そして、今のトレーナーは二人目。それも、男性。
トレーナーさんが、この人なら安心して私を任せられるからと連れて来た男。
アイツの支持を聞く理由はただ一つ。あの人が信頼する人だから、ただそれだけ。

本当に、ただそれだけ──だったら、どんなに良かったんだろう。

ただの義務として接してくれたら良かったのに。淡々と、業績のためだけに、私を指導してくれればそれで良かったのに。

アイツは優しかった。
指導は適切だし、私の事を気遣ってくれているのもわかる。
大事にされてるっていうのも、伝わってきて。

私は、わからなかった。アイツとどうやって接していけばいいのか。

私が負けても、ただ自分のせいだと言って、決して私を責めないアイツ。

そんなアイツに、私は、謝ることもできなくて。

頭ではわかっているのに、向かい合うと、言葉が、出てこなくなっちゃって。

アイツも、それをわかってくれているから、あまり強くは踏み込んでこなくて。

ねえ、トレーナーさん。私は、どうすればいいの？

そんなある日、アイツがこう言った。

「ドーベル！　俺と文通をしてくれないか！」

何それ。どういうつもり？　今時文通？
正直意味がわからないし、おかしくてつい笑っちゃった。
……だけど、アイツが必死に考えて、歩み寄ろうとしてくれている。
男性が苦手な私でも、ゆっくりと歩幅を合わせて、進んでいけるように。

だったら、こっちも。
お互い、一歩を踏み出せないなら、半歩ずつ踏み出せば。

「……うん、わかった。やろうか、文通」

そう思って、私は彼と文通を始めた。

──と、そんな昔の夢を見た。

いや、趣味である少女漫画の執筆の最中、寝落ちしてみる夢がコレって。
何度も何度も書き直しても、男性役の顔がどこぞの誰かさんに似てしまうから、描き直してる最中に見た夢が、コレって。

「……いやいや。そんなんじゃ、ないでしょ……」

頭を振って気分を切り替え。中断していたシーンを再開。
主人公の女の子が、意中の人に愛称で呼ばれるようになるシーンだ。

「……」

しかし、しかしだ。
あろう事か、この時。
カリカリとペンを進めながら、私はつい魔が刺してしまったのである。

『──ベル』

「〜〜〜〜〜ッ！」

吹き出しの中に、自分の愛称を入れて、羞恥心で悶える。
側から見れば奇行と呼ぶ他にない言動。感情を発散させるべくバタバタと手足を動かすと、ベッドの支柱がギシギシと悲鳴を上げた。

「……落ち着け、落ち着け、私……」

メジロ家の淑女たるもの、常に優雅であるべし。自分に言い聞かせ、ふと窓ガラスに映った自分の顔を見る。

「……ぁ」

そこに映っている表情には、見覚えがあった。
専属トレーナーと二人で話をしている時の、エアグルーヴ先輩によく似た表情。

「そっか。恋してるんだ、私。アイツに」

口に出すと、さっきまでの醜態が嘘であるかのように、心が落ち着いた。
描きかけのページを引き出しにしまい、明かりを消してベッドに潜り込む。
高鳴る心臓の鼓動。熱くなる体温。それもまた、心地良い。
うん、もう、認めよう。

「……責任、取ってもらうんだから……」

何の？　それはもう、決まっている。
私の男性観をぐちゃぐちゃにした責任を、だ。

またドーベルが男性観を破壊されている

逆視点…いいね！

また男性観ボロボロになってる…

素晴らしい逆視点

また壊されたの！？

sideメジロドーベルいい…

ドーベルの男性観は破壊されるためにある

さっきので終わらせるつもりだったけどスタンドライトに真っ赤なほっぺを照らされながら恋を自覚しちゃうベルよくない？ってメジロのお婆様が囁いたので書きました

ウワーッ逆視点！

逆視点だとよりトレーナーが選択肢完璧だったか分かる

男性感破壊されたドーベルは美しいからな…

誰かここからドーベルのトレーナー攻略編を書いて

恋を自覚した瞬間の娘ほど美しいものはない

でもまだ後ろからの一押しがない限りは安全だ！

>さっきので終わらせるつもりだったけどスタンドライトに真っ赤なほっぺを照らされながら恋を自覚しちゃうベルよくない？ってメジロのお婆様が囁いたので書きました
何やってんだメジロのお婆様
良くやった

ベル
いいよね

なんだい今夜は良質なドーベル怪文書をよく見かけるが

この後本当にベルって呼ばれ始めて頭沸騰してほしい

>この後本当にベルって呼ばれ始めて頭沸騰してほしい
この後自分からベルって呼んでってねだるよ

やっぱりトレーナーが悪いよこれは

ベルって呼んで欲しいって言った理由はこれか…

サイゲームスデバッグセンターの方から来ました
こちらでメジロドーベルの育成シナリオが流出しているとの通報がありまして

>なんだい今夜は良質なドーベル怪文書をよく見かけるが
別の鴨葱スレでドーベル勧めたからかもしれない