「ｳｿﾃﾞｼｮｰｳｿﾃﾞｼｮｰ」
ベランダにてサイレンススズカの顔をした大型の鳥が鳴いている…先ほど窓をノックしたのもコイツだ
昨日のうちに作っておいた弁当と小遣いをたぬきに背負わせ、リンゴを手に取る

窓を開け、たぬきを持ち上げて、スズメと呼ばれている鳥の前に差し出す
「おはようございます、お願いしますね」
「ｽﾍﾟﾁｬｧｧｧｧｧｧｧﾝ！」
パタパタ足を動かしているたぬきの後襟を上手に咥えると、片足でリンゴもつかむ
そのまま空へと飛び立っていった

スズメはたぬき達の秩序の番人であり、面倒も見てくれるありがたい存在らしい
飛んていった先はあぜ道だったり、河原だったり…色んなたぬきを集めて遊び、学ばせ、見守っているのだと言う
つまりリンゴ1個はタクシー代であり授業料と言った所だろう
午前中はスズメ達に任せ、他の新米トレーナーと同じくデスクワークや研修…そして午後からは、帰ってきたたぬきとトレーニング
これが今現在の自分の毎朝のサイクル…日常生活と言える物だろう……………うん…うん…？

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「……で、その生活に何かご不満があると？」
「……まぁ……はい…」
自分は立派なウマ娘を育てたいとトレセン学園へ就職した、とある新米トレーナーだ
しかし、ただの新米トレーナーが数あるトレセン学園の中でも精鋭が集うとされている『中央』に配属されても、居場所などなかった
自分の担当するウマ娘個人やチームなんか見つからず…その上サブトレーナー枠等も時期が悪く、空いてなかった

巡り巡って任された仕事が、突然学園内に住み着いた「たぬき」と呼ばれる謎の生物の1匹のお世話だった
気づけばすっかり不思議生物に囲まれた生活であり、未だにスカウトできるウマ娘とも出会えていない

そもそも「たぬき」とは…？「スズメ」とは…？さっきの生活の話聞いて理解できる？

……自分の日常は狂っている
そんな気がしてならないが、そこを考えたってどうしようにもならないだろう

だがこのままじゃマズいと、こうして意を決して学園の人事部へと赴き、
この日常を変えたいと芦毛のウマ娘の事務員さんに相談しにきたのだ……が…

「アナタが異動願を出すならばちゃんと検討いたしますわ…ですが、あの子の世話が嫌だから、と言う理由では却下されるでしょう」
こんな感じで難色を示していた
「しかし、自分はトレーナーになりたくてこのトレセン学園の門を叩いたのであって…」
こちらも出来るだけ食い下がる
「もし転属すると言うのなら、あの子も連れて行ってもらう事になりますわね、それに合わせての手続きも…」
「…アイツは中央に居た方が良いんじゃないですか？他のたぬきやスズメとかと一緒に居た方が…」

そう、自分が世話をしているサイレンススズカに似たたぬきは、走るのが大好きで、それ以外の事はどうでもいいと言う存在だ
自分が世話をしなくなっても代わりの誰かが担当して、また自由に走って行くだろう
……アイツはどこまでも自由だ…自分と違って…

そう思っているのを見透かすかのように、事務員さんは目を細める
「こちらが提示している条件の理由なんて、1つしかありません……それは、アナタとあの子は一心同体だからです」
「なんだその理由！？ふざけているんですか！？」
よく聞く皮肉交じりの単語に、思わず声を荒げてしまう

しかし、事務員さんはそんな自分の言動にも一切身じろぎもせず、目は細めたまま
「……そう思いますか？」
冷たく、重い口調で、質問を返す

「確かにあの子は今の環境が良いでしょう…ですが、それはアナタの存在も含めての話です」
「ですけど…！」
「念のために言いますが、アナタだけではなく、他のトレーナーさんにも同一の理由をお話ししますわ……私が言いたい事はお分かり？」
「……いえ」
「アナタも立派なトレーナーと言う事です…少なくともあの子にとっては…それを忘れないで上げてくださいませ」
「…」

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（ﾌﾟﾙﾙﾙﾙｯﾌﾟﾙﾙﾙﾙｯ）
……朝
スマホの呼び出し音で目覚める…と同時に音は止まった
目を覚まし、着信履歴が残ったスマホ画面を見ると、いつもよりだいぶ遅い時刻が表示されている
あの後事務員さんに少し休めと言われ、そのまま今日は有休となった

