1. 食わず嫌いは良くないものだ、と最近は思うようになった。 もちろん度を過ぎた行為は避けるべきだが、それまで手を出さなかったものに手を出すことで、今までになかった経験をする事に繋がる。 最近俺達は、休日の夜の散歩にはまっている。 俺は最初こそ危険だと渋い顔をしていたが、ダイヤの熱い説得を聞いて結局折れてしまったのがきっかけだった。 彼女の提案したそれらは、俺にとってはどれも未知の体験で、一度経験してからはもう病みつきだった。 今日訪れたのはトレセン学園からは遠く離れた公園。 なんでも、一部の間では有名な場所らしいと彼女は言っていた。 「今日もよろしくな、サト」 「わん!」 俺の手に握られたリードの先には、最近の散歩のお供である、愛犬のサトが繋がれていた。 年の割にしっかりと育った体をしていて、いざという時はとても頼りになるワンちゃんだ。 「くぅ~ん……」 ふりふりと大きなお尻と尻尾を揺らしながらサトはこちらに近づいてくる。 「こら、まだ早いぞ」 サトは食いしんぼうだ。 お腹がすくとこうやってグリグリと顔を俺の腰に押し付けて、おねだりしてくる。 「あとであげるから、今は我慢しよう……な?」 「んっ……ふぅ……ぅん……」 俺は期待でぷっくりと膨らんだ胸の先端を指先で優しく撫でて落ち着かせてやる。 ここ最近は、頭をただ撫でられるよりもこうされる方が、彼女は好きな様だった。 撫でているだけなのに四つん這いになっている腰が時折ピクっピクッと浮き上がっている。 先週よりも随分と反応が良い。知らないうちに随分と弄っていたようだ。 俺はその姿を見ていたずらしてやりたくなって、不意にきゅっと指で先端をつまみあげた。 「……~~~~っ!」 思わぬ刺激に驚いたのか、先程よりビクビクと腰が大きく跳ね、尻尾を勢いよく浮き上がらせた。 数秒後、俺の腰に押し付けていた顔を離しへなへなと力なく地面に崩れ落ちる。 どうやら少しは落ち着いたようだ。 「じゃ、先導よろしくな」 俺は頭を撫でながらサトにお願いする。 「……ふぁい」 「――返事は『わん』だろ?ダイ……サト」 「……わん」 返事を返すサトの瞳は、これから始まるの行為への期待と、僅かな不安に濡れている。 夜はまだ続く。 俺達は出来れば人目に触れぬ事を祈りながら散歩を続けるのだった。 2. 刺激とは麻薬のようなものだ。 どんどんとより強い刺激を求めるようになってしまう。 そうして気が付けば、後戻りできない程に深みへはまってしまうのだ。 もう止めようと声をかける度、いつも彼女は俺に問いかける。 「……楽しめませんでしたか?」 そんな事はない、とは言えなかった。 だが、楽しくなかったとも口に出せなかった。 俺はすっかり、この刺激の虜になっていたからだ。 週末の夜、俺は愛犬のサトと共に再び例の公園にやって来ていた。 「わん♪」 今日は首輪にリードは付けていない。 「……準備しようか。さ、良く見せてごらん」 「く~ん……」 俺のお願いを聞いたサトは体を持ち上げ両手を上げ、いわゆるちんちんのポーズを取る。 年の割に大きく実った乳房がたぷんと揺れ、更にその先端にある、連日の散歩を通してすっかり大きくなった乳首は興奮でぷっくりといやらしく膨らんでいる。 俺はポーチからリードを二つ取り出す。 それぞれの先端には首輪につなげる為のフックの代わりに、改造して取り付けられるようにした、無線式の小型にんじんが取り付けられている。 今回の為に用意した特別なおやつだ。 サトがリードを目にした途端尻尾を振り、ゆっくりとねだる様に腰を前後に揺らしだす。 まるで早く早くと言っているかのようだ。 もうちょっと待ってと手で制しながら、更に使い捨てのローションパックをバッグから取り出して封を切り、その中身を彼女の股間に塗りたくる。 既に下にある前の口は濡れていたが、万が一があってはいけないので念入りに中まで指でほぐしてやる。 ある程度ほぐれたのを確認した後、後ろの口先に小指をあてがう。 