春の季節。桜は蕾をつけ、選手は春先の戦線に向けて力を蓄える時期。 「はっ…はっ……はあっ……」 「ペース乱れてるぞ!脚の使い方!」 「……っ、はいっ!」 暖かな風に乗って花開くのは、ここトレセン学園に限っては桜だけの話ではない。 フケの季節。一昔前までは発情期などと呼ばれていたが、ポリコレの波に飲み込まれ今ではもっぱら『フケる』と呼ばれる現象。 「はっ…はっ……、くぅ……」 「ペースガタガタ、フォームも乱れが目立つ。やはり厳しいな……」 「いえ、この程度で……」 ぐっしょりと濡れた顔をジャージで拭う彼女の眼は未だ闘志に燃えている。しかし、 「精神論で何とかなるなら誰も困っとらん。ふむ……」 グラスワンダー、彼女もまたフケの季節に悩まされるウマ娘の一人だった。 「お疲れ、先に着替えて上がってなさい」 いくら負けず嫌いの彼女とは言え、合間合間に煩悩が挟まるのでは練習も体力の浪費にしかならないことを理解してはいる。こればかりは心頭滅却しようと涼しい顔でやり過ごせるものではない。 ふらふらと更衣室に向かう彼女を見送る。その足取りが覚束ないのは疲労の為だけでは無かった。 練習場の片づけを終えて、余計な寄り道も挟みながらゆっくりとトレーナー室へ戻る。なるべく足音を立てないよう歩き呼吸も殺していく。 直前で立ち止まり、聞き耳を立てるも大した物音は聞こえなかった。少々残念だが問題ではない。扉を開け中に入った。 「っ…!と、トレーナーさん!……遅かったですね」 彼女はソファに腰掛けていた。夕陽越しに見てもその顔は真っ赤で、急のことで驚いたのか立ち上がるとすぐに足がふらついた。 「ああ、ちょっとな」 ふらつく彼女を受け止める。俺に触れられることを嫌がるように反射的に飛び退く。息が上がって、何かに耐えるように肩を抱きしめている。 「今日は、もう帰ってもいいですか…?」 「体調が悪そうだな」 じりじりと距離を詰める。 「……えぇ、風邪かもしれませんね、……?」 困惑の目がこちらを見上げる。艶めかしい吐息が艶っぽい唇を滑っていく。 食べごろだ。 壁まで追い詰めた。彼女は未だに状況を理解していない。 「トレーナーさ───」 スッ、と何食わぬ顔で差し込んだ手が彼女のスカートの下をとらえる。指の先にはシルクと、それにべっとりと染みこむ何か生暖かい感触がある。 「きゃっ……な、何を…!」 太ももを閉じ両手で引きはがそうとするより前に、節くれだった指がするりとクロッチをかき分けて侵入する。ぴっちりと閉まった肉壁で指の関節を曲げ伸ばししてやると、抵抗する力が震えながらみるみる失われていく。 「上々だ」 指についた粘膜を広げて見せてやる。銀の橋が指にかかり、細くなって消えた。 「っ…なぁっ……」 言葉も出まい。信頼していたものに痴漢行為を働かれて冷静でいる方が無理だ。しかし、困惑はそれだけではない。 先ほどまでもたしかに足取りはおぼつかなかった。けれど今の彼女はどうだろう、立つのがやっとという感じはまさに腰砕けではないか。口の端からは糸を引いていることにも自分では気づいていない。 「こんなになるまで頑張る必要もないと思うがな、まあ発散手段も限られるし仕方がないか」 彼女に背を向けて机へ向かう。キャスターの付いたチェアを引き出しどっかりと腰掛ける。そして、 「そんなに辛いなら手伝うとも」 じーっ、履いていたズボンのジッパーを降ろし、その高々とそびえたつ巨根を彼女に見せつけた。 生唾を飲む音。視線は既に恐怖でも困惑でもなく興味へと色が変わっている。 「こっちへ来なさい」 その悪魔のささやきに、しかし彼女は抗えない。机を頼りに縋りつき、子犬のような哀れな姿で次の指示を待つ。 