結局相談については、説得された…と言う事だろう…なぁなぁに終わってしまった
これでまた昨日と同じ、いつもの日常が始まる
……だが…

「……チビ？」
いつもと違って、たぬきの走る音がしない…
まだ夢の中かと錯覚するような、寂寥感漂う空間が広がっていた

たぬきを探して、各部屋を見渡してみればすぐにわかる
「……はっ…はははっ」
…やはりアイツは、もう居なくなっていた

脱ぎ捨てられたパジャマ、無くなっている服と靴
べったべたの洗面台に、食器を中心に取っ散らかっているシリアルと空の牛乳パック
冷蔵庫に入れていた弁当とリンゴも無くなっている
「…やってくれたな、チビ」
そしてトドメと言わんばかりに部屋中靴の跡…最後に向かったのはベランダだろう、窓も開けっぱなしだ

「……まぁ…褒めるべきなんだろうな」
事務員さんの言う通り、自分にとっての日常は、同時にたぬきにとっての日常でもあったと言う事だろう
自分が起きなくても日常を過ごせるよう、朝のサイクルを一人でやってみせたのだ……あの聞かん坊が…ね…
……これがたぬきの世話係をする、平凡な新米トレーナーの…どこにでもある日常か…
さて、せっかくだし部屋の掃除……の前に折り返し電話か

（ﾌﾟﾙﾙﾙﾙｯﾌﾟﾙﾙ…ﾋﾟｯ）
「おはようございます先輩、先ほどお電話いただいたのにすいません」
『いや、こっちこそ休みだと知らなくてすまない…用件だが、今度の講習は休みになった』
講習とは、トレセン学園に所属している先輩トレーナーの方々が、仕事の合間を縫って、後輩達に授業を開いてくれる校内研修の一つだが…
「え…今度の講師役ってあのシンボリルドルフ会長のトレーナーですよね…そっか…」
皇帝シンボリルドルフ…その絶対者を支えるトレーナーともなれば、技量は計り知れない
以前講師をしていた時に本人は謙遜していたが、あの若さであのセンス…流石としか言いようがなかった
そんな才徳兼備な彼の授業がまた聞けると楽しみにしていたのだが…
「中止とは残念ですね…まぁ彼は多忙な身でしょうし…」

『ルナがぐずついたから、しばらくメジロ島で休養を取るってさ』

……自分の日常は狂っている…どこにでもあってたまるか
「うっらやましいなぁ！ちくしょう！！」
数日後に出したメジロの近くは怖いと言う理由で出した異動願は、人手が足りないと言う理由で説得され、破棄となった

リアルタイムで見れた

嘘でしょ…スズメも出てる…

メジロとたぬきのダブルパンチ…

>芦毛のウマ娘の事務員さんに相談しにきたのだ……が…
>それは、アナタとあの子は一心同体だからです」
メジログループ会長兼分校理事長兼事務員さんは大忙しだな…

ここメジロシティ分校だったなそういえば…

>アナタが異動願を出すならばちゃんと検討いたしますわ…ですが
なにしてんだよ……

もう皇帝とか言わなくていいだろ！

>ここメジロシティ分校だったなそういえば…
そうだったっけ…そうだったかも…

スズたぬきとたぬトレの日常は微笑ましいのに
世界が混沌としている

くそっ！メジロとたぬきのダブルパンチだ！

ですが

スズカたぬきにとって朝のルーティンはもう完全に当たり前なんだな…
幸せになれ

学園の看板つついたら外れてメジロ学園になってそうだな！

これスズたぬと一心同体判定ってことはヒトミミの嫁さんもウマミミの嫁さんも見つけられないってことか？

>もう皇帝とか言わなくていいだろ！
一応まだ会長だし…

薄々わかってたけどやっぱり同居してるじゃん！
一心同体！一心同体ですわ！

ターボたぬきにも一心同体がいるんだろうな

ペットですよねこれ？

この芦毛のウマ娘さん
保険医や放送委員もしてましたよね？

ｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ !!!!!

たぬきーよいこだねんねしな

> いつもと違って、たぬきの走る音がしない…
>まだ夢の中かと錯覚するような、寂寥感漂う空間が広がっていた
チビとの生活がすっかり染み付いているのいいね

やけにファンシーだ…

メジロシティ

>事務員さんの言う通り、自分にとっての日常は、同時にたぬきにとっての日常でもあったと言う事だろう
>自分が起きなくても日常を過ごせるよう、朝のサイクルを一人でやってみせたのだ……あの聞かん坊が…ね…
ちょっとうるっときた

