二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1625144327562.jpg-(91490 B)
91490 B21/07/01(木)21:58:47No.819040038そうだねx4 22:59頃消えます
ウマ娘とは適切な距離感を保つ事が大事だと先輩に教わった。

長年連れ添った結果、担当ウマ娘の男性観を原子レベルに分解して自分という名のスパダリに再構成してしまった先輩には、トレーナーのいろはを叩き込まれた。
それについてはマリアナ海溝もかくやと言うレベルで深く感謝しているが、あの教えだけは役に立たなかったと言わざるを得ない。
精神的にも肉体的にも、と神妙な顔で切り出されたそれは、何度も言うが俺にとっては何の役にも立たない代物でしかなかったのだ。

何を隠そう俺の愛バは、破天荒が服を着て漁船に乗り七つの海を股にかけていると言われても過言ではないあのゴールドシップ。

適切な距離感なんてものはヤツには無い。
朝起きれば勝手に俺の自室に入って朝飯を食ってる(俺の分はない)かと思えば、夕方にはトレーニングをほっぽらかして何かを探しに何処へやら。変幻自在のウマ娘だ。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/07/01(木)21:59:31No.819040322そうだねx4
それでもせめて、せめて居場所くらいは知っておきたいと懇願したところ、

「何だよトレピッピちゃんよー!一緒に行きてーなら最初っからそう言えよー!!」

という言葉とともにズダ袋に入れられて引き摺り回される日々が始まった。
今日はあっちの無人島、明日は向こうの山の中。
踏破した場所が増えるにつれて、俺の身体は否応無しに鍛えられていった。
筋肉は隆起し、走力は人類の限界に近く、何よりも耐久力に関してはそんじょそこらのウマ娘にも負けないと自負するまでになった。

なんたってゴルシの勝利のドロップキックを受けても、10mほど後ずさるだけで済む様になったのだ。
221/07/01(木)21:59:56No.819040481そうだねx3
最初の頃は酷かった。初めての勝利の日、歓喜の抱擁をしようと駆け寄ってきたのかと思い両手を広げて迎えれば、次の瞬間には控室の天井を背景に申し訳無さそうに此方を覗き込むゴルシが居て、俺の胸にはクッキリとUの字がふたつ刻印されていた。

不思議とそれ以外の外傷は無かったが、何よりも彼女にそんな顔をさせてしまったことで胸が痛かった。物理的な意味も含めて。
だからゴルシが何か言おうとする前に、それを遮った。

「トレーナー、アタシ、その……ごめ「すまないゴルシ!!」

「は?」

「お前の想いを受け止めきれなくて……!俺、これからもっと強くなるから!」

「あー?……んー、いや、まぁいいか。んじゃ、期待してるぜー」

そう言って俺に背を向けて、頭の上でヒラヒラと手を振りながらウィニングライブへ向かったゴルシを見送ってからもう随分と時が経つ。
321/07/01(木)22:01:03No.819040965そうだねx4
先輩に改めて教えを受けに行ったこともあったが、やはり参考にはならなかった。
なんせ常軌を逸した鍛錬を積んでいる同期達を脇目に、先輩が俺に授けてくれたのはたった三つの言葉だけだったのだから。
「鍛えろ、慣れろ、見誤るな。君に今言える事はこれだけだな。特に最後のは注意しろよ。一歩間違えば大変なことになる」

「はぁ……?」

「正直、もう君に教えられる距離感は無いようだ。見たところ鍛え方に問題は無いようだし、そのまま今やっている鍛錬を積む方が良いな」
そう言って追い返された俺は、再びゴルシとの冒険の日々に明け暮れて、今日に至る。
421/07/01(木)22:01:39No.819041200そうだねx1
今日は待ちに待ったG1レース。今のゴルシなら間違い無く1着だろう。そして俺のコンディションも最高。今ならゴルシの本気のドロップキックにも耐えれる筈だ。

そして暫く後。

「トレーナー!やったぜー!」

そう笑顔で駆け寄ってくるゴルシに向かって、関係者席からターフへ躍り出た俺も手を振りながら叫ぶ。

「ゴルシ!!やったな!!よし、本気で来い!!!」

そう言って腰を落とし、脚に力を込め、大地に根を張る。今度こそ、受け止めるんだ。距離感なんて関係ない。俺と彼女の信頼の証を、もう一度。
ゴルシを見やると、彼女の眼に一瞬迷った様な色が走り、そしていつもの様に破顔した。
521/07/01(木)22:02:10No.819041409そうだねx2
「いいのかー!?んじゃ、いっくぞー!!!」

ド    ン   ! ! ! !

ゴルシの踏み込みとともに、落雷の様な爆音が響く。

次の瞬間、俺は宙を舞っていた。

(ああ、今までゴルシは、本気なんかこれっぽっちも出しちゃいなかったんだ……)

薄れゆく景色の中で、走マ灯が駆け巡る。
ゴルシとの冒険、レース、はじめてのウィニングライブ、木魚ライブ。そして、先輩の言葉。
621/07/01(木)22:02:35No.819041587+
し…死ぬ…
721/07/01(木)22:02:43No.819041644そうだねx3
『鍛えろ』
鍛えましたよ先輩。でも、ダメだったんです。
『慣れろ』
ゴルシの奇行には慣れましたよ。でも、もう終わりです。
『見誤るな』
何を、ですか、先輩……?

