相手のために何かをしてあげたい、その気持ちを受け入れてくれるのも自分のため。 URA優勝を駆け抜けていったトレーナーさんとの関係は思いやりの善性によって成り立っていた。 「クリーク…お願いがあるんだけど…」 「なんでしょう~?」 いつものようにソファに腰掛け膝枕をしてあげていると、愛しい人のそんな声が聞こえた。 下を向いても自分の大きさでは視界が塞がれて顔色は伺えないが、どこか言いづらそうな感じ。 ん?と首を傾け、聞いてあげますからねという柔らかい態度で示すと、意を決したように… 「甘えさせてほしい…」 「うーん、もっとですか?」 「いや、今度は俺にさせてほしい!」 起き上がったトレーナーさんはこちらを向いてかなり力強く迫ってきたが、それがむしろ嬉しい。 クリークを甘やかしたいんだ、と恥ずかしそうに頬を赤く染める彼に胸がドキドキしてしまう。 こちらの"甘えさせたい"という想いをいつも受け入れて自由にさせてくれているのだ。 トレーナーさんの"したいこと"をさせてあげるのが、本当の意味で甘えさせることに繋がるというものだ。 「そうですね~トレーナーさんのためなら…ぜひ!」 「ほ、本当か!?それじゃあ次のデートまで俺がお父さんで…」 「違いますよ、パパ…でしょう?ね?ふふっ」 「そうだな…俺はクリークのパパだ。今度のデートはパパとどこに行こうか?」 楽しげにそんな事を喋りながら、トレーナーさんと週末の予定を約束したのだった。 休日のデートはショッピングから。衣服類を見て回って、昼食を取ってからゆっくりと映画鑑賞。 三時間半近くと長丁場の映画を見終え、大勢の人混みに紛れるようにビルから通りに二人で出る。 「パパと少し歩こうね」と言われて手を繋ぐと、気持ちの良い日差しの下で近くの広場までお散歩。 見た目上には普通のデートで、二歩先を行くトレーナーさんに手を引かれる格好で連れて行ってもらう。 本当は並んで歩きたいのにそれが出来ない。歩幅は狭く、グッと力を込めてセーターをもう片方の手で抑える。 会話も少なく俯いていたので、トレーナーさんは調子の悪さにすぐ気付くと。 「大丈夫?」 優しい声色に滲む期待感を察知して、応えたい気持ちと拮抗する恥ずかしさを押し殺してなんとか口にする。 「その…私、ちょっとお花摘みに…」 「クリーク?」 「あ……お、おトイレに行きたいですパパ…」 「っ…ごめん、パパ気付かなかったよ」 腰に手を回されて抱き寄せられると「どこか座れる場所は無いかな…」と辺りを見回し、近くの広場にベンチを発見。 ぐっぐっとセーターを手で抑えながらトレーナーさんと一緒によたよたと歩く姿は具合が悪いように見えるだろう。 こちらが尿意を我慢しているとは周囲の人々は夢にも思わず、なんとかベンチまで辿り着いて座ると限界はなんとか延びた。 「近くに…ありませんか…?」 「うーん…駅までは遠いし公園も無い…」 ああそうだ。とトレーナーさんは何かを思い出したように笑うと、こちらに振り向いてウマ耳にそっと囁いた。 「今朝、パパがクリークにオムツ着けてあげたよね…なら大丈夫じゃないか」 「で、でっでもぉ…っ」 デートに出発する前に、彼の前でおおっぴろげにして履かせてもらったゴワゴワのそれが半日股座にあった。 大人っぽい縦セーターの下は、赤ん坊が着けるようなオムツがあるなど目の前の愛しい人以外知らないのだ。 カッコいい顔をしながら悪魔のような囁きが、吐息と共に心を誘惑して常識や通念といったものを負かそうとしてくる。 「しちゃってもバレないよ…それに赤ちゃんは、漏らすものだろう?」 「はぁっ、あぁ、ぁ、パパぁ…そんな、や…っ」 大勢の観衆の視線がある野外で、バレずに済ませることが出来るように整えてきて、それしか道は無いように思える。 赤ちゃんは漏らすもの──パパがそう許可してくれてるのだから、最後はもう自分の気の持ちようだけ。 それでもここまで我慢してきたのに、と羞恥心で涙が零れそうになっているのを後押ししたのは、トレーナーさんだった。 「ほら、してるところパパに見せて…ん」 「んっ!?ん、ふぁ、ぁああ゛っ、お゛っ……んふぅ……ん゛っ♡」 舌を絡めるような濃厚なキス。いつものように受け入れたのが失敗、いや成功で、それからはもう体が勝手に反応した。 『じょっっっ…しゅーーーーっ…しょろしょろしょろ……』 突然のカップルのキスに通行人達がこちらを見ていた。全身に視線を感じる中で、オムツの中に暖かいものを吐き出していく。 最初は音が聞こえるのではと思うほど勢いよく、続いて快感すら覚えるほどの我慢から解放されたものを途切れるまで。 人目がある野外でおしっこをする──羞恥心をそのまま快楽に繋げてしまう頭の中が真っ白にバチバチと焼き切れる感覚。 (─ッ♡──ッッ♡ッ♡) あまりの心地よさにキスをしたまま腰が跳ね、びゅっ♡びゅっ♡と尿ではない潮までオムツの中に吹いていた。 「…まさかここまでクリークが我慢するなんて。もう興奮しっぱなしだよ…」 「はぁ…はぁ…えへ、トレーナーさんが、よろこんで、うれし…です…♡」 「それじゃあ予定通りホテルで履き替えて、買った服にお着替えしようね」 午前中に買った服は、いわゆる女児服とか女児下着と呼ばれるもので、トレーナーさんの前で自分が着れるサイズを探させられた。 店員さんの驚いた表情と周りの視線に羞恥を感じ、それ以上にオムツの中を濡らしていたのはきっと彼も分かっていたのだ。 最初からこういう事をすると取り決めた上で、本当なら映画館で上映中の暗闇に乗じて済ませてしまえばいいものが、 気張ったせいで脳内にはどうしようもないほど野外お漏らしの快感が刻まれてしまって、もう一生忘れることはできないだろう。 そしてこれからもっとあられもない格好に着替えて、パパの娘として一つになれる…そう考えると、クリークの胎は狂おしいほどに疼いたのだった。