一瞬ピクンと窄まりが閉まるが、つんつんと何度かつついてあげると少しずつ口を緩め、遂にはゆっくりと指先が銜え込みキュウキュウと甘く締め付けてくる。 顔を見ればうっとりとした表情でこちらの感触を味わっている。まだまだ時間をかける必要はあるが。少なくとも悪い気分ではない様だ。 何度か出し入れを繰り返して、準備が整ったのを確信するとゆっくりと指を引き抜いた。 「お待ちかねのおやつの時間だよ」 「……♪」 その言葉を聞いて遂に我慢できなくなったのか、ちんちんのポーズをやめて四つん這いに戻り、こちらにお尻を大きく突き出す姿勢を取る。 俺は仕方ないなあと笑いながら、リードの先に付けられたにんじんを彼女の口にあてがう。 ほぐしていたおかげか、前も後ろもぬるりと抵抗なく咥え込んでいく。 途中で外れる事があってはならないので、しっかりと根元まで咥えたのを確認した後心配になって彼女の顔色を見る。 「大丈夫か?」 「……わん」 なにぶん二つ同時は初めての経験だ。負担にならない様に小さめのものを選んだが、それでも少し苦しそうに見えた。 それでもサトは続けてほしいと言わんばかりにこちらを見ている。 「……じゃあ、スイッチを入れるぞ」 同時にスイッチを入れてほしいと言うのが、ここに来る前に聞いたダイヤからのオーダーだった。 俺は、手元にあるスイッチを両方ともオンにした。 「……っ!!」 スイッチを入れた途端、サトが口元を両手で押さえて、いやいやと首を振りながらうずくまる。 「らめっ、これらめれすっ……!!」 ……どうも刺激が強すぎるのか演じている余裕すらない様だ。 ビクンビクンと全身を震わせながら、刺激から逃げるように何度も身をよじっている。 だがその刺激の元は体の内側からだ。どう動かそうと彼女に逃げようは無かった。 俺は"愛犬のサト"ではなく、サトノダイヤモンドに戻った彼女に声をかける。 「……ダイヤ、あまり大きな声を出すと危ないぞ」 「れ、れもぉ……こりぇっ、しゅごしゅぎて……んんっ」 声を抑える余裕もないらしい。 仕方がないので、念のために用意していた骨の形のギャグボールを付けてもらう事にした。 「これでよし」 「ふーっ……ふーっ…………」 ひとまずこれで、口元を抑えるしかなかった両手は自由になった。 四つ足で歩けるようになりこそはしたが、一向に彼女から余裕が戻る様子は無かった。 「……今日は止めようか?」 彼女は腰をビクビクと震わせながらも、俺の提案にふるふると首を横に振る。 「……続けるのか?」 今度は頷く。 その目は意地でも続けると言わんばかりに強い眼差しを返していた。 別に止めても誰も咎めないというのに、こういう時はやたら頑固なのは彼女の長所でもあり短所でもある。 手に盛った二本のリードを軽く引っ張る。 その度に彼女の体が震えるが、口から外れる様子はない。 ……この分なら簡単には取れないだろう。 「……先導、お願いな」 「ふーっ」 鳴き声の代わりに口に咥えたギャグボールから息と涎が漏れる。 幸い今夜はいつもより人の気配が無い。 俺は普段より覚束ない足取りのサトを気遣いつつも、夜の光景をしっかりと楽しむのだった。 3. 「ダイヤちゃん、最近いつもレースの予定がない週末はどこかに出かけてるよね」 「うん! お兄さんと一緒に、色んなところに遊びに行ってるの」 「いいなあ……お泊りもしてるんでしょ?」 「うん、そうだよ」 「じゃあやっぱり……その、いい雰囲気になっちゃったりもするの?」 「うーん……ホテルでは二人とも疲れちゃって、そのまま眠っちゃうかな」 「そうなんだ……健全だね!」 「……健全ではないかな」 「?」 ~~~~~~~~~~~~~~ 最近、夜の学園内で不審者が徘徊してるという噂があるらしい。 なんでも、各所で獣のようなうめき声をあげているのだとか。 ……俺達には関係のない話だろう。 「行こうか」 「……わん」 今日の夜も、愛犬のサトを連れて散歩に来ていた。 彼女の声になんだか元気がないのは、今日はいつもの公園じゃないからだろう。 スリルとは、常に恐怖と隣り合わせなのだ。 「……怖いならやめようか? 