「座って」 言われるままに椅子へ乗り上げ太ももを挟むように膝立ちで待つ。スカートが恥部同士をすっかり覆いつくしてしまった。 その布に手を突っ込んで最後の砦を剥ぎ取る。何も言わず足を上げて手伝うさまは何よりの降伏宣言である。今は不要になった下着を打ち捨てると、重くなったそれがべしゃりと吸った蜜を吐き出した。 外からは見えぬように隠された果実をわしづかみ、かすかな抵抗を無視してゆっくりと下ろしていく。 「ゆっくり自分で、入れなさい」 入り口と角度だけを支持できるように手を添え、この期に及んで彼女の自由意志と言う欺瞞を盾に取る。 ゆっくり腰が下りて、燃えるように蜜が溢れる入り口が張り詰めた亀頭をとらえる。 「んっ……ふぅっ……」 亀頭がゆっくりとめり込む。聖域に侵入される痛みを一身に引き受け、やがて全体がずっぽり収まる。かと思えばあとはずるずると長竿が淫蕩な大口に飲み込まれていくのだった。 「ぐっ……ふっ……」 圧倒的な異物がそこに収まっている。胎の中に全て収めるには成熟が足りないようで、余った分がはらわたを押し上げて呼吸を圧迫する。苦痛にまみれた挿入だったが、達成感と鈍い快感に彼女の口角は歪んでいた。 力を込めて差さった一物を少しだけ引き抜く。エラの張ったカリがひだをぞりぞりと舐め上げ、そのたび彼女が快楽にむせぶ。 丸尻を押さえつけて一物を再び差し込む。侵入される異物感と肉をかき分けられる感覚が混ざって脳裏が弾ける。 外からの視線を遮るための衣類は、この場においては行為に神秘を纏わせるベールに過ぎず、差し込む夕日はその行為の影をうっすらとベールに映し出す照明でしかなかった。 抜き、差し。抜き、差し。 「うっ……ふっ……あっ……ぅあ……」 抜いて──────一息に差す。ぐりぐり。 「っ──────………♥」 理性と粘膜がかき回されて何も考えられない。許容してはいけない感覚を、蕩けた脳は拒んでくれない。ただ自分がどこかへ行ってしまわないように目の前の輩にしがみつくしかできない。 淡々と続く。抜き、差し。抜き、差し。 ばちん、と何かが噛みあった音が聞こえた気がした。 脳髄が悲鳴を上げ、神経に乗った電気信号として全身に伝播する。 「あ、く、うぅ──────っ………♥♥♥♥♥………」 きゅんきゅんと竿が締め付けられて、肩にかかる力が強くなる。 「あぁ…っ♥はぁ……♥はぁ……♥……♥♥」 かと思えば脱力し、そして時折思い出したようにびくんと跳ねる。つまり彼女は今、人生初の絶頂を強姦によって迎えていた。 だらりと自分に垂れさがる彼女を見てトレーナーは満足そうだ。肩に頭を預けてうつろな目の彼女にこう囁いた。 「じゃあ、今度は俺の番だ」 ぐずぐずに溶けた頭では音の羅列にしかならなかったのだろう。硬さを保ったそれが抜かれて、へたり込む彼女が机に手を付かされて、無防備になった尻がスカートからあらわにされたあたりでようやく何かがおかしいことを思い出────── ずんっっ 「────っ♥♥───……っ♥……あ♥─♥♥────♥♥♥」 狙いを定めてほぐれ切った蜜壺に先ほどより大きさを増したソレが突き立てられる。多少は慣れたとはいえまだ未通女同然の彼女にその刺激は良く効いた。 さっきまでは一応自分でペースを握れていた。そしてゆっくりとした抽挿でも十分達せるくらいには好かった。 じゃあ、それが自分の手を離れてしまったら? 予測よりもずっと速いテンポで快楽が押し寄せる。打ち付けられるたびに大きめの尻はぷるぷると揺れ、奥まで届くたびに強制的に息を吐かされる。 呼吸が乱れ、自己認識すらままならない赤子同然の脳にかまわず快楽を刷り込み続ける。