安らかに堕ちていくだけの意識の中で、引っかかった一つの言葉。
見誤るな。何をだ、何だ、何を……。
急速に巻き戻される場面。さっきのゴルシの迷った様な顔、そして、初勝利の時に俺が言った言葉。

ゴルシは、俺に受け止めて欲しいと言ったか?
違う違う違う!ゴルシは、楽しみたいから、ここにいるんだ。レースを、冒険を、この世の全てを。
そして、それは俺も同じ。
ゴルシと一緒に、楽しみたい。ゴルシが俺に『楽しい』を教えてくれるなら、俺もゴルシに『楽しい』をあげないと!
821/07/01(木)22:03:34No.819041949そうだねx4
痛む身体を空中で捻って、何とか着地する。

ゆっくりと顔を上げると、50m程向こうで心配そうにこちらを見るゴールドシップがいた。

「トレーナー!!大丈「ごめんゴルシ!!」

遠くのゴルシに聞こえるように、声を張り上げる。

「もっかいだ!今度は間違えない!!」

叫ぶ度、胸に激痛が走る。
胸骨が折れているようだ。でも、関係ない。
921/07/01(木)22:03:55No.819042068そうだねx4
「さあ来い!!」

今度の俺は棒立ち。
そして、一瞬怯んだゴルシの表情が、今度はニタリと歪む。

「なんか掴んだみてーだなぁトレピッピ!!んじゃ、行くぜー!!」

ズ ド ン ! ! ! ! !

先程よりも大きな爆音、だが驚くべくも無い。元来彼女はスロースターター、さっきよりも今の方が疾くて強いのは当たり前だ。
そして俺はそんな彼女を───

ヌルリと避けた。

標的を見失った赤と銀のロケットは、着弾音と共にターフを抉り、土煙を上げる。
1021/07/01(木)22:04:22No.819042268そうだねx3
俺が見誤っていたものはもう一つ、それは俺自身。
ゴルシと共にサバイバルを送るうちに身に付いた力の本質は、耐久力などではなかった。
真に積み上げられたそれは、ゴルシへの適応力。
ゴルシの奇行だけでなく、変幻自在なゴルシそのものに適応し、対応する力。
ゴルシが一秒後に何をするか、どう動くか、その全てを予測して、流水の様に柔軟に対応する。
先輩の言う「鍛えろ」「慣れろ」とは、まさにこの事だったのだ。

結果として、俺は対ゴールドシップのみにおける最強のカードを手にしたのである。
1121/07/01(木)22:04:44No.819042414そうだねx4
「オイオイオイオイトレピッピよぉ、避けるなんて臆病風に吹かれちまったのか?」

もうもうと立ち込める土煙の奥から、ゴルシの声が聞こえる。

「臆病?違うなぁゴルシ。『遊ぼうぜ』、鬼ごっこだ」
痛む胸を庇いながら、それでも気力は充実している。未だ姿の見えないゴルシに向かって掛かってこいよと挑発のハンドサインを送る。

次の瞬間、あたりに立ち込めていた土煙が突風に切り裂かれて霧散した。
その中心には我が愛バ、ゴールドシップ。
そしてその手には黄金色に輝く巨大な鎖。いや、錨だ。
1221/07/01(木)22:05:34No.819042740そうだねx5
「トレピッピちゃん、ちっとばかし掛かり気味じゃねえの?」

「そんなこと言って、お前嬉しくてたまんないって顔してるぞ」

首を傾けて、ぬらぬらと光る舌をダラリと垂らした独特の表情は、彼女の挑発の証。

「へへ、いーじゃんいーじゃん。面白くなってきたぜー!!この錨でふん縛ってやるからよ、どっかの森へお散歩とでも洒落込もうぜトレーナー!!」

「さあ、捕まえてごらんなさーい」

軽口を叩いてゴルシを煽る。
1321/07/01(木)22:06:11No.819042982そうだねx4
ゴルシは手にした巨大な錨を、頭上で振りまわし始めた。
途端に巻き起こる突風と、巻き込まれた大気が奏でる、ゴォンゴォンという大型船の機関室のような腹の底に響く、重音。

不沈艦、抜錨。

飄風吹き荒ぶ大時化の中、俺とゴルシの処女航海が、幕を開ける。
1421/07/01(木)22:07:49No.819043597+
これは悪友…
1521/07/01(木)22:08:34No.819043912そうだねx17
以上です

昨日ゴルシはもう書いてると言いましたが、脳内で書いてただけでした
ドロップキックを受け止めるにはジャスタソウルに頼るしかないと諦めかけましたが脳内の今浪さんが「遊べばええんや」と言ってくれたので人間のまま書ききれました
1621/07/01(木)22:10:02No.819044553そうだねx16
胸骨折れたままウマ娘の全力疾走から逃げるのは人間ではないのでは…?
1721/07/01(木)22:10:56No.819044912そうだねx1
どう考えてもこれ人間じゃないって!
1821/07/01(木)22:11:38No.819045235そうだねx6
だから何でトレーナーとウマ娘が固有結界展開しながらバトルしてるんだよ!距離感ところか世界観違うじゃねえかよ!

