それは率直に言えば、気の進まない作業だった。 ウマ娘達の、SNSアカウントの書き込みやそれに付いたコメントを巡回する作業。危険なものがあれば報告し、対策を検討する。 やることは退屈だが、人気のある子のアカウントなら、自然と不特定多数の悪意を目にすることもある。 精神的にも負荷のかかる作業だ。なのでトレーナー達が持ち回りで担当している。 そういうのは、深く考えずに機械的にやってしまうのがいいさ。頭を抱える自分に、寮長の少女がコーヒーのドリッパーを傾けながら言う。 衆目を浴びることに慣れている彼女には、身近なものなのだろう。 オープン戦に昇格した生徒には、利用しているSNSのアカウントを報告する義務がある。 それが手元にあるこのリストだ。人気のある子のアカウント名がずらりと並ぶファン垂涎の一品。 そこに記されたアカウントの更新状況を一つ一つチェックしていくと、ある気付きが見えてくる。 あくまで風土や傾向の話だが――王道ティアラ路線の子は、真面目で保守的な、品行方正を旨とした子が多い。 逆に、短距離マイル路線の子は、今時の流行を追うのに熱心だったり、強烈な個性を持つ子が多い。 それがそれぞれの路線の空気感の違いとなり、魅力でもあるのだろう。 もちろん、短距離マイルの彼女達も遊んでいるだけではない。むしろ遊びとレースを両立してナンボ、遊んでいるだけの子は歯牙にもかけられないという空気もある。 勝負社会のシビアな面は、王道ティアラとも何ら変わりはない。 彼女達だって水面下ではバチバチさ。洒落たマイカップを手にコーヒーをすする寮長が言う。 寮長として多くの子を見守り、マイル路線と王道路線で揺れ動いた彼女には、両方の空気感がよく分かるはずだ。 特に今回のような、学園全体の風紀に関する仕事では彼女の意見が助けになる。 そういえば。寮長はウマスタで失敗したことはあったか、と聞いてみる。しばし青鹿毛の耳がぴこぴこと動いた後、大したことではないけど、と切り出した。 以前、勝負服で動画を撮った際に、胸元が映ってしまったことがあってね。その説明で概ね理解する。 見られるのが仕事である以上、気にはしていないようだが、別の需要に刺さってしまったことは気恥ずかったろう。 確かに、あの格好は目のやり場に困ることもある。視線を誘導するのが手品のコツさ、と逆にからかわれるが。 トレーナーさんも男の人だね。そう言われてしまうと申し訳ない。それで見損なうほど子供じゃないさ、とも言い添えられた。 そんなに、ここが気になるかい? 寮長が、いつものように胸に手を当てて言う。 それは否定できない。なら君の好奇心を満たせばいいのかな。自分に語りかけるような、小さな声だった。 そして、シャツのボタンの真ん中を、あの勝負服のように開けてみせた。 おいで。触るだけならいいよ。 わずかに谷底が見える大きさの乳房の間を跨ぐように、レースのブラが覗いている。 おっと、これが邪魔だね。そう言うと、器用にシャツの上からするすると脱いでみせた。 少女が芝居がかった仕草で両手を広げると、その腕の間に身体が吸い込まれていった。 胸に顔を埋める。柑橘系のオーデトワレが香ってくる。鼻で深く吸い込むと、くすぐったそうな声が漏れた。 寮長の体温を胸元で感じていると、痕は残さないで欲しいな。勝負服が着れなくなってしまうから。と囁かれる。 もちろんだとも。そのために、鼻先でシャツをもう少しだけ左右に広げる。 誰もが思ったであろう禁忌を犯した。その先にあるのは、周囲の柔らかさとは裏腹に、しっかりした固さを持った桜色の先端。どうせここは見せないのだから、どれだけ吸っても良いはずだ。 別に、多くを知っているわけではない。だが今まで見てきたものの中では、大ぶりで吸い応えのある先端だと思った。 あの際どい面積によくしまっておけたものだ。舌先で転がすと、更に主張が強くなる。 くすぐったいのか、慣れない感覚に笑いを漏らしながらも、彼女が止めることはなかった。 胸に吸い付く頭を、優しく抱き寄せられる。殿方はこうされるのが好きなんだろう? と耳元で声がする。 ズボンの上から、手が硬直を探し当ててくるのがわかった。手際よくファスナーを下ろすと、完全に起き上がった陰茎が外気に晒された。 慣れてないから、痛かったらごめんよ。起き上がった陰茎を握り、恐る恐る上下にさすり始める。 よしよし。いい子いい子。子供をあやすような声をかけながら、ソファまでリードされて膝枕の姿勢になる。細い身体に抱き寄せられ、豊かな胸が与えられる。 その先端を口に含む度に、意識が子供に帰っていく。胸の間からオーデトワレが薫ってくる度に、その大人っぽさに目が覚める。退行を覚醒を繰り返していると、考えるのが辛くなる。 ぼんやりした頭の中に、たどたどしい陰茎の刺激だけが入力されていく。それはまさしく眼前の少女の言う、夢のような光景だった。 男性器をその手に握ることで、少女も興奮しているのだろう。男形の少女の乳を食みながら、紅潮したその顔を見ていると、会陰部が急激に締まってくる。 吐精が近いことを、乳首を強く吸って伝える。口を閉じたままの悲鳴にも似たくぐもった声と同時に、少女の手の中に打ち付けるように精液を放った。 うわぁ。好奇心と、困惑の混ざった声。 たっぷりと吐き出された精液が、寮長の両手の中であやとりの様に糸を引いていた。 しばらく呆然としたように手の中の精液を弄んでいたが、ティッシュ箱を渡されて気を取り直すと、好奇心は満たされたかい? とごまかすように言った。 嬉しかったし、楽しかった。寮長も女の子だな、って思ったから。 でも、もっと色んな寮長を見たい。正直にそう言うと、指で額を小突かれた。 こういうことをするのは、役者としてじゃない。 君の大切なパートナーとしてだよ。 その言葉は堂々としていて、まるで演劇の一場面の様だった。