途中から喘ぎ声は命乞いに変わり、絶叫に変わり、獣の遠吠えに変わった。何度達しても見向きもされず抽挿が続き、また達して、ああそれでも終わらない。 お腹いっぱいきもちいいのが詰め込まれて、もういらないと叫んでもおかわりを無理やりねじ込まれる。 許して♥ごめんなさい♥しぬ♥きもちいい♥ 空に漂白された頭にそんな言葉ばかりが浮かんで消える。舌をだらりと垂らして犯されるまま嬌声を上げる彼女を見て、普段の気高いふるまいを想像できるものはもういない。 一方、男の方ももう限界だった。初めから蠱惑的な振る舞いでの誘惑を耐え、念願の挿入に耐え、彼女の絶頂姿にも耐えた。 それもすべてはこの瞬間の為。この教え子に種をつけるという狂気の野望の為。 既に気絶しかけている彼女へ腰を叩き込むペースを上げる。無意識に手に力がこもり白い腰に鬱血の跡が残る。 「出すぞ!出すぞグラス!」 興奮して言葉が口を突いて出る。こうなってもいいように部屋の防音設備と時間帯を調整してある。 自棄気味に腰をふり、背中を丸めて彼女に覆いかぶさる。 最後に大きく弓を引いて打ち込み鈴口を子宮の口へとめりこませ びゅう──────────── 煮え切った精液は糸のように連続して、特濃の遺伝子を直に胎内へ運び続ける。少し途切れて、また再度。 背筋を快感が突き上げ、情けなく腰がけいれんする。 「ぐっ……うう……っ………………ふぅ……」 役目を終えた愚息が垂れさがり、精気を全て吐き出した彼は倒れこむように椅子に座った。 目の前ではかろうじて体重を支える二本のすらりとした脚の間から、白く濁った欲望の受け止めきれなかった部分がつぅっと太ももを汚していた。 「おい……起きろ」 「ん……」 時刻は午後7時を回ろうとしていた。 「あれ、私何して……っ!!」 思い出した。私は目の前のこの人にに犯された。 ぱしん、肩をゆすぶる手を弾いてバッグをひっつかみ逃げるように自室へ帰った。 エルが食事から戻ってくる前にシャワーを浴びて気持ちを切り替えようとした。 「あっ、冷た……!」 無意識に焦っていたのだろうか、ひねり方を間違えて冷水が火照りの冷めた体に突き刺さる。 けれどそれで、少し冷静になれた。 僅かに違和感の残る股に手をやるとぬるりと白い粘液が指にまとわりついた。冷え切って役目を終えたかのように生気のない体液だった。 ねとねとするそれを水あめのように弄ぶ、水に当たって流れてしまったのでまた股からぬぐい取って、ねとねと。 すこし奥まで中指を突っ込むとまだ残っていた。取り出そうとして指を曲げると電気が走った。 「ひぅっ……♥」 なんだか無性に気持ち悪くなって、膣に残る全部をかき出さんと懸命に指を伸ばす。何かが指先にからむたびにぴりっと刺激がはしる。しばらくして力尽きたのか、粘液残るそこを放置してへたり込んだ。 冷や水に打たれながらぼんやり持っていた違和感の正体を掴んだ。フケ特有のまとわりつくような鈍い気持ちよさが無くなっていた。 「おう、来たか」 翌日の朝練。グラスワンダーは定刻通りに顔を出した。 しかしトレーナーの指示には従わず、険しい表情で彼に詰め寄った。 「あなた、何をしたのか分かっているんですか……!?」 「分かっているとも、当然だ」 両手を上げて降参の意を形だけ示す彼の眼はしっかりと彼女を見つめ返している。もう少ししおれた反応を期待した彼女は気を取り直して詰問の構えを取る。 「どうして……」 「お前が美人だからだ」 「んなっ……」 臆面もなく言い放った。たじろぐ。 「……覚悟は、できているみたいですね」 「ああ」 「じゃあ……」 「ああ、その前に一つだけ」 「……なんですか、警察にはちゃんと」 「フケ、収まったみたいだな」 言われてようやく、朝から体が軽いことに気づく。