まあ好きだが…
1921/07/01(木)22:12:38No.819045662そうだねx16
さすがだぜ…今浪さん…!
2021/07/01(木)22:12:48No.819045721+
担当ウマ娘との距離感より人との距離感を見誤ってないこのトレーナー?
2121/07/01(木)22:13:29No.819046003そうだねx1
🐴あのトレーナー、我が友に適合したようですね…
2221/07/01(木)22:13:37No.819046057+
ゴルシちゃんが楽しそうでなにより
2321/07/01(木)22:20:15No.819048480そうだねx4
ゴルシに釣り合う男になるにはこれくらいじゃないとな…
2421/07/01(木)22:20:28No.819048549+
まあゴルシならこうだろうな…
2521/07/01(木)22:23:33No.819049687そうだねx1
ジャスタソウルなしでこれは…一心同体…
2621/07/01(木)22:23:35No.819049703そうだねx1
たしかにゴルシとうまく付き合うコツは受け流し力を高めることだからな…
2721/07/01(木)22:25:42No.819050534そうだねx1
いまなみソウルが宿ってない…?
2821/07/01(木)22:27:01No.819051049そうだねx5
「ゴールドシップさん、凄い……ライスもお兄様と……!」

「ステータス『昂揚』を検知。マスターとのスキンシップが必要と考えられます」

「悔しいですがあれもまたひとつの一心同体……ゴールドシップさん、良きパートナーを見つけましたわね……!」

「hmm……ワタシもトゥレーナーさんと、あんな風に遊びたいデース!!!」
2921/07/01(木)22:27:47No.819051324そうだねx1
武器持ちが二人…来るぞトレーナー!
3021/07/01(木)22:28:15No.819051502そうだねx1
人外の域に達していませんか…?
3121/07/01(木)22:29:52No.819052117+
やべーぞ!
3221/07/01(木)22:30:42No.819052423+
オイオイオイ
3321/07/01(木)22:31:25No.819052685+
ライスはこっちで遊ぼうな…
3421/07/01(木)22:32:16No.819053006そうだねx1
素人にルチャはヤバい死ぬ!
3521/07/01(木)22:41:46No.819056933そうだねx2
ジャスタもスルースキルは高かったというしな…
3621/07/01(木)22:46:33No.819058934+
ジャスタウェイソウルを宿したトレーナー及びジャスタウェイ本人のみドロップキックを受け止める成功判定が付く
なければ...
3721/07/01(木)22:48:17No.819059612+
>ジャスタもスルースキルは高かったというしな…
🚢「うぇいうぇーーい!!お前ら見てるかアタシがゴールドシップだあああ!!!!」
選手「あの子君の知り合い?」
🐴「いえ知らない馬です…」
🌟「.........」
3821/07/01(木)22:48:50No.819059848そうだねx2
ジャスタソウルインストール時の構想では
ゴルシが錨でトレーナー拘束からの引き寄せ+全力ドロップキックというゲージ技を使うものでしたがやはりトレーナーは人間じゃないといけないと思いボツにしました
3921/07/01(木)22:49:35No.819060137そうだねx1
>>ジャスタもスルースキルは高かったというしな…
>🚢「うぇいうぇーーい!!お前ら見てるかアタシがゴールドシップだあああ!!!!」
>選手「あの子君の知り合い?」
>🐴「いえ知らない馬です…」
>🌟「.........」
ハープスターちゃんはゴルシと一緒に走ってただろ!
4021/07/01(木)22:50:24No.819060476+
ハープスターちゃんのキャラよく知らないんだよね...割と図太いのかな?
4121/07/01(木)22:50:58No.819060702そうだねx1
>ゴルシが錨でトレーナー拘束からの引き寄せ+全力ドロップキック
Get over here!
4221/07/01(木)22:51:44No.819061023+
>ジャスタソウルインストール時の構想では
>ゴルシが錨でトレーナー拘束からの引き寄せ+全力ドロップキックというゲージ技を使うものでしたがやはりトレーナーは人間じゃないといけないと思いボツにしました
トレーナーがジャスタウェイ(ウマ娘)本人じゃないと死なないかなそれ…
4321/07/01(木)22:54:33No.819062305+
>>>ジャスタもスルースキルは高かったというしな…
>>🚢「うぇいうぇーーい!!お前ら見てるかアタシがゴールドシップだあああ!!!!」
>>選手「あの子君の知り合い?」
>>🐴「いえ知らない馬です…」
>>🌟「.........」
>ハープスターちゃんはゴルシと一緒に走ってただろ!
🚢≡≡≡🌟≡   🐴<………


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