>1626107967748.png
ウソでしょ…スズメって言うかなんか神々しい鳥になってるじゃない…

>そもそも「たぬき」とは…？「スズメ」とは…？さっきの生活の話聞いて理解できる？
そうだねx1

もう恋なんてしない案件かと思ったらほっこりした

このスズカたぬきもいつかは独り立ちするのかな…しないかも…

なお勲章は奪う

メジロシティのマックイーンなのにちゃんと諭してる…ちゃんとかな…？

まあ冷静に見るとたぬき秋天に出せる時点でやってる事おかしいんだよねこいつ

たぬきを背に乗せて空を飛ぶスズメは朝に日常的に見られる光景だ

でんでん太鼓勲章

>たぬきを背に乗せて空を飛ぶスズメは朝に日常的に見られる光景だ
トレーナー「この世界おかしくねーかな…」

やっぱりトレセンはメジロの1施設なんじゃないかな？

とどけにゆこうダートの砂漠へ

トレーナーはスズカに囲まれて生きてるんだな…
本物とも一応接点あるし

あの子自身の為とはいえモブ子ちゃん手放したのは割と重大なルート選択だったのでは…？

野暮なことを言うと(実際のほのぼのや一心同体を排除した上の話で)学園側に問題があるかないかでいうと偉いとこか国家権力にクソボケがーっ！されるくらいにはひどい扱い
ですがここにはトレーナーさんと一心同体の権力がありますわ

端から見るとコースレコードつくるたぬき育成してる異常者

やってることみると一流に近い変人だよ…

スズキは要するにスタミナ抜群で故障しないマキバオーだろうからそりゃ強かろう
実現できてるのは紛れもなく一心同体の賜物

マキバオーと言われるとそんなもんかという気がしてきた

>マキバオーと言われるとそんなもんかという気がしてきた
たぬきレースの時は観客全裸なんだな…

このたぬきが引退したらどうなるんだ
トレーナーもたぬきも

フラミーだこれ…

レース場に動物が闖入とかおもしろ映像とかでありそうだけど
そのまま勝利してるようなもんだよねこれ
なんだこれ

全部読めてはないから分からんけどいつかこのトレーナーが溜まったストレスでつい言い過ぎてケンカにならないか心配でならない…

ウマ娘　　　　たぬき
　🔴　　　　　🔵

りんごあげたらいいのか

>りんごあげたらいいのか
スズメの生態なんかそのスレ次第だけど
すぺたぬはドーナツあげてた怪文書があったし対価出せばOKってイメージは強いな

>このたぬきが引退したらどうなるんだ
>トレーナーもたぬきも
あくまでモブトレだし次のウマ娘をスカウトするでしょう
たぬきは…どういう間柄かはわからんがトレーナーのところにずっといそう

こいつも優秀だけど
アプリトレーナーはさらにその上の位置付けっぽいしな
この世界だとメジロに毒されてはいるが

クソ職場で人生浪費させられてるのはかわいそ…

このトレたぬシリーズほっこりして好き
見れなかったものもあるからいつの日かまとめて欲しいな

ｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ !!!!!

かわいい！

>たぬきは…どういう間柄かはわからんがトレーナーのところにずっといそう
勲章で進化してスズカ2号になるかも
本物スズカとその親御さんとの関係がややこしいことになるが

>端から見るとコースレコードつくるたぬき育成してる異常者
学園側が主導してんですけどね！
>偉いとこか国家権力にクソボケがーっ！されるくらいにはひどい扱い

ほっぺもちもちだな

こんなにかわいい担当と同棲して服を脱がしたり朝晩棒を咥えさせたりしているトレーナーが居るらしい

>1626111486942.png
この絵が文書の魅力をブーストさせて…あぁ…(語彙消失)

こいつだけしょんぼりしないわ常に走ってるわでわけのわからん存在だ

> 1626111486942.png
絵本の挿絵とか小学生向けの歯磨きのポスターみたいだな

>こいつだけしょんぼりしないわ常に走ってるわでわけのわからん存在だ
ウマソウルが抱えてる非業の死をウマ娘スズカは知らないわけで
ルドルフはウマソウルが抱えたサウジ敗戦の苦い記憶をこっちの世界でも再現しちゃったくさい

細かい設定はないんじゃないかな…

なんか尻尾濡れてるやつの異種でなんかすごい走ってるやつ
それでいいんだよ…

スペチャァァァァァァァァン！！よいこだお金返して

>1626111486942.png
😇なんだかんだ言って愛娘って感じがして好き

かわいらしい…

ｽﾍﾟﾁｬｱｱｱｱｱｱﾝでだめだった

某シティは下手すりゃ国を動かす側だし
たぬきをレースに出させる事ぐらい簡単でしょう
無論当のたぬきがそれだけ強くなってないといけないとは思うが

そうか…そういうことだったのか…なんだ簡単なことじゃないか…たぬきとは…スズキとは…

これもう逃げられないな

メジロと不思議生物に囲まれいる事以外は恵まれているし…