（よかった！これでまともなトレーナー業が出来る！しかも美少女だぜ！）
…なんて喜んでいたのも束の間…所詮は淡い夢だった

初めの頃は順調だった
チビスズの時に培った知識を生かして自主トレ主体にして彼女の脚質やクセ
そして彼女自身の性格などを分析し、また新たな自主トレの内容を構築
マッサージ…はさすがに年頃の子にするわけにもいかないので、
自分で出来るストレッチをとにかく欠かさずにする事を義務付けた

そしてきたるメイクデビューは見事に1位
トレーナーとしてのやりがいと本当の意味での実績を肌で感じる事ができた

……が、同時にここまでが限界だった

やはり自分は三流以下と言う事だろう
彼女自身の目標と折り合いを付けてどういう風に育てていけばいいのか
…その先の展望が分からなくなった

無論こんな事やってみなくちゃ分からないと言うのが、誰しにも言える事だ
……だが、それでも最適な道選ばせるのがこの子のためだろう…そうしなければトレーナーではない

結論としては今現在、彼女は別のチームにてトレーニングを行っている
彼女の走りに似たウマ娘を多く育てて実績を上げた先輩トレーナーに頼み込んだのだ
オレが闇雲に指示をするよりかは遥かに大成する可能性が高い
自分の実績より、彼女の未来を優先したのだ

…と言えば少しは聞こえはいいし嘘と言う訳でもない
ただ実際は、オレが卑怯者なのが起因だ

彼女の選手生命を預かる勇気がなかった
…いやもっと三下らしい言いわけだ
一人歩きした実績を盾にして、取り繕った指導なんかしててもボロが出る…それが怖かったのだろう…
彼女の事は信じれたが、自分自身の事が信じれなかった…小心者の末路だ

自分の実力不足にほとほと嫌気がさす…
いつかは彼女みたいな立派なウマ娘を最後まで育ててみたいが、残念ながらまだ無理だろう

高望みせず、まずは一人をじっくり育ててからチーム結成とかを考える事にしよう
それこそ…その一人は選手生命を使い潰したとしても何の心も痛まない奴が良い
……なぁそうだろう？チビ

そんな風に考えながら、彼女のトレーニング風景を遠くから眺めていたら、
「こんにちは」
このヘンテコ生物の世話をしているウマ娘…本物のサイレンススズカに話しかけられた

「こんにちは、トレーニングですか？」
「えぇ…そちらは…えっと…おチビちゃんは何でそんな事に？」

スズカをまねた謎の生物のチビスズは、現在俺の頭部にへばりついている
「……最近体幹を鍛える目的でボルダリングジムとかに行かせてますからね…壁走りとかして練習にならない事もありましたが」
「体幹？」
「コイツの身軽さは長所ですから、それを活かすためにバランス感覚は重要になると思いまして」
「…ふふっ…ちゃんとその子の事を考えてるんですね」
「…」
さっき使い潰しても気にしないと内心思っていたのは黙っておこう

「でも…不思議ですね？その子がしがみついたまま動かないなんて」
「…そう言えばそうですね」

コイツのやんちゃっぷりは折り紙付き
まるでゴキブリのごとく人や壁を登ったら、そのまま次へと走り出すはずだ
今はおとなしく俺の頭に乗っかている…
引き剥がしたいが…髪を掴まれているため手が出せない…痛い…