見られたら危ないし」 場所を変えようと言ったのは彼女からだったが、予想以上に怖がっているようにも見えた。 そんな彼女に無理をさせられないと中止を提案する俺の言葉に、サトはフルフルと首を横に振る。 「……続けるんだな?」 「わん」 サトの目を見る。 強い意志を秘めた瞳の奥には、僅かな恐怖ともうひとつ――ドロドロとした期待と興奮が覗いていた。 四つん這いになったサトの首輪にリードを付けて先導してもらいながら、夜の公園を歩く。 最初は慣れない道におどおどとした足取りで進んでいたが、少しすると慣れてきたのが、大きなお尻と尻尾をわざとらしく揺らしながら一歩一歩進んでいる。 怪我をすると危ないので手袋と膝のサポーターを付けてもらっているが、それが逆に彼女のその異常な様を協調していた。 見ると、サトの太ももに透明な液体が垂れてきている。 時折甘い声を漏らしながら頬を上気させているのを見るに、興奮から濡れてきたものなのは明らかだった。 彼女の甘い声を楽しみながらしばらく夜道を歩いていると、目的のベンチが見えてきた。 ここで少し『休憩』を取るのが今回の目的だった。 サトをベンチに座らせ、その場で足を開いてもらう。 彼女はベンチの上でそれぞれの脚を手で持ち上げ、いわゆるM字開脚の姿勢をとってこちらに期待に濡れた目を向けてきた。 早くご褒美が欲しい。彼女の目はそう訴えかけてきていた。 正直のしかかりたくなる衝動を必死に抑え、俺はバッグから今日のおやつを取り出した。 「……今日のおやつだよ」 それはシリコン製の透明で少し大きめのおにんじん。 他と少し違うのは、真ん中に大きな穴が開いていて、食べた口が奥まで丸見えになる様になっていることだろうか。 二重構造で芯の部分には固めの素材が使われているから穴がつぶれる事もなく楽しめる逸品だという。 「く~ん……」 彼女の目はおやつに釘付けになり、早く欲しくて待ちきれない下の口からは、とろとろと涎が溢れ出してきている。 「ほしがりだなあ、サトは」 なんだか意地悪したくなって、おにんじんをそのまま口には入れずにその手前で唇を上下になぞってやるのを繰り返す。 「……ゃく」 「ん?」 「……はやく、ください……お願いです……っ」 耐えきれなくなって鳴き真似すらやめて懇願されてしまい、流石に悪いと思って焦らすのをやめる。 そしてそのまま一気に奥まで押し入れてあげる事にした。 急な刺激に驚いたのか、彼女は腰を一瞬ビクンと跳ね上げ、少しした後弛緩した様にへなへなと腰を下ろす。 「……ほら、これで口の中が丸見えだ」 中が繰りぬかれているおにんじんが奥まで届いたことによって、彼女の中は丸見えだった。 おにんじんには穴の中を照らすライトも付いていたので、暗がりの中でもしっかりと見えるようになっている。 むしろ暗い中でそこだけが強く照らされている分、より強調されるように見えていた。 「ぁぁ……っ」 中の口がパクパクと物欲しそうに動いている。 それがなんだか面白くて少し眺めていると、視線だけで感じているのかじわっと中から蜜が溢れ出して来るのがわかる。 ふーっと息を奥にふきかけてみる。 「~~~~~っ」 それだけでダイヤは体をのけぞらせ、押し殺すようなうめき声をあげながらビクビクと腰を震わせて再びイッてしまった。 放心した彼女にバッグから取り出したローター付きのクリップを胸の先端に取り付ける。 痛くならない様に弱めのものだが、その刺激は開発され切って敏感になった彼女には十分強い刺激だったらしく、付ける度に体を震わせて透明な液体を下の口から漏らしている。 「……30分だったな」 「ゃ……まっれ」 構わずスイッチを入れる。 「ああ――むぐっ」 快感に思わず声をあげそうになる彼女の口を慌てて塞ぐ。 「……声で誰か来るかもしれないから静かにな」 俺のお願いにこくこくと頷いたのを見て、ゆっくりと口から手を離す。 「……ん……ぅっ」 胸の刺激に必死になって声を押し殺しながら耐えている。 もちろんそれだけでは味気ないので彼女の下の口に、時々先ほどの様にふーっと息を奥までふきかけてやる。 