一度抱いてからは、歯止めは利かなかった。 あらゆる場所で、あらゆる場面で、彼女を汚した。 レースの後にはいつも抱いた。凛々しくターフを駆け、可憐に観客の前で舞い踊った後の彼女の顔を蕩け乱れさせ、喘ぎ声をあげさせることは、醜い征服欲を満たしてくれた。 性感帯を開発し、小さな身体で一度の交合に何十回も絶頂する淫乱に育てた。 穴と言う穴を、彼女の美しく引き締まった身体の全てを、白濁で汚した。 友人と過ごす明るい彼女を呼び出し、めちゃくちゃに抱いて、また日常に帰したことも何度もあった。 日常と非日常とのコントラストが、激しいギャップとなりより興奮を高めてくれた。  避妊もせず交わり続けることに、彼女は何も言わなかった。 本来の明るく物怖じしない性格が嘘のように、あらゆる行為について彼女は従順だった。 ただいつも、強く強く俺の身体を抱き締め返し、何かを求めるように瞳を揺らめかせていた。 ──天皇賞(秋)の後の、選手控え室。 「あっっ♥♥おくきもちいい♥♥♥トレーナーぁ、もっともっと突いてぇ♥♥♥」  盟友にして宿敵オグリキャップに打ち勝った彼女を、対面座位で激しく抱く。 彼女も、レースを終えた後にいつになく昂ったのか、ライブが終わって控え室に戻ると、すぐにライブ衣装を脱ぎ捨てて、交わりを求めてきた。 「からだあつい、たりへんのやっ♥♥トレーナーの、たくさんちょうだいっ♥♥♥」  かつて初な小娘だったのが嘘かのように、こなれた腰使いで、俺の上で淫靡な姿を見せる。 一方的に搾り取ろうとする姿に、俺は仕置きのように思い切り腰を奥に進めた。 「ふぁあっ♥♥あかん♥♥ウチだけイく♥♥いっしょ、いっしょがええんや♥♥」  一度強く奥を突くと、なんども身体を震わせて彼女は大きな絶頂を迎えた。強く締まる膣の快感に耐えて、今度はペースを合わせて絶頂へと向かっていく。 「あっ♥♥わかる♥♥こんどこそいっしょ♥♥いっしょにいこ♥♥♥」  快感の涙に潤つかせた瞳が近づいてきて、唇を合わせる。 お互いの吐息を何より近く感じながら、俺と彼女は同時に絶頂した。 「いく♥♥いく♥♥♥ん、んあぁああああっっ♥♥♥♥」  一際高く声をあげた彼女は、天井を向いて激しく何度も絶頂したあと、くたり、と俺の上に倒れ込んできた。 レースの後に一時間近く続けて交わり続けて、流石に体力の限界が来たらしい。  陰茎を引き抜くと、逆流してきた精液が床を汚す。 痕跡を片付けてから、彼女に服を着せ、背中に背負って部屋を後にしようとする。 「──かあ、ちゃん」  小さく呟く声が聞こえた。 後ろを振り替えると、背中の彼女は一筋涙を流しながら、うわごとを呟いていた。 「かあちゃん、チビ……お兄、さん。かぞく……」 「…………!」 「かぞく……なろ……」  …………。 家族、と。そう言ったのか。 こんな仕打ちをずっと続ける俺を、家族と……。 彼女を寮に送り届けても、その言葉がずっと、頭のなかを巡っていた。  程なくして、彼女の妊娠が判明した。