッチしているというのになぜこういう時は正常機能するのか。
「で、実際どうなの？お姉さんに話してみてちょ」
「んー…一人だけなら」
「えっ。…ど、どんな人だったの？」
一瞬ビクッとなった彼女の追加の問いにスラスラと答えていく。
「明るくていつもキレイで、後輩やみんなに好かれて頼られてて
　楽しそうに凄まじいスピードで走る姿はまさにスーパーカー…って痛い痛い！」

ジト目でこちらのヒト耳をつまみ、グイグイと引っ張ってくる。もちろん冗談で言ったのだがベタな仕置きだ。
「トレーナー君？そーいうことじゃないってことぐらいは分かるわよねー？」
「はっ把握してる。冗談だからもう離して」
「褒めてくれて嬉しいけど、お姉さんが聞きたいのはそういうことじゃないのっ」
「うう、そうだよな。…うん。…一人だけなら」
「だーかーらー」
さっきと同じフレーズを吐いてきたことに文句を言おうとしてきたが、俺は言葉を続けた。
「小5から偶然ずっと同じクラスで、中学高校でも一緒になった子。大人しくて綺麗な人だったな
　普通に友達として仲良くしてたら、高1の時に向こうから付き合ってみないかって言われた」
「っ…」
またビクリと動いたが、今度は何も言ってこなかった。
…二人して沈黙している方が苦しいだろう。もうそのまま一息に明かすことにした。

「恋愛してみたい〜とか必死になったことは無かったけど、一緒にいて良い人だってのは分かってたし。
　彼氏彼女の関係を築く機会なんてこの先あるか？ってせっかくだから程度の気持ちで付き合い出したよ」
「………」
「でも高2に上る前か。別れを切り出してきたのも向こうだった。
　『手を繋ぐかどうかも遊びに行く場所選びも私の顔色を見てるだけ』
　『ご機嫌伺いが欲しかったんじゃない』
　ってさ。そしてこれでおしまいとばかりに高2からは別のクラスになった。
　…彼女が俺をどう想ってたかはもう分からないけど、
　俺はただ仲が良かったってだけで別に大して好きじゃなかったんだ」
「………」
「彼氏だから何かしなきゃ、みたいな雑な気持ち。ひどいもんだなあ」

「こんなものだけど、どう思ったかな」
「…うん。一人はいたんだ、ってちょびっとショックだった。でも一人だけだったんだって安心もした」
「安心？」
「そ。いつだったかな…ああ、合宿の夜に行ったお祭りの帰りに話したわよね。
　確か…『君といると、一人でいるよりも自由でいられる。どこへでも行ける、走れる、何でもできる。
　トレーナーくんはあたしをそんな気持ちにさせてくれる』だったかしら」
「覚えてるよ。ウマ娘とトレーナー、最高のパートナーとしてよろしくって言ってくれた」
「ふふっ。あの頃思ってたよりもっと親密なパートナーになれちゃったわね。
　…うん。初めて会った時から君は本当に上手に、綺麗にあたしの心の中に入ってきて、触ってくれる」
胸の鼓動を確かめるように目を閉じて、胸にそっと手を置く。
「だから、ね？
　もしそんなことできたのが、ただすっごい経験豊富なプレイボーイで女心分かりまくりだからでした〜！
　とかだったら、ちょっと寂しく感じてたかもしれないなって」

「俺がそんな器用な男だと思えることあったか？
　それにもしそんな器用ならさっきのあの子の話も1人だけってのも全部嘘かもしれないぞ」
「うーん…とりあえず手先は不器用かも？
　初めてする時に緊張しまくりでベッドの下にゴム落としたり付けたら毛が巻きついちゃって痛がったり…」
「それ掘り起こすのはやめてくれない！？」
「うふふ、めんごめんご。ちゃんと真面目に話すから。
　…トレーナー君は嘘なんてついてないわ。これはただの女の勘って奴と、ただ信じてるだけ」
「それだけでいいの？」

「うん。…女の子といた経験が少ないのは本当で、別にそういうのに慣れてるわけじゃないって信じられる。
だからトレーナー君の言うこと、してくれることがこんなに心に気持ちよく染み込んでくるのは…」
相応しい表現を探して少し考え込み、平手同士でポンと叩いてから彼女は口を開いた。
「波長が合うとか、そういう運命だったとか。きっとそういう素敵な理由なんだって思えたの」
「…俺がやり手だったんじゃなくて、ただ気持ちが自然と通う存在だから安心できたってこと？」
俺からの問いに言葉を使わず、ただ穏やかな微笑みを向けて答えてくれた。
正直あまり納得しきれていないのだが、彼女が喜んでいるなら自分も幸せに思えるからいいやと結論付けた。