刺激とは不意にやってくるものだ。 「~~~~~~っ」 すっかり敏感になった一番奥へ柔らかな刺激に、彼女はいやいやと首を必死に振りながら面白いように腰を震わせ蜜を漏らす。 辺りに気を配りつつ、時折こういったいたずらを彼女に繰り返しながら、俺は休憩を楽しむのだった。 4. 週末の夜は、トレセン学園から離れ散歩をするのが最近の日課だ。 知らない街を歩くのはとてもいい気分転換になるし、なにより昼と違った顔を見せる夜の景色や街並みは俺にとってとても良い刺激になった。 今日はダイヤも一緒に夜の街を歩き、駅からホテルへたどり着く。 ただそれだけかと思われるかもしれないが、俺達にとってはかけがえのないひとときになるだろう。 今週はずっと雨模様で、今日も予報通り一日中空は雲に覆われ、街は水気に包まれている。 大抵の人はじっとりとした湿気に鬱屈とした気分にさせられるが。俺達にとってこの状況はむしろ好都合だった。 今日、ダイヤには雨に濡れるのを避けるためにビニールの透明なレインコートに駅のトイレで着替えてもらっている。 夏の暑い夜とはいえ、雨で濡れ続けて風邪をひくのは避けたかったからだ。 コートの下はキャミソールにショートパンツと、普段の彼女にしてはかなりラフな格好。 レインコートに籠る湿気のせいか、幼いながらも豊かに実った二つの果実と、彼女の美しいボディラインを強調するかのように、服がぴっちりと張り付いてしまっている。 夜遅く、それに雨のせいで視界もよくない為に、そのレインコートのビニール越しに広がる刺激的な光景を気に留める人間は今のところ居ない。 だが夜の公園とは違い、決して人が居ないわけではないし、また街の灯りは絶えず彼女を照らし続けている。 例え目敏い者でなくても、彼女に注視してしまえばその格好に気が付いてしまうかもしれなかった。 ダイヤから荷物を預かり、俺は傘をさしながら二人で雨が降り注ぐ夜の街を歩き始める。 大通りに着たがそれでも人通りは少ない。こんな夜なのだから当然かもしれないが。 「人が少なくてよかったな」 「そう、ですね……んんっ」 顔を赤く染めたダイヤがその歩みを進める度、ぷるんと二つの果実が揺れる。 その度に先端がコートで擦れて甘い声をもらし、更に降り注ぐ雨粒がダイヤの体をレインコート越しに叩き、間断なく刺激を与え続ける。 雨の勢いは強くないが、興奮で出来上がり始めている彼女にとっては十分に強い刺激だった。 胸の先端が衣服の上からくっきりと浮かび上がっているのが透明なレインコート越しに見える。 近くでよく見れば、彼女がコートの下に着ている服が汗と湿気でじんわりと滲んで、肌との境界線が曖昧になり始めている事にも気が付くかもしれない。 「おにいさん……」 限界が近いのか、媚びる様に甘い声を出しながら傘を持っていない方の腕にからみつき、太ももを擦り合わせながら頬を上気させ蕩けた顔でこちらの方を覗き込んでくる。 「ダメだ。今日は歩くだけだっていっただろう?」 「そ、そんなぁ……もうげんかいです……」 俺の言葉を聞いてダイヤはいやいやと首を振りながら、ねだる様に俺の股間を空いた手で上下に撫でてくる。 そんなあからさまな事をすれば人に見られるかもしれないと言うのに、本当に限界が近いのだろう。 「ちゃんとゴールしたらいっぱいあげるから我慢して」 「ほんとうですか……?いっぱい愛してくださいね?」 「ああ」 納得してくれたのか、ダイヤは漸く腕から離れてくれた。 コートの下が蒸れている状態で俺にくっついた為か、中に着ていたキャミソールとショートパンツの服の色がレインコートの方に色移りし。よく見れば内腿の塗料は彼女自身の体液ですっかり剥がれ落ちてしまっている。 幸い誰にもバレていない様だったが、確かに限界は近いようだった。 「……急ごう」 雨脚も少しずつ弱まってきている。このままでは流石に拙いかもしれない。 「前、ボタン外そうか」 「……っ」 でも、これくらいは良いだろう。 ホテルに辿り着くのを少しだけ急ぎながら、可能な限り刺激的な時間を俺達は楽しむのだった。