まとわりつく快楽のまま太ももをすり合わせることも、不埒な妄想で思考が乱れることもない。 「……そう、ですね」 「ならいいんだ」 そういう彼は携帯電話を取り出し、画面を一回スワイプ、三回タップ。 「……もしもし、警察の──」 その腕を取り、スマホを奪う手があった。 「こうすべきじゃないのか」 「……そうですね」 その口は憎しみに歪み、目は情欲に燃えていた。 「く、ふぅっ……」 ずぶずぶと肉竿が沈んでいく。異物感はやはりぬぐえないが、以前よりもすんなりと受け入れるようになっていた。 とんとんと抽挿が行われ、待ちかねた感覚が腹の底から広がっていく。 「もうフケはいいはずだろ?」 「……あなたのっ、せいでしょう……❤」 彼女の発情期は既に静まっている。 そも発情期とは体が子を成す準備をしたことを知らせるもので、生物としての本懐を果たすために本能から男を求める現象である。そこにつがいとして申し分ない男の寵愛を受けたことで彼女の体はすっかり目的を果たした気になっているのだ。 「言っておくが妊娠は心配するな。伸びてる間にピルを飲ませた」 「用意っ……❤周到……です、ねっ❤あのときもっ……❤」 「当然だ」 ぱちゅん、と強めに突き上げるとたやすく彼女は達してしまう。 「───っ~~~❤❤❤」 性感をコントロールし、呼吸を操り、絶頂のタイミングを玩ぶ。ふらふらとした腰使いで焦らすのも、ガン突きして連続で絶頂させるのも、この場の全ては彼が握っている。だから、 「……く……い」 「……」 「早く、出してください…っ❤」 へろへろにくたびれるまでイかされても一番欲しいものが与えられない。あの胎に広がる温かい、全てが満たされていく感覚。 欲しければねだるしかない。普段の凛とした振る舞いを捨て、男に媚びた声音で大きな尻を振りながら懇願するしか手段が無い。 「いいだろう」 猛然とピストンのテンポが上がる。膨れ上がる亀頭が何度も子宮口にめり込み、強制的に酸素を吐き出させる。 「かはっ……❤あっ……はっ……❤」 何度も、何度も、何度も、何度も、すっかり息を吐きつくして、無限に続くかと思われたイキ攻めの果てに胎内を吐き出す白濁が塗りつぶした。 「ふっ……❤❤ふっ……❤❤ふぅっ……」 「ほら、これ飲んどけ」 「んぎっ……❤❤は、はい……」 バテて息を整える彼女の尻を叩き、白い錠剤を二つ水と共に渡す。それを飲み下し、ようやく人心地付いた。 「あなたは…私を一体何だと思っていますか」 「かわいい教え子」 べたべたになった下着を取り換えて、PCに向かう彼に問いかけるとそっけない返事が返ってきた。 「どうして……」 「だから前言ったろ?美人がケツ振って走るの見て我慢する方が大変なんだぞ」 「それは、ウマ娘全体への侮辱ですよ」 「……だよなぁ」 腕を頭に回して体を伸ばす。 「じゃあそんな最低の奴を庇う理由を教えてくれよ」 あれから彼女は警察にも、友人にもこの関係のことを口外していない。 「……今日はもう、失礼します」 「おう、また明日な」 武骨でストイックな彼に魅かれるようになったのはいつのことだっただろう。燻る私の背を叩いて、自分でも理解しているめんどくささを受け入れてくれた頃からそうだったのかもしれない。 正直、ショックだった。初体験はもっと素敵なものになると思っていたから。でも、それでも心のどこかには、快楽によるものだけでない歓びがあった。 学生を強姦するような最低な奴に、未だ愛想が尽きていないのは、 「はぁ……」 夕暮れの帰り道、悩まし気な溜息が暗む空へ溶けていく。