「マルゼンスキー。俺は君のご機嫌伺いなんかじゃないよな」
「うん。あたしがしたいことや、楽しいって気持ちを見失いそうになっても傍で道を指差してくれる。
　真面目なのに面白い、すごい人。…本当に、大好きな人」
「良かった。俺も機嫌取りがしたいんじゃない。二人で楽しさも幸せも、辛さだって共有していきたい」
少しずつ体を寄せ、互いの腰と頭に手を回し、まっすぐに見つめ合って。
「…俺の女性経験に3人目を作らないこと。君を過去の女なんかにしないこと。約束するよ」
「トレーナー君…。ん…」
もう何度も交わしているのに、何度交わしても幸福に溢れた感触と温度に身を任せる。
「………ぅ、ん……」
「…うん。急な頼みになるけど聞いてもらえるかな」
「何？お姉さんに何でも言ってみて」
「学園に提出する予定だった書類、ちょっと詰めれば思ったより早く完成しそうなんだ」
「…つまり？」
「今日、夕飯食べさせてもらっていいかな」
「っ…！…うん。残さず、食べてね」

後日、中学の同窓会の案内が届いたことを彼女に伝えたら不興を買い
行くなら『今現在俺には最高にマブいカノジョがいて幸せです』と主張してこないとダメ！
と約束させられてしまったがこれは別の話。
…粘らなかったら「担当のマルゼンスキーとバカップルしてます』と言わされるところだった。

やる気は「絶好調」をキープしている。
「独占力」のヒントLvが5上がった。

トレセン学園独占力のヒントその辺に転がり過ぎじゃない？

終わりです
キャラストや育成ストで激マブとマブトレツーカーすぎるよな…って思ってます

>「…俺の女性経験に3人目を作らないこと。君を過去の女なんかにしないこと。約束するよ」
ここすごくトレンディでいい...

いい…

>「今日、夕飯食べさせてもらっていいかな」
>「っ…！…うん。残さず、食べてね」
ウワーッ！絶対これ合言葉も兼ねてる！！

米米の浪漫飛行が似合うおふたり

今夜きみーは僕のものー

トレンディだ

マブい言動にツッコミ入れつつ何が言いたいかとかその裏の気持ちさっと汲み取れるトレーナーいいよね…

>…粘らなかったら「担当のマルゼンスキーとバカップルしてます』と言わされるところだった。
やべーぞスクープだ！

ところでマルゼンさんに独占力積んでも当てる相手いなくない…？

>>…粘らなかったら「担当のマルゼンスキーとバカップルしてます』と言わされるところだった。
>やべーぞスクープだ！
すすすす…素晴らしいです！！！

>ところでマルゼンさんに独占力積んでも当てる相手いなくない…？
自分が先頭にいるから使わないだけなんだ
もし誰かが前に出ようものなら…

なんか結婚してからしばらくしてるみたいな安定感を出すんじゃない
さっさと両親に挨拶してきなさい！！！

>しかし自称・流行りのアンテナが敏感なナウい女たる彼女がまたも珍しく流行りに乗ってくるとは。
>いつもはだいたい何故か古い電波をキャッチしているというのになぜこういう時は正常機能するのか。
彼氏さんなんかひっでぇこと言ってますよマルゼンさん！

マルゼンさんがちょっと嫉妬心を出すのは健康にいい

>「っ…」
>またビクリと動いたが、今度は何も言ってこなかった。
一回ジョーク飛ばしてからのマジ経験出されて相当食らっただろうな…

男は最初の男になりたがり
女は最後の女になりたがる
って言ったのは誰だったか

なんであんたはそう毎度激マブとトレーナーの本気のラブを書いてくれるんだ
ありがとう…

まあ現状かなり過去風の女だが…

>米米の浪漫飛行が似合うおふたり
さては狙ったな？

>トレセン学園独占力のヒントその辺に転がり過ぎじゃない？
簡単にレベル上限叩きそう

独占力はトレーナーもたまに使うからな…

そこらへんで独占力実演してる奴がウマ娘人限らずゴロゴロいるから…

しれっとうまぴょいしたんだこいつら！

独占力はレースが二人なら二位で発動する…のかな

>　…うん。初めて会った時から君は本当に上手に、綺麗にあたしの心の中に入ってきて、触ってくれる」
>胸の鼓動を確かめるように目を閉じて、胸にそっと手を置く。
マルゼンさんがレースに求めてることを走りから自然と見出したりスペちゃんに喋らせて勇気づけたり本当に上手…

ご感想ありがとうございます
>>米米の浪漫飛行が似合うおふたり
>さては狙ったな？
(全然考えてなかったけどそういうことにしよう…)
あと夕飯後の夜はもちろんゴムぴょいしました

>あと夕飯後の夜はもちろんゴムぴょいしました
それを書くんだよ！

生ぴょいしたら翌朝婦人科にカウンタックがダイブキメてくるからな…

十分成長してるし生ぴょいしたら直撃する可能性は後輩達よりも高いだろうからな…

そこら辺は前一回大失敗してるから…

>なんか結婚してからしばらくしてるみたいな安定感を出すんじゃない
>さっさと両親に挨拶してきなさい！！！
でもマルゼンさんああ見えて学生だし…

>「マルゼンスキー。俺は君のご機嫌伺いなんかじゃないよな」
こういう過去の傷跡のことちょっと引き摺った言葉を使うのは女の子に効きますよ！

>十分成長してるし生ぴょいしたら直撃する可能性は後輩達よりも高いだろうからな…
チヨちゃん2世やホリスキー作ろうぜ！