「トレーナーさん…何かしました？」
そう尋ねられたが、全く記憶がない
逆にさっきの後輩ちゃんの育成のために、
ここ数ヶ月構ってない時間の方が多くなっていたはず

「……何もした覚えがないんですけどね…」
「そうですか…」
「〜♪」
このたぬきと呼ばれてる不思議生物については全く理解が出来ない

ちなみに体幹トレーニングの成果はすぐに出た
あの後輩ちゃんも参加するレースにチビスズも混ぜてもらったのだが…

ぶっちぎりのレコード勝ちをしやがった

……え…なにコイツ…怖…

しばらく他の子ばかり見てたからかまってもらいたかったのかな
かわいい

>ここ数ヶ月構ってない時間の方が多くなっていたはず
構ってないと過度にじゃれついてくる…猫かな？

ゆずらないし…

このトレーナーやっぱり優秀では？

うそでしょ…ウマじゃないじゃない…

小動物かわいい

壁走りってまさか垂直にか

壁登りきったら天井も走るだろコイツ…

一心同体の仲でも嫉妬ぐらいはするものですわ

そのうちタイタンフォールのガントレットやりだすぞこのチビ

小さい癖に脚力は強いから勢いさえあれば垂直な壁をかなりの高さまで駆け上がる事が出来る

スレ画の気持ちはスレ画にしか分からないし…

走るの楽しい！
それだけ

>壁登りきったら天井も走るだろコイツ…
止めなかったら文字通り部屋中走り回るやつ

七冠たぬきをぶっちぎれる程速い
喋らないけど感情は雰囲気で分かる

メイクデビュー1位一発でとれる時点で上澄みだよねこのトレーナー

>このトレーナーやっぱり優秀では？
能力を引き出し切り伸ばし続ける事は出来るけど夢に寄り添えないから…

多分トレーナーの事を滅茶苦茶信頼してるんだろう
あと色々と譲らないって気持ち

たぬき星人アワーを見よう
筐体すら弾き飛ばすスピードだぞ

水上走るわ壁を走るわやりたい放題だな

夢や目的ではなくとにかく速く自由に走らせるのが好きなトレーナーなのかも知れない

なんだかんだあってトレーナーとしての自信を取り戻してほしいと思うスズカたぬきであった

〜♪

>メイクデビュー1位一発でとれる時点で上澄みだよねこのトレーナー
能力でなく本人の自信というか覚悟の問題なんだろうね

>なんだかんだあってトレーナーとしての自信を取り戻してほしいと思うスズカたぬきであった
なるほどそのためのレコード勝ち
…いや嫉妬かこれ

たぬきの自由っぷりに毒されてしまっているのかもしれない
だがそれでいい気もするが

頭に乗っかってスレ画みたいに穏やかにニコニコしてるの想像したら泣けて来た

なんだかんだ元が…元が？スズカなだけあって強いんだなこのたぬき…

トレセン学園まで勝ち上がってきたもののメイクデビューで一着を逃し未勝利戦でもがくウマ娘の多い中で一発突破はすごい事だ

このたぬきブルーファルコンより早いからな

うーむ逃亡者…

下手したら本物より早いたぬきだからな…

唯一トボトボしないたぬき

夢とかじゃなくて走りたいから走るスズキだから救える何かがあるのかもしれない

fu127679.gif
やっぱり走ってる時こんな感じなんだろうか

最速のたぬきだし…
ソニックみたいだし

軽いし歩幅も短いから超ハイピッチ走法になる

マキバオー理論…

走りは自由だ
だがウマ娘で選手ともなればそうともいかない
自由にわがままに走るたぬきだからこそこのトレーナーの才能が発揮できるのかもしれない

ギャグ漫画みたいな走りしてるチビスケに逃げ切り勝ちされるウマ娘たちの心境やいかに

（走るの楽しいし！先頭の景色は誰にも譲らないし！）

しかしスズカさんはたぬきのことをどう思ってるんだろう

>このたぬきブルーファルコンより早いからな
流石に本物のF-ZEROマシンじゃなくてたぬきが軽トラ代わりにしてるだけのおもちゃだろう…

>ギャグ漫画みたいな走りしてるチビスケに逃げ切り勝ちされるウマ娘たちの心境やいかに
たぬきかわいい

やはり彼女たちは一心同体ですわ

スズカの先頭の景色大好きって因子を継承したたぬき

本物のスズカがウソでしょ…この子速い…！って本気で併走してる画像があった筈

いやこれどうみてもたぬきじゃないよな！？

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ウソでしょ…私のスピードについて来てる…

ゲスな考えもする人並みな新米トレーナーだけど
実は才能もあるし担当した場合はウマ娘からの信頼も厚い
だが最初の担当バ…担当たぬきがチビスズだったのが年貢の納め時